2012年07月19日

第78話 「劉備、呉を伐つ」

こんばんは!哲舟です。

関羽に続き、張飛をも失った劉備は、その霊前で呉を伐つことを誓います。
「寄るな。助けなどなくとも、朕(ちん)は、倒れなどせぬ!」
足元がふらつき、近習が助けようとしますが、そう言って制する劉備。

劉備は皇帝になったため、皇帝専用の一人称である「朕」を使っています。
今までは献帝だけが使っていましたよね。
ともに呂布に立ち向かった虎牢関、曹操軍を震え上がらせた長坂橋、
生死をともにすると誓い合った故郷の桃園・・・

張飛が活躍した数々の思い出が、劉備の頭をよぎっているようです。
ひどく慟哭する様をみて、貰い泣きする臣下たち。

劉備は、秦宓(しんふく)という文官に呉討伐の檄文を書かせようとしますが、
秦宓は必死で出兵を諫めたため、怒った劉備は彼を投獄してしまいます。
趙雲や孔明らも反対しますが、もはや劉備の憤りを止めることができません。
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劉備は生来、「超」がつくほど頑固な男。比較的柔軟性のある曹操、孫権とは逆です。
「こうだ」と決めたら、他の何を犠牲にしてでも押し通そうとするところがあります。

長坂の戦いでは妻子を置いて逃げ、趙雲をねぎらうために阿斗を放り出し、
ホウ統を迎えるために孫小妹の呼びかけを無視するなど、
とりわけ身内に対して厳しい対応をとることが多かったように思えます。

ただ、家臣に対して今回のような仕打ちをしたことは
ほとんどなかったはずで、珍しいケースといえます。

かつての袁紹(えんしょう)や、劉璋(りゅうしょう)の陰がよぎりますが・・・
この性格は彼の短所であり、長所でもあるといえましょう。

しかし、この絶対に曲がらない意志の強さがあればこそ、
一介の素浪人に近い身分から皇帝にまで
上り詰めることが出来たのも事実です。

蜀の中でも、呉討伐に賛成する勢力、反対する勢力とで
意見が分かれていたのですが・・・劉備は反対派を押し切り、
いよいよ呉討伐の兵をあげます。

討伐に従うは、死んだ関羽・張飛の息子、
関興(かんこう)、張苞(ちょうほう)をはじめ、
五虎将の生き残りである老将・黄忠、馬良(ばりょう)などでした。

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馬良は、以前関羽の軍師を務めていた人物なので、覚えている方は多いでしょう。
関羽が麦城に追い詰められたときにはぐれて行方不明になっていましたが
その後、無事に逃げ延びて成都へ戻ってきたようです。

この馬良にしても黄忠にしても荊州の出身者ですから、
今回の出陣にあたり、心中期するものがあるでしょう。

一方、出兵に反対した諸葛亮や趙雲は蜀に残り、留守を固めます。
劉備本人が「文武の要」と言った2人を置いていくことに、
一抹の不安を抱かずにはいられません・・・。

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もはや、諸葛亮(孔明)の言うことも劉備の耳には入りません。
孔明の憂鬱な表情は、漢中のときから晴れないままのようです・・・。
孔明は馬良に、戦場についたら地形と布陣図を届けるよう頼み、
万一のときに対応できるよう手配しました。

そんな孔明の心配をよそに、
「関羽・張飛の仇を討ち、荊州を再び我らの手に!」
との意気込みで進軍する蜀軍の士気は旺盛でした。

その兵力は、水陸あわせ、呉を大きく上回る70万にものぼります。

「赤壁の戦い」の曹操軍は80万と公称していましたが、それに迫る兵力です。
対する呉の兵力は詳しくは分かりません。

・・・そもそも、古代中国の戦争の兵力は、ほとんどが喧伝され広まったものが
記録されているだけで、どの程度実像を伝えているのか分かりません。
敵に脅威を与えるため、実数の10倍を公称する場合もあったというほどなので、
あまり鵜呑みにせず、参考程度だと思ってください。

かくして後世、「夷陵(いりょう)の戦い」と呼ばれる蜀と呉の大戦が始まりました。

孫権は、抗戦は避けられぬと見て、
荊州の入口にあたる秭帰(しき)城を守らせようと兵を出します。

孫権は迎撃軍を編成するため守将を募ります。
古参の将、程普が名乗りを挙げますが、
孫権はここは若い者に任せたいといいます。
しかし、蜀軍の勢いを恐れ、誰も名乗りを挙げません。
赤壁のときのように、得意の水上戦に持ち込めれば、
呉軍にも勝機がありますが、今回は陸と河と両方が戦場です。
大半の者は、陸戦では漢中で魏にも勝利した
百戦錬磨の蜀軍に分があるとみています。

「かつて、周瑜や魯粛は5万の兵で曹操軍83万を破ったのだぞ」
孫権がため息をつくと、孫桓(そんかん)という者が名乗りをあげます。

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孫権とは直接血はつながっていませんが、孫一族のひとりで
勇猛さを知られる人物です。

孫権は5万の兵を秭帰城に派遣し防戦にあたらせます。
彼のとった作戦は、1ヶ月持ちこたえよ、というもの。
1ヶ月持ちこたえれば、さしもの蜀軍も疲弊し、兵糧も続かなくなるはずで、
その機に乗じて反撃に転じるという持久戦でした。

一方で、蜀軍の勢いを恐れた孫権は、張飛を殺した下手人として捕らえていた
張達と范彊(はんきょう)を差し出し、戦意をくじこうとしますが、
劉備は2人を斬るばかりではなく孫権がよこした使者をも斬り、
関羽・張飛の霊に捧げてしまいました。

古来、互いの使者は斬らないのが暗黙のルールでしたが、
劉備はそれを破って並々ならぬ戦意を内外に知らしめたのです。

秭帰城へ攻めかかる蜀軍。
そのすさまじい攻撃に、たちまち呉軍は劣勢に陥り、
孫桓の奮戦もむなしく、わずか三刻(2時間足らず)で攻め落としてしまいます。

その後も蜀軍は、劉備の闘志そのままに快進撃を見せます。まさに連戦連勝。

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とくに父の無念を晴らそうとする張苞、関興の活躍はめざましいものがありました。

窮した孫権は、諸葛瑾(しょかつきん)の勧めで
かつて劉備に嫁いだ孫小妹(そん・しょうめい)を再度劉備のもとへやり、
荊州三郡を引き換えに和平を提案しようとします。

それを聞いた小妹が「はい参ります」と、
すんなり承知できるはずもありません。
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第65話以来、久しぶりに登場した小妹。
少し、大人っぽくなったようにも見えます。

母の呉国太も、変わりなくご健在のようです。

呉国太は呉の平和を保つため、孫権の策に賛同し、
小妹の輿入れを後押しします。

司馬懿の愛妾・静姝(せいしゅ)、劉協の妻・曹貴人、そして小妹・・・。
ここ数話は、全編通じてあまり出番がない美女たちが連続で登場し、
殺伐とした物語の中に花を添えてくれているようで、
これも監督の気配りだとしたら、素晴らしい限りです。

劉備と別れてから、すでに5年もの歳月が経過しています。
いまだ独り身でいるようですから、寂しい思いをしていたに違いありません。
(史実では、彼女が呉に帰ってからの動向は不明で、
 いつ亡くなったのかもわかりません)

小妹は当然、劉備にもう一度嫁ぐことなどできるはずがないと
拒絶しますが・・・。

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「おろかな兄を許せ」
そういって、去ろうとする孫権を小妹は呼び止め、
呉一国のためにもう一度身を捧げる決意をします。
和睦交渉の使者は、やはり諸葛瑾です。
しかし、呉の申し入れを劉備が一蹴します。

「時すでに遅し」

戦いは蜀軍有利に進んでおり、和睦の必要などないばかりか、
無理に離縁させておきながら再度の婚姻を持ちかけようなどとは
無礼にも程がある、というのが、劉備の言い分です。

078-09
喰い下がる諸葛瑾に対し、
劉備は「そなたが孔明の兄でなければ、斬り捨てているところだ」
と、かつての関羽と同じ言葉を諸葛瑾にぶつけます。
交渉決裂。もはや、昔のような孫・劉連盟は望むべくもないようです・・・。
 



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コメント一覧

1. Posted by 三国歴女   2012年07月19日 18:39
4 哲舟さん、お疲れさまでした。
ついに、劉備が呉討伐軍を起こしましたね…
私情としては分かりますが、一国の君主としては避けなければならない事態でした。民に労苦を強いることになります。民を大切にすることを信条にしてきた劉備にとってとても残念なことですね。
劉備は確かに頑固です。一人の人間であれば美点でしょうが…孔明も心労が絶えませんね。桃園義兄弟の3人の固い絆は不世出の英才孔明でさえ入りこめない聖域なんです。
蜀と呉が友好関係にあってこそ、北方の強国・巍(漢字が変換できずすみません)と渡りあえるのに…もう少し、大局を観るべきでした。
呉にとっても何で逆恨みされるのか!って状況ですね…
怒りで我を忘れている劉備。赤壁以来の国難に立たされた呉。
この局面を打開するのは、そう!あの人物・陸遜ですね。

2. Posted by yamaneko5646   2012年07月19日 20:46
こんばんは=!

涙!涙!の「劉備」。
どん底に落ちたときほど 笑う!「曹操」。

やはり 「曹操」の魅力が 勝ち!

素浪人に近い身分から皇帝にまで上り詰めた!
のですが、泣くし 怒るし 独断ですし
めちゃくちゃですね!

「孔明」「鞘雲」が 清清しい顔をみせてくれると ホットしますよ!

そして「孔明」は、主君の意思を支えることに徹する!
強い精神だと!
私は 心打たれます。

「馬良」が 無事で、「孔明」と連携することが嬉しい!

久しぶりの大掛かりな戦闘シーン!
見慣れたのでしょうか?
面白かったです!!
山から谷へ、、また 明日。

3. Posted by もみ   2012年07月19日 21:12
はじめまして。

いつも復習にブログを拝見させていただいております。
孫子兵法をみて、中国ドラマにハマりました。
三国志はもっと面白いです。

どちらのドラマも”復讐”というものがポイントにあるなぁとシミジミ感じております。

いきなりで失礼いたしました。
4. Posted by ずぅ   2012年07月20日 00:18
劉備の執念、恐るべしですね☆
使者まで切るという行為にでたのは驚きでした。
哲舟さんのおっしゃるように
仁に生きるだけではなく、「超頑固」が劉備の生き方なんですね

それにしても
縁者が人質になったり、困った場面になると使者に使われる諸葛瑾はかわいそうです・・・
5. Posted by 滋子   2012年07月22日 20:36
5 もみさんと同じく、孫子兵法(兵聖)で中国歴史ドラマにハマりました。三国志と同じく、いや、それ以上に秀逸の作品です。

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