今年6月1日の「阿蘇カルデラスーパーマラソン」(50だけど)に参戦しようと思っていたのだ。
しかし、急遽飛び込みの仕事が入って、行けなくなった。
佐賀から熊本行きの電車が出発する時間だけど、ぼくには仕事がある。
部屋の隅には作っておいたバックパック。
会社の友人たちも出場する予定だ。

なんだか悔しい。

悔しいときには走るに限る。
走って帰ってきたら「トップツアー」から電話。

「あの、阿蘇行きのシャトルバスなんですけど。」
「あ、仕事で。キャンセルということで。」
「そうですか。」


悔しいです!(お笑いコンビ「ザブングル」の加藤の顔で)


で愚痴を書いていたら、かの「駄マラニック」を主催するあみりん氏がレスをくれた。
「あの〜、明日の月イチ駄マラニックなら間に合いますけど」

いや、普通間に合わんやろ!

「いや、ゼッケン今から作りますんで」
「行きます行きます行かせてください」

というわけで急遽参戦となったわけなのだった。



もう改めて書くまでもないけれど、「月イチ松浦フル駄マラニックはあみりん氏の主催するマラニック大会である。
松浦市の風光明媚な景色を走り抜けるマラニックだ。
コースはこちら。
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=a326fac0d80418496a6e60dd87852623
最初は海辺の海抜0メートルからイッキに300メートルまで駆け上る。これは阿蘇カルデラ50の標高差250メートルと比較してもひけをとらない(100の標高差500メートルと比較すると引けをとるけれど)。
考えてみれば不足はなさそうだ。

ところで、月イチは6月から9月までは午前5時受け付け開始、午前6時スタートである。
午前6時に松浦に着く公共交通機関はないので、ほくは当然宿を取る必要がある。
で、スタート会場の「松浦海のふるさと館」のある公園に隣接する「ビジネスホテル海風」を予約した。
素泊まりで(ホテルだからね)5250円は若干高い気もするけど、まあ仕方がない。

6月1日の天気は雨。
カルデラを走った人たちは雨のなか苦労しているはずだ。
で、月イチは2日である。
翌日、ビジネスホテルの窓をあけると、曇り空の下に海が広がっていた。
予報では、これから降雨確率は減るはずだ。
今日は、カルデラを走るつもりで駄マラを走ることにした。

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午前5時、すでに人が集まってきている。
今日の参加者は30名あまり。駄マラとしては結構な人数だ。
その中には佐世保基地の人とおぼしき外国の方もおられる。
国際大会である。









外国の方が宣誓というか挨拶をして、午前6時スタート。
雨上がりの涼しい海風の中を、走り出す。



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志佐川沿いののどかな道を走る。
外国の方を先頭に、結構皆飛ばしている。
ぼくも関門のあるカルデラを走るつもりで、本気で走る。
それにしても「阿蘇だよぅ」とウソを言っても通じそうな雰囲気である。
まあ、ウソはいけないけれど。










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牛が外で草を食んでいる。
阿蘇も牛が放牧されているはずだ。
しかし、ゆっくり写真を撮る暇がない。
飛ばすので、牛も流し撮りになる。
ニオイも流れてゆく。
汗が頬や顎を流れて、そこに涼しい雨上がりの風がふきつける。
実に気持ちがいい。













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これ、波野村といっても通じるよね。通じないかな?














霧雨が降り出した。
熱を持った筋肉を冷却する水冷の雨。
坂を息をきらせて上り詰める。
標高300メートル。
と、不意に目の前が開けて、下り坂になる。
思わず声が出る。

「気持ちいい〜!」
おっさんが声を出す。
まあ、変態である。

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第一エイド。エイド食はいつもの太巻寿司である。
一個だけいただく。それと麦茶。
ここから、道はやまびこロード。
一番「走れる」区間である。









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曇り空。霧が出てきた。

霧の中を走る。

やまびこロードは山の尾根を走っている舗装道路である。
田舎だから、交通量はきわめて少ない。だから、ランナーがひとりじめである。
本当に気持ちのよい道だ。
こいつを走るだけでも「月イチ」を走る価値は十分にある。

やまびこロードを走りぬけ、トンネルに入る。
トンネルも快調に走る。
と、不意に足元にネズミの死体みたいなものが落ちている。
「おぉう!」
思わず声が出る。
走っているので正体はよくわからなかった。もしかしたら古い手袋かもしれない。

トンネルを出ると、雪国、ではなくて、ますます深い霧の中。
昔小学生のころ、「ジュニアチャンピオンコース」というシリーズがあって、ミステリアスな話を集めた「怪奇ミステリー」というのを愛読していた。
そこにあった話。アメリカのある州で、ドライブしていた車が、不意に霧に巻かれた。
霧が晴れると、まったく別の州を走っていたという。

ぼくも霧が晴れると、阿蘇を走っていたりして。

まだ未練あるんかい?


だって、エントリー料、高かったんだもの。
ぼくは、PCの前にかじりついて、ようやくエントリーを勝ち得たのだった。
やや無念である。

しかし、走っていたら、だんだんそんなことはどうでもよくなった。
走るに値する道は、そう、どこにでもあるのだ。
この松浦フルのコースは、本当に「走る価値のある」コースである。

そんなことを考えながら走る。
梅雨らしく、あじさいが咲いている。





やがて道は右折し、森林浴ゾーンの前で、20キロエイド。
エイド食はいなりずしである。こいつがウマイ。

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時間は8時13分。経過時間2時間13分。
阿蘇50の第一関門が21.7キロで、タイムは3時間40分だというから、余裕余裕。

余裕で森林浴ゾーンに入る。










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林道は霧の中である。霧雨も降って来る。
相変わらずぼくは快調に走っている。

林道を抜け、下り道。
ここから御厨へ向かう。










さすがに疲れてきた。
うしろから走ってきた若い人たちに抜かれる。
足を動かすピッチがさほど違うとは思わないが、速さは倍ぐらい違う。
ぼくは純日本人だから、足が短いのだろうか。
短足は父ゆずりである。

遅いのだけど、別にそれでもいいのである。
もともとかけっこではビリを続けてきた中年だもの、急に速くなるわけじゃなし。
ぼくとしては、上出来である。



御厨のファミリーマートの横を抜けて走り、道は海に沿った畑の中を抜け、やがて海沿いの道に出る。
ここで、後ろから走ってきた女の人に抜かれる。
立派な足をしている。
別に萌えているわけではない。
ぼくの足と比べて、鍛えた足である。そこに感心する。
俺たちにはできないことをやってのけるゥ。そこにシビレル。あこがれるゥ。(ジョジョ風)



130602_0917~0001さて、海辺をしばらく走り、30キロエイドである。
時間は9時17分になっている。
所要時間3時間17分。
阿蘇カルデラ50の関門は33.2キロが5時間10分である。
阿蘇50の33.2キロはいちばん高い上りを上り詰めたあたりで、簡単ではなかろう。
でも、それにしても30キロ時点で3時間17分だから、仮に阿蘇に出ていても関門にはかからないだろう。
ちょっと満足する。







エイド食は、サラダ巻。
エイドで若い人たちが待っておられる。
「サラダ巻き、腹に来るんですよね〜」などと言っている。
ぼくはサラダ巻が大好きだ。
サラダ巻きと結婚すればいい、などとは言わないでくれ。
別にサラダ巻きと結婚するつもりはない。
だいいち夜の生活はどうすればいいのだ。
想像してみよう。
いや、なんで想像せないかんねん!


思わず自分で突っ込む。








さて、30キロエイドを出て、星鹿半島を横断する道に入る。
このあたり、主催者あみりん氏の「お散歩ジョギング」のコースである。
坂を黙々と上る。
上って、やがて下る。
下り道の途中。道の真ん中に小さな娘っ子が出ていた。
「た べ て く だ さ い」棒読みっぽく。、アイスの「pino」を出す。
近くにはpinoの箱を持った小さなお兄ちゃん。
向こうには家の母親とおぼしき方が、「がんばってください」などと応援してくださっている。
思わず感謝して、礼をいっていただく。
空はもう、雨もあがり、やや暑くなってきたところだ。
アイスがおいしい。
あっという間に食べたので、食べかすの写真しかない。
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いつのまにか、快速ペースから、いつもの駄マラペースに落ちている。
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だらだらと進むと、いつぞやのお寺がある。


お寺の前にありがたいお言葉が出ている。
いや、pinoをもらってから読むと、含蓄の深いことばだなあ。















星鹿漁港に入り、漁港を左手に見ながら走る。
道行くおばさんたちが、「がんばってください!」と声をかけてくれる。
「ありがとうございます!」と返事しつつ走る。
こういうやりとりが、嬉しい。

星鹿漁港のはずれから、坂を上って、道に戻る。
そのまましばらく進むと、また港に出る。
港をだらだら進む。
このあたりで、2人連れの人たちに抜かれる。
やっぱりオレは遅いのだな、と自覚する。
別にいいのである。
阿蘇カルデラ50に出れたとしても、関門にはひっかかっていないだろう。
それだけで嬉しい。



港のはずれから、陸に入り、いわゆる森林浴ゾーンを進む。
眺めのよい道である。
袋かけのしていないビワが鈴なりになっている。
思わず、橘湾の80キロを思い出す。
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あじさいも咲いている。
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松浦鉄道の線路沿いを進むと、40キロエイドである。エイド食はいつものプチトマト。トマト嫌いの人(いるかどうかわからないけど)もいいかげんトマト好きになってほしい。そうなるまでエイド食で出し続ける、というのも面白い。
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時間は10時20分になっている。経過時間は4時間20分。
阿蘇50では、41.2キロに関門があり、6時間20分だそうである。
余裕余裕。
会社の人たちは、50キロ完走したかしら、とふと想像する。















さて、あとはもうすっかり駄マラペースでだらだら走っている。
歩いているわけではない。たとえよそからみればそう見えたとしても、断じて歩いているわけではないのだ。
林の中を下り、火力発電所を横目にみながら再びのぼる。

やがてゴールが近づいてきた。





ゴール時間は、だいたい10時50分ぐらい。4時間50分。後半ちょっとのんびりしすぎたかもしれない。
ちなみにカルデラ50のゴール関門は7時間30分である。

まあ、ぼちぼち鍛えるからいいか。
DNSの不満も走り終わったら、すっかり消えていた。
医学的研究によると、走ると、人間が動物時代に、肉食獣から逃れて走っていた記憶がよみがえるらしい。
そのとき、不安をリセットする物質が出るらしいのだ。
だから、ランニング後は悩みが吹き飛ぶ、ということらしい。











やっぱり駄マラは楽しい。
でも、来年は阿蘇カルデラ100にエントリーしてみようかしら。
いや、あくまでも「Tシャツ」目当てでね(笑)