バスボートは、毎年6月〜7月頃に次年度のモデルが発表されるのが通例となっています。

よって今の時期は、新艇購入を考えている方には、次年度モデルの発表を待つべきか、それとも現行モデルを発注すべきかとても悩ましい時期だったりします。

場合によっては欲しかったモデルが次年度から廃止されてしまうこともあります。 原料高で大幅に値上げされたことも過去にはありました。

130118 triton logo

そんなこともあり、購入を検討されている方々のために、トライトンの2015年モデルがどのようなラインアップになるのか、トライトン社の幹部の方から特別に教えてもらいました。 モデルによっては今すぐ2014モデルを発注すべき!というものもあれば、絶対2015モデルが発表されるまで待ったほうが良い!といのもあ
ります。 詳細はブイロクマリンさんに報告済みなので個別にお問い合わせ願います。

そして、モデルイヤーについて別の話題です。

船のモデルイヤーの見分け方を皆様ご存知ですか? アメリカでは、製造された船には必ずHIN (hull identification numer)という番号を付することが義務付けられています。 これはセリアルナンバーと呼ばれることがありますが、厳密にはHINの名称のほうが正しいです(こんなことはどうでもいいのですが)。

このHINはトランサムのあたりを探していただければ必ず見つけることができます。

140526 HIN

この番号の下二けたの数字がモデルイヤーになります。 画像の船は「00」なので、これは「2000年モデル」ということです(この画像はインターネットで任意に見つけたものです)。

バスボート業界では一般的に7月〜8月頃から次年度のモデルイヤーの打刻を始めます。 つまり今年の夏頃からHINの下二桁が「15」という船が製造され始めます。

そんなの知ってるよ〜!! というお方、以下はもう少しトリッキーな業界の実態をご説明します。

2艇の船があるとします。 HINを見ると2艇とも同じ年度のバスボートだけど仕様がまったく異なるという船を見つけたことはありませんか?

これは例ですが、HINでは2艇とも下二桁が「10」(=2010年モデル)、そしてボートのモデル名(例: TR21XS) も一緒なのに、コンソールの形状も、シートのデザインも、デカール類もまったく違う!という船を見つけたことはありませんか?

これは実は以下のようなことが起きているのです。

たとえば、2009年の初夏に注文を入れたとします。 でもメーカー側は、「あと2か月待っていただければ2010年モデルが発表されますよ。 それまで待ってはどうでしょうか?」 と提案してくれます。 でもお客さんとしては、様々な事情で(6月のボーナス時期に支払たいとか、年内には納艇してほしい、とか)どうしても直ぐに発注したい、といった事情があります。

そのようなとき、メーカーは、「仕様は2009年モデルだけどHINの下二桁は「10」にしておきましょうか?」 と提案してくれることがあります。 

仕様は2009年モデルだとしても、HIN上は2010年度モデルにしてくれるのです。 年度が1年違うだけでもリセールバリューに大きな影響が出てきそうですし、なんとなくとてつもなく徳をした気分なのでお客様も喜んで
くださいます。

アメリカの多くのバスボートメーカーではこのようなことを伝統的に行っています。 

それを、「アメリカのバスボートメーカーはいい加減だなぁ。」と決めつけるのは皆様の自由ですが、メーカーサイドとしては、お客さんに満足してもらうために彼らなりの最善のサービスを提供しているつもりなのです。管理人自身も次年度のセリアルナンバーをあえてつけてもらったことがたくさんあります。 それをお客様に伝えると、少なくとも過去20年近い経験の中では皆さん「おおおぉっぉおお!! それはありがとうございますぅ!!」と喜んでいただけました。

最初のオーナーさんにはこのような背景をご理解いただいた上で購入していただくのですが、この船が転売されて3人目、4人目のオーナーさんになると、さすがにこのような背景は伝わりません。

HINは「00」なのに仕様は「09」モデルだ!! この中古艇は怪しい!!となってしまうわけです。 

でも先に述べたような事情を知っていれば別に怪しいわけでもなんでもないですよね。

もし疑義を持たれた場合は、HINを教えていただければ、その背景を調べますのでそのときはご連絡ください。 現存するメーカーであれば電話一本で調べられます。

最後になりますが、管理人はまだ出会ったことがないのですが、アメリカの中古艇市場では再発行されたHINを打刻している船が多く存在するそうです。

どんな理由があってHINを再交付してもらう必要があったのでしょうか? 盗難された船の身元を隠すために再登録したのか? 事故で全損したボートを改修して再登録したのか? それとも腕に覚えのある人が日曜大工で本物そっくりに製造した模倣ボートなのか? 後ろめたい理由しか思いつきません。

こんな例は日本では聞いたことはありませんが、中古艇を検討中の方は注意したほうが良いかもしれません。


ウエブサイトもご覧ください:
https://sites.google.com/site/bassboatsandpowerboats2/