2012年05月17日

第34話 「孫策、孤を託す」

みなさん、こんばんは! 哲舟です。

いつも温かいコメントをいただき、有難うございます。
「あのシーンやこのシーン良かったんだけど、書かないの?」
といった声もいただいて、申し訳なく思っています。

最近では、袁紹と会談した曹操がピエロのように走って帰ったシーンとか、
徐庶を見送ったときに劉備が「あの木が邪魔だから切っておけ」と言うシーンなどに
触れていなかったですね。すみません・・・。

本当は、すべてのシーンについて書き、余さず触れたいところではありますが、
いかんせん時間に追われている身でして、網羅しきれない点も多々ございます。

書き切れない部分は、皆さんで思い思いに楽しんでいただきたいと願う次第ですが、
その上でご指摘やお叱りのコメントでも、お寄せいただければ、
皆さんがどこに注目されたか良く理解できますし、また無上の喜びです。
あしからず、どうかご容赦ください・・・!

さて、劉備の「三顧の礼」を受けた諸葛亮(孔明)が、
大業をなすための方策を、こんこんと説いています。

荊州・西蜀を得たあと、南と西の異民族を手なずけ、
東の孫呉と手を組んで、北の曹賊(曹操)を攻略する。
20年かけて天下を安じるという方策です。

孔明は来るべき時のため、西蜀の地図までも入手していました。
恐るべき行動力、情報収集力といえましょう。

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孔明の才能や見識に感じ入るばかりの劉備は、
「どうか力をお貸しください」と、膝を屈して孔明に頭を下げます。

諸葛亮もそれに応じ、仕官を決意し、ついに出蘆しました。
従来の作品ですと、一度は劉備の申し出をつっぱね、ためらいを見せる孔明ですが、
本作では意外にあっさりと仕官を承知したように思えました。

このとき劉備47歳、孔明28歳。
およそ年齢差は20歳で、親子ほども歳が離れています。

劉備から見れば、孔明は「若造」ともいえる年齢で、
関羽や張飛が立腹するのは、もっともかと思います。

しかし、劉備はそんな若造にも優秀とみるや頭を下げて誠意をみせる。
この情熱と謙虚な姿勢に、孔明も心を打たれたのでしょう。

こうして、劉備の「三顧の礼」は功を奏したわけです。
この出来事は、目上の人が格下の人のもとに三度も出向いてお願いをする、
故事成語
として現在にまで伝わっています。

日本では、木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)が、竹中半兵衛のもとに
やはり三度足を運んで部下に迎えたという伝承がありますが、
それも劉備と孔明の三顧の礼をもとにして作られた話といえるでしょう。


・・・さて、ここで時は7年前に戻り、場所は江東(揚州)へと移ります。
中原では曹操と袁紹の「官渡の戦い」が行われていたときです。

江東の孫策が、わずかな供を連れて兎狩りをしていました。
しかし、獲物を追っていたさいに部下たちと離れ、
1人になったところを数名の刺客たちに襲われてしまいます。

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孫策は顔面に矢を受けながらも、次々と刺客を倒していきますが、
残った一人に背中を槍で突かれ、致命傷を負ってしまいました・・・。

兄が重傷を負って担ぎ込まれたと知った孫権は、その枕もとへ急行します。
あの子供だった孫権が、立派になっての再登場です。

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傷の深さから、孫策は自分の命がもう長くないことを悟り、
弟の孫権に跡を託そうと兵符を持ってこさせて、こう言います。

「孫権よ。軍材において、お前は私に及ばないが、
 才ある者を用いて領地を守ることにおいては、私はお前に及ばない」


父・孫堅が死んでから、まだ8年・・・。
孫権は、今度は兄・孫策の死に立ち会わなければならなくなりました。
まだ18歳の孫権は、「自分には荷が重すぎる」といいますが、
兄と母の強い願いを受け、自らを納得させて兵符を受けました。

新たな主君となった孫権に拝謁する諸将たち。
しかし、孫堅の代からの功臣、年配者が多く、
孫権は彼らをまとめきれるかどうか自信がもてません。

また、張昭を筆頭とする文官、程普を筆頭とする将軍(武官)たちの間には、
以前から微妙な対立感情があり、それがこの機に露呈します。

程普は「前線にいる周瑜殿を呼び、大権を授けるべきです」と孫権に進言。
彼ら武官の本音は、孫権よりも、孫策と親しく、それに次ぐ将才とカリスマ性を持つ
周瑜(しゅうゆ)に従いたいと思っているのです。

自らも呉の重鎮であると自負する張昭は、それを快く思わない様子でしたが、
すでに孫権の母から使者が遣わされたと知り、引かざるを得ませんでした。

弟に後事を託し、安心した孫策は妻の大喬を呼び寄せ、
無念さをにじませて、ついに息をひきとりました・・・。
江東の小覇王、孫策。享年26歳、あまりにも早い死でした。

実は、孫策には孫紹(そんしょう)という、この年に生まれたばかりの幼い息子がおり、
家臣たちの一部は孫紹が跡を継ぐべきと主張し、大喬にそれを願い出てきました。
孫紹はまだ幼く、政治を仕切れないため成人するまで、母の大喬が
その任を負うべきだというのです。

途方に暮れる大喬に、重臣の張昭がお家騒動の危機を訴えます。
幼い子が継げば、家臣たちの間で勢力争いが起き、
漢室と同様の道をたどるは明白であると。

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大喬はそれを聞き、身を引いて江東を去る決意を固めました。
大喬は幼子をつれて、舟で長江へ出ていきます・・・。
このあと、大喬がどうなったかは誰にも分かりません。

孫策逝去の知らせを受け、周瑜が急遽、江東の呉郡へ戻ってきました。
このとき周瑜は前線にいて、兵馬の訓練をしていたのです。

義兄であり、同い年の親友である孫策の死。周瑜は霊前で泣き崩れます。
2人は幼なじみで、その友情は「断金の交わり」とまでいわれました。
断金とは金属をも断つ熱い友情といった意味で、
その悲しみ、察するに余りあります。

そのとき傍らにいた孫権が、周瑜に「兄の跡を継いでくれ」と頼みます。
孫権は自分よりも名声も実績もある周瑜に江東を任せ、
自分は長史として周瑜に仕えるというのです。

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しかし、周瑜は固辞して呉国太(ごこくたい)のもとへ行きます。
呉国太は孫策・孫権の母で、孫堅の妻です。
夫も長男も亡くし、悲しみの渦の中にいる呉国太は、
我が子同様に思っている周瑜に、孫権の悩みを話します。

呉国太は、孫権に跡を継がせるようにとの孫策の遺言を伝えたうえ、
孫権が最も敬愛し、最も恐れているのは周瑜であるとも伝え、
孫権を助けてやってほしいと訴えました。
それを聞いた周瑜は、孫権を補佐し、家臣として孫呉に命を捧げることを決意します。

その後、将軍たちをともなって孫権に忠誠を誓います。
この同じ場に文官たちの姿が見えないことが気がかりですが・・・。
今回はようやく、孫呉がクローズアップされた回となりました。


【このひとに注目!】
◆孫策(そんさく) 175~200年
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今回、刺客に襲われた傷がもとで無念の死をとげてしまった孫策。第15回で袁術のもとから独立した後は、2回ほどチラッと登場しただけで、これまで何をしていたか、よく掴めなかった視聴者もおられるかもしれない。ドラマの展開上、どうしても曹操や劉備が中心となるし、孫呉勢力は出番が少なくなりがちなので、簡単に解説しておきたい。
袁術から独立した孫策は、父の旧臣らと1000人の兵をつれ、故郷の呉郡へ戻って勢力を拡大。揚州刺史であった劉繇(りゅうよう)、呉郡太守であった許貢(きょこう)、会稽郡の王朗や厳白虎、廬江の劉勲らを打ち破り、わずか6年で江東一帯を制覇。あまりにも戦いに強いので「小覇王」と呼ばれた(覇王とは項羽のこと)。さらには中原進出をめざそうと、曹操軍が袁紹軍と戦っている(官渡の戦い)隙を狙い、許都攻略を計画していた。しかし、その矢先に暗殺されてしまったのだ。
孫策を襲撃したのは、孫策にかつて処刑された許貢の部下たちである。一説によれば、彼らをけしかけたのは、今は曹操の部下として徐州を守る陳登ともいわれる。あの呂布を罠にはめて滅亡に追い込んだ陳登は、孫策と曹操の領地の境にいて、これをよく守り通していた。無敵の孫策が唯一、苦戦した相手といってよい。



sangokushi_tv at 17:55コメント(5)トラックバック(0) 
第31話~第35話 

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コメント一覧

1. Posted by のーちゃん   2012年05月17日 19:26
哲舟さま 今日の「あのシーンを書かないの?と言われて」申し訳ないとか、すみませんとか、とんでもないです。お好きなように書いてください。こうして解説してくださるだけでほんとにありがたいですよ。私も三国志初心者ですが、哲舟さんがいなかったら、何が何だかわからないでしょう。見終えて、すぐこのブログを読みます。俳優さんもうまいし、ロケ地も素晴らしいし、堪能しています。曹操がなんといってもいいですね。なんであんなに悪者にされるんでしょうか。とにかく今日は、どうしても励ましたくてメールしました。ほんとにありがとうございます。
2. Posted by yamaneko5646   2012年05月17日 20:48
こんばんは=!

「三顧の礼」が 美しくも丁寧に 描かれた 分けがわかりました。

目上の人が 格下の人のもとに、三度も出向いて お願いする。事とは 知らずに 知ったつもりになるところでしたよ!

かくも 奥深い言葉と知って 「実にこのブログの価値は 10万の兵に値する!」と、曹操流に。

ということで、劉備さんは 孔明さんをスカウト出来、ほっとしました。

一日一事!記憶することを 目標に
頑張ります!

話は 逸れますが、ミュージックが胸に 沁みますね。
3. Posted by ろみ   2012年05月17日 23:24
毎日、哲舟さんのブログを楽しみにしてます。
前にも書きましたがおかげ様でだいぶ三国志にも詳しくなってきました。
今日は劉備と孔明が手をつないでる姿をみてほのぼのした気持ちになりました
4. Posted by しろ   2012年05月18日 08:26
哲舟さんはじめまして*

いつもブログ拝見させていただいてます!ドラマだけ見ていても理解力がないのでたまに?になりますがこのブログのお陰で三国志がより楽しく理解できます(^-^)

ありがとうございます(^-^)/
5. Posted by 地味ヰ   2012年09月06日 19:10
5 今からでもコメントできるのでしょうか、とりあえず送信してみましょう。
二度目に登場の孔明ちゃん、いきなりヒゲが伸びてますが気にしないことにします。初登場のヒゲの短いお顔が初々しくてたまりません。若い頃の孔明ちゃんは本当に綺麗ですね。
衣装もひとりだけやたら華美だし、ひょっとして華やかさ担当キャラ?劉備勢力って女っ気ほぼ0だもんなぁ。

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