参加型評価で改善!のブログ

NGO/NPOなど非営利活動をより良くする参加型評価について、参加型評価ファシリテーターの田中博が知識・経験を情報発信し、関心を同じくする皆さんと共有・意見交換するブログです

国内事業にも威力を発揮するMSC手法

私が最近普及に力を入れているMSC(Most Significant Change)手法ですが、国際協力の活動に使う手法と考えている方がいるようです。確かに、MSCはバングラデシュのNGOの活動現場で考案され、現在も欧米のNGOが国際協力の評価に多く活用されていますが、決して国際協力専門の手法ではありません。私は、日本国内の様々な非営利事業の評価に、MSCは役にたつと考えています。以下にその理由を述べます。

MSCは参加型評価手法の一つです。評価の過程に受益者やスタッフなど利害関係者が参加する評価には二つの源流があります(*)。

一つは北米において、専門家による事業評価の結果が充分に活用されておらず、評価対象の固有の状況や文脈の多様性を反映していないという疑念から、評価の実用性を重視する流れで、実用重視型評価や、エンパワーメント評価などがあります。これらは国際協力ではなく、アメリカ国内の教育や福祉事業の評価に盛んに活用されています。

もう一つは開発途上国等において、社会開発の当事者の自立やエンパワーメントを目指した参加型調査や、アクションリサーチ等の流れです。この分野での参加型評価は欧米の国際協力NGOが盛んに活用しており、手法的には有名なPRA(参加型農村調査法)や、私が売り込み中のMSC(Most Significant Change)もこちらに属します。

このように二つの流れがあることは事実ですが、評価の過程にスタッフや受益者など利害関係者が参加することで評価の価値を高めていく点や、人間を対象とした社会開発事業の改善に有効であること、質的分析が多いなどという特徴は共通すると思います。

日本では「新しい公共」として教育や福祉に関わるNPOなど市民セクターの役割が非常に高まってきています。東日本大震災の復興事業も、震災後5年が過ぎてコミュニティ開発の側面が強まり、人々のエンパワーメントが焦点に移りつつあるといわれます。

これら国内事業の学習・改善目標の評価に、参加型評価の長所を持ち、専門家でなくとも質的な分析を可能にし、関係者をエンパワーしていくMSCが有効だと考えます。実際、私がMSCを伝える対象も、国際協力NGOだけでなく、国内NPOや教育機関などからの依頼が増えてきました。今後、どのようにMSCを国内事業に活かしてけるか、私はとてもワクワクしています。

*源由理子(2008)「参加型評価の理論と実践」『評価論を学ぶ人のために』世界思想社

※メルマガ【元気になる参加型評価】Vol.15:2016年6月9日発行の記事を転載しました。


第5回MSC入門セミナーを開催します(7/18@新宿)

大好評!第5回MSC入門セミナーを開催します(2016/7/18@新宿)
指標を使わない参加型モニタリング・評価手法を学びませんか 

MSC(モスト・シグニフィカント・チェンジ)は、現場の「重大な変化」の物語を集め、組織的に「最も重要な変化」を選択する、参加型モニタリング・評価手法です。業績測定のように事前設定の指標を用いず、人間の行動変容など想定外・質的変化の把握や、組織学習を促進する特徴があります。
欧米NGOで利用されていますが、日本でも福祉・教育などの評価に活用できると考えます。MSCのエッセンスを実践的に学んでみませんか? 前回セミナーの報告(16/1/16)バングラデシュMSC実践報告がのった論文はこちら

(1)日時:2016年7月18日(祝)13:30〜16:45 

(2)場所:BIZ新宿研修室B(東京メトロ西新宿駅5分 大江戸線都庁前8分)

(3)対象:NGO/NPO、コンサルタント、教育・福祉、学術関係者などで非営利活動に従事している、またはモニタリング・評価や研究に携わっている方。今後それを予定している方。 

(4)ねらい
  • MSC手法の概略・目的・特徴などの知識を学ぶ。
  • MSCの中核プロセス「重大な変化を集める」「最も重大な変化を選ぶ」を体験する。 
  • MSCを実際に現場で、どのように効果的に活用できるか意見交換を行う。
(5)プログラム 
  • 講義:MSCの概略・目的・特徴・事例紹介
  • 演習Ⅰ「重大な変化を集める」ステップ4の体験 
  • 演習Ⅱ「最も重大な変化を選ぶ」ステップ5の体験 
  • まとめと振り返り
(6)講師:田中 博(参加型評価ファシリテーター・NGO組織運営アドバイザー) 
(NPO)ヒマラヤ保全協会元事務局長。日本評価学会認定資格評価士。JICAやJANIC,FASID,トヨタ財団、日本NPOセンターなどで研修講師や、NGOプロジェクトの評価ファシリテーターを多数行う。JICA草の根技協評価スキーム検討委員や、国内教育団体評価アドバイザー等も務めた。(NPO)開発教育協会評議員 

(7)参加費:10,000円 NGO/NPO割引あり(8,000円) ※価格は税込です。

(8)テキスト:「モスト・シグニフィカント・チェンジ(MSC)手法・実施の手引き(日本語版 2013)ダウンロード可能。

(9)申し込み・問い合わせ 
Eメールで件名を「参加型評価セミナー申込」として以下を記入の上、お申し込みください:希望コース日時・お名前・ご所属・メールアドレス・当日連絡のつく電話番号・参加にむけて一言。NGO/NPO割引希望の方は活動内容と役職を簡単にお知らせ下さい。
締切7/11(月):送り先メール:nepalippine@gmail.com 
個人情報は本講座と参加型評価関連の連絡・情報提供の目的以外に使用いたしません。

NGOスタディツアーの総合冊子を作っています

スタディツアー研究会は、NGOによるスタディツアーの普及と質的向上をめざして、1997年にツアーを実施しているNGOや提携している旅行会社によってつくられたネットワークNGOです。これまで「旅行業法」や「安全管理」の勉強会、複数の団体による「ツアー合同説明会」などを開催したり、その結果を報告書にまとめたりしてきました。またスタディツアー情報サイト「スタディツアーPASSPORT」を運営しています。 私は設立時には代表を、現在は副代表を務めています。

これまでのおよそ20年間に及ぶ研究の蓄積を、日本国際協力システム様のご支援で、1冊の冊子にまとめることになり、私が編集長で制作が進んでいます。目次を紹介すると以下のようです(章立て変更の可能性あり)。

この本のねらいと使い方
1 スタディツアーの現状と課題
2 開発教育とスタディツアー
3 受入コミュニティへの影響
4 旅行業法
5 リスクマネジメント基本
6 リスクマネジメント感染症
7 大学とパートナーシップ
8 効果的な広報
9 スタディツアーの評価
10 おわりに

本来は昨年中に完成しているはずでしたが、私の体調不良のため延期になり、現在そろった原稿の推敲作業をしているところです。8月中には100ページ程度の冊子が完成する予定です。 冊子がより良いツアーの実現を通じて、効果的な国際協力や開発教育の実現に貢献できれば素晴らしいと考えています。
 
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