一昨年だったか,「元祖平戸島!駄マラニック大会」の折,主催者のあみりん氏が言っていたこと。それは平戸島を舞台にして,コースの違う駄マラニックをやりたいんですよね,というような話だった。平戸島に川内峠という大変見晴らしのよい峠があり,そこからの風景をぜひ参加者に見せてあげたいのだという。距離はちょうど42キロのフルマラソン。

その大会がようやく実現する運びになった。http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=ac5847fa72d6c41bf135b80348f6b29d 

というわけで,1月25日,ぼくはその大会を走ってきた。参加者は27名とこじんまりした大会だけれど,いわば日本の西の果ての平戸島で開催される大会に,遠くからこれだけ人が集まるのだから結構なものである。でも,公共交通機関の便が悪い平戸島のこと,ぼくの住んでいる佐賀市からでも,午前8時半の集合時間には間に合わない。そこで,前日は伊万里市で宿泊することにした。宿は恒例の「ビジネスホテルかねこ」。値段が安いだけで,特に快適なわけでもなんでもないが,車をもたないぼくはできるだけ安く宿泊する必要があるのだった。


「ビジネスホテルかねこ」。以前は2500円だった宿泊費が,今回消費税8パーセントを含めて2700円になっていた。アベノミクスはこんなところにも影を落としていたりする。ここは,伊万里グランドホテルの創業者の人が最初に始めたホテルらしく,趣味を兼ねて一人で運営しているので,古いけれど安く泊まれる。一人で運営しているから安いというのは,どこか駄マラニックにも似ている。
で,「かねこ」には,一応は岩風呂風の浴場もある。夕食は近くのトライアルに買い出しに行って済ませ,暖房をがんがんに効かせて就寝。

翌朝,まだ暗いうちにホテルを出て,2つある伊万里駅のうち松浦鉄道側へ行き,午前5時41分発の佐世保行きに乗車する。間違えて有田行きに乗ると逆方向へ行ってしまうので間違えてはいけない。で,窓からまっくらな夜の海を横目で見つつ,一両編成の電車に揺られてうつらうつらしながら,午前6時47分に,たびら平戸口駅に到着した。

今回の集合場所はここから近い田平公園ではなく,平戸大橋を渡って,平戸城を横目にみてさらに歩いていった平戸文化センターということになっている。だから,集合時間は午前8時から8時30分までだけれども,余裕を見込んで出発したのだった。

たびら平戸口を出て坂を下り,また上って,平戸大橋に向かい,夜明けの近い平戸大橋を渡る。
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ぼくは集合場所に向かって歩きながら,平戸市内に宿を取ったほうが良かったかも,と思ったのだけれど,やはり「ビジネスホテルかねこ」の安さは捨てがたいのだった。

平戸城が見えてきたので,手前で坂をくだり,平戸城を取り巻く道を通って平戸文化センターまで向かう。道路の脇に見える学校の石垣が,明らかに平戸城の石垣の一部だ。平戸城は山鹿流の兵法で縄張りを作っているというが,うまく敵を誘い込み殲滅する工夫がこらされているのだろうか。

それにしても,寒いのでトイレが近くなった。どこかにトイレはないかなあ,と思う。平戸城の山のてっぺんにある公園のトイレはきれいだった記憶だけれど,そこまで行くのは億劫だ。石造りの橋など,城下町らしいたたずまいを残す平戸城下の街中を歩き回り,コンビニを探すけれど,どうも付近にはコンビニが見当たらない。城下町らしいたたずまいを堪能する余裕もなくもどってきたら,平戸文化センターの室内に明かりがついており,どうやら,トイレを利用させてくれるようなのだった。

さて,時間になったので,ぼくは受付を済ませる。
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あみりん氏のアイポッドからは,往年のロックナンバーが流れてちょっとにぎやかだ。集まってきたメンバーの中にはあいあいさんご夫妻の姿も見える。
以前,平戸島ではハーフマラソン大会が開催されていたが,不幸にも交通事故があり,それ以後中止となった由。今回のコースはその平戸ハーフを思い出すコースなのだそうだ。あいあいさんの夫の方はバイク乗りでもあるので,車で今回の道を走ったことはあるそうだけれど,足で走るのははじめてだそう。

時間が来て,例によってあみりん氏の大会趣旨説明やら,あいあいさんの選手宣誓などを経て,午前9時になんとなくの感じでスタートする駄マラーたち。
今回,一番遠くから来た人は,名古屋から来ている。見るからにベテランランナーの方で,この「下方街道」の第1回大会を記念して走りに来られた,ということのようだ。
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マラニックという言葉はまだまだなじみがないけれど,起こりは長距離走の選手がトレーニングの一環として,お弁当の入ったリュックを担いで長距離を走ったことらしい。つまり「マラソン+ピクニック」で,「マラニック」。だから,速さを競う大会ではない。速く走りたい人は,速く走ったっていいが,なにしろあみりん氏一人で運営しているので,スタート後,主催者は撤収して,エイドの保守やコースの見回りへ出かけるから,4時間経つまでは戻らない。だから,あまりに早く戻ると,ゴールに何もないので,つまらない思いをすることになる。
「駄マラニック」はこれに加えて,タイムでしのぎを削るようなマラソンランナーに対して,思い思いのペースで走るランナーが自らを「駄マラー」と自称する大会である。でも,マイナスばかりではない。駄マラーは遅いけれど「でも走るのが好き」なのだ。そこに積極的なプラスがある。


今回,コースは,海に突き出している平戸城の下を通って住宅街を抜け,川内峠までずっと上り坂になっている。ただ,坂は比較的ゆるやかで,山登りという感じよりは,丘を登る「ヒルクライム」という感じだろうか。
ご存知だろうか,クラシックカーのミーティングでよく催される競技に「ヒルクライム」というのがある。一応タイムを競うのだけれど,それこそ50年や100年も経ていそうなオープンカーが,それぞれ思い思いのペースで坂を上る様子はいかにもほほえましい感じがする。今回の「平戸下方街道」のコースも,そんな感じである。ぼくなんかはいわば製造後49年の中古軽トラックだから(しかも膝のパーツの調子が悪い),自分なりに上り坂ではローギヤへ入れつつ,のんびりと上っていく。

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ペースが速い人はそれなりに速い。でもそうでなくても全然引け目を感じる必要もない。道はどんな駄マラーも平等に迎えてくれるのである。
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しばらくローギアで走っていくと,道は見晴らしのよい川内峠へ出る。
空を見上げると,それこそ宇宙まで抜けるような青空だ。
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今回の大会名「下方街道」については簡単な説明が必要かもしれない。「旅する長崎学18」歴史の道〜平戸街道ウォーキング,という本によると,「平戸島を北から南に縦断する下方街道は、領民たちに霊山として崇められてきた志々伎山と安満岳に詣でるための「祈りの道」でした。」とある。http://tabinaga.jp/book/history/18.php 
つまり,平戸の南北を結ぶ江戸時代からの道で,これが整備されたのは殿様を含めた,参詣のためだった,という。
今回のコースの半分はこの,「下方街道」に沿っている。祈りの道。正月にぴったりのマラニックじゃあないの,とぼくは思う。それにしても,川内峠に見渡す限り広がっている草原はなかなかの眺めだ。草原の下には赤土が見える。赤土は火山噴出物が酸化して赤色になるものだから,もとはといえば,これも太古の火山活動が作り上げた風景なのである。

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あたかも日本ではないかのような景色は,車のコマーシャルフィルムの撮影にも使われるらしい。時間も早いのであまり自動車は通らない。そこを走っていく参加者の人たち。
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峠からみわたすと,はるか遠くの海がお日様を反射してきらきらと光っている。
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ところで,ぼくは景色を見ながらのんびりと走っていたのだが,見ていると,立ち止まって,道端で何かを拾っている参加者の人がいる。拾っては持参の白い袋に入れる。そして走り出す。

これはいわゆる「拾活」ランナーの人である。コースを走るついでにゴミを拾って掃除していく,というランナーだ。もちろん走力の裏づけあっての活動である。ぼくは感心しつつ,自分の道路わきを見る。意識してみれば,空き缶やペットボトルなど,結構落ちていたりゴミが目立つ。
ぼくは少しだけ残念な気持ちになる。おそらくは車から外に投げ出されたゴミなのだろう。こんなに素敵な自然の中なのに,人はゴミを外に投げ捨てて自分が見えないようにすればそれで安心するらしい。
ぼくは拾活の人を後ろから見ながら,心の中で応援する。けれど注意してみると,実は拾いきれないほどの缶やペットボトルが落ちているのだった。

眺めのよい川内峠を過ぎて,道は気持ちのよい下りだ。外国の方も参加されているが,何かしら英語で話をしながら走っていた。日本のよい思い出になればよいと思う。そんな国際色のあるこじんまりした大会を,ポンコツの軽トラックも,調子に乗って下っていく。
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道を下って走っていると,横を大きなダンプカーが通り過ぎた。と,意外なことにダンプカーの席から,小学校ぐらいの子どもの声援が聞こえてくる。「がんばれー!」「がんばれー!」

いや,駄マラニックって,「がんばらない」大会なんだけれどな,と思いながらも,声援があるとなんだかうれしい気持ちで走っていく。ほんとに,がんばりもしないで,俺,何やってるんだろう。

一方ダンプの運転席には,40代の運転手が乗っている。横には小学生の息子が2人。「パパ,あの人たち,なんか胸につけて走っていたね。何をやってるんだろう?」。うん,たぶん何かの大会だよ,とあいまいに返事をしながら運転手は思う。俺が毎日仕事で走るただの田舎道を,あの人たちはなんで走っているんだろうな。

ぼくはそんな風に運転席の様子を想像しながら走っている。走っていると退屈なのでいろんなことを考える。ぼくって,本当に何をしているんだろう。駄マラニックはあみりん氏が一人で運営しているので,エントリー料は3000円と安い。けれど,佐賀から平戸島まで往復する交通費やら今回のホテルの宿泊費を考えれば,1万円近い都市型マラソンにエントリーするのと実はそんなに変わらないかも。それにもかかわらず,「遅い」ことを決してひけめにする必要がない大会や,走ることを通じて体育会系でもない普通のおっさんである自分の体と向き合う体験は,ほかには代えがたいほどの気分のよさだ。とくに,下り坂は(笑)。
駄マラニックは,心に効くのだ。

やがてコースは「中野」というところに出る。これは平戸島の上半分のほぼ中心部に位置し,盆地のようなかんじに山に囲まれたところだ。場所がよいのか,ここにはホームセンターやコンビニエンスストアなどの店が集まってちょっとした町の風情である。
ここに第一エイドと,それから第四エイドが設けられている。
これはどういうことかというと,コースはこの先,安満岳(やすまんだけ)の南側を通って紐差の町へ抜け,一転北へ向かい,獅子町,高越町,春日町を過ぎて(もうこのあたりは「元祖平戸島」の逆コースである),生月大橋を遠くに見ながら,こんどは東へ向きを変えて,安満岳の北側の荒々しい表情の景色を抜けて再び同じ「中野」へ戻ってくるのだ。
ちなみにコースはその後,今度は川内峠を通らずに,ひとつ北側の「元祖平戸島」のコースである木引町を抜けてスタート地点である平戸文化センターに戻ってくる。
全体が「ひょうたん型」を描く感じのコースであり,くびれがこの「中野」あたり。だから,行きと帰りの第一,第四エイドがそれぞれ設けられているというわけなのだ。

ぼくはまだ,中野に降りてきたばかり。先は長い。
第一エイド兼第四エイドは,地元の薬局の方にお願いしてエイドを設けさせてもらったそうである。
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駄マラニックは人手がないから,基本は無人エイドであり,参加者が勝手に開けて飲み食いしていくというスタイルだ。エイド食は,いなり寿司や太巻き寿司などちょっと特色がある。

今回の第一エイドのエイド食は太巻き寿司だけれど,節分が近いので一応「恵方巻き」という設定である。
恵方巻きのつもりで2個いただく。けれど,駄マラニックは楽しいので,黙って食べるということができない。
黙って食べないと福が逃げるというけれど,おしゃべりしたぐらいで逃げる福よりは,楽しくおしゃべりしたほうがよいと思う。
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一休みして,さて,またエンジンをかけてノンビリと走り出す。
交差点沿いにちょっとした「交通安全」の「作品」があった。風情があって面白い作品群である。
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交差点をすぎると,道は本格的な山の中のワインディングロードに入っていく。いつまでも続くなだらかな登り道を,ぼくは気持ちの中でローギアに落としてのんびりと上っていく。
「ザ・ローング・アーンド・ワインディン・ロード♪」なんてビートルズの鼻歌が口を突いて出る。
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舗装道路だけれど,これも実は下方街道沿いなのだ。
というのは途中には,平戸の殿様が一休みしたという「滝」がちゃんとあるからである。
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スイレンの滝,とはいうものの,ちょろちょろと水がながれているだけである。これを滝に見立てるのが殿様流の風流というものだろうか。
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しばらく山道を走ると,やがて道は下り坂となる。ずっと紐差へと下っていく。気持ちのよい下り道で思わずスピードが出るけれど,車には十分気をつける必要がある。
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そこを過ぎると,紐差町のはずれのあたりに出る。「元祖平戸島」とは異なって,今回は紐差教会までは行かない。そこに道の駅があり,第二エイドは道の駅の方に協力してもらっている。
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エイド食はコーヒー大福で,この道の駅の人がドリンクを注いで下さったりもするので,ほとんど有人エイドと言ってもよい。トイレも借りられる。そのわりにランナーは荷物を持ち運べないので,この道の駅で買い物をして売り上げに貢献することができない。その意味ではまことに申し訳ないのだけれど,申し訳ないなりに道の駅に入り,中を見る。野菜や魚など地元の産物が並んでいる。走る途中でなければ買い物をして帰るのだけれど。
キッコーマンならぬ「キッコータ」という醤油もある。平戸の醤油のブランドのようだ。
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礼を言って第二エイドを出る。少し行くとファミリーマートがあるので,場合によってはここでもトイレが借りられる。平戸にはコンビニがあまりないので,珍しい。何より,トイレがこのあと,しばらくないので,必要ならばいろんな用をすませるのがよい。

さて,ここからコースは北へ向かうことになる。道は広い整備された道路のわきを緩やかに上っていく。途中で,「ようこそ獅子町へ」というような大きな地図看板があり,獅子町の名所が描いてある。獅子町は「ししちょう」と読む。ここに平戸市民の海水浴場「根獅子の浜」(ねしこのはま)があるけれど,元祖平戸島のコースと違って,今回は根獅子の浜には出ず,やや山寄りの道を走っていく。
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途中,昨年の平戸島で見かけたことがあるような,ヤギが繋がれている。
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ヤギの目はまるで鍵穴みたいで,何を考えているのかよくわからない。
写真を取っていると,うしろから別の参加者の人が抜いてゆく。だけど順位は今回とくに競わないから,ぼくはのんびりと景色を眺めて一休みする。
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ずいぶんと登って来た。

平戸島は山がちの島だ。だから,平戸島を走るということは,アップダウンの繰り返しだ。坂道はつらいのだけれど,終わらない上りはない。いつかは下り坂に入り楽になる。でも下り坂もいつまでも続くわけじゃない。どこかでまた,上らないといけない。
まるで,人生みたいだと思って,そこでぼくは反省する。何でも人生に見立てて説教臭くなるのはおじさんの悪い癖だ。

しばらく進むと,遠くに水色をしたトラス式の「生月大橋」とそのむこうに,隠れキリシタンの島である生月島が見えた。
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さて,人家のまばらなワインディングロードを走ったり歩いたりしていると,後ろから車が走ってきた。
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あみりん氏の通称「駄マラカー」である。
駄マラニックはあみりん氏一人で運営しているので,ランナーがスタートするとすぐに荷物を積み込んでスタート地点を撤収し,先回りして無人エイドを設営したり,コースを見て回る。その途中,ランナーに声をかけたりする。こんなあみりん氏の気さくさがこの大会の味だ。
あみりん氏は「第三エイドはすぐそこですよ,頑張って!」と声をかけて去る。
近くには「牛に注意」という看板がある。平戸牛が散歩しているらしい。
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コース脇には寒椿が咲いている。
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ワインディングロードを心のギアをローからセコンド,またローと切り替えつつ走っていくと,第三エイドに着いた。
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ここのエイド食は,いなり寿司だった。駄マラニックのエイド食としてはおなじみの奴であり,甘辛いごはんといなり皮の適度な醤油の塩気や油っ気がなんともいえない。
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エイドを出るとまた,しばらくアップダウンの田舎道が続く。しかし,このあたりは「元祖平戸島」の逆コースだから見覚えがある。たしかに,例のバス停がある。
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さすがに疲れてくる。もうしばらくすると峠を越えて,下り道になるはずだと,それだけを心の支えにして道をのぼる。たしかにコースを知っている,というのは強い。未知のコースだと不安になるけれど,先が見えているというのはどれだけ心強いことか。これも人生とどこか似ている。
また人生と比較してしまった。

人生について考えながら走っているうちに,見覚えのある峠を過ぎて,下り坂になる。
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海を眺めて一息ついた。平戸島最高峰の「安満岳(やすまんだけ)」の南側を走り,西側を北上してきた。
このあとは安満岳の北側を通って,第四エイドのある中野まで戻っていくことになる。
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下ってきた道は,生月大橋から来た自動車道路と合流する。道路には,この大会の道案内のために「白線引き」で引いた矢印が描いてある。
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この自動車道路は,自動車のために作られていて,あまりランナーのために作られていない感じである。だから上り坂が結構続いたかと思うと,下り坂が結構続いたりして,なかなか大変だ。途中,トンネルを抜けたりしながら,遠くに,「くるりん橋」が見えてきた。
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あのくるりん橋を通って,道は島の中央部へと入っていくのである。

疲れてきたので,ぼくはポケットから秘密兵器を出す。今回の秘密兵器は,某所(コンビニ)で調達した,はちみつ味の種抜き梅である。これは塩味と酸味があり,なおかつ甘くもあり,のどのかわきを押さえつつ,塩分も補給できるという優れものだ。これをほおばりながら,ぼくはくるりん橋を上ってゆく。

空はやや雲が出てきた。

くるりん橋を過ぎてまだまだコースは上り。しばらく上り続けると,やがて下り坂になる。下り坂だが,疲れているのであまり走る気力が出ない。だらだらと車の行き交う道路わきを進んでいくと,枯れた田んぼから炎と煙があがっている。「すわ一大事!」と思ってみると,これは田のあぜ道を焼いている様子だった。
あぜ道を焼いて害虫を予防しているのだろう。

さて,第一エイドと同じ薬局の前の第四エイドに到着した。が,その前にぼくはエイドのお向かいのコンビニに入る。実は用足しのためである。それと同時に,微妙なところがヒリヒリするのだ。ぼくは微妙なところの皮膚が弱いので,汗ですぐかぶれる。股ズレ(書いちまった)を防止するためには,薬局で売っている「ワセリン」を塗っておくのがよい。資金に余裕がある人は「馬油(バーユ)」だともっと良いときく。
今回ぼくはその準備をしておくのを忘れてしまったのである。しばらく走るのをサボっていると,こんなところのカンや調子も狂うのだ。反省。
幸い,コンビニのトイレはヒリヒリする微妙なところに優しいウォシュレットであった。神の助けである。

第四エイドのエイド食はかっぱ巻き。通常,フル駄マラニックの第四エイドではプチトマトが出るのだけれど,今回はまだまだゴールまで遠いことを考えてのことだろう。
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第四エイドで休んだあと,ぼくはある決意をした。それはゴールまでしっかり走る,ということである。幸い,膝の駄マラ神は怒る様子がない。ぼくは,いつもフル駄マラニックでは,ゴールまではほとんど歩きになってしまう。しかし,「終わりよければすべて良し」と言うではないか。今回自分に対しての課題は「ゴールまでしっかり走る」ということにした。

このコースは,「元祖平戸島」の逆コースだからだいたい道はわかっている。そこで,心の中でギアをセコンドに入れて走り出した。なかなかトップギアにならないのは,ぼくが駄マラーだからである。でも,人間の足って,最高の乗り物だと思う。スピードを出さなくてもドライビングは楽しめる,というのはつい先日亡くなった「間違いだらけのクルマ選び」の徳大寺有恒氏の至言だけれど,これは足によるドライビングにもあてはまる(ような気がする)。

どれくらい走っただろうか。この間の「元祖平戸島」で見た「薄香別道」のバス停が見えてきた。もう平戸市街は近い。

また走っていくと,道の脇に無人販売で「ザボン」が売ってあった。あまりきれいではないが,1個100円と安いので,料金箱に100円玉を入れて比較的きれいな黄色い玉を一つ手に取り,ぼくは坂道を下っていく。
平戸城が見えてきた。
途中,怪訝な顔でこちらを見ている高校生ぐらいの私服の三人連れの横を過ぎて,石造りの橋を見ながら,城下町を走っていく。
しばらくすると,スタート&ゴールの平戸文化センターが見えてきた。
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ようやくのゴール。午後3時近くになっていたから,6時間ぐらいかけてノンビリと回ってきたことになる。
ゴール地点では,あみりん氏が写真を撮ってくれる。これを「完走状」として送ってくれるのだ。
せっかくだから,「ザボン」を頭に載せて写真を撮ってもらった。あいあいさんのお土産のミカンをつまみながら,ゴールでしばらくほかの参加者の人と話をした。

今,あみりん氏から早速送られてきた「完走状」を見ながらこれを書いている。見るからに鍛えていないかんじのおじさんがザボンを頭に載せてふざけている。なんだか大人気ない感じである。膝の駄マラ神のせいもあってサボり気味の肉体ながら,どうにかこうにかコースを一巡することができた。速くなったり遅くなったり,そんなことを繰り返しながら,これからも元気に年を重ねていこう。

次の駄マラニックは,2月8日の月イチ松浦フル駄マラニック。
新コースになってからぼくは松浦を走っていないため,初めての「新コース」だ。楽しみである。