2012年08月01日

第87話 「泣いて馬謖を斬る」

こんばんは!哲舟です。

雍州の小さな城、西城。
城門を開け放ち、望楼の上で悠然と琴を奏でる諸葛亮(孔明)。

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その情景を目前にした司馬懿(しばい)の大軍は、
動くことができずにいました。

司馬懿は琴の音に耳を澄ましたまま、命令を下しません。
孔明はただ、弦を弾き続けています。

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やがて司馬懿の子、司馬昭(しばしょう)は、
ハッタリだと思い、攻撃を父に勧めますが、司馬懿は許さず撤退を考えます。

司馬懿は、城内とその周りの山中に伏兵がいると疑い、
速やかに撤退を命じました。

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魏軍が見えなくなると、孔明は手を止め、
「天はわが軍を救いたもうた」と安堵します。

用心深く、慎重な性格の孔明が大胆な策を用いたので、
疑い深い司馬懿はそれを深読みし、兵を退いた。

敵の性格を利用した、乾坤一擲の策でしたが、
ひとまず蜀軍は命拾いし、撤退に成功するのです。

このあたり、城兵たちがもう少し安堵したり、
孔明に命を救われたことに感謝したりするシーンが
あっても良かったように思いました。

陣へ戻った司馬懿は、西城には老兵がわずかに
1000ほどいたに過ぎなかったと知らされ、
孔明との知恵比べに敗れたことで落胆の色を隠せませんでした。

蜀軍の将兵は孔明の知略や、魏延(ぎえん)の活躍によって
漢中へと撤退を終えていました。

ひとり、趙雲(ちょううん)だけが戻らないと知り、
安否が心配されましたが、趙雲は副将の鄧芝(とうし)を伴って
無事の帰還を果たしました。

すみません。わたくし以前、鄧芝は本作に登場しないと書きましたが・・・
ここに出てきましたね(笑)。まあ、使者として活躍するシーンはなく、
ホンのチョイ役に過ぎませんが。

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趙雲は老いてなお、しんがりを務め、敵将3人を討ち取って
味方を無事に撤退させるという活躍を見せたのです。
孔明は、褒美を与えようとしますが、趙雲は
「功なき者に報奨など無用です」とそれを辞退します。

孔明は、趙雲の帰還を大いに喜び、温かい言葉をかけましたが
それにも劣らぬ活躍をした魏延には、
簡単にねぎらいの言葉をかけただけでした。
そんな様子を、魏延本人も察して面白くなさそうに見ています。

このように、人材を贔屓するところがあったことは
孔明の欠点といえば欠点ではありますね。
本作では、孔明の長所ばかりでなく短所もこうして描いています。

まあ、魏延は己の功績や武勇を鼻にかける性格であり、
どちらかといえば張飛や関羽などに似たアクの強さがあります。

その時点で、孔明とはソリが合わないのは目に見えていますが・・・。
五虎将のうち4人が亡くなり、人材の乏しい蜀軍にあって、
魏延の軍事的才能と武勇は欠かせないために
孔明も一応、重用はしているのです。

そこへ、街亭で大敗した
馬謖(ばしょく)と王平(おうへい)の二将も帰還してきます。

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王平は、馬謖の軍令違反で敗れたにも関わらず、
みずからを罰して欲しいと願い出ます。

敗戦の責任のすべてが馬謖にあると知った孔明は、
王平を罰することはせず、続いて引き据えられてきた、
馬謖をきつく叱りつけます。

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馬謖は、みずから処罰を願い出ます。
副将の王平は、軍法を違えた罪で処刑すべきだと進言しますが、
趙雲や魏延らは馬謖の長年の功や得難い才能に免じて、
一命は助けるように願い出ました。

諸将に感謝しながらも、死罪を願い出る馬謖。
孔明は、昔から愛弟子として目をかけ、息子のように扱ってきました。
その彼の命は、いまや孔明の一存に委ねられています。

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孔明は命令を下します。
午の刻に刑を執行せよ、と・・・。

刑場へ引き出されていく馬謖に、魏延が酒をふるまいます。
馬謖はそれをひと息に飲みほし、蜀軍が大業を
成就せんことを祈り、跪きます。

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魏延の号令のもと、刀が振り下ろされ、
馬謖の首は落ちました。

孔明は全軍の規律を正し、示しをつけるため、
文字通り愛弟子を泣きながら斬らせたのです。

「泣いて馬謖を斬る」

このエピソードはもちろん「正史」にも記録があり、
馬謖は軍令違反はしたものの、有能で才ある者として描かれています。

この言葉、現代ではあまり使われなくなりましたが、
ひと昔前の日本では、会社などで、なにか不祥事などを起こして、
やむをえず処分された人物などがいた場合に、時おり使われたようです。

もし、あなたならば馬謖を斬るでしょうか?
それとも、人材を惜しんで一命を助けるでしょうか?

さて、馬謖を処罰しても、街亭というこの上ない要地を
失ったことには変わりありません。

敗北の責任は、全軍の責任者である自分にありとして、
孔明は、自らの進退を劉禅に問い、罷免を申し出ます。

孔明を罷免してしまえば、他に誰が全軍の指揮をとり、魏と戦うのか。
それに面食らった劉禅は李厳(りげん)と相談のうえ、
右将軍への降格に留め、軍権はそのままで北伐は続行するよう命じました。

いっぽう、司馬懿は曹叡(そうえい)に勝利をたたえられていました。
しかし、孔明を逃したことを咎められたうえに野心を疑われ、
軍権をはく奪されてしまいます。

おそらく、曹真(そうしん)たちの仕業だと思いますが、
曹叡のもとには、弾劾状が山ほど届けられていました。

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曹叡自身は司馬懿に褒美を与え、重用したいのですが、
諸官らの司馬懿に対する反発は根強く、かばい切れなかったのです。

司馬懿は、命だけはとりとめたことを感謝し、
曹叡から与えられた洛陽の屋敷に住むことになります。
おそらく、曹叡も臣下たちのあまりの讒言に疑心暗鬼になり、
司馬懿を目の届く範囲に置いて、監視したかったのでしょう。

司馬懿邸の周りは、近衛兵が取り囲んでいました。
これは軟禁であるとして、息子の司馬昭は悔しがりますが・・・
憤慨して曹叡の悪口を叫ぶ息子を、司馬懿は殴打します。

助け起こしにきた静姝(せいしゅ)を、司馬昭は突き飛ばしてしまいます。
司馬懿は、息子ではなく、愛妾の静姝のほうを大事そうに抱き締めるのでした。

しかし翌年、大司馬の曹休が、呉の陸遜との合戦(石亭の戦い)に大敗し、
亡くなったことで、司馬懿の運命が再び好転します。

司馬懿は曹叡の呼び出しを受けて参内しますが、
1年ですっかり体がなまってしまったようで、階段を上るのさえ一苦労。

曹叡は、呉との戦いで多くの水軍を失ったことを気に病み、
司馬懿に今後の対策を相談するために呼んだのです。

蜀の侵攻を防ぐため、陳倉(ちんそう)を守備するよう進言する司馬懿。
曹叡はそれを実行するため、司馬懿を派遣しようとしますが、
司馬懿は病のために出陣を断ります。
代わりに、郝昭(かくしょう)という有能な将軍を推挙しました。

そのころ、蜀では孔明が再び北伐の機会をうかがっていました。
曹休ひきいる魏軍が、陸遜に大敗した情報が届き、
その隙に乗じ、第二次北伐の準備を進めていたのです。

敗戦から1年が経ち、兵馬・兵糧とも再び充実してきました。
さて、次なる孔明の作戦は・・・?


【このひとに注目!】
3637-002
◆趙雲(ちょううん) 
字/子龍 ?~229年
蜀の先帝・劉備が任命した、五虎大将軍唯一の生き残りも、今回が最後の出番となってしまう。
「正史」では、原作小説に比べて活躍の場面は少ない。しかし、智勇に優れていたのは確かなようで、身長は8尺(約184cm)、姿や顔つきが際立って立派だったという記述がある。また「長坂坡の戦い」(208年)では劉備が曹操の大軍に追われて逃走したとき、阿斗(劉禅)を抱え甘夫人を保護したのも事実。「定軍山の戦い」では、危機に陥った黄忠を救出し、見事な撤退戦を演じた。このとき「空城の計」で魏軍を撤退させており、これが演義における孔明の「空城の計」のもとになったともいう。劉備から「子龍は一身これ胆(度胸の塊)なり」と賞賛された。
近年、趙雲が主演の映画が香港で制作され、2009年に日本公開された。アンディ・ラウ演じる趙雲もなかなかに魅力がある。DVD化されているので、ご興味のある方は、「三国志 アンディ・ラウ」で検索を。

sangokushi_tv at 17:55コメント(6) 
第86話~第90話 

コメント一覧

1. Posted by yamaneko5646   2012年08月01日 20:11
こんばんは=!

残り少なくなった 三国志に 付いていかねば!

「趙雲」が 今夜限りとは寂しいです。
「阿斗」を 体に縛り付けて戦い抜く 若き姿が 印象深いです。

「泣いて馬嘱を切る」は こういうことでしたか~!
耳慣れていますが、初めて意味がわかりました。

戦略を構想することと それを実行することの ギャップに 孔明は何度も苦しめられますね!

「孔明」の 涙に共感するyamanekoでした!

2. Posted by もも   2012年08月02日 00:23
いやぁ…泣けました

ここにきてこんな名場面を出されるとさすがに曹操ファンとしましても人気投票に一票入れざるを得ない

絵画のような空城の佇まい

2人にしか見えない戦場で命をすり減らし戦う孔明と司馬イ

そして馬謖の件…

思い出されるのは、赤壁の戦い。孔明が馬謖に戦況を問います。見事的確な返答を返す馬謖に『幼常立派になったな…』と嬉しそうに孔明が褒め、どや顔する馬謖

しかし“泣いて馬謖を斬らなければならなかった”孔明のリーダーとしての強い覚悟私は立派と思い支持する派です。

今回どの場面もグッときました

が一票は…もすこし考えてからに…なんたって曹操ファンなので(笑)


3. Posted by 翔   2012年08月02日 02:44
5 馬謖、ついに斬られてしまいました…
泣いて馬謖を斬る
孔明も苦渋の決断だったと思います。

確かに、愛弟子ですが、軍の決まりを周囲に示さなければいけない軍のトップとしての正確な決断であったことと思います。


趙雲…最期なんて悲しいです。
大好きな武将でした。老いてもなお、あんなにかっこいい趙雲。
若き日、長坂の戦いで白馬に跨り、阿斗を抱いて敵陣を駆け抜ける勇壮な姿を鮮明に思い出します。

思い出せば、趙雲は阿斗を守ってばかりでしたね(笑)

でも、それも十数年前の話。。。

誰でも、いつかは老いていくものなのですね。
第三者の視点から観ているからこそ、時代の流れを余計に感じてしまいます。

趙雲が見れなくなってしまうのはとても悲しいです。改めて、もうすぐ三国の歴史に幕が下りるのだと感じました。
4. Posted by すいちゃん   2012年08月02日 07:55
泣いて馬謖を切る。孔明の愛弟子を切る思いはいかばかりのことでしょう。
趙雲、最初ははいゆうの国分くんに似た俳優さんだと思っていましたが、関羽、張飛に引けを取らない猛将でした。これといった欠点もなく優れた部下と言えましょう。
5. Posted by まさ   2012年08月03日 15:00
空城の計は、ドラマで見ると何でひっかかるんだろうなあと素人目で思いましたが、孔明に匹敵するくらい能力をもったシバイはひっかかってしまうんでしょうね。
この辺りの心理戦は面白いですね。

それにしても孔明とシバイはお互いを認め合っている風でしたね。
この二人のライバル関係も面白いです。
6. Posted by ずぅ   2012年08月09日 23:20
まもなく三国志も終わり・・・
哲舟さんのブログも終わり・・・
さびしい・・・

泣いて馬謖を切る・・・
孔明、つらいでしょうねぇ~

功を立てても認められない・・・
司馬懿、つらいでしょうねぇ~
遅ればせながら、少しずつ録画を見ています。

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