2012年04月02日
第1話 「曹操、刀を献ず」
(あらすじ)
後漢末期、都・洛陽を制圧した董卓は、政治を思うままにし、大司徒の王允たちは頭を悩ませていた。校尉の曹操は、表向きは董卓に仕える姿勢を見せていたが、内心では董卓排除を計画していた。利害の一致した王允と曹操は結託。王允から七星宝刀を託された曹操は、翌日董卓暗殺を決行するが、董卓にその気配を察せられ、とっさに刀を献上したいと嘘をつく・・・(あらすじ、ここまで)
みなさん今晩は!
『三国志 Three Kingdoms』 ストーリーテラーの哲舟(てっしゅう)こと、上永です。
今日からBSフジで再スタートを切った、本作品の解説や注目ポイントを、
1話ずつ綴ってまいりますので、よろしくお願いします。
なお、このブログは毎回、各話の放送終了直後にアップいたします。
内容にネタバレを含んでいますので、視聴後の閲覧をおすすめします。
・
・
・
ささ、始まりましたね。待望の第1話が!
本作のオープニングは、ちょっと意外なところから始まります。
やはり三国志といえば、「黄巾の乱」(184年)から・・・
と思いきや、それはナレーションで語られるのみで割愛され、
定番、劉備たちの「桃園の誓い」も第2話までお預けという思い切りの良さ。
時は西暦189年。相国(今でいう総理大臣)の董卓が、
すでに洛陽に君臨しているところから始まるのです。それも・・・
「ハ・・・・・・、ハックション!!」
このクシャミが、董卓の発する第一声。
まさに玄人好みのオープニング、といえるかもしれません。

宮廷内に居並ぶ役人たちは、そのクシャミだけで震え上がるという・・・
ある意味、董卓がいかに恐れられているかを物語る、
映像作品ならではのシーンといえましょう。
当時の中国の都は洛陽といい、幼い皇帝(献帝)もここにおわします。
その都で、献帝をもしのぐ絶大な権力を持ち、我が物顔で振舞っているのが董卓なんです。
物語的には、「ものすごく悪い人」のはずです。
が、私が思うに、本作の董卓は結構「いい人」に見えてしまうんですよね。
第1話ではクシャミをするか、昼寝をするかしているぐらいで、
じっさいに、残虐な行為をしているシーンが描かれていないからでしょうか?
董卓を演じている俳優の呂曉禾(リュイ・シュオフー)さんも、絶対「いい人」に違いありません。
ある意味、董卓らしくない董卓ですが、これはこれで味があります。
その董卓を暗殺しようとする、王允の密命を受けた曹操。ドラマ前半の主役です。
曹操は155年生まれなので、このとき35歳。まだ若年~青年といえる年齢ですが、
ドラマでは立派なヒゲをたくわえているせいか、すでに貫禄さえ漂っています(笑)。
もちろん董卓も貫禄ありますが、どっちが悪役か分からないぐらい。
(董卓の生年は記録にないので年齢は不明です)
曹操を演じる俳優・陳建斌(チェン・ジェンビン)の「ダーティーな大人の雰囲気」が
そのように感じさせるのかもしれません。チェンさんは1970年生まれなので、
ドラマが撮影されたときは38~39歳ぐらい。この時の曹操より少し上ですね。
こういう長編ドラマは、登場人物たちの年齢を意識しながら見るのも面白いと思います。
曹操は結局、董卓の暗殺をしくじって都を脱出。
ま、ここで暗殺成功していたら、歴史が変わってしまいますからね(笑)。
「わしは、この勘のおかげで今まで生き延びて来られたのだ!」と董卓。
さすがは董卓です。ただの暴君では、あの地位にまで上り詰めることはできません。
計画に気づいた董卓。腹心の部下、呂布に命じて曹操を捕まえるための追手を差し向けます。
はたして曹操は無事、逃げ延びることができるでしょうか?
ご一読ありがとうございました。
ではみなさん、また明日の晩、こちらでお会いしましょう。
【このシーンに注目!】

曹操が董卓を暗殺しようとした事実は「正史」にはなく、小説・三国志演義におけるエピソード。ただ、それを言っては無粋なので、ここでは王允が曹操に董卓暗殺を託した理由を考えてみよう。それは、志を買っただけでなく、何より曹操が「武勇」に優れていることを高く評価していたからではないだろうか?
正史『三国志』の注などにも引かれた逸話を紹介したい。曹操はこの数年前、やはり朝廷で権勢をふるっていた宦官・張譲の邸宅に忍び込んだが、見張りに発見されてしまう。曹操は手戟をふりまわし、土塀を乗りこえて逃亡。その早わざの前に、誰も彼を殺害できなかった。また後年、多数の兵卒が反乱を起こしたが、曹操は剣を手に数十人を殺し、みな恐れをなしたという。あまり注目されないが、曹操は個人的武勇にも非常に優れていたことがわかる。もし、このとき曹操が董卓を暗殺していたら、三国志の物語のゆくえはどうなっていたか? みなさんも考えてみてください。
【このひとに注目!】

◆王允/鄭天庸(ジェン・ティエンヨン)
後漢王朝にあって、もともと尚書令というお偉いさんだったが、董卓の推薦で、さらに上位である「司徒」の座についた。董卓を補佐するうち、次第に暴君化する彼についていけなくなったのだろう。鄭天庸が演じる本作の王允は、単なる漢の忠臣という一面だけでなく、ひと癖もふた癖もありそうな性格を感じさせる奥深い演技を見せており、本場中国でも評判が良かった。
後漢末期、都・洛陽を制圧した董卓は、政治を思うままにし、大司徒の王允たちは頭を悩ませていた。校尉の曹操は、表向きは董卓に仕える姿勢を見せていたが、内心では董卓排除を計画していた。利害の一致した王允と曹操は結託。王允から七星宝刀を託された曹操は、翌日董卓暗殺を決行するが、董卓にその気配を察せられ、とっさに刀を献上したいと嘘をつく・・・(あらすじ、ここまで)
みなさん今晩は!
『三国志 Three Kingdoms』 ストーリーテラーの哲舟(てっしゅう)こと、上永です。
今日からBSフジで再スタートを切った、本作品の解説や注目ポイントを、
1話ずつ綴ってまいりますので、よろしくお願いします。
なお、このブログは毎回、各話の放送終了直後にアップいたします。
内容にネタバレを含んでいますので、視聴後の閲覧をおすすめします。
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ささ、始まりましたね。待望の第1話が!
本作のオープニングは、ちょっと意外なところから始まります。
やはり三国志といえば、「黄巾の乱」(184年)から・・・
と思いきや、それはナレーションで語られるのみで割愛され、
定番、劉備たちの「桃園の誓い」も第2話までお預けという思い切りの良さ。
時は西暦189年。相国(今でいう総理大臣)の董卓が、
すでに洛陽に君臨しているところから始まるのです。それも・・・
「ハ・・・・・・、ハックション!!」
このクシャミが、董卓の発する第一声。
まさに玄人好みのオープニング、といえるかもしれません。

宮廷内に居並ぶ役人たちは、そのクシャミだけで震え上がるという・・・
ある意味、董卓がいかに恐れられているかを物語る、
映像作品ならではのシーンといえましょう。
当時の中国の都は洛陽といい、幼い皇帝(献帝)もここにおわします。
その都で、献帝をもしのぐ絶大な権力を持ち、我が物顔で振舞っているのが董卓なんです。
物語的には、「ものすごく悪い人」のはずです。
が、私が思うに、本作の董卓は結構「いい人」に見えてしまうんですよね。
第1話ではクシャミをするか、昼寝をするかしているぐらいで、
じっさいに、残虐な行為をしているシーンが描かれていないからでしょうか?
董卓を演じている俳優の呂曉禾(リュイ・シュオフー)さんも、絶対「いい人」に違いありません。
ある意味、董卓らしくない董卓ですが、これはこれで味があります。
その董卓を暗殺しようとする、王允の密命を受けた曹操。ドラマ前半の主役です。
曹操は155年生まれなので、このとき35歳。まだ若年~青年といえる年齢ですが、
ドラマでは立派なヒゲをたくわえているせいか、すでに貫禄さえ漂っています(笑)。
もちろん董卓も貫禄ありますが、どっちが悪役か分からないぐらい。
(董卓の生年は記録にないので年齢は不明です)
曹操を演じる俳優・陳建斌(チェン・ジェンビン)の「ダーティーな大人の雰囲気」が
そのように感じさせるのかもしれません。チェンさんは1970年生まれなので、
ドラマが撮影されたときは38~39歳ぐらい。この時の曹操より少し上ですね。
こういう長編ドラマは、登場人物たちの年齢を意識しながら見るのも面白いと思います。
曹操は結局、董卓の暗殺をしくじって都を脱出。
ま、ここで暗殺成功していたら、歴史が変わってしまいますからね(笑)。
「わしは、この勘のおかげで今まで生き延びて来られたのだ!」と董卓。
さすがは董卓です。ただの暴君では、あの地位にまで上り詰めることはできません。
計画に気づいた董卓。腹心の部下、呂布に命じて曹操を捕まえるための追手を差し向けます。
はたして曹操は無事、逃げ延びることができるでしょうか?
ご一読ありがとうございました。
ではみなさん、また明日の晩、こちらでお会いしましょう。
【このシーンに注目!】

曹操が董卓を暗殺しようとした事実は「正史」にはなく、小説・三国志演義におけるエピソード。ただ、それを言っては無粋なので、ここでは王允が曹操に董卓暗殺を託した理由を考えてみよう。それは、志を買っただけでなく、何より曹操が「武勇」に優れていることを高く評価していたからではないだろうか?
正史『三国志』の注などにも引かれた逸話を紹介したい。曹操はこの数年前、やはり朝廷で権勢をふるっていた宦官・張譲の邸宅に忍び込んだが、見張りに発見されてしまう。曹操は手戟をふりまわし、土塀を乗りこえて逃亡。その早わざの前に、誰も彼を殺害できなかった。また後年、多数の兵卒が反乱を起こしたが、曹操は剣を手に数十人を殺し、みな恐れをなしたという。あまり注目されないが、曹操は個人的武勇にも非常に優れていたことがわかる。もし、このとき曹操が董卓を暗殺していたら、三国志の物語のゆくえはどうなっていたか? みなさんも考えてみてください。
【このひとに注目!】

◆王允/鄭天庸(ジェン・ティエンヨン)
後漢王朝にあって、もともと尚書令というお偉いさんだったが、董卓の推薦で、さらに上位である「司徒」の座についた。董卓を補佐するうち、次第に暴君化する彼についていけなくなったのだろう。鄭天庸が演じる本作の王允は、単なる漢の忠臣という一面だけでなく、ひと癖もふた癖もありそうな性格を感じさせる奥深い演技を見せており、本場中国でも評判が良かった。