2012年05月07日

第26話 「古城に再会す」

皆さん、こんばんは! ストーリー・テラーの哲舟です。

連休も終わり、今日から世間は平常運転といったところで、
げんなりされている社会人、学生の皆様もいらっしゃるかもしれませんが、
ドラマ『三国志 Three Kingdoms』、ますます盛り上がっております!

さて、ようやく曹操の領地を脱した関羽一行。
そこへ、一隊の盗賊らしき集団が立ちはだかりました。

頭目は「張角」の名を騙って、盗みを働いていたようですが、
そこへいきなり現れた男が、一瞬にして頭目を斬ってしまいました。

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男の名は周倉(しゅうそう)。終世、関羽の右腕として生死をともにする人物です。

ちなみに、頭目が騙っていた張角というのは、
かつての黄巾党の首領のことで、これより何年も前に病死しています。
その残党たちの中には、このように盗賊と化して、
悪事を働いていた者も多かったそうで、「黄巾賊」と呼ばれていました。

関羽は、周倉が昔から自分に憧れていたことを知り、
奥方たちと相談のうえ、部下にすることを決定します。

一応、奥方に許可を得てはいましたが、配下にする気満々でした(笑)。
意気投合するのが早すぎるように思えますが、まあこれが大陸式といいますか。
関羽にとって、腕の立つ部下の出現は有難いことだったと見えます。
ここまでの道中、味方は武芸の腕はサッパリの孫乾だけでしたからね・・・。

先を急ぐ関羽らは、汝南の古城に辿り着きました。
この付近は、かつて袁術の領地だったところ。そこにいたのは、あの張飛です。

久々の再会を喜ぶ関羽ですが・・・

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張飛は敵意むき出しで襲いかかってきます。
かねてから、関羽が曹操に投降したという情報を得ていたためです。

関羽は誤解を解くために、追ってきた曹操軍の将・蔡陽を
一刀のもとに斬り、裏切っていないことを証明しました。

単純な張飛。すべては誤解だったと知り、今度は自分が謝ります。
こうして豪傑兄弟2人、ついに再会を喜び合いました。

そのころ、劉備は袁紹のもとにいましたが、
関羽・張飛が2百里先の汝南まで来ていることを知って、
「4日以内に連れてきます!」と、早速迎えに出ることを決めました。

人のいい袁紹は、劉備にコロッと騙されて許してしまいます・・・(笑)。
しかし、軍師の許攸は鋭い。
劉備がもう戻ってこないことを悟って出口で彼を待ちます。

「もう戻る気はないのだろう?」
図星をさされ、さすがの劉備もギクッとしたようです。

「袁紹殿のもとでは、大義は成せない」と主張する劉備。
許攸は劉備の意図を見抜いたうえで、それを肯定します。

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なおも曹操打倒の夢を捨てない劉備に共感した許攸は、
はるか南、荊州の劉表のもとへ身を寄せるよう提案します。

じつは、劉備も同じことを考えていました。
袁術が死に、袁紹が頼りにならない今、残る有力者は荊州の劉表ぐらい。
劉表の兵を動かし、袁紹と挟み撃ちすれば曹操を倒すこともできます。

ほかには、江東の孫策、益州の劉璋ぐらいでしょうか。
孫策はまだ安定勢力とはいえず、劉璋の土地は中原から遠すぎます。
劉備は同族であり、曹操と領地を接する劉表しかいない、と見ていたのです。

意見の一致した2人。
劉備は、袁紹の暗愚さを知りぬく許攸の実力を、かねてから見込んでいました。
そこで、「一緒に来ては?」と持ちかけますが、許攸はそれをやんわりと拒否します。

許攸は、自分を信任してくれ、長く仕えている袁紹を裏切れないといいます。
かつて呂布の部下だった陳宮といい、愚かな主君とは知りながらも、
それを見切ることができない彼ら。それもまた、ひとつの生き方でしょう。

ただ、一応フォローしておくと、この時点で劉備は領地も何もない身の上です。
一流企業ともいえる袁紹のもとを離れ、
無職に近い劉備に付いていくのは、博打もいいところ。

劉備には、優れた軍師さえいません。
胸中、許攸を味方に得たいという思いもあったはずです。
しかし、まだその時ではなかった、ということかもしれません。

そのころ、関羽・張飛は、趙雲と再会を果たしていました。
偵察に出た周倉が、面識のない趙雲にぶちのめされるハプニングはありましたが。

関羽・張飛・趙雲は、お互いの姿を見るや再会を喜び合いました。
劉備とはぐれた趙雲は、かつて所属していた公孫瓚(さん)の領地・幽州に戻り、
その残党、3000人を従えて中原に戻ってきていたのです。

再会を喜び、酒を酌み交わす三人のもとへ、
劉備の早馬として麋芳(びほう)がやってきました。
麋芳の知らせで、劉備が古城へ向かったと知った3人はそこへ急行。

一行は、ついに感動の再会を果たすのです。
抱き合う劉備・関羽・張飛の3人を温かく見守る趙雲と孫乾。

第2話でチラッと描かれた、「桃園の誓い」(とうえんのちかい)再び・・・。
場所こそ違えど、再会した三兄弟は桃の木に囲まれて酒を酌み交わします。

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ここで、三兄弟が出会った「桃園の誓い」について、
少し、詳しくご説明しておきましょう。

ちょうど、三国志初心者さんからコメント欄で
「三兄弟は、どんな出会いがあって、
 何がきっかけで兄弟の誓いをしたのでしょうか?」
との質問を頂いていたので
少し長くなりますが・・・、タイムリーなので書いてみたいと思います。

西暦184年、当時の中原(ちゅうげん。都の洛陽周辺、中国の中心地)は、
「黄巾の乱」の影響で賊徒が暴れ、都では宦官が権勢をふるうなど乱れに乱れていました。

三兄弟が最初に誓いを交わしたとされているのが、その184年。
劉備は、ここでは「10年前」と言っていますが、
今回の話は西暦200年ですから、実際には16年前になります。

幽州涿郡(現在の北京のあたり)に住んでいた劉備(当時24歳)は、
義勇軍を旗揚げし、乱れた世を正したいと考えていたところ、
同郷に住む張飛と出会います。

義勇兵募集の高札の前で意気投合した2人。
さっそく酒を酌み交わしていたとき、河東郡という、
西の方から来た流れ者、関羽がその酒場に入ってきました。

関羽が幽州へ来た理由はわかりませんが、もともと故郷で塩商人をしていた彼は、
暴利をむさぼる同僚を殺し、官吏に追われてきたという説があります。

関羽もまた義勇兵に応募しようと、その景気づけに酒を飲みに来たのですが
3人はそこですっかりお互いの志に感じ入り、張飛の家の裏にあった桃園で、
生死をともにしようと義兄弟の契りをかわしたといいます。

なぜ3人が意気投合したか、そこまでは記録にないので、
「気が合った」ということ以外には説明できませんが・・・(笑)。
皆さんもそうだと思いますが、友達なんてそんなものですよね。

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(第2話のカット)「われら三人、生まれし日、生まれた時は違えども・・・
 同年、同月、同日に死ぬことを願わん」 

と、呼びかけに応じた者たちも集め、酔いつぶれるまで飲んだそうです。
「桃園の誓い」は、このドラマの原作である
小説『三国志演義』の名場面として、昔からよく知られています。

小説のもとになった正史(中国の歴史書)の『三国志』には、
「桃園の誓い」は書かれていないので、
厳密にいえば創作ということになってしまうのですが、ただ正史の記録の中にも、
「劉備は護衛官の関羽・張飛に、兄弟のように恩愛をかけ、
張飛は年長者の関羽を兄のように敬った」
というようなことが記されています。

彼らは本当に兄弟のような関係であったことは間違いないようで、
それが「桃園の誓い」の逸話のもとになったと十分に考えられます。

さて・・・こんなところですが、おわかりいただけましたでしょうか?

ご興味のある方は、日本における三国志の入門編ともいえる、
吉川英治の小説「三国志」や、横山光輝の漫画「三国志」などを、
一度ぜひ、お手に取られてみてはいかがでしょうか?

それぞれの作品によって、3人が出会う場面も
微妙に異なる描かれ方がされていて面白いですよ。




さてさて、続きに行きましょう。
三兄弟といいましたが、この場面では、趙雲も入れて四兄弟です。

どうせなら孫乾、麋芳も席に呼んであげて欲しく思うのですが・・・。
2人は別の席で飲んでいるのでしょうか。まあ細かいことは良しとしましょう(笑)。

026-16
そのころ、冀州では袁紹が3人の息子たちを迎えていました。
曹操との決戦にそなえ、袁紹への援軍として、
それぞれの領地から兵を従えて集結してきたのです。

袁紹には袁譚・袁煕・袁尚と、3人の息子がいます。
問題は、この若君たち、3人とも自己主張が強く協調性がありません。
同じ三兄弟でも、桃園の三兄弟とは違い、チームワークに難ありですね。

それぞれに先鋒を務めたいと主張したため、
袁紹は自らが先鋒をつとめるといって、軍議を切り上げました。
いよいよ、袁紹が大軍を動かします・・・。


【このひとに注目!】
026-10
◆関平(かんぺい) ?~219
今回、趙雲が身を寄せていた砦の主、関定という人物の息子。以前より同じ姓である関羽に憧れており、父の許しを得て関羽の養子になりたいと申し出る。関羽は息子がまだいないこともあり、これを許す。以後、生涯を通じて周倉とともに関羽につき従い、戦い続ける。
原作やこのドラマにおいては養子だが、史実では関羽の実の息子である。関羽に死ぬまでつき従ったその忠義心は、周倉とともに昔から中国人に尊敬されてきた。関羽が死後に神格化されて祀られた「関帝廟」では、必ず関羽の右側に関平、左側に周倉が侍した形で、そろって祀られている。



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第26話~第30話 

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コメント一覧

1. Posted by yamaneko5646   2012年05月07日 21:02
こんばんは=!

そうですか~!「義兄弟の誓い」と「三兄弟再会」が、「桃園」と言う 設定なんですね。

第2話のシーンは記憶していません(恥ずかしい)。

美しい 映像ですね。

激流から 大河にたどり着いたような
安堵感がありますが、これからは ますます 複雑そう。

前に前に!着いて行かなくては!
2. Posted by ずぅ   2012年05月07日 23:25
哲舟さんの「友達なんてそんなものですよね。」には、笑ってしまいました(^^;)

関平を、会ってすぐに養子にしまうところもおもしろかったです☆

このブログのおかげで三国志の楽しさ倍増です☆

3. Posted by ミクニ   2012年05月08日 22:22
5 無事に出会うことができて安心しました
また3人の出会いも知ることができて、またちょっとだけ知識が増えました、ありがとうございました。
でもこの3人よほど気が合ったのでしょうね

三国志初心者さん同様、ミクニも初心者です。これからもよろしくお願いします。
4. Posted by もっく   2014年11月13日 01:27
この話の吹替え版の冒頭、関羽が周倉に話しかけるところで名前を”ソウシュウ”と呼んでいます。笑
何回も見直しているうちに発見しました。

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