2012年04月

2012年04月30日

こんばんは! ストーリー・テラーの哲舟です。

大型連休の真っ只中ですね。
どこかへ旅行や遊びになど行かれている方も多いでしょうから、
番組やブログを見てくれる人が減ってしまうだろうなぁ、と思いつつ、嘆きつつ・・・
連休中も休みなく、月~金は、番組・ブログとも継続してまいります!

さて、劉備は曹操から兵を預かり、袁術討伐のため徐州へ向かいます。
そこへ、曹操が派遣した張遼、許楮(きょちょ)が追いかけてきました。
曹操は劉備がこのまま戻らないのではないかと危惧し、追手を差し向けたのです。

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劉備はそれと知るや、臨戦態勢をしいて迎えます。
さすがの張遼たちとて、500の兵しか連れてきていない状況では、
5万の劉備軍を前に、何もできぬまま引き返すしかありませんでした。

劉備がここで言った、「将、外にありては君命も受けざるところあり」という言葉。
これは「孫子の兵法」の著者として知られる、春秋時代の名将「孫武」が言ったとされます。

古代中国では、君主から遠征軍を預かった将軍は、その全権を任されました。
全権を任せた以上、現場の状況を把握していない君主は口を出すべきではないし、
将軍も、たとえ君主の命令が来たとしても無視して良い、ということです。

うまく曹操の追手を追い返した劉備は、逃亡中の袁術軍を攻撃。
とうとう小さな砦の中へと、袁術を追い詰めました。
袁術軍との戦闘シーンは省略され、あっさりとした描写にとどまっています。

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袁術は、この期におよんでも玉璽(ぎょくじ)を手放さず、
「喉が渇いた。蜜の入った水が飲みたい」という迷言を吐きますが、
すでに飲み水さえありません。
かつて、華やかな反董卓軍の副将格だった男が、追い詰められています。

そこへ劉備の使者・趙雲が自決を勧める密書を持ってきました。
打つ手のなくなった袁術は、それを認めて自害し、見事な最期を遂げます。

最後は潔く、ためらいも見せずに逝ったところは立派といえましょう。
かくして袁紹と同族の名門、袁術は滅びました。時に西暦199年。

袁術が持っていた玉璽は、劉備が曹操へと送り返しました。
劉備の率いた軍には、お目付け役として曹操が同行させた朱霊と路昭という
2人の将軍がいましたが、彼らはまんまと劉備に出し抜かれ、
兵を奪われてやむなく帰還してきました。これには、さすがに曹操は大激怒し、2人を斬首。

さらに、劉備は狡猾さを発揮し、
徐州の守将・車冑(しゃちゅう)を奇襲し、たちまち徐州を自分のものにしてしまいました。
劉備を侮っていた曹操は、報告を聞いて昏倒してしまいます。
倒れた曹操の看病役として、息子の曹丕・曹植兄弟が早くも初登場です。

曹操の兵を借りたまま、徐州一帯を手に入れた劉備。
怒った曹操が近々攻めてくると読み、河北の袁紹へ使者(糜芳)を派遣します。
袁紹軍に曹操を攻めさせ、挟み撃ちにする作戦です。

袁紹にとっても、劉備との共同作戦は曹操を倒す絶好のチャンス。
しかし、袁紹陣営は一枚岩ではありません。

袁紹の参謀には、積極派の郭図と許攸、慎重派の田豊の3人がいます。
彼らは、ことあるごとに対立して反対のことを言い、
優柔不断な袁紹をますます混乱させます・・・。

許攸が、「敵を知り、己を知れば百戦してあやうからず」と励ましたことで、
いよいよ袁紹は30万を率いての出兵を決意。
袁紹は文才に優れる陳琳に檄文をかかせ、全軍の士気を高めます。
この報は許都の宮中にも届き、献帝を喜ばせました。

檄文の内容は、曹操の出自に対する皮肉に満ちたものでしたが、
それを読んだ曹操は怒るどころか、「名文だ」と感心したぐらいです。

いよいよ袁紹軍が動くと聞いて、曹操は重臣たちを集めて軍議を開きます。
孔融が「袁紹とは戦うべきではありません」と和睦を提言しますが・・・。

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それを制し、荀彧(じゅんいく)が「袁紹の十敗、主君の十勝」を主張し、
その根拠を分析したうえで、徹底抗戦を勧めました。(左にいるのが孔融)
曹操は荀彧の意見を採用し、袁紹を迎え撃つための準備を命じます。

実は、この「袁紹の十敗、主君の十勝」を分析したのは、
原作では郭嘉の役割なのですが、ここでは姿が見えず荀彧がその任を負っています。

さて、一方で董承が進めている曹操暗殺計画。
劉備はなかなか戻ってこないし、袁紹が攻めて来るのを待ち切れず・・・
曹操の侍医である、吉平(きっぺい)が董承と密談し、計画を練っていました。

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吉平は、曹操に処方する薬の中に毒を盛って暗殺しようとしますが、
さすがは用心深い曹操。董承の使用人の密告で事前に知っていたのでしょう。
曹操は薬を投げつけて吉平を捕らえ、計画は失敗に終わってしまいます・・・。


【このひとに注目!】
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◆陳琳(ちんりん) ?~217年
建安七子の1人で名文家として知られる。はじめは大将軍の何進に仕え、その死後は冀州に逃れて袁紹の参謀となった。「官渡の戦い」の前に、袁紹の命令で「曹操打倒」の檄文を書く。その内容は痛烈なもので、曹操の祖父や父たちをも辱め、「曹操は宦官の子」などと罵倒。
のちに曹操に捕らわれたとき、陳琳はその檄文を読まされ、なぜこれほどの内容の檄文を書いたのか問われると、「引き絞った矢は、放たぬわけにはいかない」と言い、その気骨と才を惜しんだ曹操に用いられることになる。


【今週の放送スケジュール】
2012年5月1日(火) 17時~ 第22話「三兄弟離散す」
2012年5月2日(水) 17時~ 第23話「関羽、三事を約す」
2012年5月3日(木) 17時~ 第24話「白馬の戦い」
2012年5月4日(金) 17時~ 第25話「単騎、千里を走る」
 



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第21話~第25話 

2012年04月27日

こんばんは! 哲舟です。
今週もいよいよラスト。ストーリーも、いよいよ盛り上がってきましたね。
今日は地味ながら、見どころがかなり多い回です。

さて、曹操の横暴に苦しむ献帝に招かれた劉備は、献帝の待つ宮殿へ向かいます。
そこを門番にとがめられますが、劉備は逆に睨みかえし、
「どけ・・・」と、静かに脅してまかり通ります。
さすが、かつては涿(たく)県を仕切ったヤクザ者。凄みがあります(笑)。

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宮殿では、まず奥さんの董貴妃(董承の娘)に拝謁。
献帝は、なんと厠(トイレ)に劉備を招き入れました。

宮殿内でも曹操の目が光っているためで、厠でしか本音を話せないのだとか。
さすがに皇帝のトイレ。マンションのワンルーム並の広さ。
献帝はそこで曹操の傀儡となっているわが身を嘆き、己を「金の籠の中の鳥だ」と形容。

「曹操は董卓より何倍も狡猾で厄介」といい、
先日の狩りのときの例をあげて曹操の横暴を訴え、劉備に助けを求めます。

劉備もまた、曹操の横暴に耐えかねていた一人。
涙を流して献帝の訴えを聞き、曹操を討って漢王室を復興すると誓いました。
慟哭する献帝・・・。俳優、羅晋さんの名演技が光ります。

献帝は、漢王室の復権という皇帝の立場というより、
「劉協」という一個人として悲痛な叫びを、劉備に訴えているのですね。
その苦しみが、憂国という思いとの挟間で揺れ動きます。
劉備は劉協の思いを胸に刻み、屋敷へと帰りました。

その後、献帝は自らの血で書いた「曹賊を除け」との詔勅を帯に入れ、
義父の董承に託しました。

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董承は、玉帯を曹操に見つかり、あやうく奪われそうなところを何とか切り抜けます。
「どうだ、わしのほうが似合うだろう」と曹操はいいますが、
あえて無理に奪わず、董承へ返してやりました。

一方、劉備は自邸に籠もり、野良仕事に精を出す日々を送っていました。
もちろん曹操に警戒されないようにです。
そこへ董承が訪ねてきて、劉備に献帝からの詔を託しました。
受け取った劉備は、必ず実行することを誓います。

その後、劉備は、曹操に呼び出されます。呼びに来たのは許褚(きょちょ)と張遼。
許褚はいつになく横柄で、無理やり劉備を連れていきます。

わざと顔に泥をぬり、畑仕事の途中であることをアピールして、
劉備は曹操のもとへと向かいます。

曹操は、劉備が献帝に何事かを頼まれたことに感づいているようで、
話をしながらも、しきりに劉備の様子を観察。
一方の劉備、何事もなく畑仕事をしているように芝居を打ちます。
まさに腹の探り合い。

原作などを読んで「劉備は無能だ」とか言う人がいますが、
これらのピンチを、ことごとく切り抜けているだけでも、
相当に頭が良かったと思います。天性の「勘」を持った人といえましょう。

梅林の中を歩きながら、曹操は「梅酸、渇を断ず」の逸話を劉備に聞かせます。
行軍中、水がなくなって渇きを訴える兵に「この先に梅の林がある」といって、
それを想像した兵たちの口に唾が湧かせ、渇きを和らげたという話です。
自慢話であることは言うまでもないです(笑)。

卓を囲み、酒を酌み交わす2人。
2人は話し込みますが、両者の価値観は真逆で、
話せば話すほど溝が深まっていくような印象を受けます。

そして名場面がやってきます。
有名な青梅を肴に「酒を煮て英雄を論ず」の場面。

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「真の英雄と呼べるものは誰だ?」という曹操の問いに、
劉備は袁術、袁紹、孫策などの名前を挙げますが、曹操はどれもこれも否定。
「天下の英雄は、劉備と曹操だけだ」の名台詞を吐きます。

謙遜する劉備に、曹操は流暢に畳み掛け、
「そなたにとって仁義とは、人を殺す武器だ」と、核心をつきます。
不意に雷がなり、劉備は持っていた箸を取り落としました。

痛いところを突かれ、本当にびびったのか、計算で箸を落としたのか・・・?
それまで、モグモグとなにやら食べていた劉備が可愛らしく見えますが、
すべて打算でやっているとすれば・・・。
とりあえずは、うまく取り繕って、その場を切り抜けることに成功しました。

そこへ、荀彧が入ってきて、公孫瓚(さん)が袁紹に敗死したとの情報をもたらします。
また、袁術が部下の反乱にあって袁紹のもとへ逃れている途中であるとも。

袁紹、袁術を組ませては厄介なことになる、と悟った曹操と劉備。
劉備は、朝議で袁術討伐へ向かうことを献帝に訴えて許可され、
兵を率い、許都を離れて徐州へと舞い戻るのでした。
劉備は、曹操のもとから体よく脱出することに成功しましたが・・・。


【このひとに注目!】
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◆董承(とうしょう) ?~200年
曹操排除を計画し、劉備へ依頼する人。娘を献帝の側室(董貴人)として嫁がせたことで「国舅」(こくきゅう・皇帝の舅という意味)と呼ばれる。
史料による記述を中心に紹介すると、もとは董卓の娘婿である牛輔という武将に仕えていた。李傕・郭汜・張済とは同僚にあたるが、献帝を守るため対立する。長安が李傕、郭汜ら旧董卓配下の将軍に乗っ取られ、献帝を連れて洛陽へと舟で逃れた。そのとき、逃げる舟に官人たちがすがり付いてきたが、董承は矛で彼らを撃ち払って逃げた。文官というより、武将であったことを伺わせる人物である。

みなさん、今週もありがとうございました。
コメントもありがたく拝見しています。また来週お会いしましょう!

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第16話~第20話 

2012年04月26日

みなさん、こんばんは! ストーリー・テラーの哲舟です。

さ、今日からいよいよ第2部「中原逐鹿」(ちゅうげん・ちくろく)のはじまりです。
第1部「群雄割拠」は、昨年の再放送という形でしたからね。
今日から始まった第19話以降は、BS初放映となります!

・・・呂布との戦いを制し、ついに徐州城を手に入れた曹操。
一方、美女貂蝉は亡き夫・呂布を想って悲しみにくれていました。

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貂蝉は曹操に、夫の遺体を引き取りたいと願い出て、その体を川辺で洗い清めます。
背景には美しい滝が流れていて、印象的な場面。中国へ行きたくなりますね(笑)。

その夜、曹操軍は、さっそく祝勝会を開きました。
猛将の許褚(きょちょ)が、喜色満面で兵に酒をふるまっています。

彼が呂布と戦うシーンが描かれなかったのは、ちょっと残念。
たとえば「横山光輝・三国志」では、許褚と典韋の2人を
呂布が軽くあしらい、底知れぬ強さを発揮するシーンが見事に描かれています。

それはさておき、荀彧(じゅんいく)が浮かない顔をしているので、
問いただすと、曹操の身の上を案じているとか。
そう。曹操は、未亡人となった貂蝉のもとへ行っていたのです。

荀彧は、曹操が人妻好きであることを指摘したうえで、
張繍の叔母(雛氏・すうし)の一件を例にあげます。

曹操はこの前年(197年)、雛氏に夢中になり、
情事の最中に張繍に奇襲され、危うく助かったという事件がありました。
しかし、そのために典韋という豪傑と、息子の曹昂が戦死し、
さすがの曹操もいたく悲しみました。
(本作ではこのシーンはカットされ、典韋も登場しません)

荀彧は、その二の舞にならないよう、許褚に貂蝉殺害を依頼します。
許褚はためらうことなく、曹操と貂蝉のいる白門楼へ向かい、
貂蝉を斬り殺そうとしますが、それよりも早く貂蝉は七星剣で自害して果てました。

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どのみち、貂蝉が死ぬつもりだったことを曹操も悟っていたようですが、
天下の美女を手に入れられなかった悔しさが、少し顔に滲んでいた気がします。

さて、一難去った曹操ですが、悩みのタネはつきません。
強大な勢力を誇る袁紹、公孫瓉(さん)が健在なことに加え、
一時的に曹操のもとに身を寄せている劉備の処遇に迷うのです。

劉備は徐州の民に非常に懐かれており、
ここに残していけば徐州は彼のものになってしまう・・・。

ということで、曹操は許都へ引き揚げるにあたり、
劉備に「献帝に会わせる」ことを口実に同行させることに決めたのです。

劉備は、許都で献帝と対面。劉備はいつになく神妙な様子。
献帝は、劉備が中山靖王の末裔であり、自分の親戚であると知り、
大いに親しみを覚えます。劉備は左将軍に昇進し、
宜城亭侯(ぎじょうていこう)に封じられます。

この優遇ぶり、曹操は面白いはずがありません。
「ケッ」と、不快心をあらわにし、劉備に対してますます警戒心を強めていくのでした。

曹操は、かねてから帝位簒奪の野望を抱いていますが、実行しません。
漢の皇帝の位を露骨に簒奪し、皇帝を名乗ってしまえば、
多くの人から反発を買うことは必至。袁術がいい例です。

自分の部下の中からも反発する者が出てくることを曹操は恐れているのですが、
それが誰なのか、この時点では曹操は分かっていません。

そこで、参謀の程昱(ていいく)の勧めにより、
曹操は公の場でそれを見極めるべく、許田にて献帝立会いの巻狩りを催します。

その狩りの場で、曹操は献帝の弓を公然と取り上げ、
鹿を射抜く
という大胆な行動をとりました。

ほとんどの者が曹操の腕前を称えるなか、
はたして、無礼な行いに怒りをあらわにする者たちも見受けられます。

劉備はかろうじて、顔色を変えることはしませんでしたが、
関羽や、漢の忠臣・董承などは露骨に不快感を示しました。
そして、曹操の参謀・荀彧(じゅんいく)も曹操の行動を喜びません。

公衆の前で恥をかかされた献帝も、泣き寝入りするしかありませんでしたが・・・
エスカレートする曹操のふるまいに憤り、傀儡の悲哀を抱える献帝は
この状況を打破するため、劉備を呼びにやらせます。


【このひとに注目!】
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◆程昱(ていいく) 141~220年
第17話から登場した、曹操の参謀の一人。以後、荀彧とともに曹操の覇業を陰で支える知恵者として活躍する。本作では曹操に早々と帝位につくよう進言するなど、どちらかといえば悪役のポジションにいる。
『正史』における程昱は、性格が強情で他人と衝突することが多く、「謀反をたくらんでいる」と讒言されることもあったが、実力主義の曹操は程昱を高く評価し厚遇しつづけた。身長は八尺三寸(約191cm)、見事な髭を蓄えていた。曹操と没年が同じだが享年は80歳。三国志の登場人物の中ではかなりの長命である。



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第16話~第20話 

2012年04月25日

みなさん、こんばんは! 哲舟です。

さあ、いよいよ序盤・第1部「群雄割拠編」のラストがやってきました。
タイトルからも分かるとおり、今回の呂布の死をもって第1部が終わるわけです。
では、いつものように、ストーリー紹介をしてまいりましょう。

西暦198年。下邳(かひ)の戦い。
曹操の攻撃を受けて城を包囲され、追い詰められた呂布は、
曹操の求めで堀を挟んで向かい合い、会談に応じます。

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「俺には5万の兵と100日分の兵糧がある!」と豪語する呂布。
城の守りも堅く、容易には落ちそうにありません。
曹操もそれを分かっています。まともに攻めては多くの兵と日数を
費やすことになるため、呂布を降伏させて無血開城させようとの狙いです。

昔話を始める2人。直接会ったのは、董卓の屋敷でのことだといいます。
以前、呂布が話したところでは、その後、滎陽(けいよう)で曹操を討ち取る寸前まで
追い詰め、言葉を交わしたそうですが、あれは「会った」うちに入らないのでしょう。

「人中に呂布あり、馬中に赤兎あり」などと、
曹操は呂布をおだてあげ、いい気分にさせておいて、
さらに、「降伏すれば、わしの全軍の指揮を任せる」と誘惑し、降らせようとします。

単純な呂布。その話に、まんざらでもない様子でしたが・・・
陳宮が曹操の足元に矢を射て、会見を打ち切らせてしまいます。

矢が曹操の頭に刺さったらどうなっていたの・・・
と考える前に、この時点で呂布が曹操にあっさり降っていたら、
どうなっていたんでしょうか。

その後、曹操配下として縦横無尽に兵を操る姿が見られたのかも?
やはり英雄並び立たずで、再び争うことになったのかもしれません。

少しだけ肝を冷やしたか、曹操は陣営に戻って小用をします。
このシーン、第2話で陳宮と連れ小便をやったときのことを、
視聴者に思い出させるためでしょうか。手の込んだ演出ですね。
ガオ監督に、ちょっと聞いてみたい気もします。

交渉が不調に終わったことで、郭嘉の立案によって
曹操は、下邳城に水攻めを仕掛けることを決めます。

一方の呂布は、陳宮の提案を受け入れ、城内と城外から、
曹操軍を挟み撃ちしようと出陣の準備にかかろうとしますが、
ところがその矢先、貂蝉が病気で倒れてしまいます。

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貂蝉を心配するあまり、城外へ出られない呂布。
よりそっているうちに、とうとう戦機を逸してしまいました。

「貂蝉を看病したいから出陣できねえ」
・・・なんとも愚かな大将。これでは将兵はついてきませんよね。

結局、呂布は貂蝉さえそばにいてくれれば、他のことはどうでも良いのでしょう。
無双の豪傑・呂布は貂蝉を手に入れてから、
完全に「腑抜け」になってしまったようです。

そうこうするうち、曹操軍の水攻めが本格化し、
城内には水が入ってきてしまいました。
ここにいたり、軍師の陳宮もいよいよ打つ手がなくなります。
降伏するか、水中の魚となるか。もう、どうにもならない絶望感。

その折、曹操軍から矢文が撃ち込まれ、「呂布の首をとった者には・・・」と書いてあり、
それを読んだだけの将軍たちに、呂布は棒打ち50回の罰を与えてしまいます。
もはや疑心暗鬼で、正常な思考もできなくなっていたようですね。

罰を受けた3人の将軍は、本作では名前が出てきませんが、
侯成・魏続・宋憲という武将たち。史実では、呂布ではなく、
陳宮と高順を捕縛して曹操に投降、呂布はその後に自ら降伏するという流れでした。

そして、寝込みを襲われ、捕縛されてしまった呂布。
一度はその怪力で縄を引きちぎりますが、大勢に押さえ込まれて万事休す。
いくら強くても、しょせんは一人の力。数の前では無力なものです・・・。

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とうとう、呂布が刑場に連行されて行きます。
原作および、正史では絞首(縛り首)される呂布ですが、本作では一味違い、
磔にされ、弓矢で射られるという劇的な最期を遂げます。
愛妻の貂蝉は、呂布とともに死のうとしますが、引き離されてしまいました。

呂布が死んだ後は、陳宮の番です。
曹操は、なんとかして陳宮を助けたいと説得を繰り返しますが、
曹操を嫌いぬいている陳宮は、曹操を罵ったり、「早く殺せ」というばかり。

並んで歩く2人は、まるで旧知の友のようにも見えますが、
これはもう完全なる曹操の片思い。陳宮が応えることはありませんでした。
自然の風景が美しい高台で刃が一閃し、ついに陳宮も首を打たれました。
涙を流す曹操。

後漢最強の猛将と、類希なる才知を持った軍師の死。
ここに、ひとつの時代が終わったような気がします。


【このひとに注目!】
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◆張遼(ちょうりょう)
これまでにも、何度か姿だけは見せていたが、この回で初めてクローズアップされた武将。セリフも今回初めて与えられた。丁原、董卓、呂布という順番で仕え、ずっと呂布と同じ道を歩んできた。
呂布に忠誠を誓っていたため、当初は潔く斬られようとしたが、曹操が自ら縄をといて逃げるように促したため、それに感じ入って仕官することを決める。あっさりと曹操に降ってしまわずに、もう少し頑固なところを見せてほしい気もしたが。これ以後、曹操軍を代表する勇将として活躍する。


明日からは、BSフジ初放送となる第19話以降が始まります。
さて、死ねずに生かされてしまった貂蝉の運命やいかに・・・?
ご期待ください!
 

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第16話~第20話 

2012年04月24日

こんばんは! 哲舟です。
今夜は、ちょっと急なお知らせがありまして、緊急更新です。

4月21日に行われた、「第45回ヒューストン国際映画祭」のアワード受賞式で
本作・「テレビドラマ 三国志」が、同映画祭の最高賞である
「レミアワードグランプリ」を獲得したそうです!

サンフランシスコ映画祭、ニューヨーク映画祭とともに、
「北米三大映画祭」に数えられる同映画祭には、
今回、計10部門に約4千作品がエントリーされました。

中国の映画とテレビドラマの活躍が目立ったそうですが、
その中でも「三国志」がグランプリを獲得したことは素晴らしいですね。

時代を超え、国境を超えて愛される三国志ですが、
これをきっかけに、さらにファンが増えてくれることを願ってやみません。

※参考記事
TVドラマ「三国志」、国際映画祭でグランプリ受賞(朝日新聞デジタル)



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お知らせ・その他 

みなさん、こんばんは! 哲舟です。

今回は、徐州のあるじ、呂布に対して賛辞ばかりを投げかけ、
取り入ろうとする陳珪・陳登親子が登場しましたね。

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この2人は、曹操の軍師・郭嘉が送り込んだ者たちですが、
そうとは知らぬ呂布、疑いもせずに上機嫌で杯を重ねています。
のんきな呂布。刻一刻と、曹操の魔の手が伸びてきていることにも気付きません。

そこへ、軍師・陳宮がきて、「あの親子は口八丁の詐欺師」といい、
重用しないように助言しますが、呂布は聞き入れません。
それどころか、陳宮が陳親子に嫉妬しているのだと思う始末です。
陳さんがいっぱい出てきて、書いているほうも混乱してきます(笑)。

陳宮は、愚かな主君・呂布に見切りをつけ決別しようとまで考えます。
呂布を補佐するという、自分の選択した道は正しかったのか、
ほかにふさわしい主がいるのではないか。
しかし、呂布は自分を立ててくれるし、
曹操と違ってなにより素直だ・・・と結局、思い直します。

おそらく史実の陳宮も、こういう葛藤に悩んだと思うんです。
もし、陳宮が劉備あるいは劉表あたりに仕えていたら歴史はどうなっていたか・・・
とか、色々と考えてみると面白いですね。

狩りに出た陳宮は、曹操の密偵をとらえ、曹操の密書を入手。
その内容は、劉備が曹操に内通していることを意味するものだったため、
呂布は激怒し、劉備のいる小沛へ攻め込みます。

実はこれ、劉備と呂布の仲を裂くため、
曹操と郭嘉が仕組んだ計略でしたが、さすがの陳宮も見抜けなかったようです。

出陣にあたり、呂布は陳珪と陳登親子を徐州に残していこうとしますが、
陳宮は自分か、信頼のおける張遼、高順のいずれかに留守を任せるべきといいます。

呂布は、陳宮、張遼、高順のいずれも戦場で必要な人材だといい、
折衷案として、陳珪のみを城に残すことにしました。
それでも不安の色を隠せない陳宮・・・。
案の定、それが災いして陳親子は内外で裏切りの工作に動き、
徐州は曹操の手に落ちることになってしまうのですが・・・。

それを知る由もない呂布は、「大耳の賊め!」と叫んで、小沛に攻め寄せます。
(大耳とは、耳が大きかった劉備のことをいいます。ドラマではそれほど大きくありません)
面食らった劉備は曹操に援軍を求めたうえで籠城しますが、
「曹操の援軍が来る」という陳宮が書いた密書にだまされ、城を出てしまいました。

そこに精強な呂布軍が攻撃してきたから、たまりません。
たちまち乱戦になり、呂布と張飛が、久しぶりに戦場で刃を交えます。
しかし、やはり呂布のほうが強く、張飛は傷を負って落馬。

今回は、落馬する場面は直接描かれていませんが、
原作もそうなのですが、張飛って、前半は失敗ばかりで、
あまり活躍する場面がないので可哀想ですね(笑)。

乱戦の中、劉備はわずかな兵とともに戦場から逃れました。

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そこへ、曹操軍が到着。
到着が早すぎる曹操に、劉備はいぶかしげな目を向け、
すべては曹操が徐州を得るために仕掛けた計略であったことを知ります。

曹操は最初からこうなることを見越して出陣していました。
そのために自軍が利用され、関羽・張飛とはぐれてしまったことに対し、
劉備は、珍しく怒りをあらわにしました。いわゆる、マジ切れというやつです。

しかし、無事に関羽と張飛が帰ってきて一安心。
3人とも、このうえない笑顔で再会を喜び合います。
そういえば趙雲もどこかへ行ってしまいましたが、もう少し心配しても良さそうな。
原作では、まだ公孫讃(こうそんさん)のところにいる頃ですが。

曹操が予想より2日も早く到着したことに焦る呂布は、
徐州城へ戻りますが、すでに陳珪が防備を固め、城門を閉ざしています。
城へ入れず、怒る呂布。すべては後の祭り。
陳珪の小憎たらしい顔、名演といえましょう。
呂布は曹操に背後から攻撃されることを恐れ、下邳(かひ)へと撤退していきました。

こうして、徐州城は曹操の手に落ちました。
曹操は兵に1日だけの休息を与え、すぐさま下邳へと攻め込みます。

城内で、のんびり過ごしていた呂布はそれを知って防戦にあたろうとしますが、
意外にも曹操はすぐに攻撃せず、呂布に面会を求めてきたのでした。
さあ、2人はどんな会話を交わすのでしょうか?


【このひとに注目!】
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◆陳登(ちんとう)
父の陳珪(左)とともに呂布をだまし、徐州城を曹操に献上する役割を担う。もともとは陶謙の部下で、劉備が徐州へやってきたとき、徐州の主となることを積極的に勧めた。
呂布の死後は曹操に仕えて徐州などを治めた。軍事的な才覚もあったようで、南から孫策や孫権が攻めてきたときは徹底抗戦し、いずれも撃退して城を守り抜いている。優秀な政治家で、民からの人気も非常に高かったが、39歳の若さで病死。生の魚(刺身?)を食べたことにより、腹に寄生虫が宿ったという珍しい死因で、一度は華佗に治してもらったが、3年後に再発してしまったという。


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◆高順(こうじゅん)
張遼(中央)の左隣にいる人物が高順。この第17話でようやく呂布に名前を呼ばれ、出番が訪れるが、チラッと映るだけで残念ながら活躍する場面はない。
『正史』の記録によれば張遼よりも格上の武将で、呂布一番の部下のように扱われている。敵の陣営を必ず攻め落とすことから、「陥陣営」(かんじんえい)の異名をとったほどの戦上手。198年に劉備の居城(沛城)を攻め落し、さらにその援軍に駆けつけた夏侯惇をも撃ち破った。呂布が曹操に敗れると、呂布や陳宮とともに処刑されてしまった。張遼が助命されたのとは対照的だが、曹操は高順を欲しくなかったのだろうか。曹操とどんなやりとりをして処刑されたのか、残念ながら伝わっていない。



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第16話~第20話 

2012年04月23日

皆さん、こんばんは。三国志TK、ストーリー・テラーの哲舟です!
週末は元気でお過ごしだったでしょうか?

さて、先週までは、孫策に玉璽をもらった袁術が
「皇帝」を名乗ったところまで進んだと思います。

その報告を聞いた曹操は、袁術の愚かさを笑います。

漢の皇帝は曹操の手のうちにありますから、大義はこちらにあるとして、
皇帝を後ろ盾とし、曹操は袁術討伐の兵を起こそうとします。

曹操は曹洪、許褚(きょちょ)を先鋒に、18万の討伐軍を派遣。
曹操もすごい兵力ですが、袁術軍は40万。その倍以上の大軍を擁しているとか。
そこで曹操は、独力ではなく、袁紹や公孫瓚(こうそんさん)、呂布などにも、
皇帝の名を使って出兵を促しました。

進軍中、曹操の馬車が暴走し、麦畑のなかに突っ込んでしまいます。

「収穫期の畑を荒らしてはならない」と、出陣前に自ら命じた曹操は、
軍法に照らして自分を斬らせようとしますが、家臣たちは
「法は尊きに加えず」という故事を持ち出して、それをいさめます。

曹操は、そこで髻(もとどり・束ねた髪)を切ってみせることで軍を引き締めることに成功。
これ、すべて曹操の計算のうちであることが表情からも見てとれますが、
もちろん、従軍する荀彧(じゅんいく)も、それを察しています。

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さて、ここで呂布のいる徐州に場面が切り替わります。
今回から、呂布はヒゲを生やし始めました
ちょっと貫禄がつきましたが、あまり似合わないような気も。

それにしても、このとき呂布は一体、何歳ぐらいだったのでしょう。
史実においても、呂布の生年は不明なので、わかりません。
おそらく曹操と同じぐらいだと思われますが、このドラマでは、かなり若く見えます。

そこへ、袁術の使者がやってきました。
用件は婚姻の申し入れ。呂布の娘を、袁術が妃にしたいという政略結婚の誘いです。

呂布はうまい話だと、ただちにそれを受け入れますが、
すぐに陳宮が反対し、使者を追い返しました。
最初から陳宮に相談すればいいんですよね。

呂布に娘がいるという設定は原作どおり。
このドラマでは、呂布の妻は貂蝉以外は登場しませんが、
その貂蝉との間にできた娘とすると、まだ3~4歳ぐらいでしょうから
袁術の妃にするには若すぎます。

登場こそしませんが、実際には原作(演義)のように正室(厳氏)がいて、
その間に生まれた娘という設定なのでしょう。

さて、呂布を徐州牧にまで任じ、諸侯に出陣を促す詔を送った
曹操でしたが、来たのは結局、劉備だけでした。
みな、どうせ曹操が出した詔であることを見抜き、加勢しなかったのです。

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劉備は義に応え、数千の兵だけで曹操の呼びかけに応じたわけです。
軍師たちとの協議の結果、喜んで劉備を迎える曹操。
後ろにいる曹仁が、頼もしげに見守っている様子が、良い感じです。

120416 (3)
ちなみに、ここで曹操の軍師3人が勢ぞろい。
左から、郭嘉・程昱(ていいく)・荀彧(じゅんいく)が並んだ貴重なワンカット。
荀彧は劉備を殺せといい、郭嘉は劉備は殺さず用いるべきといい、
程昱は、今は活かしておいて後で殺せと曹操に進言します。
本作では、賈詡(かく)が登場しないのが残念ですね。

さて、出陣にあたっては劉備が先鋒となり、袁術の拠点、寿春を包囲しました。
紀霊が張飛に斬られたとの報告が入りますが、
残念ながら、実際の戦闘シーンはカット。
あの紀霊が戦うシーン、見てみたかった!

しかし、戦闘は長引き、曹操の陣営は兵糧が不足してきます。
曹操は兵糧官に、「兵に与える食料の升を小さくしろ」と命じますが、
はたして、分け前を減らされた兵士たちの間には不満が噴出。

報告に来た兵糧官に横領の罪をかぶせ、曹操は兵たちの前で彼を斬らせました。
曹操の冷酷なる仕打ち。しかし、呂伯奢を殺したことに比べれば
大したことなさそう
に見えてしまうのが、曹操のすごいところ(笑)。

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曹操は、ありったけの食料と酒をふるまって兵の士気を高めることに成功します。
鶏肉の塊と、魚のようなものが見えます。

映っている分だけ見ると、兵の数に比べて足りないように見えますが、
あんまり気にしてはいけませんね(笑)。

腹を満たし、本格的な寿春城攻めを開始する曹操軍。
あらゆる攻城兵器を使った城攻めのシーンは、見ものでしたね。
袁術は一敗地にまみれ、城を捨てて淮南へと敗走していきます。

寿春へ入った曹操は、ともに戦った劉備を自分の手元にとどめようとしますが、
劉備は、「呂布が狼なら、曹操殿は虎。私は虎より狼のもとにいたほうが安心です」
ズバズバ言い放って、そのまま小沛へ帰っていきました。
曹操も、戦いで失った2万の兵馬を補充するため、一旦許へと引き上げます・・・。


【このひとに注目!】
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◆郭嘉(かくか)/王今心
今回から曹操の参謀、郭嘉が初登場。荀彧よりも幾分若く、なかなかのイケメン軍師といったところ。本作では、主に対呂布戦で活躍し、陳登を内応させたり、水攻めなどの策を曹操に授ける。

史実における郭嘉は、曹操から「郭嘉だけが、わしの真意を理解している」と絶大な信頼を寄せられていた人物。物事に深く通じ、的確な見通しを持っていたという。しかし、素行が悪く、模範的な行動に欠けていたので、弾劾されることもあった。しかし本人は意に介さず、曹操もその才能を愛して重用し続けたが、郭嘉は38歳の若さで病死する。素行が悪いことでは曹操も同じなので、ウマがあったのではないだろうか。



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第16話~第20話 

2012年04月20日

こんばんは! 三国志TKストーリー・テラーの哲舟です。
今日は「花金」ですね。遊びに行かれた方も、
あとで録画を観てくださることを、切に願うばかりです(笑)。

さて、紀霊率いる袁術軍5万が、劉備の拠点・小沛めがけて絶賛進軍中。
小沛が落ちれば徐州も危うくなるというのに、
呂布は貂蝉に歌をうたわせ、悠々と酒を飲んでいました。

陳宮に呆れられつつ、なお余裕をみせたところで、
呂布は、劉備を小沛の近くの五里坡に設けた宴席へ招きます。

劉備は疑念を持ちながらも、自分を殺すことはあるまいと、
張飛を護衛につけ、呂布の待つ宴席へ赴きました。
張飛、残していくとロクなことがありませんからね(笑)。

劉備を出迎えた呂布の配下は、
董卓が健在のころから出ていますが、名前が出てきません。

「陥陣営」
の異名をもつ、高順かな?とも思うのですが、違う気もします。
ここはいっそ、張遼に出番をあげて欲しかったですね。

宴席には、袁術軍の将・紀霊も招かれており、鉢合わせになった
張飛と紀霊は剣に手をかけ、一触即発の状態になりますが、
呂布はそれを止めて「いっしょに酒を飲もう」といいます。

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張飛も席を与えられ、ちゃっかり酒を飲んでます。
酒で失敗したばかりなのに、全然懲りていない様子(笑)。さすが。

呂布は、劉備と紀霊に「講和せよ」といいますが、
当然、戦うつもりで出陣してきた両者は納得しません。

そこで、呂布が弓の腕前を、紀霊と張飛に問います。
紀霊が、500斤の弓を引き、50歩離れた劉備を射てみせるといえば、
張飛は、800斤の弓を引き、80歩離れた紀霊を鎧ごと射抜けると豪語。

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呂布は提案します。120歩離れた門の前に、己の方天画戟を突き立てさせておいて、
自分が戟の先にある房を射抜いたら、それは天意である。
「矢が命中したら、天意に従って和睦するのだ」と2人に約束を迫ったのです。

紀霊は、「いくら呂布でもそんな芸当は無理だ」と思って承知し、
劉備も、もはや天意に任せるしかないと腹をくくります。

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呂布は杯の酒をグイッと飲み干してから、弓を手に取り、狙いを定めて矢を放ちます。

緊張の間。
びゅん、と飛んだ矢はみごと、方天画戟の先に付いた房を射落としました!

呂布、最大の見せ場といって良いでしょう。
どよめく兵の歓声。さすがに張飛も、呂布の神業の前に驚きの声をあげました。
紀霊は約束してしまった手前、兵を退かざるをえません。

ここは正史にも同じ場面が記され、諸将は
「将軍は天の威光を備えておいでです」と感心した記録がある正真正銘のエピソード。

呂布は戦いを回避させることで、袁術から贈られた兵糧を返すことなく、
小沛を無事に守り通すことに成功しました。

しかし、一方の袁術は呂布に出し抜かれて怒り心頭。
どうしたものか悩んでいるところへ、孫策がやってきます。

父の死後、袁術を頼って南陽に身を寄せていた孫策。
第7話以来の登場、ヒゲを生やして立派になっています。
急にヒゲを生やされると、他の人と見分けがつかなくなって困るのですが・・・(笑)。

袁術に攻略を命じられた盧江を、馬400頭の犠牲だけで
3日で陥落させたことを報告に来たのでした。

孫策は、父・孫堅の墓参りを済ませると、一大決心をして再び袁術のもとへ。
曲阿にいる家族の面倒を見に行きたいと申し出ます。
これは口実で、孫策は、袁術のもとを離れて独立を計画しようとするのです。

袁術は孫策に去られてしまうのではないかと危惧し、許しません。
そこで、孫策は密かに持っていた父の形見「伝国の玉璽」を差し出します。
出ました! ここで呪いのアイテム再び・・・。

それを見た袁術は、ただちに目を輝かせます。
孫策は玉璽を袁術に贈るかわりに、4人の武将を望みました。

父の旧臣、黄蓋・程普・韓当・祖茂を配下にと願い出たのです。
玉璽を手に入れたことで舞い上がっている袁術は、
あっさりとこれを了承。優れた4人の武将を手放してしまいました。

4将も、もとより孫策に仕えることを望んでおり、喜んで袁術のもとを辞します。
孫策は袁術の気が変わらぬうちに、急いで出発の準備を進め江東をめざすのでした。


【このシーンに注目!】
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孫策が父の墓参りをしているさなか、突然現れたイケメン。美周郎・周瑜の登場である。久々に再会を果たした義兄弟同士の2人は、ともに大業をなそうと誓い、まずは袁術からの独立をはたすことになる。192年の孫堅の死から、かなり時間がたっているようにも感じられるが、まだ2年しか経過していない。孫策と周瑜は同い年で、ともにこのとき20歳。江東での快進撃がここから始まる。

【このひとに注目!】
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◆祖茂(そぼう・そも)
左が祖茂で、右にいるのは韓当。この人が、このタイミングで登場したことに、驚いた人も多いのではなかろうか? 黄蓋・程普・韓当と並び、孫堅の四天王と呼ばれた人物だが、原作『演義』では董卓討伐戦のさい、華雄軍と戦って敗れた孫堅を逃がすために身代わりとなり、華雄に斬られているからだ。が、『正史』によれば敗走のとき孫堅の赤い頭巾をかぶり、自分が囮となって主君の命を救うことに成功。そのまま逃げ延びたのか、死んだという描写はない。

このドラマでは正史と同様、まだ生きている設定らしい。登場させるなら、同じく孫堅の代から仕えていた朱治にしても良かったように思うが、ここは祖茂が生きていたことを素直に喜びたい。

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第11話~第15話 

2012年04月19日

こんばんは! ストーリー・テラーの哲舟です。

曹操の意を含んだ皇帝からの密書が、徐州の劉備のもとへ届き、
「皇帝の地位を狙う袁術を討伐せよ」と書かれていました。

その裏に、曹操の意図があるのを知りつつ、
劉備は「勅命だから」と、袁術征伐の準備を始めます。

出兵の間、徐州の守備に張飛を残すことになり、
劉備は3つの「決めごと」を出して出発します。

その3つの約束とは・・・
酒を飲まぬこと、腹を立てぬこと、兵士に乱暴せぬこと。

・・・結果を知っている人から見れば、
「絶対無理やろ。なんで張飛を残していく!!」
全力で突っ込みたくなりますが、
この頃の劉備陣営には人材が乏しいですからね。

劉備には、相談役として関羽を、
先鋒として趙雲を連れて行きたかった以外に、
張飛に大将としての経験を積ませたいとの意図があったようです。

しかし、このときの劉備配下には簡雍、陳登、麋芳なども
いるはずなんですが、まだ出番は先。

ドラマには登場しませんが、麋竺もいるはずです。
彼らに任せたほうが良さそうですが・・・無理なのかなぁ(笑)?

さて、劉備が攻めてくると知った南陽の袁術。うろたえますが、
参謀の老臣(原作の楊弘・楊大将らしき人、ドラマでは名前が出てきません)が
一計を案じ、劉備が留守となった徐州を、呂布に襲わせるよう画策。
袁術が実行に移したのは言うまでもありません。

さて、場面は変わって徐州の留守を預かる張飛。
劉備からの3つの言いつけを掛け軸に書いて、張り切っています。

しかし、なぜか50瓶の酒も用意させ、部下に振舞って、
早くも、危ない匂いがプンプン漂ってきましたよ。

3040
張飛は次々と兵士たちに酒を勧めています。

・・・で、なぜかもちろん自分も飲んでいて、
いつの間にやら完全に出来上がっています。

10秒で「決めごと」を破った張飛、もうノリノリ。

順番に酒を注いでいく張飛。
・・・と、ひとりの部下が「下戸です」といって飲むのを断りました。

彼は曹豹という元・陶謙の配下。呂布の従兄弟にあたるとか。
「私の従兄(呂布)に免じてお許しを!」と言ってしまったから、たまりません。

呂布が大っきらいな張飛、「お前は呂布の代わりだ!」と無茶をいい、
曹豹の首根っこをつかんで引きずり倒し、棒で何度もぶったたきます。

あまりの酷さに、兵たちもドン引き。なんというアルハラ、パワハラ上司でしょう(笑)。

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曹豹は呂布のもとへ泣きつき、激怒した呂布は、
張飛の侮辱に怒りをあらわにし、出陣しようとします。

さらに、曹豹の情報で、徐州には張飛1人しか残っていないことを
知った呂布は、陳宮の勧めを受け入れ、その徐州へ夜襲をかけます。

呂布の攻撃で、徐州城はたちまち危機に陥り、
眠っていた張飛は目覚めますが、まだ酒に酔っていて足がおぼつきません。

昼間の恨みを晴らそうと突きかかってきた曹豹を討ちとりますが、
すでに城内のほとんどが制圧され、部下とともに脱出するしかありませんでした。

敗れた張飛は、恥をしのんで劉備のもとへ。
徐州城を失ったこと、劉備の夫人たちを城内に残したことで大泣きし、
自決しようとしますが、劉備は「桃園の誓いを忘れたか」といい、止めました。

徐州を占拠した呂布は、陳宮たちと大喜び。
張飛の残した掛け軸をみて、「張飛は可愛い奴だ!」と大笑いします。

よく見れば、将軍たちの中には張遼もいます。
まだセリフはありませんが、ここが初登場。

さて、前に袁術の大軍が迫り、後を呂布に抑えられ、
進退きわまった劉備ですが、徐州へ戻り、呂布を頼ることにします。
この場面では孫乾が初登場しています。

徐州へ戻った劉備は、呂布に温かく迎え入れられます。
陳宮の入れ知恵で、呂布は劉備に徐州城を返そうとしますが、
劉備は「最初からこの城はあなたに差し上げるつもりだった」といって固辞。

徐州を呂布に委ね、劉備は小沛へ赴くことになりました。
その劉備に対し、呂布は「劉備はまさに君子だ。俺の方が心苦しい」と、

心からいたく感心した模様。呂布って、やっぱり根は素直な人ですよね。


陳宮は「恨み事ひとつ言わない劉備は、何を考えているか分からない。

かえって恐ろしい奴だ」と警戒心を強めます。その通りです(笑)。

呂布と劉備の関係は結局元通りになり、仲違いを狙っていた
曹操や袁術のもくろみは、外れた形になってしまいました。

あてが外れた袁術は、今度は自分から徐州を狙いに行くことを決め、
まず劉備のいる小沛攻略へ乗り出します。

一方で、軍師の勧めにしたがって呂布に20万石の兵糧を差し出し、
見返りとして「劉備への助力をしないように」と、申し送りました。

それにまんまと乗ってしまった呂布。陳宮は袁術の意図を見抜き、
兵糧を返すように進言しますが、呂布はせっかく手に入れた兵糧を
手放したくないがため、聞き入れません。

安心した袁術は、部下の紀霊に5万の兵をさずけ、小沛に出陣させました。
一方の劉備軍には1万足らずの兵しかいません。
危ういと見た劉備は、呂布に援軍を要請しますが・・・。



【このシーンに注目!】

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今回は、なんといっても曹豹(そうひょう、又はそうほう)が、張飛に棒叩きの刑に遭うところ。あれだけ叩かれてすぐ呂布のもとへ報告に行き、奇襲のさいには張飛に挑みかかるなど、かなりタフである。

ドラマでは、単なる一兵卒のように描かれている曹豹だが、もとは陶謙配下の一介の将軍。正史においても、張飛と喧嘩をして呂布に内通したとあり、役割は大体同じ。「演義」では夏侯惇と一騎打ちをしようとするも強風が吹いて退く場面があり、意外と武芸には自信があったようだ。


【このひとに注目!】

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◆紀霊(きれい)/陳福生

袁術配下の猛将として、終盤で登場。劉備攻めの大将に任命され、次回の第15話でも出番がある。正史でも劉備攻めの大将として、呂布の陣営に赴いている。『演義』では、かなりの猛者として描かれ、重さ50斤(約11キロ)の三尖刀という武器の使い手として登場。関羽との一騎打ちで30合あまりも刃をまじえ、互角に戦っている。袁術が滅亡寸前になっても最後まで従った忠将。しかし、最後は張飛との一騎打ちに敗れて戦死する。

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第11話~第15話 

2012年04月18日

こんばんは! 哲舟です。

1週間のど真ん中、サラリーマンや学生の方は、
「もうひと踏ん張り」といったところですよね。

ドラマ三国志TK
は、まだまだ序盤ですが、
根気よく、ゆっくりご覧いただきたいと思います。

さて、今日の話は、徐州対策を考える曹操のもとに、
献帝の側近・董承から助けを求める書状が届いたところから。

献帝は董卓配下の李傕(りかく)たちのもとを逃れ、洛陽に向かっているとか。
曹操は、千載一遇の好機と、すぐさま献帝を救うため洛陽へ出兵します。

献帝の密書は、河北の袁紹のもとにも届けられていました。
袁紹は自分では決められず、家臣たちに相談。

許攸は「今すぐ献帝を救うべき」と主張しますが、
田豊は献帝を救えば天下取りの邪魔になると主張。

袁紹は結局、田豊の意見を聞き入れて動きませんでした。
これが、袁紹にとっては痛恨の判断ミス、
あとで地団太を踏んで悔しがるとことになります。

優柔不断な袁紹・・・。袁紹陣営では、
これ以降も参謀2人が足の引っ張り合いを演じるので、覚えておきましょう。

sangoku135
さて、献帝一行が必死の思いで辿りついた洛陽の都は、
董卓に焼き討ちされた後、荒れ果てたままの状態でした。
食べ物はおろか、飲み水にまで事をかくありさま。献帝の服も髪もボロボロです。
そこへ、曹操の軍勢が到着。
賊軍の襲来か、と怯える一行ですが、救援部隊と知って喜びに沸きます。

曹操は、荀彧(じゅんいく)の進言を受け、礼を尽くして献帝に謁見し、
一行が飢えに苦しんでいることを見越し、食べ物を提供しました。

献帝は、曹操が献上した羹(あつもの。肉入りスープ)を口にして、
「朕は、半年以上も肉を口にしていなかった」と、感謝の意を述べます。
たしかに、こんな事態ではどんな珍宝よりも食物の贈り物が一番でしょう。

sangoku127
董承(右)以下、大臣たちにも食物がふるまわれ、
感激した彼らは「天下の忠臣!」と曹操を称賛。

まんまと恩を着せることに成功した曹操は、洛陽の復興は困難として、
自分の領地である、許(きょ)に、都を移すよう進言します。

これで曹操の狙いが読めた臣下からは、反対の声も上がりましたが、
曹操の大軍勢を目の前にした献帝は、否応なく承知するほかありません。

まんまと、許へ献帝を連れ帰った曹操は、帝の名を借りて各諸侯に詔勅を発布。
自分の都合の良いように、勢力分布を確定します。
献帝は、今度は董卓の代わりに曹操の傀儡(かいらい)となった事を理解します。

曹操は、タイミングをしっかりと見計らい、献帝や朝臣たちに自分の軍勢に
鬨の声をあげさせて、十分に威を示してから遷都を勧めました。

有無を言わせぬ強引なやり方で皇帝を傀儡化してしまう腹黒さは、
董卓となんら変わるところがありません。いやそれ以上といえましょう。

本作では、呂伯奢殺しや徐州侵攻の一件も含め、
曹操の優秀さだけでなく、腹黒さも包み隠さず描いています。
それは劉備や孫権も同様。奇麗ごとだけでは、天下など望めないということですね。

曹操は、劉備に対しては「徐州牧」に任命をする旨の詔勅を送り、
さらに袁術討伐を命じる密書も同時に送りました。
皇帝の後ろ盾を得た曹操。
いよいよ野心をむき出しにして、勢力拡大を狙うのです・・・。


【このシーンに注目!】
sangoku115
曹操は徐州攻めを中断してまで、皇帝を保護することにこだわった。一方の袁紹は、躊躇して千載一遇のチャンスを逃してしまった。皇帝という権威を後ろ盾にし、政局を優位にする政治手法。これは曹操とよく比較される、日本の織田信長も似たようなことをやっている。

1568年、信長は足利義昭を保護して上洛し、将軍の地位に就け、彼を傀儡化することに成功。信長は頃合いを見て義昭を京都から追放したが、一方で朝廷は重んじ、天皇に接近している。安土城を建てた後、いずれは天皇を城内に迎えようと画策していたともいうが、実現しないままに本能寺で死んだ。その権威を後ろ盾としてから、一気に天下取りへの道を歩み始めたあたり、曹操と信長には共通する部分があるといえる。


【このひとに注目!】
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◆献帝・劉協(成人/羅晋、少年時代/ 叮咚)
今回から大人になった姿で再登場した、後漢最後の皇帝。董卓が健在だった頃はまだ10歳前後だったので、子役が演じていた(右写真)。父の霊帝が亡くなると、長男で兄の劉弁が即位し、劉協は渤海王、次いで陳留王に就任。しかし、董卓が兄の劉弁を廃して毒殺。劉協を皇帝に即位させたことから、彼の苦難に満ちた人生が始まる。

大軍勢の武威を見せつけられたことで、否応なく曹操の本拠地へ連れていかれ傀儡と化す彼だが、一方で曹操に保護されなければ、彼の身柄はどうなっていただろうか。平穏無事とはいかなかったかもしれない。


※ドラマや当ブログに関する、皆さまのご意見・ご感想もお待ちしております。コメント欄からお気軽にお寄せください。コメントは管理者が承認するまで、公開されないシステムとなっております。内容によっては公開できない場合もございますが、あらかじめご了承ください。また、拍手欄からいただいたコメントは公開されません。
※今後の執筆の参考とさせていただくことはもちろん、可能な限りブログ上でお応えしていきたいと思います。



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第11話~第15話