参加型評価で改善!のブログ

NGO/NPOなど非営利活動をより良くする参加型評価について、一般社団法人参加型評価センター代表理事の田中博が知識・経験を情報発信し、関心を同じくする皆さんと共有・意見交換するブログです。Eメール: tanaka.pecenter@gmail.com

奥出雲で、Okutabi事業の評価設計をしました

島根県の奥出雲で、雲南市、奥出雲町、飯南町が連携して、「おくいずも女子旅つくる!委員会(Okutabi)」を中心に観光振興の活動を行っています。これまで6年間の活動はフリーペーパーやSNSによる情報発信やイベント開催など多岐にわたっており、この機会に参加型で評価を実施することになりました。

その評価の設計をするために、私がファシリテーター(アドバイザー)として奥出雲に出張して、二日IMG_2240間にわたる(5/15〜16)ワークショップをOkutabiの皆さん(女性3名+男性1名)と一緒に進行しました。初日は、山の中のお寺にある施設で綺麗な眺めを楽しみながら進めました。 初日評価の講義の後、評価目的を設定したり、関係者分析を行い、ロジックモデルを作成しました。

IMG_2249二日目は会場を変えて、評価設問の検討やデータ収集方法の検討、良いインタビューのあり方を議論したりして、なんとか設計をやりおえることができました。

出張するまでは、スカイプで小一時間打ち合わせをしただけだった上、島根県に行くにも初めてだったので、少々緊張していました。蓋をあけてみると、みなさんとても親切・積極的で、順調にワークショップを進めることができました。

島根県は私も出雲大社くらいしか知りませんでしたが、奥出雲にも「たたら」などに代表される豊かな伝統IMG_2246文化があり、潜在的な観光資源がたいへん豊かであることがわかりました。地元にお蕎麦に舌鼓をうったり、立派なお庭(写真)のある老舗旅館に泊めていただいたりして、私も楽しめました。これからOkutabiの皆さん中心にインタビューなどデータ収集を行い、9月の分析・判断を行う暁には、私がまた出張して振興をお手伝いすることになりました。今から再訪が楽しみです。

IMG_4073Okutabiの皆さん、お忙しい中、積極的な参加をありがとうございました!
 

MSCはなぜ一つだけ物語を選ぶのか

※この記事は、メルマガ「元気になる参加型評価」2017年7月6日第19号からの再掲です。

私はMSC(Most Significant Change)という参加型評価の普及に力を入れており、定期的に研修会を開催しています。MSCは、受益者などから現場で起こった「重大な変化」を物語として聴き取り、さらに集まった複数の「重大な変化」の中から、「最も重大な変化の物語」を一つだけ選びます。

研修をやっていると「どの話にもそれぞれ大事な意味がある。なぜ一つだけ選ばなければいけないのか?」、という質問がよくあります。確かに仰るとおりの疑問です

MAC考案者であるデイビースも同様の質問がよく寄せられるようです。彼は以下のように二つの理由を述べています。「まず、MSC手法が十分理解されていない場合がある。その時はグループで選択することで議論を活性化し、内容を深く考えられるのだということを伝えよう。社会・文化的な理由のために、選ぶことを嫌がる場合もある。対立を避けたいとか、他人を批判していると思われたくない気持ちの反映かもしれない。このような場合は、ステップ5で書いたように秘密投票で投票するといった、違う選択方法を考えよう(註1)」

私はこれに加えて「深い質的評価を行うためである」と答えるようにしています。質的評価は慣れと経験を必要として、往々にして専門家による評価になりがちです。しかしMSCでは受益者やスタッフなど、一般の人々が質的評価に参加できる手法となっています。その秘密が「物語を一つに絞る」点だと考えているからです。

質的評価、定性的なデータの分析は、特に決まった分析方法が用意されているわけはありません。それでも基本的な考え方があります。それは「データをもとに、それが組み込まれた文脈に関してできるだけ再現可能でかつ妥当な推論をする」ということで、具体的には三つのポイントがあります。(1)状況を説明する。(2)カテゴリー化をする、(3)情報の関連性を見る、です(註2)。

これらを通常、評価専門家によってなされますが、MSCでは普通の人ができるようにしくみができており、それが「物語を一つ選ぶこと」なのです。

まずMSCではデータ収集を、物語という形で集めます。物語とはまさしく状況を説明することですが、専門家でなく普通の人でできます。そして集まった物語から「一つを選び、その理由を説明しろ」といわれたら、各物語を深く読み込まなければなりません。そうする中で、他の物語との共通点を見いだしたり、相違点を比較したりしていくことになります。まさしく定性的なデータ分析が素人でも可能になるのがMSCなのです。

もし「集まった順番に物語を読みなさい」だけでは、このような深い分析はできないと思います。そうはいっても、選ばれなかった物語に切り捨てるにはもったいない情報が含まれている場合が多いですよね。そのためMSCは、全ての物語を質的分析する2次分析というオプションも持っています。

(註1)リック・デイビース、ジェス・ダート 著田中 博 監訳 MSC翻訳チーム(2013)モスト・シグニフィカント・チェンジ(MSC)手法実施の手引き(日本語版)
(註2)長尾眞文(2009)「データ収集・分析」『第三期評価士養成講座テキスト』日本評価学会

第9回MSC入門セミナーを開催します(6/2夕方@新宿)

好評の「MSC入門セミナー」第9回を6/2(土)夕方に新宿で開催します。奮ってお申し込み下さい! 
 
MSC(モスト・シグニフィカント・チェンジ)は、欧米のNGOが活用している参加型モニタリング・評価手法です。事前設定の指標を用いず、現場から「重大な変化」を集めて「最も重要な変化」を選択することで、人間の意識・行動変容など、想定外・質的変化の把握や分析ができ、組織学習を促進する特徴があります。経験豊富な講師から実践的にMSCのエッセンスを学んでみませんか? これまでにトヨタ財団様、日本NPOセンター様、環境省様などで採用されました。

(1)日時:2018年6月2日(土)18:15-21:30

(2)場所:BIZ新宿研修室B(東京メトロ西新宿駅・大江戸線都庁前)

(3)こんな方にお勧めします:NGO/NPO、コンサルタント、教育・福祉、学術関係者など非営利活動に従事している、またモニタリング・評価や研究に携わっている方。今後予定している方。「説明責任」だけでなく「学習」目的の評価に興味のある方。国際協力だけでなく国内活動にも有効です。

(4)セミナーのねらい
・MSC手法の概略・目的・特徴などの知識を学ぶ。
・手法の中核「重大な変化を集め」「最も重大な変化を選ぶ」体験。
・MSCを現場で、どの効果的に活用できるか意見交換を行う。
前回(1/6)のセミナー報告はこちらをご参照ください。

(5)プログラム
・講義:MSCの概略・目的・特徴・事例紹介
・演習その1:「重大な変化を集める」ステップの体験
・演習その2:「最も重大な変化を選ぶ」ステップの体験
・まとめと振り返り

(6)講師:田中 博
 一般社団法人参加型評価センター代表理事、(特活)ヒマラヤ保全協会元事務局長。日本評価学会認定資格評価士。英国サセックス大学国際開発研究所大学院修了。国際協力機構(JICA)や(特活)国際協力NGOセンター(JANIC)、トヨタ財団、環境省などで評価に関する研修講師、NGO/NPOの海外・国内プロジェクトの評価ファシリテーターを多数行う。JICA草の根技協評価スキーム検討委員や、(特活)日本NPOセンター、(公財)京都市ユースサービス協会などで評価アドバイザーを務めた。共著に「自分達で事業を改善できるようになった!」源由理子編著(2016)『参加型評価〜改善と改革のための評価の実践』晃洋書房、がある。

(7)参加費:一般10,000円 NGO/NPO関係者:8,000円

(8)テキスト:モスト・シグニフィカント・チェンジ(MSC)手法・実施の
手引き(日本語)をダウンロードしてお持ちください。
参考文献として、バングラデシュでMSCを実施した論文もあります。

(9)申し込み・問い合わせ
・主催:一般社団法人参加型評価センター 
・Eメールで件名を「参加型評価セミナー申込」として以下を記入の上、お申し込み下さい→希望コース日時・お名前・ご所属・メールアドレス・当日連絡のつく電話番号・参加にむけて一言。NGO/NPO割引希望の方は、活動と役職を簡単に記入願います。
・しめ切り:5/26(土)・定員:8名 最少催行人数:4名
・送り先Eメール:tanaka.pecenter@gmail.com 
・個人情報は本講座と参加型評価の情報提供以外に使用しません。
こくちーずからも申し込みできます。 
・皆様のところにお邪魔する出張研修も行っています。開催をご検討下さい。

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