2013年04月

2013年04月28日

私、文芸誌の味方です。だから文芸誌は面白い!!

※本日は久しぶりに圧倒的に多い文字量と画像ですが、私が皆様に伝えたいことがいっぱい詰まっていますので、目を休めながら最後までお付き合いください。

 

さて、世の中的にはG.W.に突入した今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。外出してリフレッシュするもよし、連休だからこそ家でひがな一日ひねもすのたりのたりカナ、というのも良し。そんな外出のお供に、家でのどかに過ごすお供にぜひお勧めしたいのが文芸誌。そして突然ですが、私この場を借りて宣言いたします。

 

私、文芸誌の味方です

 

ぬははは。以前からお話ししていた通りですがワタクシ学生の頃に小説を書いたり、映画の脚本を書いたり過ごしてきた文系男子の典型のような人間なのですが、その時代から一周(干支が)して、現在このように生活情報誌の出版に関わっていると、改めて言葉の重みや伝えることの大切さに気付きます。そして、文学には社会の映し鏡のような作用もありまして、時代時代を切り取るような、文学にしか表現の仕様のない言葉の世界があるんですね。

今最も旬な作家といえば村上春樹さんを挙げることが出来ると思いますが、村上氏の小説のキーワードはいわゆるコミットメント(社会とのつながり)とデタッチメント(社会との自己乖離)。転換期となったのは95年の阪神大震災やオウム真理教による一連の事件があります。

そして、私が改めて文学にもう一度向き合ってみたいと思ったのも東日本大震災や与野党逆転などの政局の大きな変化、経済格差や多様化する犯罪などの社会学的な背景があります。

思想家の吉本隆明氏は梅原猛氏と中沢新一氏との共著『日本人は思想したか』のなかで、小説と思想と政治について面白い論を展開しています。以下一部抜粋いたしますと…

吉本 —政治を、たとえば共同性ということと、人がどんな制度を持てばいいのかと言った意味で、外の問題として政治を言っていたとすれば、それと文学を対比すると、文学というのは表現としても内的な表現を含むわけです。それに対して思想と言ったとき、内部でもあり外部でもあると言う、重なり合った混沌とした領域があるんじゃないかというふうに考えました。そしてもし文学が政治のような外部を問題とすると、両方がからまった領域が重要なことになるんじゃないかと…

ここでは中沢新一さんから思想の持つ意味に着いて問われた吉本さんが政治としそうと文学の関係性について共同性(コミュニティ)との関わり合いの重要性を説いています。さてさて、そんな前置きはさておいて、いわゆる5大文芸誌のご紹介をどうぞ。

 

『群像』

出版社: 講談社

発行日:毎月1回1日発行

価格:定価950円

HP:http://gunzo.kodansha.co.jp

 

5月号は第7回大江健三郎賞発表です。受賞作は本谷有希子さんの『嵐のピクニック』。受賞に併せて本谷有希子さんの『自分を好きになる方法』を掲載。こちらは一挙掲載250枚ということで、非常に読み応えのあるものです。しかし、かの大江健三郎氏にこれだけの感慨を与えると言うのは、選評を読みながら驚きを感じました。余談ですがこの『群像』は5大文芸誌の中で個人的に一番表紙が好きです。毎号とてもポップでむき出しで持ち歩いても良いですね。もしもすれ違った人が『群像』を小脇に抱えていたら恋に落ちてしまいそうな(もちろん異性に限ります)デザイン。5月号の私のオススメは当然ながら本谷有希子さんの『自分を好きになる方法』です。書店に無い場合はバックナンバーのお問合せを。

 

『新潮』

出版社:新潮社

発行日:毎月1回7日発行

定価:900円(↑5月号は特別定価950円です)

HP:http://www.shinchosha.co.jp/shincho/

 

今風にいえば“新潮いつ買うの?今でしょ!!”と言いたくなる5月号の内容。1300号記念として多士済々(44人!)の小説家と作り上げた本号。最近改めて好きになった絲山秋子さんに芥川賞を受賞した『冥土めぐり』の鹿島田真希さんも参加。しかし白眉は瀬戸内寂聴さん。是非お読みください。記念碑的号なので書店にない場合はバックナンバーのお問合せを。余談ですが新潮社と言えば、私が一番影響を受けた車谷長吉さんの著作が多いです。『鹽壷(しおつぼ)の匙』『漂流物』『白痴群』など部分的には諳んじることができるくらい読み返しましたが、なかでもカミナリが落ちたような衝撃を覚えたのが『贋世捨人』です。未読の方は是非お勧めいたします。

 

 

『すばる』

出版社:集英社

発行日:毎月6日発売

価格:950円

HP:http://subaru.shueisha.co.jp

 

5月号の『すばる』の読みどころは何と言っても井上ひさしさん原案の幻の作品『木の上の軍隊』を蓬莱竜太さんが作り上げた戯曲。これは報道も多くされたのでご存知の方も多いと思います。そして私の『すばる』5月号のオススメは奥泉光さんといとうせいこうさんの文芸対談です。テーマは小島信夫さんの『アメリカン・スクール』。『すばる』は掘り下げの深い、しっかり読ませる対談が多く感じられます。5月号からいしいしんじさんの新連載『よはひ』が始まりました。次回連載を待ち、発売日を指折り数えるのも文芸誌の楽しみですね。

 

『文學界』

 出版社:文芸春秋

発行日:毎月1回1日発行

価格:950円(5月号は特別定価1000円です)

HP:http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/

 

山村浩二さんの表紙画が一際引きつけるのが『文學界』。私も大好きな山村さんの絵は一見グリム童話の挿絵のような雰囲気ですが、よく見ると不穏です。この表紙画を毎号楽しみにしています。ただひたすら文学が読みたい、小説が酔いたい!という渇きのようなものを潤してくれるのが『文學界』。毎号創作や連載が豊富です。どっぷりと文芸に浸かりたい人にはお勧め。5月号の創作は西村賢太さんの『跼蹐(きょくせき)の門』と藤沢周さんの『千秋(せんしゅう)』跼蹐はいわずもがな、跼天蹐地の事ですね。こういう言葉に触れられるのも文学の楽しみ。私のオススメは川上弘美さんの連載です。川上さんの芥川賞受賞作『蛇を踏む』以降、おそらくすべての著作を読んでいます。私はよく文学作品は何から読んでいいか分からないと聞いて来る人に推薦しています。

 

『文藝』

出版社:河出書房新社

発行日:年4回1・4・7・10月の7日発売。

価格:特別定価1350円

HP:http://www.kawade.co.jp/np/bungei.html

 

謎の作家、舞城王太郎さんの絵が強烈な2013年夏号です。さて、特集内に散りばめられている舞城さんご本人のイラストですが、知り合いの美術教諭に感想を聞くとデッサンがしっかりしているとの事です。残念ながら私は美術は疎いので何ともコメントできませんが。さて、文藝2013夏号の私のオススメは佐々木中(あたる)さんの『らんる曳く』です。佐々木さんの『切りとれ、あの祈る手を』は私より3つ年上でほぼ同世代と言える人がこれほどまで文学をアジテートしている姿はどこか懐かしいような、くすぐったい気持ちになりましたが、今最も新作が待ち遠しい作家のひとりです。

 

以上、5大文芸誌のご紹介でした。さぁ、読者の皆さまはどの文芸誌からお手に取りますか?ま出来れば全部お目通しを。そのなかからお気に入りの文芸誌が見つかれば是非長いおつきあいをしてくださいね。

今後幣紙『くらしの百科』もしくは『くらしの百科』webでも出来る限り文芸誌の新刊ご案内をいたします。

【チーフY】



sankei_kurashi at 13:39|PermalinkComments(0)指定なし 

2013年04月19日

平凡社『別冊太陽』寺山修司特集は数多ある寺山特集の完成形

45日に発売された別冊太陽 日本のこころ―207 寺山修司-天才か怪物か-が素晴しい。没後30年を迎え、過熱している寺山修司氏関連の特集本の中で、群を抜いた出来と言える。一冊で寺山修司氏の現在・過去・そして未来までも見据えるような構成はもはや完本と呼ぶにふさわしい仕上がりです。

 

平凡社さんより4月5日発売。好評発売中です。

定価:2520 円(本体:2400 円)

別冊太陽さんの公式ホームページは以下URLより↓

http://www.heibonsha.co.jp/sun/

 

膨大な資料と寺山修司氏と縁のあった文化人よる寄稿、そしてなによりも別冊太陽の強みである写真の数々。 

本書の構成は大きく分けて以下の通り。

 

言葉と戦った半生

具眼の識者が各々の寺山修司を語る中、私のおすすめは山田太一氏(小説家・脚本家)の寄稿『昔はメールがなかった』です。大学の同級生であった寺山修司氏と山田太一氏の往復書簡の紹介と、寄り添うように会話を重ねた日々のエピソードを紹介。

 

前衛で奔る

ここではお宝が初公開。映画『田園に死す』の台本。書き込みのある台本には貴重な絵コンテに溢れ、1974年公開当時の熱がよみがえります。

 

思考への旅

寺山修司の対談を白石征氏がセレクトした“時には言語の立て直しをせまられ”が素晴しい。スナップは『書を捨てよ街へ出よう』撮影時、ボクシングリングのコーナーに椅子に座る寺山本人。寺山修司氏にとって対談はまさに戦い、格闘技なのです。対談者は松永伍一氏、水上勉氏、深沢七郎氏、松田修氏、そして吉本隆明氏。

 

世界の涯て

高取英氏(翻訳家・劇作家)の寄稿『「死」と生きた』でいよいよ寺山修司を巡る旅のクライマックスへ。19歳でのネフローゼ発症、その後の言葉通り奔り抜けるような生涯。肝硬変により斑点のある肌をさらし“言葉にでもしないと、耐えきれないことだってある”と伝える情念は、逆説的に言えば言葉で生きる人間にとってこれほど勇気を与えてくれる言葉はないのかもしれません。

 

時代を駆け抜けた寺山修司氏は果たして天才か、はたまた怪人か。その答えはずっと出ないのかもしれません。時代が移ろいでも色褪せない存在。この別冊太陽・寺山修司特集は私自身折に触れて読み返す永久保存版になりそうです。寺山修司氏と同じ世代を過ごした人は勿論のこと、寺山修司氏にこれから触れる人にもぜひお勧めしたい一冊。書店で見つけたらぜひお買い求めを。

【チーフY】



sankei_kurashi at 12:26|PermalinkComments(0)指定なし 

2013年04月17日

新潮社『考える人』小林秀雄氏特集号-小林秀雄 最後の日々-は永久保存版!!

今年没後30年を迎えたのが小林秀雄氏。新潮社の『考える人』(季刊誌)2013年春号では生誕111年・没後30年記念として『小林秀雄 最後の日々』を特集。

 

『考える人』2013年春号

 

 

2013年4月4日発売:新潮社 

特別価格1,500

公式ホームページはコチラ↓

http://www.shinchosha.co.jp/kangaeruhito/

 

小林秀雄氏の没後30年を迎え、多くの雑誌やメディアで特集が組まれていますが、私がお薦めするのは新潮社さんの『考える人』です。新潮社での様々な連載著作や公演音源をCD化しているだけあり、今回の『考える人』は満を持しての小林秀雄氏特集号と言えます。

まず、小林秀雄氏についてご説明いたしますと、日本文学はもとより、哲学・芸術・文化にまで及ぶ近代批評の確立者であり巨人 。『ドフトエフスキイの生活』や『本居宣長』など著作多数。乱暴な言い方をすれば“知のパウンド・フォーパウンド”。総合格闘技ならぬ総合知識人という言葉が仮にあるとするならば、常にそのトップランカーにいた方です。

さて、特集に絡めた内容は以下になっています。

■13人の写真家によるポートレート

■「歴史について」小林秀雄×川上徹太郎 名対談再録

■エッセイ 白洲明子 よっぱらい

■エッセイ 坂本忠雄 友情の還暦「歴史について 対談」解説

■長編評論 杉本圭司 契のストラディヴァリウス 小林秀雄、最後の音楽会

今回は特別付録のCDも付いています。小林秀雄×川上徹太郎「歴史について」の対談音源は初公開のものになりますので非常に貴重な音源です。付録CDと侮るなかれ、収録時間はトータル67分弱のボリューム。「如水の交わり」「歴史は流れている」「“身に得る”ということ」「ドフトエフスキイと我々」「今生の別れだとしても」の5タイトル収録。

 

また、特集にかかわらず通常連載も内容が豊富。中でも私が毎号楽しみにしているのが山田太一氏の連載「月日の残像」と宗教学者である山折哲雄氏の連載「柳田国男、今いずこ」です。どちらも読後に胸がスッとし、知への探究意識が高まります。

 

新潮社の季刊「考える人」は1,,,10月発売(次号は7月4日発売)です。また、「考える人」メールマガジンも「考える人」ホームページからご登録できます。お世辞ではなく、このメールマガジン面白いです。私が数年前に上司から真っ先に登録を進められた記憶があります。案ずるより産むが“断然”安し。購読もご登録も併せてお勧めいたします。

【チーフY



sankei_kurashi at 15:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0)指定なし 

2013年04月12日

執筆17年、林照さん著・『シベリア』三部作が凄い

『シベリア』3部作が趣深い。著者は東京都練馬区在住の林照さん。自ら体験した極寒の地・シベリアでの抑留体験をまとめた『シベリア』3部作は執筆17年に及ぶ乾坤一擲の作品。多くのシベリア抑留に関する著作との違いは明確である。軍の編成や抑留までの導入部分や、原因などが書かれた著作が大半であり、実際に現地でどのようなことが行われ、どのような生活を強いられたかについての著作は少い。今回の林さんの著作はまさに後者であり、 真実のシベリア抑留を伝える貴重な本と言える。

 

林さんが本作品を書く動機として、時代が移りゆく中、記憶の風化や惨状の伝え方が軟化することに強い危機感を感じたとのこと。真実のシベリアはこんなものじゃない。これは自分で書かなければだめだ、と。

■シベリア 第一部 白墓の丘

      第二部 望郷の風雪無常

      第三部 追悼の花

新風書房より各1,800(税別)

 

お話を直接伺った私が衝撃を受けたのが“塩湯”の話。40余日にも及ぶ朝、夕1日2回の塩湯のみで強いられた伐採労働だ。わずか300mlの塩湯も慣れてくれば飲んだ直後は体が満足するのだそうです。しかし、栄養の無い束の間の満腹感とは裏腹に体力は衰える一途で、労働どころか朝になっても起きられなくなっている。その枕元で通訳は「ノルマは100%だ。これが出来ない場合は全兵士を氷結の中に起立させる、と強硬だ。今日も頑張ってきてほしい」と命令してくるのだそうです。もちろん体力には個人差もあるのですが、この時すでに大隊総員の6割余り、300名以上の死傷兵が出ていたのです。このままでは全滅だ。誰か行かねばならぬと下士官、兵の中から率先して伐採に出ていくのです。無事に帰ってくることが出来ないと知っていても。

 

労働が出来ず留まる者も、労働に出ていく者にも付きまとう死の影。そして一人でも日本に帰ることが出来たらこの惨状を伝えてほしい。いわば遺言のようなものをみんなの希望として持ち帰った林さん。決して口には出さないが、日本に帰りたいというのがみんなの想い。これが林さんの本を書く動機であり、突き動かした衝動と言えるでしょう。そして林さんの想いは一つ。このような悲惨な事が二度と起こらないように―。

本作品の中では林さんの記憶をもとに書き起こされた詳細地図も多数あり、資料としても貴重と言える。

 

※ご購入その他のご連絡は下記連絡先にて承ります。

03-3922-9239 林宅まで

 

【チーフY

 



sankei_kurashi at 14:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)指定なし 

2013年04月02日

■号外■長嶋・松井氏に国民栄誉賞

昨日の号外です。4月1日に何かが発表されると、うがちた見方をしてしまうのですがどうやらこちらは事実のようです。松井秀喜さんより2歳年下の私にとって、長嶋茂雄氏の現役時のご活躍は聞き伝えられたものですが、両氏とも人柄を含め多くのファンに愛された野球人だと思います。しかし、強い師弟関係で知られている両氏の同時受賞とは驚きました。

 

 

※詳細は以下URLクリックでお読みいただけます。

■産経新聞本紙号外(PDF)

http://reader.sankei.co.jp/reader/east/news/pdf/20130401gougai.pdf

 

【チーフY】



sankei_kurashi at 10:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)指定なし