2012年04月30日
第21話 「吉平、毒を盛る」
こんばんは! ストーリー・テラーの哲舟です。
大型連休の真っ只中ですね。
どこかへ旅行や遊びになど行かれている方も多いでしょうから、
番組やブログを見てくれる人が減ってしまうだろうなぁ、と思いつつ、嘆きつつ・・・
連休中も休みなく、月~金は、番組・ブログとも継続してまいります!
さて、劉備は曹操から兵を預かり、袁術討伐のため徐州へ向かいます。
そこへ、曹操が派遣した張遼、許楮(きょちょ)が追いかけてきました。
曹操は劉備がこのまま戻らないのではないかと危惧し、追手を差し向けたのです。
劉備はそれと知るや、臨戦態勢をしいて迎えます。
さすがの張遼たちとて、500の兵しか連れてきていない状況では、
5万の劉備軍を前に、何もできぬまま引き返すしかありませんでした。
劉備がここで言った、「将、外にありては君命も受けざるところあり」という言葉。
これは「孫子の兵法」の著者として知られる、春秋時代の名将「孫武」が言ったとされます。
古代中国では、君主から遠征軍を預かった将軍は、その全権を任されました。
全権を任せた以上、現場の状況を把握していない君主は口を出すべきではないし、
将軍も、たとえ君主の命令が来たとしても無視して良い、ということです。
うまく曹操の追手を追い返した劉備は、逃亡中の袁術軍を攻撃。
とうとう小さな砦の中へと、袁術を追い詰めました。
袁術軍との戦闘シーンは省略され、あっさりとした描写にとどまっています。
袁術は、この期におよんでも玉璽(ぎょくじ)を手放さず、
「喉が渇いた。蜜の入った水が飲みたい」という迷言を吐きますが、
すでに飲み水さえありません。
かつて、華やかな反董卓軍の副将格だった男が、追い詰められています。
そこへ劉備の使者・趙雲が自決を勧める密書を持ってきました。
打つ手のなくなった袁術は、それを認めて自害し、見事な最期を遂げます。
最後は潔く、ためらいも見せずに逝ったところは立派といえましょう。
かくして袁紹と同族の名門、袁術は滅びました。時に西暦199年。
袁術が持っていた玉璽は、劉備が曹操へと送り返しました。
劉備の率いた軍には、お目付け役として曹操が同行させた朱霊と路昭という
2人の将軍がいましたが、彼らはまんまと劉備に出し抜かれ、
兵を奪われてやむなく帰還してきました。これには、さすがに曹操は大激怒し、2人を斬首。
さらに、劉備は狡猾さを発揮し、
徐州の守将・車冑(しゃちゅう)を奇襲し、たちまち徐州を自分のものにしてしまいました。
劉備を侮っていた曹操は、報告を聞いて昏倒してしまいます。
倒れた曹操の看病役として、息子の曹丕・曹植兄弟が早くも初登場です。
曹操の兵を借りたまま、徐州一帯を手に入れた劉備。
怒った曹操が近々攻めてくると読み、河北の袁紹へ使者(糜芳)を派遣します。
袁紹軍に曹操を攻めさせ、挟み撃ちにする作戦です。
袁紹にとっても、劉備との共同作戦は曹操を倒す絶好のチャンス。
しかし、袁紹陣営は一枚岩ではありません。
袁紹の参謀には、積極派の郭図と許攸、慎重派の田豊の3人がいます。
彼らは、ことあるごとに対立して反対のことを言い、
優柔不断な袁紹をますます混乱させます・・・。
許攸が、「敵を知り、己を知れば百戦してあやうからず」と励ましたことで、
いよいよ袁紹は30万を率いての出兵を決意。
袁紹は文才に優れる陳琳に檄文をかかせ、全軍の士気を高めます。
この報は許都の宮中にも届き、献帝を喜ばせました。
檄文の内容は、曹操の出自に対する皮肉に満ちたものでしたが、
それを読んだ曹操は怒るどころか、「名文だ」と感心したぐらいです。
いよいよ袁紹軍が動くと聞いて、曹操は重臣たちを集めて軍議を開きます。
孔融が「袁紹とは戦うべきではありません」と和睦を提言しますが・・・。
それを制し、荀彧(じゅんいく)が「袁紹の十敗、主君の十勝」を主張し、
その根拠を分析したうえで、徹底抗戦を勧めました。(左にいるのが孔融)
曹操は荀彧の意見を採用し、袁紹を迎え撃つための準備を命じます。
実は、この「袁紹の十敗、主君の十勝」を分析したのは、
原作では郭嘉の役割なのですが、ここでは姿が見えず荀彧がその任を負っています。
さて、一方で董承が進めている曹操暗殺計画。
劉備はなかなか戻ってこないし、袁紹が攻めて来るのを待ち切れず・・・
曹操の侍医である、吉平(きっぺい)が董承と密談し、計画を練っていました。
吉平は、曹操に処方する薬の中に毒を盛って暗殺しようとしますが、
さすがは用心深い曹操。董承の使用人の密告で事前に知っていたのでしょう。
曹操は薬を投げつけて吉平を捕らえ、計画は失敗に終わってしまいます・・・。
【このひとに注目!】
◆陳琳(ちんりん) ?~217年
建安七子の1人で名文家として知られる。はじめは大将軍の何進に仕え、その死後は冀州に逃れて袁紹の参謀となった。「官渡の戦い」の前に、袁紹の命令で「曹操打倒」の檄文を書く。その内容は痛烈なもので、曹操の祖父や父たちをも辱め、「曹操は宦官の子」などと罵倒。
のちに曹操に捕らわれたとき、陳琳はその檄文を読まされ、なぜこれほどの内容の檄文を書いたのか問われると、「引き絞った矢は、放たぬわけにはいかない」と言い、その気骨と才を惜しんだ曹操に用いられることになる。
【今週の放送スケジュール】
2012年5月1日(火) 17時~ 第22話「三兄弟離散す」
2012年5月2日(水) 17時~ 第23話「関羽、三事を約す」
2012年5月3日(木) 17時~ 第24話「白馬の戦い」
2012年5月4日(金) 17時~ 第25話「単騎、千里を走る」