第1話~第5話
2012年04月06日
(あらすじ)袁紹のもとに、孫堅軍が孤軍奮闘の末に敗れたという知らせが届く。その勢いで、董卓は西涼の大軍をみずから率いて出陣し、先手をつとめる呂布が次々と同盟軍の大将を斬り殺した。同盟軍の誰もが呂布を恐れ、打つ手がない中、張飛が雄叫びとともに単騎飛び出し、呂布に挑む。関羽、劉備もそれに続き、呂布を退けた後、各諸侯も勢いづいて進軍。董卓は形勢不利とみて、長安に拠点を移そうと献帝に迫る。(あらすじ、ここまで)
みなさん、今晩は!
『三国志 Three Kingdoms』ストーリー・テラーの哲舟です。
ドラマとともに、今週から始まった当ブログですが、
連日、たくさんのアクセスをいただきまして、大変感激しております!
さて、華雄を破ったまでは良かったのですが、続いて攻撃をしかけるチャンスで
連合軍は、もたつきます。盟主の袁紹以下の面々は連日宴会を開き、飲んでいるばかり。
ほとんどの諸侯は、この場に名を連ねていれば体面は保たれるわけですから、
無理はしようとしません。それどころか、味方の足を引っ張る将軍も出てくるのです。
はい、袁術ですね(笑)。
兵糧が届かず、士気の低下した孫堅軍はもちこたえられずに崩れてしまいました。
劉備は、ついに愛想を尽かし、連合軍の本陣を出てしまいました。
そうこうするうち、董卓が自ら出陣。
その先鋒として連合軍の前に現れたのが、
「人中の呂布、馬中の赤兎」と称された呂布その人。
後漢最強の猛将の登場とともに、世にいう『虎牢関の戦い』が幕をあけます。
「百騎もいりません、一騎で十分です!」と出撃した呂布。
たちまち3人の大将を倒したようですが、ここでは残念ながらその様子は描かれません。
孔融の配下、武安国が片腕を切り落とされて逃げるところとか、
ちょっと見てみたかったんですが・・・(笑)。

誰も恐れて手を出せないところへ・・・
劉備とともに野外へ出ていた張飛が飛びかかって、一騎打ちを開始!
張飛は、「三つの家の奴隷め!」と呂布を何度もののしります。
呂家に生まれながら主の丁原を殺し、
董卓に乗り換えた呂布の生き方が気に喰わない張飛。
張飛、やたら呂布の経歴に詳しいです(笑)。
まあ、面識のなかったはずの張飛にまで経歴が知られているあたり、
いかに当時、呂布の武名が天下に轟きわたっていたかが分かるというものですね。
さすがの張飛も、天下無双の呂布には単独では敵わず、ついに落馬してしまいます。
張飛あやうし。そこへ関羽が、さらに劉備が加わって、3対1の対決が始まります。
3人でかかっても良いのなら、最初から一騎打ちしなければいいのに・・・と、
敢えてお約束の突っ込みを入れさせていただきましょう。
さすがは呂布、3人がかりでも容易には討ち取れません。
しかし、3対1では分の悪さは否めないとみて撤退し、
それでようやく、連合軍が総攻撃を開始しました。
三国志演義における、序盤の戦争はこのように少数の将の活躍や、一騎打ちだけで
勝敗が左右される場面が目立ちますね。実際にはあり得ないことだと思いますが。
この事態に、董卓は洛陽を捨てて長安へと逃げることを決めます。
「民が死のうが生きようが、わしにはどうでもいいことだ」
董卓はそう言い切りました。ようやく暴君らしい振る舞いが目立ってきました。
ただ逃げるのではなく、献帝を無理やり引きずっていきます。
その際、洛陽市街を連合軍の拠点にされないよう、放火して逃げため、
400栄えた漢の都が、たちまち焦土と化してしまいました。
ここにいたっても、連合軍の盟主・袁紹は積極策を嫌うなか、
曹操と孫堅といった志のある将は追撃をかけようと出陣しますが・・・。
【このシーンに注目!】

やはり今回は、呂布と劉備三兄弟の戦闘シーンに尽きる。本作では、張飛も1対1では危うく、劉備も一度は突き殺される寸前まで行くなど、呂布の強さが際立つように描写されている。この戦いは三国志演義の名場面だが、もちろん正史にはない。そもそも3対1で、しかも馬上の戦いなど無理があるし、実際には成立しないはずのシーンを、どうやって実写化するのかと思ったが、みごとに迫力ある戦闘に仕上がっている。(正史における呂布の一騎打ちについては、また後日述べたい)
戦いの撮影には相当な苦労があったようで、呂布役の何潤東(ピーター・ホー)は、方天画戟の特訓を受けてから臨んだとか。「平地でやるのは問題ないのですが、馬上で扱うのには本当に苦労しました。3対1の戦いで、四方八方から攻撃が来るので、とくに大変でしたね。思った以上に気をつけることが多くて精神的に疲れました」と苦労話を語った。
【このひとに注目!】

劉備/于和偉(ユー・ホーウェイ)
従来、一番最初に登場する作品が多いなか、本作では曹操にやや遅れ、第3話から本格的に登場する劉備。寡黙で、最初はほとんど口を開かず伏目がちで、何を考えているか分からない不気味さを放っている。兵も官職もないが、とてつもない器と大志を秘めている、という難しい役どころだ。
聖人君子のようなキャラクターとして描かれることが多い劉備だが、張飛のような荒くれ者を従える親分としての威厳も持っていなければならないし、今回のように剣をとっても相当強いところを見せなければならない。こんな不思議な人物は、並の役者の演技ではつとまらないに違いない。本作で劉備を演じる于は、9人兄弟の母子家庭に生まれ、若いころは貧乏で、役者になってからも下積み生活が長かったという苦労人。劉備と境遇が重なることもあってか、好演につながっている。
次回、第6話の放映は4月9日(月)17:00~です。
ではみなさん、また週明けの月曜日、お会いしましょう!
よい週末をお過ごしください。再見。
みなさん、今晩は!
『三国志 Three Kingdoms』ストーリー・テラーの哲舟です。
ドラマとともに、今週から始まった当ブログですが、
連日、たくさんのアクセスをいただきまして、大変感激しております!
さて、華雄を破ったまでは良かったのですが、続いて攻撃をしかけるチャンスで
連合軍は、もたつきます。盟主の袁紹以下の面々は連日宴会を開き、飲んでいるばかり。
ほとんどの諸侯は、この場に名を連ねていれば体面は保たれるわけですから、
無理はしようとしません。それどころか、味方の足を引っ張る将軍も出てくるのです。
はい、袁術ですね(笑)。
兵糧が届かず、士気の低下した孫堅軍はもちこたえられずに崩れてしまいました。
劉備は、ついに愛想を尽かし、連合軍の本陣を出てしまいました。
そうこうするうち、董卓が自ら出陣。
その先鋒として連合軍の前に現れたのが、
「人中の呂布、馬中の赤兎」と称された呂布その人。
後漢最強の猛将の登場とともに、世にいう『虎牢関の戦い』が幕をあけます。
「百騎もいりません、一騎で十分です!」と出撃した呂布。
たちまち3人の大将を倒したようですが、ここでは残念ながらその様子は描かれません。
孔融の配下、武安国が片腕を切り落とされて逃げるところとか、
ちょっと見てみたかったんですが・・・(笑)。

誰も恐れて手を出せないところへ・・・
劉備とともに野外へ出ていた張飛が飛びかかって、一騎打ちを開始!
張飛は、「三つの家の奴隷め!」と呂布を何度もののしります。
呂家に生まれながら主の丁原を殺し、
董卓に乗り換えた呂布の生き方が気に喰わない張飛。
張飛、やたら呂布の経歴に詳しいです(笑)。
まあ、面識のなかったはずの張飛にまで経歴が知られているあたり、
いかに当時、呂布の武名が天下に轟きわたっていたかが分かるというものですね。
さすがの張飛も、天下無双の呂布には単独では敵わず、ついに落馬してしまいます。
張飛あやうし。そこへ関羽が、さらに劉備が加わって、3対1の対決が始まります。
3人でかかっても良いのなら、最初から一騎打ちしなければいいのに・・・と、
敢えてお約束の突っ込みを入れさせていただきましょう。
さすがは呂布、3人がかりでも容易には討ち取れません。
しかし、3対1では分の悪さは否めないとみて撤退し、
それでようやく、連合軍が総攻撃を開始しました。
三国志演義における、序盤の戦争はこのように少数の将の活躍や、一騎打ちだけで
勝敗が左右される場面が目立ちますね。実際にはあり得ないことだと思いますが。
この事態に、董卓は洛陽を捨てて長安へと逃げることを決めます。
「民が死のうが生きようが、わしにはどうでもいいことだ」
董卓はそう言い切りました。ようやく暴君らしい振る舞いが目立ってきました。
ただ逃げるのではなく、献帝を無理やり引きずっていきます。
その際、洛陽市街を連合軍の拠点にされないよう、放火して逃げため、
400栄えた漢の都が、たちまち焦土と化してしまいました。
ここにいたっても、連合軍の盟主・袁紹は積極策を嫌うなか、
曹操と孫堅といった志のある将は追撃をかけようと出陣しますが・・・。
【このシーンに注目!】

やはり今回は、呂布と劉備三兄弟の戦闘シーンに尽きる。本作では、張飛も1対1では危うく、劉備も一度は突き殺される寸前まで行くなど、呂布の強さが際立つように描写されている。この戦いは三国志演義の名場面だが、もちろん正史にはない。そもそも3対1で、しかも馬上の戦いなど無理があるし、実際には成立しないはずのシーンを、どうやって実写化するのかと思ったが、みごとに迫力ある戦闘に仕上がっている。(正史における呂布の一騎打ちについては、また後日述べたい)
戦いの撮影には相当な苦労があったようで、呂布役の何潤東(ピーター・ホー)は、方天画戟の特訓を受けてから臨んだとか。「平地でやるのは問題ないのですが、馬上で扱うのには本当に苦労しました。3対1の戦いで、四方八方から攻撃が来るので、とくに大変でしたね。思った以上に気をつけることが多くて精神的に疲れました」と苦労話を語った。
【このひとに注目!】

劉備/于和偉(ユー・ホーウェイ)
従来、一番最初に登場する作品が多いなか、本作では曹操にやや遅れ、第3話から本格的に登場する劉備。寡黙で、最初はほとんど口を開かず伏目がちで、何を考えているか分からない不気味さを放っている。兵も官職もないが、とてつもない器と大志を秘めている、という難しい役どころだ。
聖人君子のようなキャラクターとして描かれることが多い劉備だが、張飛のような荒くれ者を従える親分としての威厳も持っていなければならないし、今回のように剣をとっても相当強いところを見せなければならない。こんな不思議な人物は、並の役者の演技ではつとまらないに違いない。本作で劉備を演じる于は、9人兄弟の母子家庭に生まれ、若いころは貧乏で、役者になってからも下積み生活が長かったという苦労人。劉備と境遇が重なることもあってか、好演につながっている。
次回、第6話の放映は4月9日(月)17:00~です。
ではみなさん、また週明けの月曜日、お会いしましょう!
よい週末をお過ごしください。再見。
2012年04月05日
(あらすじ)曹操や袁紹が戦いの策を練っているあいだ、董卓軍の将・華雄は、連合軍の二人の大将をたちまち斬り殺した。打つ手がないなか、関羽が華雄に挑戦し、たちまち斬り殺したために諸侯の劉備たちを見る目が変わる。袁紹は、増設した19鎮将軍に劉備を任命。その後、曹操は劉備の陣営を訪ねるが、宴会の席で話すうち、天下や人生についての考え方に隔たりがあることを互いに知るのであった。(あらすじ、ここまで)
今晩は!
三国志のことなら何でも知っている・・・あいや、それは別の作品の台詞(笑)。
『三国志 Three Kingdoms』ストーリーテラーの哲舟です。
ついに、始まりましたね!なにがって、合戦ですよ。合戦!
ここまでの3話では、合戦シーンはダイジェストで流されただけで
具体的な戦闘の描写はありませんでしたからね。
ここで初めて軍と軍、武と武がぶつかり合う戦闘シーンが出てきたわけです。
この合戦は「汜水関の戦い」といいまして、洛陽へいたる第一の関門、
汜水関(しすいかん)まで進軍した連合軍の前に、
董卓軍の猛将・華雄が立ちはだかる・・・といった格好なのですが、
本作では華雄(かゆう)が、連合軍の本陣前まで来て、挑発するという形になっています。

この華雄という武将、個人的には大好きなんです。
まず、袁術の部下・兪渉(ゆしょう)、韓馥の部下・潘鳳(はんほう)といった
猛者を立て続けに斬った武勇。
本作では描かれませんが、原作では孫堅配下の祖茂も斬っています。
そして身の丈9尺(約2メートル)を誇る堂々とした体躯、
連合軍がぶつかる最初の「壁」にふさわしい風格をもった豪傑です。
むかしのテレビゲーム風にいえば、「2面のボス」という感じでしょうかね。
なぜ2面なのかといいますと、「1面のボス」って大抵あんまり強くなくて、
初心者でもけっこう簡単に勝てるように作られていませんでしたか?
しかし、2面のボスは結構強くて、初心者が大抵は、
最初につまずくように作ってあることが多いから、
華雄=連合軍にとっての2面のボスなんです。
本作には出てきませんが、「三国志演義」では黄巾賊の大将・程遠志と、鄧茂(とうも)が
関羽と張飛に最初に斬り殺される役目を負っています。
まあ、これが「1面のボス」みたいな扱いといえましょう。
そういえば、その2人が本当に1面のボスだった三国志のアクションゲームが
やはり昔、ありましたね。(知ってる人いるのかな・・・)
話がそれすぎましたが、その華雄も関羽には太刀打ちできず、あっさり斬られます。
本作の関羽が、ここに晴れてデビュー戦を飾ったわけですね。
まあ、華雄の奮戦も、所詮は関羽の強さを引き立てるために過ぎないものなのですが、
演義を原作とした作品では関羽の強さは神の域ですから、仕方ありません。
史実では、華雄は孫堅軍との戦いで戦死した、とあるだけで、
いいところがありませんでしたから、演義で扱いがマシになった人には違いないですね。

関羽が戻ってきたとき、曹操が与えようとした酒が、まだ温かそうだった描写がありますが、
本作の関羽は、それを受け取りません。曹操も渡そうとしていませんでしたね。
ここは、豪傑らしく、グイッと飲み干して欲しかったように思います。
「横山光輝・三国志」では、関羽は出陣前に堂々と酒をあおって出撃し、
戻ってきてから酔いが回るという描写だったことを思い出します。
連合軍は、勢いを得て総攻撃に移るわけですが、ことはそう順調にはいかないんです。
先鋒をつとめる孫堅軍に、兵糧係の袁術が兵糧を送らないという馬鹿をやります。
そう。他の軍勢に、手柄を立てさせないように、です。
組織の中には必ずいますね、ヒトの足を引っ張る奴。
まったく、袁術という人は、どの作品を見てもいい所が見当たらなくて困ります(笑)。
そのため、飢えに苦しむ孫堅軍は、徐々に苦境に陥っていきます・・・。
さあ、孫堅軍はこれを脱することができるのでしょうか?
【このシーンに注目!】

諸将が劉備三兄弟を蔑んだ目で見るなか、ひとり彼らの才覚を見抜いた曹操。戦の合間に、曹仁をともなって劉備の陣営を訪ねる。人材コレクターの曹操としては、劉備たちに自分の考えをプレゼンし、3人を自分の部下にしてしまおうとの腹づもり。しかし、劉備と酒を酌み交わすうち、考え方や価値観の違いが明らかになる。それに、劉備は人の下で甘んじるような器ではないと知り、さすがの曹操もひとまずは、あきらめるしかなかったようだ。
その間、曹操に従ってきた曹仁(写真・右)は、関羽・張飛の2人と酒を酌み交わしていた。その場面、直接は描かれなかったが、曹仁にとって有意義な時間だった模様。このシーン全般が本作のオリジナルだが、3人の間でどんな会話が交わされたのか、ぜひ観てみたかった。
【このひとに注目!】

李儒(りじゅ)
董卓の参謀。孫堅を懐柔しようと縁談をもちかけてくるが、幼い孫権に魂胆を見破られ、そそくさと退散する。ドラマでは、あまり目立つ場面はないが、董卓が権力者に上りつめるまでの間、数々の建策をしてきたことだろう。チョイ役ながら、小悪党というか人の良さそうな顔が印象的。
李儒もなかなかの切れ者で、王允のしかけた「連環の計」を見破り、呂布との対立をやめるよう董卓を諭したが、聞き入れられず。原作・三国志演義では、董卓が暗殺されたときに捕われて処刑される。史実では処刑されずに生き延びたようで、その違いが興味深い。
今晩は!
三国志のことなら何でも知っている・・・あいや、それは別の作品の台詞(笑)。
『三国志 Three Kingdoms』ストーリーテラーの哲舟です。
ついに、始まりましたね!なにがって、合戦ですよ。合戦!
ここまでの3話では、合戦シーンはダイジェストで流されただけで
具体的な戦闘の描写はありませんでしたからね。
ここで初めて軍と軍、武と武がぶつかり合う戦闘シーンが出てきたわけです。
この合戦は「汜水関の戦い」といいまして、洛陽へいたる第一の関門、
汜水関(しすいかん)まで進軍した連合軍の前に、
董卓軍の猛将・華雄が立ちはだかる・・・といった格好なのですが、
本作では華雄(かゆう)が、連合軍の本陣前まで来て、挑発するという形になっています。

この華雄という武将、個人的には大好きなんです。
まず、袁術の部下・兪渉(ゆしょう)、韓馥の部下・潘鳳(はんほう)といった
猛者を立て続けに斬った武勇。
本作では描かれませんが、原作では孫堅配下の祖茂も斬っています。
そして身の丈9尺(約2メートル)を誇る堂々とした体躯、
連合軍がぶつかる最初の「壁」にふさわしい風格をもった豪傑です。
むかしのテレビゲーム風にいえば、「2面のボス」という感じでしょうかね。
なぜ2面なのかといいますと、「1面のボス」って大抵あんまり強くなくて、
初心者でもけっこう簡単に勝てるように作られていませんでしたか?
しかし、2面のボスは結構強くて、初心者が大抵は、
最初につまずくように作ってあることが多いから、
華雄=連合軍にとっての2面のボスなんです。
本作には出てきませんが、「三国志演義」では黄巾賊の大将・程遠志と、鄧茂(とうも)が
関羽と張飛に最初に斬り殺される役目を負っています。
まあ、これが「1面のボス」みたいな扱いといえましょう。
そういえば、その2人が本当に1面のボスだった三国志のアクションゲームが
やはり昔、ありましたね。(知ってる人いるのかな・・・)
話がそれすぎましたが、その華雄も関羽には太刀打ちできず、あっさり斬られます。
本作の関羽が、ここに晴れてデビュー戦を飾ったわけですね。
まあ、華雄の奮戦も、所詮は関羽の強さを引き立てるために過ぎないものなのですが、
演義を原作とした作品では関羽の強さは神の域ですから、仕方ありません。
史実では、華雄は孫堅軍との戦いで戦死した、とあるだけで、
いいところがありませんでしたから、演義で扱いがマシになった人には違いないですね。

関羽が戻ってきたとき、曹操が与えようとした酒が、まだ温かそうだった描写がありますが、
本作の関羽は、それを受け取りません。曹操も渡そうとしていませんでしたね。
ここは、豪傑らしく、グイッと飲み干して欲しかったように思います。
「横山光輝・三国志」では、関羽は出陣前に堂々と酒をあおって出撃し、
戻ってきてから酔いが回るという描写だったことを思い出します。
連合軍は、勢いを得て総攻撃に移るわけですが、ことはそう順調にはいかないんです。
先鋒をつとめる孫堅軍に、兵糧係の袁術が兵糧を送らないという馬鹿をやります。
そう。他の軍勢に、手柄を立てさせないように、です。
組織の中には必ずいますね、ヒトの足を引っ張る奴。
まったく、袁術という人は、どの作品を見てもいい所が見当たらなくて困ります(笑)。
そのため、飢えに苦しむ孫堅軍は、徐々に苦境に陥っていきます・・・。
さあ、孫堅軍はこれを脱することができるのでしょうか?
【このシーンに注目!】

諸将が劉備三兄弟を蔑んだ目で見るなか、ひとり彼らの才覚を見抜いた曹操。戦の合間に、曹仁をともなって劉備の陣営を訪ねる。人材コレクターの曹操としては、劉備たちに自分の考えをプレゼンし、3人を自分の部下にしてしまおうとの腹づもり。しかし、劉備と酒を酌み交わすうち、考え方や価値観の違いが明らかになる。それに、劉備は人の下で甘んじるような器ではないと知り、さすがの曹操もひとまずは、あきらめるしかなかったようだ。
その間、曹操に従ってきた曹仁(写真・右)は、関羽・張飛の2人と酒を酌み交わしていた。その場面、直接は描かれなかったが、曹仁にとって有意義な時間だった模様。このシーン全般が本作のオリジナルだが、3人の間でどんな会話が交わされたのか、ぜひ観てみたかった。
【このひとに注目!】

李儒(りじゅ)
董卓の参謀。孫堅を懐柔しようと縁談をもちかけてくるが、幼い孫権に魂胆を見破られ、そそくさと退散する。ドラマでは、あまり目立つ場面はないが、董卓が権力者に上りつめるまでの間、数々の建策をしてきたことだろう。チョイ役ながら、小悪党というか人の良さそうな顔が印象的。
李儒もなかなかの切れ者で、王允のしかけた「連環の計」を見破り、呂布との対立をやめるよう董卓を諭したが、聞き入れられず。原作・三国志演義では、董卓が暗殺されたときに捕われて処刑される。史実では処刑されずに生き延びたようで、その違いが興味深い。
2012年04月04日
(あらすじ)逃亡中の曹操と陳宮は、呂伯奢の屋敷に立ち寄り、泊めてもらう。夜になり、刀を研ぐ音を耳にした曹操らは、自分たちが殺されると勘違いし、呂の家来たちを殺害。曹操は、さらに酒を買いに行って帰ってきた呂をも刺し殺す。故郷に戻った曹操は兵を集め、袁紹の董卓討伐の呼びかけに応じて挙兵し、十八鎮諸侯が一堂に会した場には、劉備・関羽・張飛の三人もいた。(あらすじ、ここまで)
みなさん、今晩は!
『三国志 Three Kingdoms』ストーリー・テラーの哲舟です。今夜もよろしくお願いします。
今回の第3話は、前後半で展開がはっきり分かれる2部構成の形でしたね。
前半は呂伯奢(りょはくしゃ)の屋敷とその周辺で繰り広げられる、曹操と陳宮のやりとり。
そして後半は、董卓討伐のために十八鎮諸侯が集まった陣中での出来事です。
まず、前半。
曹操が、何の疑いも持たずに近づいてきた呂伯奢を刺し殺す場面、
あれは何度見ても胸が痛みます。呂伯奢、まさに善人を絵に描いたような人でしたからね。

「我、たとえ人に背くとも、天下の人われに背くことをゆるさじ」
悪びれもせず言ってのけ、呂伯奢の遺体を片付けようとする曹操。
それを茫然としながらも、怒りと蔑みのこもった目で見守る陳宮の表情。
曹操は曹操で、陳宮に動揺を悟られまいと、少し強がっているようにも見えます。
このあたりの両者の演技、必見です。
さすが中国人俳優といいますか、心の動きをみごとに表情に出しています。
うん、やはりこの時点で曹操は明らかに董卓よりも悪人に見えてなりません(笑)。
曹操らは、無差別殺人現場の呂伯奢屋敷へ戻り、豚肉を煮て空き腹を満たします。
仕方なくついてきた陳宮、久々の食事も砂を噛むような苦いものだったに違いありません。
ともあれ陳宮は、これで曹操を見限り、
曹操が大いびきをかいて寝ている間に、姿をくらましてしまいました。
目覚めた曹操に、もう迷いはなさそう。昨日のことは忘れたのでしょう。
ここまでが前半で、以下が後半です。
郷里に戻った曹操は、董卓打倒のために挙兵の準備をします。
曹操は軍資金を得るため、父に許可を求めました。父の曹崇が1シーンだけ登場。
曹操が兵を募ると、一族の曹仁、曹洪、夏侯淵のほか、李典や楽進といった
のちに彼の軍の中核をなす面々が次々と兵を率いて集まってきます。
曹操が激文を偽造する案を皆に披露した後、
初平元年(190) 正月、早くも十八鎮諸侯が集合する場面へ、一気に急展開。
いよいよ「十八鎮諸侯」が集まり、「反・董卓連合軍」結成です!
とてもテンポよく話が進んでいきますので、しっかり、ついて行きましょう(笑)。

袁紹、袁術、馬騰、孫堅といった諸侯たちが
次々登場し、一堂に会する場面は三国志ファンなら血わき、肉おどる場面!
正月なので時候は厳寒、人々の吐く息も白いところなどは凝った演出といえましょう。
そして前回、「桃園の誓い」の回想のみだった劉備三兄弟も、ついにここで登場します。
「オールスターキャスト総登場」といった様相に、ワクワクしないはずがありません。
劉備は官職を持たないことや、身分の低さを理由に門前払いをくらいそうになり、
諸侯の嘲笑を受けますが、曹操のとりなしでなんとか末席の地位を確保します。
そのうちに、董卓配下の猛将・華雄が軍を率いてやってきます。
連合軍に挑戦してきたところで、いよいよ「汜水関の戦い」開幕です!
【このシーンに注目!】
十八鎮諸侯が集まって、「反・董卓連合軍」を結成。「鎮」とは聞き慣れない言葉だが、地方の抑えとなる(乱を鎮める)軍隊のことをさす。集まった18鎮とは「三国志演義」に基づけば以下の面々。
第一鎮・袁術 第二鎮・韓馥 第三鎮・孔伷(ちゅう) 第四鎮・劉岱 第五鎮・王匡 第六鎮・張邈(ばく) 第七鎮・喬瑁 第八鎮・袁遺 第九鎮・鮑信 第十鎮・孔融 第十一鎮・張超 第十二鎮・陶謙 第十三鎮・馬騰 第十四鎮・公孫瓚(さん) 第十五鎮・張楊 第十六鎮・孫堅 第十七鎮・袁紹
実は17鎮しかない。曹操はまだ5千の兵力しか持たず、「鎮」に数えられていない。ただし、本作では曹操も諸侯に名を連ね、18鎮となり、劉備が加わって19鎮となる。
【このひとたちに注目!】

楽進(左)、夏侯淵(右)
曹操の決起に応じて集まった将のうちの2人。ここで早くも登場し、束の間よろこばせてくれるが、本作では両者がこの先において活躍する場面はあまり描かれず、小さな扱いとなっているので、しっかりと顔を見ておきたい。ほかに曹仁、曹洪、李典も登場。夏侯惇も名前だけ登場するが、出番はまだ先。このシーンでは姿が確認できない。
みなさん、今晩は!
『三国志 Three Kingdoms』ストーリー・テラーの哲舟です。今夜もよろしくお願いします。
今回の第3話は、前後半で展開がはっきり分かれる2部構成の形でしたね。
前半は呂伯奢(りょはくしゃ)の屋敷とその周辺で繰り広げられる、曹操と陳宮のやりとり。
そして後半は、董卓討伐のために十八鎮諸侯が集まった陣中での出来事です。
まず、前半。
曹操が、何の疑いも持たずに近づいてきた呂伯奢を刺し殺す場面、
あれは何度見ても胸が痛みます。呂伯奢、まさに善人を絵に描いたような人でしたからね。

「我、たとえ人に背くとも、天下の人われに背くことをゆるさじ」
悪びれもせず言ってのけ、呂伯奢の遺体を片付けようとする曹操。
それを茫然としながらも、怒りと蔑みのこもった目で見守る陳宮の表情。
曹操は曹操で、陳宮に動揺を悟られまいと、少し強がっているようにも見えます。
このあたりの両者の演技、必見です。
さすが中国人俳優といいますか、心の動きをみごとに表情に出しています。
うん、やはりこの時点で曹操は明らかに董卓よりも悪人に見えてなりません(笑)。
曹操らは、無差別殺人現場の呂伯奢屋敷へ戻り、豚肉を煮て空き腹を満たします。
仕方なくついてきた陳宮、久々の食事も砂を噛むような苦いものだったに違いありません。
ともあれ陳宮は、これで曹操を見限り、
曹操が大いびきをかいて寝ている間に、姿をくらましてしまいました。
目覚めた曹操に、もう迷いはなさそう。昨日のことは忘れたのでしょう。
ここまでが前半で、以下が後半です。
郷里に戻った曹操は、董卓打倒のために挙兵の準備をします。
曹操は軍資金を得るため、父に許可を求めました。父の曹崇が1シーンだけ登場。
曹操が兵を募ると、一族の曹仁、曹洪、夏侯淵のほか、李典や楽進といった
のちに彼の軍の中核をなす面々が次々と兵を率いて集まってきます。
曹操が激文を偽造する案を皆に披露した後、
初平元年(190) 正月、早くも十八鎮諸侯が集合する場面へ、一気に急展開。
いよいよ「十八鎮諸侯」が集まり、「反・董卓連合軍」結成です!
とてもテンポよく話が進んでいきますので、しっかり、ついて行きましょう(笑)。

袁紹、袁術、馬騰、孫堅といった諸侯たちが
次々登場し、一堂に会する場面は三国志ファンなら血わき、肉おどる場面!
正月なので時候は厳寒、人々の吐く息も白いところなどは凝った演出といえましょう。
そして前回、「桃園の誓い」の回想のみだった劉備三兄弟も、ついにここで登場します。
「オールスターキャスト総登場」といった様相に、ワクワクしないはずがありません。
劉備は官職を持たないことや、身分の低さを理由に門前払いをくらいそうになり、
諸侯の嘲笑を受けますが、曹操のとりなしでなんとか末席の地位を確保します。
そのうちに、董卓配下の猛将・華雄が軍を率いてやってきます。
連合軍に挑戦してきたところで、いよいよ「汜水関の戦い」開幕です!
【このシーンに注目!】
十八鎮諸侯が集まって、「反・董卓連合軍」を結成。「鎮」とは聞き慣れない言葉だが、地方の抑えとなる(乱を鎮める)軍隊のことをさす。集まった18鎮とは「三国志演義」に基づけば以下の面々。
第一鎮・袁術 第二鎮・韓馥 第三鎮・孔伷(ちゅう) 第四鎮・劉岱 第五鎮・王匡 第六鎮・張邈(ばく) 第七鎮・喬瑁 第八鎮・袁遺 第九鎮・鮑信 第十鎮・孔融 第十一鎮・張超 第十二鎮・陶謙 第十三鎮・馬騰 第十四鎮・公孫瓚(さん) 第十五鎮・張楊 第十六鎮・孫堅 第十七鎮・袁紹
実は17鎮しかない。曹操はまだ5千の兵力しか持たず、「鎮」に数えられていない。ただし、本作では曹操も諸侯に名を連ね、18鎮となり、劉備が加わって19鎮となる。
【このひとたちに注目!】

楽進(左)、夏侯淵(右)
曹操の決起に応じて集まった将のうちの2人。ここで早くも登場し、束の間よろこばせてくれるが、本作では両者がこの先において活躍する場面はあまり描かれず、小さな扱いとなっているので、しっかりと顔を見ておきたい。ほかに曹仁、曹洪、李典も登場。夏侯惇も名前だけ登場するが、出番はまだ先。このシーンでは姿が確認できない。
2012年04月03日
(あらすじ)
曹操が董卓の暗殺に失敗したことを知った王允は、自分の身にも危険が迫ることを悟り、自害しようとする。しかし、侍女の貂蝉が自らの悲惨な境遇を語り、今は大人しくして再び董卓暗殺の機会を窺うべきだと諭す。そこに呂布が兵を引きつれてやってくるが、王允は冷静沈着に対応し、からくも危機を逃れる。一方、曹操は中牟県へと逃亡していた・・・(あらすじ、ここまで)
みなさん、今晩は!
『三国志 Three Kingdoms』ストーリー・テラーの哲舟(てっしゅう)こと、上永です。
昨日、「はたして曹操は無事、逃げ延びることができるか?」と書きましたものの・・・
うまく逃げることは、結局できませんでしたね(笑)。
まあ、『三国志演義』をご存知の方なら分かっていたと思いますが、
曹操は人相書きまで出ている指名手配中の身。
中牟県というところで役人に捕まってしまいます。

ただ、その県令で尋問役をつとめた陳宮は、憂国の志士のひとり。
すべてを捨て、ともに大事をなそうと曹操の故郷をめざして役所を抜け出します。
2日間飲まず食わずの旅のすえ、2人は曹操の古い知人、呂伯奢の屋敷を訪ねます。
腹ぺこで疲れている2人、呂伯奢の歓待を受け、
寛ぎのひとときを過ごせれば良かったのですが、
すんなりとは行かないのが三国志の面白いところ・・・。
2人はどうなるか? 明日の第3話を楽しみに待ちましょう。
さて、今回の話の本筋とは関係ないのですが、
途中で場面が北方の幽州の田舎町(現在の北京付近)へと移り、
桃の木が見事に生い茂るなかで杯をかわす、3人の男たちを映し出しましたね!

「われら、同年同月同日に生まれずとも、年同月同日に死なん・・・」
お待ちかね、劉備・関羽・張飛の「桃園の誓い」が、第2話目にしてようやく登場です。
やっぱ、これを観ると「ああ、三国志が始まったなぁ」という気がしませんか?
しかし、1分ほどの短い場面なので見逃してしまった方もいたやもしれません(笑)。
もう少し長く描いて欲しかった気もしますが、劉備たちは後でたくさん出番ありますからね。
ここをサラッと流すのは「曹操が第一の主役という地位を強化するため」という、
高希希(ガオ・シーシー)監督の意図だそうです。
ちなみに、「桃園の誓い」が行われたのは「黄巾の乱」(184年)の頃なので、
これは5年ほど前の回想シーンということになります。
本作では「黄巾の乱」が描かれていないため、仕方のない処置ともいえましょう。
三国志・正史には「桃園の誓い」は記されていませんが、
「黄巾の乱」が起きたとき、劉備は関羽や張飛、簡雍らを引き連れて義勇軍を
旗揚げしているのは事実なので、このような誓いの盃を交わした可能性はあったでしょう。
昨日、曹操の年齢のことを書きましたが、同じ189年の時点で劉備は29歳。
どうも従来のイメージからすると、もっと若そうですが、意外に歳が行ってますよね。
関羽と張飛は、史実では生年が不明なのですが、おそらく20代半ばごろでしょう。
他に注目すべき点として、王允の養女・貂蝉が初登場。
呂布と運命の出会いを果たしました。
本作の貂蝉は、従来の作品よりもさらにしっかりとした意志を持った、
いわば現代的な感覚を備えた女性像が強調されて描かれているので、
そのあたり、注目していただきたいと思います。
【このシーンに注目!】
逃亡中、崖の上で曹操と陳宮が並んで立ち小便。いわゆる「連れション」をしながら、天下を論じるシーンは色々な意味で印象的だ。とくに昔は、公衆トイレなんて存在しないから、悠然と広がる大地を前に、男同士で何事か話をしながら小便を垂れる光景は、ごくごく日常的なものだったはずである。
これと似た光景が、日本の歴史にもある。時は天正18年(1590年)、天下統一を目前に控えた豊臣秀吉が石垣山の上に徳川家康を呼び、攻撃目標である小田原城を見下ろしながら並んで放尿し、今後の政局について語った。史実かどうかは不明だが、これが「関東の連れ小便」と呼ばれるものだ。高監督はもしかすると、こうした日本の故事もご存知なのだろうか。
【このひとに注目!】

◆陳宮/孫洪涛
曹操が逃亡した先の県令として登場する、陳宮。曹操を尋問するうち、その志の高さに感銘を受け、意気投合する。しかし、後に袂を分かって呂布の軍師となり、打倒・曹操に策をめぐらせることに・・・。両者が仲違いしていなければ、陳宮は曹操の軍師として大活躍していただろうか? 熱い生き様を見せる本作の陳宮は、物語序盤の名脇役として、これまでにない存在感を放っている。
【お知らせ】
◆『三国志Three Kingdoms』のブルーレイ版が、明日4月4日リリース!
1話~10話が収録されたvol.1 「董卓専横」 、
11話~20話が収録されたvol.2 「徐州争奪」が発売されます。
(各3枚組 で税込5,460円 全9巻) vol.3以降も順次リリース、
さらに、レンタルDVD 特別編集版vol.5~8も同日レンタル開始。
詳しくは公式サイトの「商品情報」をご覧ください。
ではまた明晩、お会いしましょう!
曹操が董卓の暗殺に失敗したことを知った王允は、自分の身にも危険が迫ることを悟り、自害しようとする。しかし、侍女の貂蝉が自らの悲惨な境遇を語り、今は大人しくして再び董卓暗殺の機会を窺うべきだと諭す。そこに呂布が兵を引きつれてやってくるが、王允は冷静沈着に対応し、からくも危機を逃れる。一方、曹操は中牟県へと逃亡していた・・・(あらすじ、ここまで)
みなさん、今晩は!
『三国志 Three Kingdoms』ストーリー・テラーの哲舟(てっしゅう)こと、上永です。
昨日、「はたして曹操は無事、逃げ延びることができるか?」と書きましたものの・・・
うまく逃げることは、結局できませんでしたね(笑)。
まあ、『三国志演義』をご存知の方なら分かっていたと思いますが、
曹操は人相書きまで出ている指名手配中の身。
中牟県というところで役人に捕まってしまいます。

ただ、その県令で尋問役をつとめた陳宮は、憂国の志士のひとり。
すべてを捨て、ともに大事をなそうと曹操の故郷をめざして役所を抜け出します。
2日間飲まず食わずの旅のすえ、2人は曹操の古い知人、呂伯奢の屋敷を訪ねます。
腹ぺこで疲れている2人、呂伯奢の歓待を受け、
寛ぎのひとときを過ごせれば良かったのですが、
すんなりとは行かないのが三国志の面白いところ・・・。
2人はどうなるか? 明日の第3話を楽しみに待ちましょう。
さて、今回の話の本筋とは関係ないのですが、
途中で場面が北方の幽州の田舎町(現在の北京付近)へと移り、
桃の木が見事に生い茂るなかで杯をかわす、3人の男たちを映し出しましたね!

「われら、同年同月同日に生まれずとも、年同月同日に死なん・・・」
お待ちかね、劉備・関羽・張飛の「桃園の誓い」が、第2話目にしてようやく登場です。
やっぱ、これを観ると「ああ、三国志が始まったなぁ」という気がしませんか?
しかし、1分ほどの短い場面なので見逃してしまった方もいたやもしれません(笑)。
もう少し長く描いて欲しかった気もしますが、劉備たちは後でたくさん出番ありますからね。
ここをサラッと流すのは「曹操が第一の主役という地位を強化するため」という、
高希希(ガオ・シーシー)監督の意図だそうです。
ちなみに、「桃園の誓い」が行われたのは「黄巾の乱」(184年)の頃なので、
これは5年ほど前の回想シーンということになります。
本作では「黄巾の乱」が描かれていないため、仕方のない処置ともいえましょう。
三国志・正史には「桃園の誓い」は記されていませんが、
「黄巾の乱」が起きたとき、劉備は関羽や張飛、簡雍らを引き連れて義勇軍を
旗揚げしているのは事実なので、このような誓いの盃を交わした可能性はあったでしょう。
昨日、曹操の年齢のことを書きましたが、同じ189年の時点で劉備は29歳。
どうも従来のイメージからすると、もっと若そうですが、意外に歳が行ってますよね。
関羽と張飛は、史実では生年が不明なのですが、おそらく20代半ばごろでしょう。
他に注目すべき点として、王允の養女・貂蝉が初登場。
呂布と運命の出会いを果たしました。
本作の貂蝉は、従来の作品よりもさらにしっかりとした意志を持った、
いわば現代的な感覚を備えた女性像が強調されて描かれているので、
そのあたり、注目していただきたいと思います。
【このシーンに注目!】
逃亡中、崖の上で曹操と陳宮が並んで立ち小便。いわゆる「連れション」をしながら、天下を論じるシーンは色々な意味で印象的だ。とくに昔は、公衆トイレなんて存在しないから、悠然と広がる大地を前に、男同士で何事か話をしながら小便を垂れる光景は、ごくごく日常的なものだったはずである。
これと似た光景が、日本の歴史にもある。時は天正18年(1590年)、天下統一を目前に控えた豊臣秀吉が石垣山の上に徳川家康を呼び、攻撃目標である小田原城を見下ろしながら並んで放尿し、今後の政局について語った。史実かどうかは不明だが、これが「関東の連れ小便」と呼ばれるものだ。高監督はもしかすると、こうした日本の故事もご存知なのだろうか。
【このひとに注目!】

◆陳宮/孫洪涛
曹操が逃亡した先の県令として登場する、陳宮。曹操を尋問するうち、その志の高さに感銘を受け、意気投合する。しかし、後に袂を分かって呂布の軍師となり、打倒・曹操に策をめぐらせることに・・・。両者が仲違いしていなければ、陳宮は曹操の軍師として大活躍していただろうか? 熱い生き様を見せる本作の陳宮は、物語序盤の名脇役として、これまでにない存在感を放っている。
【お知らせ】
◆『三国志Three Kingdoms』のブルーレイ版が、明日4月4日リリース!
1話~10話が収録されたvol.1 「董卓専横」 、
11話~20話が収録されたvol.2 「徐州争奪」が発売されます。
(各3枚組 で税込5,460円 全9巻) vol.3以降も順次リリース、
さらに、レンタルDVD 特別編集版vol.5~8も同日レンタル開始。
詳しくは公式サイトの「商品情報」をご覧ください。
ではまた明晩、お会いしましょう!
2012年04月02日
(あらすじ)
後漢末期、都・洛陽を制圧した董卓は、政治を思うままにし、大司徒の王允たちは頭を悩ませていた。校尉の曹操は、表向きは董卓に仕える姿勢を見せていたが、内心では董卓排除を計画していた。利害の一致した王允と曹操は結託。王允から七星宝刀を託された曹操は、翌日董卓暗殺を決行するが、董卓にその気配を察せられ、とっさに刀を献上したいと嘘をつく・・・(あらすじ、ここまで)
みなさん今晩は!
『三国志 Three Kingdoms』 ストーリーテラーの哲舟(てっしゅう)こと、上永です。
今日からBSフジで再スタートを切った、本作品の解説や注目ポイントを、
1話ずつ綴ってまいりますので、よろしくお願いします。
なお、このブログは毎回、各話の放送終了直後にアップいたします。
内容にネタバレを含んでいますので、視聴後の閲覧をおすすめします。
・
・
・
ささ、始まりましたね。待望の第1話が!
本作のオープニングは、ちょっと意外なところから始まります。
やはり三国志といえば、「黄巾の乱」(184年)から・・・
と思いきや、それはナレーションで語られるのみで割愛され、
定番、劉備たちの「桃園の誓い」も第2話までお預けという思い切りの良さ。
時は西暦189年。相国(今でいう総理大臣)の董卓が、
すでに洛陽に君臨しているところから始まるのです。それも・・・
「ハ・・・・・・、ハックション!!」
このクシャミが、董卓の発する第一声。
まさに玄人好みのオープニング、といえるかもしれません。

宮廷内に居並ぶ役人たちは、そのクシャミだけで震え上がるという・・・
ある意味、董卓がいかに恐れられているかを物語る、
映像作品ならではのシーンといえましょう。
当時の中国の都は洛陽といい、幼い皇帝(献帝)もここにおわします。
その都で、献帝をもしのぐ絶大な権力を持ち、我が物顔で振舞っているのが董卓なんです。
物語的には、「ものすごく悪い人」のはずです。
が、私が思うに、本作の董卓は結構「いい人」に見えてしまうんですよね。
第1話ではクシャミをするか、昼寝をするかしているぐらいで、
じっさいに、残虐な行為をしているシーンが描かれていないからでしょうか?
董卓を演じている俳優の呂曉禾(リュイ・シュオフー)さんも、絶対「いい人」に違いありません。
ある意味、董卓らしくない董卓ですが、これはこれで味があります。
その董卓を暗殺しようとする、王允の密命を受けた曹操。ドラマ前半の主役です。
曹操は155年生まれなので、このとき35歳。まだ若年~青年といえる年齢ですが、
ドラマでは立派なヒゲをたくわえているせいか、すでに貫禄さえ漂っています(笑)。
もちろん董卓も貫禄ありますが、どっちが悪役か分からないぐらい。
(董卓の生年は記録にないので年齢は不明です)
曹操を演じる俳優・陳建斌(チェン・ジェンビン)の「ダーティーな大人の雰囲気」が
そのように感じさせるのかもしれません。チェンさんは1970年生まれなので、
ドラマが撮影されたときは38~39歳ぐらい。この時の曹操より少し上ですね。
こういう長編ドラマは、登場人物たちの年齢を意識しながら見るのも面白いと思います。
曹操は結局、董卓の暗殺をしくじって都を脱出。
ま、ここで暗殺成功していたら、歴史が変わってしまいますからね(笑)。
「わしは、この勘のおかげで今まで生き延びて来られたのだ!」と董卓。
さすがは董卓です。ただの暴君では、あの地位にまで上り詰めることはできません。
計画に気づいた董卓。腹心の部下、呂布に命じて曹操を捕まえるための追手を差し向けます。
はたして曹操は無事、逃げ延びることができるでしょうか?
ご一読ありがとうございました。
ではみなさん、また明日の晩、こちらでお会いしましょう。
【このシーンに注目!】

曹操が董卓を暗殺しようとした事実は「正史」にはなく、小説・三国志演義におけるエピソード。ただ、それを言っては無粋なので、ここでは王允が曹操に董卓暗殺を託した理由を考えてみよう。それは、志を買っただけでなく、何より曹操が「武勇」に優れていることを高く評価していたからではないだろうか?
正史『三国志』の注などにも引かれた逸話を紹介したい。曹操はこの数年前、やはり朝廷で権勢をふるっていた宦官・張譲の邸宅に忍び込んだが、見張りに発見されてしまう。曹操は手戟をふりまわし、土塀を乗りこえて逃亡。その早わざの前に、誰も彼を殺害できなかった。また後年、多数の兵卒が反乱を起こしたが、曹操は剣を手に数十人を殺し、みな恐れをなしたという。あまり注目されないが、曹操は個人的武勇にも非常に優れていたことがわかる。もし、このとき曹操が董卓を暗殺していたら、三国志の物語のゆくえはどうなっていたか? みなさんも考えてみてください。
【このひとに注目!】

◆王允/鄭天庸(ジェン・ティエンヨン)
後漢王朝にあって、もともと尚書令というお偉いさんだったが、董卓の推薦で、さらに上位である「司徒」の座についた。董卓を補佐するうち、次第に暴君化する彼についていけなくなったのだろう。鄭天庸が演じる本作の王允は、単なる漢の忠臣という一面だけでなく、ひと癖もふた癖もありそうな性格を感じさせる奥深い演技を見せており、本場中国でも評判が良かった。
後漢末期、都・洛陽を制圧した董卓は、政治を思うままにし、大司徒の王允たちは頭を悩ませていた。校尉の曹操は、表向きは董卓に仕える姿勢を見せていたが、内心では董卓排除を計画していた。利害の一致した王允と曹操は結託。王允から七星宝刀を託された曹操は、翌日董卓暗殺を決行するが、董卓にその気配を察せられ、とっさに刀を献上したいと嘘をつく・・・(あらすじ、ここまで)
みなさん今晩は!
『三国志 Three Kingdoms』 ストーリーテラーの哲舟(てっしゅう)こと、上永です。
今日からBSフジで再スタートを切った、本作品の解説や注目ポイントを、
1話ずつ綴ってまいりますので、よろしくお願いします。
なお、このブログは毎回、各話の放送終了直後にアップいたします。
内容にネタバレを含んでいますので、視聴後の閲覧をおすすめします。
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ささ、始まりましたね。待望の第1話が!
本作のオープニングは、ちょっと意外なところから始まります。
やはり三国志といえば、「黄巾の乱」(184年)から・・・
と思いきや、それはナレーションで語られるのみで割愛され、
定番、劉備たちの「桃園の誓い」も第2話までお預けという思い切りの良さ。
時は西暦189年。相国(今でいう総理大臣)の董卓が、
すでに洛陽に君臨しているところから始まるのです。それも・・・
「ハ・・・・・・、ハックション!!」
このクシャミが、董卓の発する第一声。
まさに玄人好みのオープニング、といえるかもしれません。

宮廷内に居並ぶ役人たちは、そのクシャミだけで震え上がるという・・・
ある意味、董卓がいかに恐れられているかを物語る、
映像作品ならではのシーンといえましょう。
当時の中国の都は洛陽といい、幼い皇帝(献帝)もここにおわします。
その都で、献帝をもしのぐ絶大な権力を持ち、我が物顔で振舞っているのが董卓なんです。
物語的には、「ものすごく悪い人」のはずです。
が、私が思うに、本作の董卓は結構「いい人」に見えてしまうんですよね。
第1話ではクシャミをするか、昼寝をするかしているぐらいで、
じっさいに、残虐な行為をしているシーンが描かれていないからでしょうか?
董卓を演じている俳優の呂曉禾(リュイ・シュオフー)さんも、絶対「いい人」に違いありません。
ある意味、董卓らしくない董卓ですが、これはこれで味があります。
その董卓を暗殺しようとする、王允の密命を受けた曹操。ドラマ前半の主役です。
曹操は155年生まれなので、このとき35歳。まだ若年~青年といえる年齢ですが、
ドラマでは立派なヒゲをたくわえているせいか、すでに貫禄さえ漂っています(笑)。
もちろん董卓も貫禄ありますが、どっちが悪役か分からないぐらい。
(董卓の生年は記録にないので年齢は不明です)
曹操を演じる俳優・陳建斌(チェン・ジェンビン)の「ダーティーな大人の雰囲気」が
そのように感じさせるのかもしれません。チェンさんは1970年生まれなので、
ドラマが撮影されたときは38~39歳ぐらい。この時の曹操より少し上ですね。
こういう長編ドラマは、登場人物たちの年齢を意識しながら見るのも面白いと思います。
曹操は結局、董卓の暗殺をしくじって都を脱出。
ま、ここで暗殺成功していたら、歴史が変わってしまいますからね(笑)。
「わしは、この勘のおかげで今まで生き延びて来られたのだ!」と董卓。
さすがは董卓です。ただの暴君では、あの地位にまで上り詰めることはできません。
計画に気づいた董卓。腹心の部下、呂布に命じて曹操を捕まえるための追手を差し向けます。
はたして曹操は無事、逃げ延びることができるでしょうか?
ご一読ありがとうございました。
ではみなさん、また明日の晩、こちらでお会いしましょう。
【このシーンに注目!】

曹操が董卓を暗殺しようとした事実は「正史」にはなく、小説・三国志演義におけるエピソード。ただ、それを言っては無粋なので、ここでは王允が曹操に董卓暗殺を託した理由を考えてみよう。それは、志を買っただけでなく、何より曹操が「武勇」に優れていることを高く評価していたからではないだろうか?
正史『三国志』の注などにも引かれた逸話を紹介したい。曹操はこの数年前、やはり朝廷で権勢をふるっていた宦官・張譲の邸宅に忍び込んだが、見張りに発見されてしまう。曹操は手戟をふりまわし、土塀を乗りこえて逃亡。その早わざの前に、誰も彼を殺害できなかった。また後年、多数の兵卒が反乱を起こしたが、曹操は剣を手に数十人を殺し、みな恐れをなしたという。あまり注目されないが、曹操は個人的武勇にも非常に優れていたことがわかる。もし、このとき曹操が董卓を暗殺していたら、三国志の物語のゆくえはどうなっていたか? みなさんも考えてみてください。
【このひとに注目!】

◆王允/鄭天庸(ジェン・ティエンヨン)
後漢王朝にあって、もともと尚書令というお偉いさんだったが、董卓の推薦で、さらに上位である「司徒」の座についた。董卓を補佐するうち、次第に暴君化する彼についていけなくなったのだろう。鄭天庸が演じる本作の王允は、単なる漢の忠臣という一面だけでなく、ひと癖もふた癖もありそうな性格を感じさせる奥深い演技を見せており、本場中国でも評判が良かった。