2012年07月13日

第74話 「七歩の詩」

皆さん、こんばんは!哲舟です。

関羽、曹操の死をもって第5部「奸雄終命」が終わり、
今日から、第6部「天下三分」に入って行きます。

その2人を贔屓していた方は、興味がやや薄れてしまうかもしれませんが
三国志は、これからが本番といっても過言ではありません。
この先もどうかお見捨てなく、お付き合いくださると嬉しいです(笑)。

さて、曹操の葬儀が行われている裏では、
次の王位をめぐっての後継者争いが繰り広げられていました。

曹操は曹丕を後継者にすると言ってなくなりましたが、
そのとき、枕もとにいたのは曹丕だけで、
兄弟である曹彰、曹植は遠くに赴任しているため遺言を直接聞いていません。

危惧しているところへ、曹丕が一番恐れている曹彰が、
大軍を率いて許都へ乗り込んできました。

074-02+1
慌てる曹丕に、司馬懿は
自分が曹彰を説き伏せるといってその軍営に出向きます。

自分こそが後継者である、曹丕が勝手な真似をすれば、
許都を落す、と息巻く曹彰に対し、司馬懿は得意の舌鋒で対抗。

「誰が王位を得るかは天意であり、争うものではありません。
 今、内乱が起これば先王(曹操)の労苦は無に帰します」

舌先で曹彰を説得した司馬懿、
みごと、軍権を曹丕に譲らせることに成功します。
海千山千の司馬懿の前では、
青二才の猛将曹彰など相手にもなりませんでした。

曹丕は、今回はもちろんですが、司馬懿のこれまでの功績に感謝し、
望みどおりの官職を授けようとしますが、
司馬懿は「賢者は実を求め、愚者は名を争う」といって、
大尉、相国といった高い位に就くのを嫌い、いずれも固辞します。

074-01
弱った曹丕は、ひとりの美女を呼び寄せました。
司馬懿をして、「かの貂蝉(ちょうせん)も及ばぬ美しさ」と
目を見張るような美貌の持ち主。この美女は静姝(せいしゅ)といいます。
かつて、大将軍として朝廷に君臨した何進(かしん)の孫娘だそうです。

彼女を、曹丕は実の父同然ともいえる司馬懿に預けたいと言うのですが、
司馬懿は「これほどの美女は魏王のもとに置いておくほうが」と断ります。

曹丕は「いずれ父に献上するつもりでした。ぜひ先生のそばに」と勧めたため
司馬懿はそれを受け入れ、静姝を連れ帰って愛妾としました。

それからというもの、司馬懿は静姝を常にそばに置いて寵愛します。
人前で感情を表すことの少ない司馬懿が、
縫い物をする静姝の顔にじーっと見入って、息子と軍事の話をするときも
その後姿に見とれてしまうほどの寵愛ぶりを示します。

ちなみに、この静姝は、正史にはもちろん、
原作小説「三国志演義」にも登場しない本作オリジナルの人物です。
この先も登場するので、顔をよく覚えていて欲しいと思います。
もっとも、これだけの美女、一度見たら忘れないでしょうが・・・(笑)。

さて、もうひとり、曹丕が恐れる相手は曹植です。
父以上の詩文の才能に恵まれ、名声も高い曹植・・・。
彼は曹丕の呼び出しにも応じないため、
「反逆罪」を口実に殺してしまおうと考えます。

臨葘侯府(りんしこうふ)で、毎日、詩作と酒に溺れている曹植を、
許都へ連行するため、許褚(きょちょ)が赴きます。

074-10
曹植も、許褚が来た目的を察しており「殺してみよ」と怒鳴りつけます。
魏王の弟である曹植に、さすがの許褚も手を下せません。

「私が死んでも、詩は永久にかぐわしい。
 人生など一日長く生きようと、一日早く死のうと変わりない」
曹植は、引き留める近習にそういって、許都へ向かいます。

074-07
卞氏(べんし)が、ここで初登場します。
彼女は曹操の正妻で、曹丕・曹植・曹彰・曹熊の実母です。
もっと早くに登場しても良かった気がしますが・・・。

卞氏は、曹丕が曹植を殺そうとしている意図を見抜き、叱りつけると、
曹植を殺さないよう嘆願。曹丕も、孫権同様母に頭が上がらず、
「それは誤解です」と否定。母の前ではひたすら孝行息子を演じます。

074-15
母が去ったあと、「誰がしゃべったのだ」と、裏の顔を見せる曹丕。
曹丕は、もちろん曹植を殺すつもりでしたが、
母の必死の嘆願を聞き入れないわけにもいかず、
条件次第で曹植を生かしてやろうと考えます。

074-08
宮城に入ってきた曹植を迎えた曹丕は、ある課題を出します。
それは、「七歩あるく間に詩をつくれ」という無理難題でした。

というのも、曹植自身が以前から「七歩の間に詩が作れる」と
豪語していたからなのですが・・・。

曹丕は詩の題を、「兄弟」に決めました。
ただし、その詩の中に兄弟の二文字を入れないことを条件にします。

しかし、曹植は、少しも慌てず「御意」と答え、歩みを始めました。
華歆が、その歩数を声に出して数えるので、場に緊張が走ります・・・。
曹植は、6歩目を歩き終わったところで立ち止まって吟じ始めました。

「豆を煮るに、豆がらを燃やさば、豆は釜の中にありて泣く。
 もとは同じ根より生ぜしに、あい煮ること、なんぞはなはだ急なる」

豆を煮るために豆がらを燃やせば、
豆は釜の中で泣いているような音を立てる。
もともと一つの根から生じたものなのに、
なぜこのように酷くいたぶるのですか・・・

074-14
兄の曹丕と自分の今の身の上を、見事に七歩で表してみせた名詩、
途中から曹丕も落涙し、群臣は心から感じ入って耳を傾けます。
後世、詩聖のひとりに数えられる曹植の才能は確かなものでした。

大いに心を動かされた曹丕は立ちあがって弟の才能を称え、
その命を助け、降格処分に留めるのでした・・・。


◆本日は、公開コメント欄からいただいた皆さんからのご質問にお答えしたいと思います。すべての質問はカバーできていないかも知れず、手短で恐縮ですがご了承ください。(拍手欄からいただいたご質問は、非公開のため回答できません。申し訳ありませんが、ご質問のある方はコメント欄からお願い致します)

Q.第63話で賄賂を要求した門番さん、劉賢役など様々な場面で出てくる役者さんですよね?本当に何役もこなしていて、今では顔を見つける度に思わずクスリと笑っちゃいます。機会がありましたら、この一人数十役のエピソードを教えて下さい。宜しくお願いします。(ももりんさん)

A.このドラマ、結構役者の「つかい回し」をしているようです。中国では長編ドラマで時々、役者が変わることがあるのは知っていますが、今回のように一人で何役も演じるケースは私も知りませんでした。こういう使い方、日本のドラマなどでは見られませんよね。まあ、おそらく人件費削減のためでしょう。それ以上の詳しいことは、残念ながら分からないです。すみません・・・(笑)。

Q.68話「単刀会」で気になる場面がありました。許都で曹操、文武百官が宮城へ入るシーンで、「皇帝のめいにより丞相は剣を帯び履物のまま入朝す。くわえて名乗ること無用。」という人物が「孫乾」にしか見えないのですが。ここに孫乾が居るとも思えないし、そっくりなだけ?と混乱しています。(関々羽さん)

A.上の答えと同じく「役者の使い回し」ですね・・・。ちなみにこの人、第18話で呂布を処刑するときに号令する兵士の役もやっていました。孫乾は結構重要な役回りですし、特徴ある顔立ちの彼に何役も演じさせるのは、ちょっと理解に苦しみますよね・・・(笑)。

Q.第68話で呂蒙が魯粛の足を洗おうとしたけれど、なぜ拒否されたのでしょうか?(ヤッターさん)

A.足を洗うなど身の回りの世話をするのは、身分の低い使用人の役目なので、魯粛は副都督の呂蒙にそんな真似をさせたくなかったのだと思います。

Q.ドラマにでてくる広壮な殿舎・城塞などは、セットの様には見えません。紫禁城の一角や遺跡などを使って撮影しているのでしょうか。あるいは日本でもよくやっているように寺院などを利用しているのでしょうか。(僭称二代目人生幸朗さん)

A.中国には、日本の映画村のような時代劇のセットが組まれた広大な施設があり、そこで撮影が行われたようです。もちろん、本作のために大改造を加えて。また、宮殿に置かれた屏風や地図などは専門の画家が手作業で書いたものであるなど、小道具には徹底的にこだわったとか。戦場で戦う兵士は、延べ15万人を数えたそうです。彼らは現役の人民解放軍のため、民間人よりも安いギャラで使うことが出来たそうですが。総製作費25億円にも納得です。

Q.成都に玄徳さんと入城した孔明先生はいつもの綸巾をかぶっておらず冠をつけておられます。 そして・・・何故、三つ編み? 身分、職業等で髪形や冠にきまりごとがあるのでしょうか? それとも単にドラマ的なヴィジュアル重視、なのかしら? (ぴかさん)

A.おっしゃる通り、お色直し的な意図でそうなったのでしょう。上の問いの続きになりますが、主役級の役者の衣装は20着以上も用意されたそうなので、その一環だと思われます。あとは、まあ冠のほうが偉く見える効果もありますよね。

Q.よく話の中で出てくる「正史」と「演義」ってなんのことでしょう?もう呆れられてしまうような質問ですが、いつか教えていただけると助かります。(三国志初心者さん)

A. 4月にいただいていた質問ですが、回答が遅くなってすみません。これを説明するのには、とても数行では難しいので、しばらく避けておりました(笑)。簡単に解説しますと・・・。

<正史・三国志>後漢~三国時代の歴史書のこと。
中国の歴史家・陳寿(ちんじゅ)が、西暦280年代(3世紀!)に執筆・編纂した。「魏書」「蜀書」「呉書」の3篇に分かれ、それぞれの人物伝がつづられている。魏を正当な王朝としながらも、蜀・呉の人物伝も平等に書かれ、三国時代から間もない時代に書かれているため、良質な歴史書といわれる。
日本語訳で発売されているものでは、ちくま文庫の全8巻(正史 三国志)が読みやすい。ただ、小説ではなく、あくまで一人ひとりの伝記に過ぎないので注意。最近は、この正史をもとにした小説や漫画も多くなっている。

<演義>後漢~三国時代の歴史をもとにした、時代小説「三国志演義」のこと。
物語形式になっているので読みやすい。一般的に「三国志」といえば、こちらを指す。中国の明代(16世紀)に書かれ、日本にも江戸時代に輸入された。日本でもっとも有名な吉川英治の小説「三国志」や、横山光輝の漫画「三国志」なども「三国志演義」が原作となっている。このドラマの原作も同じ。
全体的な流れは正史に沿っているが、後漢末・三国時代を舞台とする民間伝承や、講談で広まった話をもとにしているため、フィクションが多い(諸葛亮の神がかった活躍、猛将同士の一騎打ちのほとんどがそう)。フィクション6割、史実4割といったところ。劉備と蜀漢を善玉、曹操と魏を悪役としているのも特徴といえる。
※もっと詳しく知りたい方は、検索して調べてみてください。 

では、皆さま。また来週月曜(祝日ですが放映・更新します)お会いしましょう!



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第71話~第75話 

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コメント一覧

1. Posted by yamaneko5646   2012年07月13日 19:54
こんばんは=!

週末ですね!
振り返れば ずいぶん長いお付き合いになりました。

ドラマ、ブログを楽しめて、他の人のコメントを読んで 感心したり!笑ったり!

こんなに 楽しい月日を過ごすのは 新鮮な 気がします。

「曹操薨去」は 時間がたつほどに、鮮やかな記憶になります。

もしかすると、ずーと消えないかも!

監督のねらい?

これからが 本当の三国志?

なんて すごいんでしょう!!
2. Posted by ももりん   2012年07月13日 20:46
5 役者の使いまわしについて質問した者です。
回答して下さってありがとうございました!!

最終回までにあと何回劉賢の顔が見られるでしょうか(笑)
楽しみにしていまーす。
3. Posted by ずぅ   2012年07月14日 00:15
曹植は詩歌に生き、
政治には興味なさそうに見えるのに、
何故、曹操の葬儀にはいかなかったのでしょうか・・・

それにしても静姝は美人ですね
司馬懿さんにはもったいない・・・
4. Posted by ヤッター   2012年07月14日 01:27
こんばんは。
おおっ!私の質問に答えてくださってどうもありがとうございます。
そうだったんですか!スッキリしました。
魯粛、優しいですね~。活躍をもっと見たかったです。
三国志の多くの人の死は謎に包まれてるのも不思議ですが、口封じの可能性がありそう?

昨日、頭痛がひどかったので、木簡で頭を叩く曹操に思わず共感しました…。
母はようやく、陸遜の名前を覚えたばかりです。
5. Posted by ぴか   2012年07月14日 08:32
 久々に台詞のある女性キャラが登場しましたね!
静珠さんはオリジナルキャラということですが
おやじだらけの「三國」、制作者サイドであまりのおやじ率の高さに
『たまにはカワイイ女の子がみたいぜ!』という
魂の渇望から生まれたキャラだったりして・・・邪推。
(登場のしかたにムリがある気が・・・)

に、しても全95話の長尺でこれほどに女性キャラが少なく
また『恋愛』がほとんど描かれないドラマも珍しいのではないでしょうか?


・・・曹操様、ついにお亡くなりに・・・
「ぶはははは」というちょっと下世話な笑い声が好きでした。
世にあまたある「三国志」譚で『悪役』として描かれることの多い曹操様ですが、
ただの『悪役』に覇業が成せるはずもなく
やはり不世出の大丈夫であった、と思うのです。

6. Posted by まさ   2012年07月14日 15:43
74話のタイトルの七歩の詩のシーンは感動しました。
曹植の詩を聞いて曹丕が涙流すシーンは観ている私も涙が出てきました。
曹操の子供として生まれて来なかったら兄弟仲良く暮らす事が出来たのでしょうね。
7. Posted by すいちゃん   2012年07月14日 19:09
放映最初の頃は、まあまあこんなものかと見ておりました。
それが、回が進むごとに、すっかり三国志ドラマの虜になってしまいました。
関羽、曹操が亡くなりもう尻すぼみかと思っていたら、これからが本番ですか。
それにしても静妹可愛いな。これから出演もおおくなると、また楽しみが増えました。
8. Posted by さなぼ   2012年07月14日 21:36
本日、たまたま第1回目を見ていました。
例の役者さん、ここにもいました。
退出する人に伝言する役で、あれ?この人って・・と疑問に思っていたところでした。
なるほど、一人何役もやっていらしたんですんね。納得です。

声優さんも結構同じ方がやっていらして、好きな声なのでエンドロールを見ては確認しています。
9. Posted by もも   2012年07月15日 01:06
ご贔屓さんが1人また1人といなくなっても哲舟ブログのファンは誰一人撤退しないですよ


それどころかこの物語とブログに終わりが来ないでと皆さん思ってるんじゃないかと想像します

10. Posted by 4度   2012年07月15日 09:33
曹植のあの詩は感動しました。思わず私も泣いてしまいました。さすが詩聖と言わるだけありますね。

ところで質問なんですが、曹植の降格処分というのは左遷されたということであっているのでしょうか?

三国志はこれから益々面白くなりそうですね!!
11. Posted by 関々羽   2012年07月17日 15:51
孫乾そくっりさん?の質問させてもらった者です。ご回答ありがとうございました!
12. Posted by 三国歴女   2012年07月18日 01:29
3 はじめまして、哲舟さん。
私も三国志毎回楽しみにしています。
三国演義を下敷きにしているので、正直、巍(漢字が変換されずすみません)の描かれかたに不満がありますが、俳優さんたちの熱演は素晴らしいですね。
だいたい的を得た配役だと思います。
私は曹一族にとても興味があり、曹ひ(漢字が変換されずすみません。)と曹植の関係も目が離せません。
曹一族が栄華を極めていくにつれ、幼少の頃はさぞかし仲良かったであろう、曹操の息子たちも曹操の後継者をめぐるそれぞれの側近達の争いに否応なく、本人達の意志とは関係なく巻き込まれていったのでしょうね。
曹植が曹ひに迫られて詠んだとされる「七歩の詩」は後世の人が作った可能性が高いようですが、明らかに、判官贔屓の感があります。曹ひを弟を虐げる悪人に仕立てたいらしいですね。
曹ひは彼を支持する群臣たちの手前、曹植に詰問せざる得なかったのでしょう。私は曹ひを伝えられるような、冷酷無慈悲な人物だとは思いません。政治手腕もあり、詩文の才能は弟には劣るが、優れた文人でした。ただ、正史には「度量が狭かったのが残念だ
」と記されていますが。
私は「七歩の詩」のあの兄弟の切迫感あるシーンがたまらなく好きです。史実でなかったとしても、兄弟が見せたあの熱い涙は立場を越えた兄弟の情が溢れています。
曹ひが植に「子建よ」と字(あざな)で呼びかけるシーンも好きです。永久愛蔵版ですね。
13. Posted by 三国の後人   2014年11月26日 11:12
5 もう二年も経っていましたけど、こんにちは。
僕は中国人だから、日本語がちょっとしか出来ませんが、すいません。
正直、我が国にでもここまで三国、なにせこのドラマをここまで解読した人があんまりいません。そして見解が実に素晴らしいです。本当に驚きました。
その「役者の使い回し」の問題ですが、それは確かに人件費の為です。中国では、名があるの役者なら人件費が凄く高いのため、あくまで主役だけに雇われる。そして、いわよる「群众演员」(一般民の役者)を使うの方が多い。この一般民の役者達は、金も貰えなく、ただの唯の昼飯のために参加し、そして一般的に兵士や、村人や、死体など名前もセリフもないの「貧乏役」が演りますが、もし監督とかに気に入ったなら、そのまま役者として出世するかも知りません。これは「混脸熟」(顔が覚えられるために働く)にも言う、人が多いの中国では、役者になりたいの人々が大勢やています。
そして「孫乾」は、確かに歴史として重要な人ですが、中国一般民が大分そんなにくわしくないのため(名前も知らないの方が多い)、「ちょっと気に入った」の一般民に演じられましたかも知りません。中国では、「三国」に対して、劉備、関羽、張飛、趙雲、黄忠、馬超、呂布、貂蝉、董卓、曹操、諸葛亮、周瑜以外誰も知らないの人が驚くほど多いです。これも「三国演义」の原因でしょう。

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