2012年05月25日

第40話 「草船で矢を借りる」

こんばんは! ストーリー・テラーの哲舟です。
嗚呼早くも、今週も金曜日が来てしまいましたね・・・(笑)。

さて、曹操の密偵である蒋幹(しょうかん)を、
自分の寝所へ招き入れた後、すっかり眠りこけてしまった都督、周瑜(しゅうゆ)。

その隙に、周瑜の床几に置いてある書簡を盗み見る蒋幹・・・。
ここは、なんだか蒋幹の気持になって、
一緒にビクビクしてしまうのは、何故でしょうか(笑)。
そのうち、なにかとんでもない内容のものを発見したらしく、その1通を懐に入れます。

周瑜の様子を見ると、「この数日のうちに曹操の首をムニャムニャ・・・」
相変わらず寝言を繰り返しています。

そこへ部下の呂蒙(りょもう)が起こしに来ますが、
まだ酒の酔いが醒めず、気だるい様子。

寝たふりをして、周瑜と呂蒙の会話に聞き入る蒋幹。
周瑜もまた、二度寝に入りましたが、密偵として忍び込んでいる蒋幹は
眠れるはずもなく、ひそかに周瑜の陣幕を抜けだして帰ろうとします。

去り際に、朝のお散歩中(?)の小喬に見つかってしまいますが、
なんとか言い逃れ、蒋幹は赤壁の周瑜陣を脱出。

そのとき、岸辺には計略の成功を確信し、
去りゆく蒋幹の舟を見送る、周瑜の姿がありました。

対岸の烏林(うりん)にある、曹操の陣営へ戻った蒋幹。
周瑜の説得は不首尾に終わりましたが、
代わりに、重要な密書を手に入れたといって、曹操に献じます。

そう、周瑜の机に置いてあった例の書簡です。

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ちなみに当時、まだ紙は発明されて間もなく、大変貴重なものでしたから、
手紙は絹の布または、木簡や竹簡と呼ばれる、薄く切った木や竹のヘラを、
紐で編んだものに書いており、これを「書簡」と呼んでいました。

得意げに、内容を読み上げる蒋幹。
一読した曹操は、声色を変えて蔡瑁と張允(ちょういん)を呼びつけます。

書簡に書かれていた内容は、蔡瑁と張允が曹操を裏切り、
周瑜に寝返ることを約束するというものでした。

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「これは陰謀、濡れ衣です!」と釈明する両将ですが、
曹操は聞く耳をもたず、ただちに刑場へ引き出し、首を打たせてしまいました・・・。
あの劉備を悩ませた蔡瑁、あわれな最期です。

曹操はその瞬間、「しまった・・・周瑜に謀られた」と悟ります。

そう。周瑜はあらかじめ偽の書簡を作って机の上に置いておき、
蒋幹に持ち帰らせたというわけです。

曹操は珍しく我を忘れ、よく確認もせずに処刑を命じてしまったことを悔いますが、
時すでに遅く、両将は首と胴が離れてしまっています・・・。
しかし、それを部下に気取られまいといっさい顔には出さず、
于禁(うきん)と、毛玠(もうかい)の2将を呼び、新たな水軍都督に任じます。
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多少の水軍指揮の心得がある于禁(右の人物)は、さっそく策を献じます。
兵の船酔いを防ぐため、船と船を鉄の鎖で結び、
あたかも、ひとつの陸地のようにすること
を提案しました。

原作をご存知の方は、「アレッ?」と思われるかもしれません。
この、船同士を鉄の鎖でつなぐ策は、原作「三国志演義」では、
龐統(ほうとう)が曹操の陣営に来て献策するものだからです。

本作では、まだ龐統(ほうとう)は登場せず、
一足早く、于禁が思いつき、曹操がそれを実行するという流れになっていますね。
実は、この「鎖」が戦争の勝敗の行方を左右することになるので、
覚えておいていただきたいと思います。

その頃、周瑜の陣営には・・・。
計略が成功し、蔡瑁と張允が処刑されたという知らせが入ります。
魯粛は、厄介な蔡瑁らを始末できたことを喜び、周瑜の計略を「神業」と絶賛。
たしかに恐るべし、周瑜の知謀。
この時点で、計略を知っていたのは魯粛と小喬、
あらかじめ計略に参加していた呂蒙ぐらいでしょう。

しかし、もうひとり居ました。孔明です。
孔明が、すべてを察していたことを
魯粛から聞かされるや、周瑜はにわかに顔色を変えます。
プライドの高い周瑜は、自分の策をすべて孔明が看破していることが許せないのです。

孔明の言葉は、すべて魯粛を通じて伝わっていますから、
「魯粛がいちいち周瑜にバラさなければいいのに・・・」と思われる方も
いるかもしれませんが、魯粛とてつらい立場。

いかに穏便に事を進めるためといっても、
上官である周瑜に嘘をつくわけにはいきません。

孔明も孔明で、黙っていればいいのですが、
魯粛にだけは心を許しているため、なんでも喋りたくなってしまうようです。

周瑜と孔明・・・。
「希代の英才2人に挟まれて、私はどうしたらいいのだ」
板ばさみとなった魯粛は、憎しみ合う両雄の狭間で苦悩するのです。

周瑜はある日、軍議の席に孔明を招き、また無理難題を押し付けます。

水上戦で一番必要となる武器である
「矢」を10万本、10日のうちに用意してほしい、と頼んだのです。
あまりに無茶な要求に対し、魯粛をはじめ、居並ぶ諸将は息を呑みます。

さすがの孔明も、10万本を10日で用意するなど、
誰もが不可能だと思うのですが、孔明は言ってのけます。

「10日後では戦機を逸します。3日のうちに用意します」と。
またもや驚く諸将。
「無理に決まっている」と、周瑜は誓約書に署名させ、ほくそ笑みます。
孔明が失敗すれば、軍令にかこつけて処罰できるからです。
実は周瑜、ここに至っては孔明を殺す気はなく、
恥をかかせたいだけだと、後で小喬にもらします。
確かに孔明を殺してしまえば、劉備との同盟はご破算となり、
孫呉が危機に陥る可能性もあるからでしょう。

宿舎に戻った孔明。そこへ心配した魯粛が訪ねてきます。
孔明は、周瑜にいろいろとしゃべってしまった魯粛を、遠まわしに批難。
弱りきる魯粛に対し、それを許す交換条件として、
20艘の舟にそれぞれ30人の兵、藁人形をそれぞれ千体ずつ
急ぎ用意するように頼みました。
さて、孔明はいかにして矢を用意するのか・・・。

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3日目の夜、空を霧が覆うなか、孔明はわずかな兵と藁人形を積んだ舟を漕ぎ出し、
長江の北・烏林へ向かいました。これがタイトルの「草船」のことですね。

魯粛も一緒です。ともに茶を飲みながら、曹操の水塞をめざします。
一応申し述べますが、当時、お茶はかなりの高級品。

庶民にはなかなか手の届かないものでありまして、
「喫茶」という習慣は、この後漢から始まったとされ、
なかなか贅沢なものだったのですね。
だからこそ、孔明たちも割と嬉しそうな顔をして茶を飲んでいるのかもしれません。


孔明は水塞に近づくと錨を下ろさせ、兵に陣太鼓を叩かせ、
喚声を上げさせて奇襲を装いました。

これでは曹操軍が応戦してくる!と、慌てる魯粛を孔明はなだめて座らせます。
はたして孔明の読みどおり、曹操は霧で視界が悪いため、
自陣からひたすら矢を射かけて敵を追い払うよう于禁に命じました。
用心深い曹操が相手だからこそ、有効な戦術かもしれません。

大量に降り注ぐ矢は、満載した藁人形に
次々と刺さっていき、たちまち船の片側半分を覆ってしまいました。
兵の報告を受けた孔明は、今度は反対側にも矢が刺さるように船を反転させます。
ここまで、ずっと不審を抱いていた魯粛ですが、やっと事態を飲み込みました。

「草船で矢を借りる」の計略、ピタッと決まりました。
夜明けに陣へ戻り、船に刺さっていた矢を数えさせると12万本にも達していました。

霧が出ることを事前に調査し、見事に矢を集めてみせた孔明に、魯粛は改めて感服。
さすがに周瑜も、この神業に感嘆するほかはありません。

魯粛は、周瑜があまりに孔明を追い詰めたため、
彼は危険を冒して矢を集めたのです、とたしなめます。
周瑜は反省し、孔明の宿舎へ出向いて、素直に礼を言いに行くことにしました。

ようやく、笑顔で茶を飲む2人・・・。その席で、周瑜は孔明に戦法の相談をします。
水上戦、将兵の質、士気の面で優位に立ったとはいえ、
曹操軍は80万、孫・劉連合軍はわずか5万。

これに勝つには、どんな戦法が一番有効か。

2人は、ともにある戦法を思いついたのですが、
互いに手の平にそれを書いて見せ合うことにします。
素直に言わないところが、またこの2人は心憎い関係・・・(笑)。

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そして、2人が出した答えは、ともに「火」の一字
「火攻め」という意味です。これには2人とも声を上げて笑い合います。

2人が、陣中で初めて心を通わせた瞬間といえましょう。
まさか・・・これも孔明の計算?と勘ぐってしまいそうになりますが、
いや、ここは素直に受け止めておきたいです。

まあ、この2人が本当に心から協力しあえば、
最強タッグになれるかもしれないんですが。

そこへ、曹操の陣営から、蔡中と蔡和という2人の男が
周瑜を訪ねてきたとの報告が入りました。
2人は、曹操に処刑された蔡瑁の弟です。
周瑜は待ちかねていたかのように、彼らを迎え入れに行きます。

【このひとに注目!】
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◆蒋幹(しょうかん) 生没年不詳
周瑜の旧友。現在は曹操に仕えており、その許しを得て周瑜の陣中へ密偵として乗り込むが、逆に周瑜に騙され、貴重な人材であった蔡瑁らの処刑を招いてしまった。後にそれを知った曹丕に斬られた模様。
『正史』の記録によれば、揚州九江郡(現在の江西省九江市)の出身。優れた振る舞いと弁舌によって曹操に招聘され、仕官した。演義同様、曹操に周瑜を引き抜くよう命じられたが、やはり不首尾に終わった。周瑜は蒋幹の真の目的を知りつつも厚くもてなしたうえで、孫権への忠誠心を語った。蒋幹はその心に打たれ、何もいわずに立ち去ったという。

では皆さん、また来週お会いしましょう!


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第36話~第40話 

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コメント一覧

1. Posted by yamaneko5646   2012年05月25日 20:56
こんばんは=!

「草船で矢を借りる」という計略。

孔明は 本当に知恵者ですねえ!!!

魯粛と喫茶しながら 余裕綽々。

魯粛の 苦悩も和らいで良かった!

今日も 魯粛さんに 心引かれるのでした。

とても 丁寧に描かれていましたので
じっくり楽しみ!

あ~!という間にジャ~ン!でした。
2. Posted by 僭称二代目人生幸朗   2012年05月26日 09:17
 また、しょうもないことを申してお目をけがします。

 周瑜役、前の「三国演義」の役者さんは、海江田万里氏みたいでしたが、この「三國」の役者さんは、むしろ日本に来てもらって信長を演じてもらいたいほど。

 孔明役の俳優も知性十分に感じられ、いやあ素晴らしい。

 好々爺然とした魯粛さんもいい。
3. Posted by ろみ   2012年05月26日 14:34
大喬役をされていた女優さんがとっても綺麗で私の好きな顔でしたので、できればこちらの女優さんに小喬を演じてもらい周瑜と寄り添ってる姿が観たかったです~~~
大喬役の女優さんも綺麗ですけどね
変な感想ですみません
月曜日が楽しみです
4. Posted by ろみ   2012年05月26日 22:28
3のろみです
最後に書き間違えてました
>大喬役の女優さんも綺麗ですけどね
じゃなく小喬役の女優さんも綺麗ですけどねの書き間違えでした
私が大喬役の女優さんが好きって事が書きたかったんです~~
くだらない書き込みばかりで毎回すみません
5. Posted by ずぅ   2012年05月27日 11:40
有名な場面が見られてよかったです(^.^)

蒋幹は死んでしまったのですね・・・

お茶はお酒よりも貴重だったのかな。

いつも勉強になります(^.^)
6. Posted by もも   2012年05月27日 15:50
哲舟さんのブログは復習、予習はガイドブック上下です。

母には毎朝その日のあらすじを電話連絡(笑)
しかしこの回はあえてあらすじ無しで…。

期待通りといいましょうか、期待以上にといいましょうか、電話の向こうで大笑いしたと言ってました。

ロシュクも相当笑ってましたもんね。

孔明お見事!
8. Posted by 怪盗おばば   2012年08月26日 07:57
4 諸葛亮、さすがですね!!
今回ばかりは、周瑜も孔明を認め、素直に礼を言うため孔明の元に行ったところは、良かった。

そして、2人が心通い合ったシーンも見れ、
どうして、もっと協力できまいのか・・・
ほんとに惜しいですね。

主君への忠義心が、強いお互い故なんですね。
同じ主君であったなら、良き友になってた?
・・・やっぱり、ダメかな。

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