2014年07月

2014年07月24日

本日発売!第151回芥川賞受賞作柴崎友香さんの『春の庭』で考える小説自体の浮力

先日発表された第151回芥川賞の受賞作『春の庭』が満を持して文藝春秋社より本日発売になりました。作品の主題と雰囲気を想起させる素敵な装丁です。表紙をめくった後に飛び込む爽やかな水色も心地良い。手がけたのはオフィス・キントンさん。第148回芥川賞受賞作である黒田夏子さんの『abさんご』もオフィス・キントンさんの装丁です。『abさんご』も特殊な構成をしている作品なので、作品の雰囲気を壊さない難しい仕事だったと思いますが。では、本日の主役である『春の庭』のご紹介をどうぞ。
『春の庭』
春の庭
著者:柴崎友香
刊行:2014年7月24日
定価:本体1300円+税
文藝春秋さんの紹介ページはコチラ↓
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163901015
【作品紹介(文藝春秋さんより)】

151回芥川賞受賞作。行定勲監督によって映画化された『きょうのできごと』をはじめ、なにげない日常生活の中に、同時代の気分をあざやかに切り取ってきた、実力派・柴崎友香がさらにその手法を深化させた最新作。離婚したばかりの元美容師・太郎は、世田谷にある取り壊し寸前の古いアパートに引っ越してきた。あるとき、同じアパートに住む女が、塀を乗り越え、隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃する。注意しようと呼び止めたところ、太郎は女から意外な動機を聞かされる……「街、路地、そして人々の暮らしが匂いをもって立体的に浮かび上がってくる」(宮本輝氏)など、選考委員の絶賛を浴びたみずみずしい感覚をお楽しみください。

ここで問題です。小説における“なにげない日常”ってな~んだ?

それは小説自体の浮力です。少々文字に表わすのが難しいので誤解を恐れずに書きますが、小説が物語である以上、展開が求められます。しかし展開で読者を惹き付ける作品と、展開以外で惹き付ける作品があるのです。この場合の後者は柴崎さんの真骨頂だと思うのですが、これは非常に高いレベルが求められるのです。描写力は勿論のこと、筆力も要求されます。
柴崎さんの芥川賞受賞は、今までのキャリアも込みで受賞されたのかな…と私は思っているのですが、何はともあれ日常の何がない風景を書くことが出来る筆力確かな作家であることは間違いがありません。
皆様もぜひ『春の庭』をお読みになってみてはいかがでしょうか。
(チーフY)
 



sankei_kurashi at 11:49|PermalinkComments(0)

2014年07月18日

第151回芥川賞発表で感じた極々小さな棘

昨日第151回芥川賞の選考会議が築地の新喜楽で行なわれ、見事、柴崎友香さんの『春の庭』(文學界6月号掲載)が受賞されました。おめでとうございます。私が先日書いた予想も的中ということでよろしいでしょうか(笑)。
さて、以前書いた通り今回の第151回芥川賞について、私は選考が消去法になってしまうのではないか?と書いたと思いますが、この原因は候補作品が一様に“帯に短し、たすきに長し
”ならぬ“帯に短し、たすきに短し”だからだと思うんです。たすきに短し?そりゃ、丁度良いってことじゃないの!と思われる方、その通りなんです。でもね、芥川賞ですよ。受賞作はアナタ、“帯に長し、たすきに短し”でなくてはもろ手を挙げて賛成できませんわナ。さて、最初から聊〈いささ〉かトンチ話から始まりましたが、この後は文学にとっての“帯”と“たすき”について私なりの見解を。
■第151回芥川賞受賞作 『春の庭』掲載号の『文學界』6月号■
文学界6月号

出版社:文藝春秋

発行日:毎月1回1日発行

特別価格:1000円

HP:http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/

先ずは私の持論から。作家の持つ
とは文学における基礎体力×基礎学力です。では基礎体力と基礎学力とは何か。つまり…
基礎体力〈読書量〉×基礎学力〈国語力〉
です。
平たく言えば、良いものにたくさん触れて、かつ語彙や表現、基礎文章があれば作家の力に比例すると考えています。ごくまれに極稀に天才的な想像力だけで突破される方もいますが、それは置いといて。
もう一つ。小説を文学足り得るもの。それは“虚”と“実”です。現実の世界から突然、虚構の世界に入ってしまう、もしくは入らざるを得ない物語が文学の醍醐味だと思います。これが難しい。前回受賞された小山田浩子さんの『穴』にみられるように“不穏な日常の延長線上で、突然大きな穴に落ちてしまう主人公
”のような。もう少し詳しく言えばこの“穴に落ちる”場合、それが物理的〈外的要因〉でも精神的比喩〈内的要因〉でも良いとは思います。
ここまで書けば文学における“帯”と“たすき”についてご理解が進まれたと思います。つまり…
“帯
とは基礎体力であり実、“たすきとは 基礎学力であり虚
を指しているのです。
振り返って今回の芥川候補作品。皆様文章に長けて〈富んで〉おり、現実の部分については素晴しいのですが、失礼ながら読書量が足りないと感じますし、文学の醍醐味である虚に乏しいとも感じてしまうんです。なので、冒頭に書いた通り今回の候補作は一様に“帯に短し、たすきに短し”(笑)…という論法なのです。ゆえに昨日書いた通り、個人的願望では受賞作は無し、客観的予想は柴崎友香さんの『春の庭』と失礼を承知で予想させていただきました。
とは言え、選考が終わればノーサイド。改めて 柴崎さん受賞おめでとうございます。今回の作品、私は醇乎とした気持ちで言いますが、候補作の中で一番良い作品だと思います。人称の変化について言われている批評家の方が多くいらっしゃいますが私は必然性を感じました。保坂和志さんチックと揶揄されている方もいらっしゃいますが、良いと思います。強いて言えば保坂さんの作品は小説自体が浮力を持っていると思います。このような場合、多くの作家さんが保坂さんのように小説に浮力を持たせようと四苦八苦されていると思いますが、外側から力を加えれば加えるほど、作品自体の浮力はなくなると思います。作品の内側から浮かせることが肝だと私は考えています。
以上、殴り書きになってしまいましたが第151回芥川賞受賞作発表の極私的感想でした。 柴崎さんの次回作を心待ちにしております!
【チーフY】 


sankei_kurashi at 10:51|PermalinkComments(0)

2014年07月16日

いよいよ明日発表!第151回芥川賞…の予想@辛辣版

今年も早いもので、前期芥川賞の発表を明日に迎えました。今回の候補作品はもう読まれましたか?候補5作品はいずれも文芸誌にて掲載されたものですので、私の様な5大文芸誌〈文學界・文藝・すばる・新潮・群像〉を毎号読んでいる聊か変わり者にとって、待ちにまった日なのです。常々文学について小言を言っている私にも、有り難いことで芥川賞の受賞予想を聞かれる方がいらっしゃいます。なので、ワタシなりの見解を本日は書きたいと思います。先ずは改めて今回の候補5作品を。

戌井昭人「どろにやいと」(群像1月号)
小林エリカ「マダム・キュリーと朝食を」(すばる4月号)
柴崎友香「春の庭」(文學界6月号)
羽田圭介「メタモルフォシス」(新潮3月号)
横山悠太「吾輩ハ猫ニナル」(群像6月号)

今回は『文藝』さんは一休み。代わりに『群像』さんから2作品がノミネート。前回、前々回と連破している絶好調の『新潮』さんからはあの「黒冷水」の羽田圭介さんがノミネート。候補常連組の戌井昭人さん、柴崎友香さん。そして『群像』さんがやけに推している感じがする横山悠太さん(笑)。
芥川賞?文学なんて興味ないよねぇ…なんて言っちゃぁいけません。文学が文化の一翼を担っているとするならば、私たちはそれに対して評価する権利がある。なぁんて小難しいことは言いませんが、要は無責任に良いものは良い、つまらないものはつまらないと言って良いと思うんです。
今回の5作品すべて拝読いたしました。その結果、今回の予想は2段構えにさせていただこうと(笑)。つまり、私の個人的願望と客観的予想の2段構え。では予想スタート。

【個人的願望】
受賞作 該当なし

【客観的予想】
受賞作 柴崎友香「春の庭」(文學界)
次点 横山悠大「吾輩ハ猫ニナル」(群像)


該当作品無しとは、30代の若輩者がナニを偉そうに!(笑)。でもね、個人的願望については私が考えに考え抜いた結論でして。自分なりに選んでいるうちに消去法になってしまったんです。受賞作なしってのは出版社にとって非常につらい決断になると思うのですが、それでも良いと思うんですよ。最近では『文學界』さんの文學界新人賞みたいに。過去作との比較を考えても今回は申し訳ないけれど1段落ちる気がしてしまって。すみません。ハイ。
では、客観的予想について。柴崎友香さんでしょう。聊か置きに行った、つまり賞を狙ってきたナ、と感じますが。平均点で他作品より頭一個リードでしょうか。少々気になる…と言えば最近の文学賞受賞者が関西出身の30~40代女性に非常に多いこと。作品単体の評価とはもちろん関係ないことですが。次点は横山さん。文学における新しい発見があるとするならこの方の作品。しかし「
吾輩ハ猫ニナル」ってナニよ(笑)。石原慎太郎さんが選考委員に残っていたら激怒するタイトル(笑)。その他の候補作ですと、戌井さんの作品は作品内の辻褄が合わない気がするし、小林さんの作品はすばらしいんですが、前々回のいとうせいこうさんの『想像ラジオ』に敵わないし、そもそもこの方はマンガの方が面白い時点で小説の必然性を感じない。羽田さんはもうね、この人は自分のやりたいことを全うしてくれれば賞なんてどうでもいい気がするし(笑)。
さぁて、今回も言いたいことを言わせていただきました(笑)。発表は明日、築地の新喜楽で!
追:あ、直木賞も発表します。貫井さんとか。
【チーフY】 

sankei_kurashi at 11:53|PermalinkComments(0)

2014年07月15日

『くらしの百科』8月号、大反響ありがとうございます&追記

昨日アップした通り、本日弊誌『くらしの百科』8月号が発売されます。発売と言っても書店に並ぶのではなく、産経新聞の購読者様(関東エリア)に向けて手配されるのです。
さて、今回の8月号ですが、とにかく反響が凄い。電話とメールの問い合わせをたくさん受けており、所帯の小さな編集部としては嬉しい悲鳴なのです。表紙がこちら。
『くらしの百科』8月号
くらしの百科8月表紙
産経新聞を購読されていない方でも、購入ができる旨を昨日お伝えしましたが、2部以上まとめてご購読されたい場合を書いておらず、ご迷惑をおかけいたしました。なにしろ今回のお問い合わせで驚いたのが、皆様1部だけ購入するのではなく、まとめて5部、10部とお申込みされること。 『くらしの百科』を頑張ってきてよかったナ、編集者冥利に尽きるナ、と改めて感謝申し上げます。では改めて購読方法は下記手順をお読みくださいませ。
【購読方法】
関東にお住まいの方は最寄りの産経新聞販売店に直接お声掛けをいただくか、封書に住所、氏名、電話番号を明記し、郵便切手185円を同封し、〒1010052東京都千代田区神田小川町1の1、産経新聞開発「くらしの百科」係へ。 
また、まとめて冊数を購読される場合は以下該当金額分の郵便切手をお願いいたします。
2冊~5冊の場合:(103円×希望冊数)+100円(送料手数料)
6冊~20冊の場合:(103円×希望冊数)+400円(送料手数料)
※例)5冊の場合は103円×5+100円=615円分の郵便切手を同封
  例)8冊の場合は103円×8+400円=1224円分の郵便切手を同封
以上、何卒よろしくお願いいたします。
【チーフY】 

sankei_kurashi at 13:40|PermalinkComments(3)

2014年07月14日

『くらしの百科』8月号のお問い合わせについて…

明日発売の弊誌『くらしの百科』8月号について、多くの方からお問い合わせをいただいています。とてもありがたいことです。8月号は公開直前の映画『幕末高校生』のスペシャル対談として、フジテレビアナウンサーの笠井信輔さんと俳優の玉木宏さんにご登場いただいています。
くらしの百科8月号
『くらしの百科』は産経新聞をご購読いただいている読者皆様に販売店が配布する小冊子です。また、関西では『暮らしの百科』とタイトルも漢字になり、別編集になっております。
さて、玉木さんにご登場いただいた『くらしの百科』8月号ですが、産経新聞の読者以外の方でも購読可能です。
購読希望の方は、産経新聞販売店に直接お声掛けをいただくか、封書に住所、氏名、電話番号を明記し、郵便切手185円を同封し、〒1010052東京都千代田区神田小川町1の1、産経新聞開発「くらしの百科」係へ。
【チーフY】 


sankei_kurashi at 14:04|PermalinkComments(0)