2012年04月18日
第13話 「曹操、皇帝を傀儡とす」
こんばんは! 哲舟です。
1週間のど真ん中、サラリーマンや学生の方は、
「もうひと踏ん張り」といったところですよね。
ドラマ三国志TKは、まだまだ序盤ですが、
根気よく、ゆっくりご覧いただきたいと思います。
さて、今日の話は、徐州対策を考える曹操のもとに、
献帝の側近・董承から助けを求める書状が届いたところから。
献帝は董卓配下の李傕(りかく)たちのもとを逃れ、洛陽に向かっているとか。
曹操は、千載一遇の好機と、すぐさま献帝を救うため洛陽へ出兵します。
献帝の密書は、河北の袁紹のもとにも届けられていました。
袁紹は自分では決められず、家臣たちに相談。
許攸は「今すぐ献帝を救うべき」と主張しますが、
田豊は献帝を救えば天下取りの邪魔になると主張。
袁紹は結局、田豊の意見を聞き入れて動きませんでした。
これが、袁紹にとっては痛恨の判断ミス、
あとで地団太を踏んで悔しがるとことになります。
優柔不断な袁紹・・・。袁紹陣営では、
これ以降も参謀2人が足の引っ張り合いを演じるので、覚えておきましょう。
さて、献帝一行が必死の思いで辿りついた洛陽の都は、
董卓に焼き討ちされた後、荒れ果てたままの状態でした。
食べ物はおろか、飲み水にまで事をかくありさま。献帝の服も髪もボロボロです。
そこへ、曹操の軍勢が到着。
賊軍の襲来か、と怯える一行ですが、救援部隊と知って喜びに沸きます。
曹操は、荀彧(じゅんいく)の進言を受け、礼を尽くして献帝に謁見し、
一行が飢えに苦しんでいることを見越し、食べ物を提供しました。
献帝は、曹操が献上した羹(あつもの。肉入りスープ)を口にして、
「朕は、半年以上も肉を口にしていなかった」と、感謝の意を述べます。
たしかに、こんな事態ではどんな珍宝よりも食物の贈り物が一番でしょう。
董承(右)以下、大臣たちにも食物がふるまわれ、
感激した彼らは「天下の忠臣!」と曹操を称賛。
まんまと恩を着せることに成功した曹操は、洛陽の復興は困難として、
自分の領地である、許(きょ)に、都を移すよう進言します。
これで曹操の狙いが読めた臣下からは、反対の声も上がりましたが、
曹操の大軍勢を目の前にした献帝は、否応なく承知するほかありません。
まんまと、許へ献帝を連れ帰った曹操は、帝の名を借りて各諸侯に詔勅を発布。
自分の都合の良いように、勢力分布を確定します。
献帝は、今度は董卓の代わりに曹操の傀儡(かいらい)となった事を理解します。
曹操は、タイミングをしっかりと見計らい、献帝や朝臣たちに自分の軍勢に
鬨の声をあげさせて、十分に威を示してから遷都を勧めました。
有無を言わせぬ強引なやり方で皇帝を傀儡化してしまう腹黒さは、
董卓となんら変わるところがありません。いやそれ以上といえましょう。
本作では、呂伯奢殺しや徐州侵攻の一件も含め、
曹操の優秀さだけでなく、腹黒さも包み隠さず描いています。
それは劉備や孫権も同様。奇麗ごとだけでは、天下など望めないということですね。
曹操は、劉備に対しては「徐州牧」に任命をする旨の詔勅を送り、
さらに袁術討伐を命じる密書も同時に送りました。
皇帝の後ろ盾を得た曹操。
いよいよ野心をむき出しにして、勢力拡大を狙うのです・・・。
【このシーンに注目!】
曹操は徐州攻めを中断してまで、皇帝を保護することにこだわった。一方の袁紹は、躊躇して千載一遇のチャンスを逃してしまった。皇帝という権威を後ろ盾にし、政局を優位にする政治手法。これは曹操とよく比較される、日本の織田信長も似たようなことをやっている。
1568年、信長は足利義昭を保護して上洛し、将軍の地位に就け、彼を傀儡化することに成功。信長は頃合いを見て義昭を京都から追放したが、一方で朝廷は重んじ、天皇に接近している。安土城を建てた後、いずれは天皇を城内に迎えようと画策していたともいうが、実現しないままに本能寺で死んだ。その権威を後ろ盾としてから、一気に天下取りへの道を歩み始めたあたり、曹操と信長には共通する部分があるといえる。
【このひとに注目!】
◆献帝・劉協(成人/羅晋、少年時代/ 叮咚)
今回から大人になった姿で再登場した、後漢最後の皇帝。董卓が健在だった頃はまだ10歳前後だったので、子役が演じていた(右写真)。父の霊帝が亡くなると、長男で兄の劉弁が即位し、劉協は渤海王、次いで陳留王に就任。しかし、董卓が兄の劉弁を廃して毒殺。劉協を皇帝に即位させたことから、彼の苦難に満ちた人生が始まる。
大軍勢の武威を見せつけられたことで、否応なく曹操の本拠地へ連れていかれ傀儡と化す彼だが、一方で曹操に保護されなければ、彼の身柄はどうなっていただろうか。平穏無事とはいかなかったかもしれない。
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コメント一覧
自らが常に核分裂してエネルギーの源な2人ですが中でもやっぱり上昇してる頃のエピソードが一番好きです

官渡の戦い、桶狭間の戦い…サイコー(笑)