我が家の庭で生まれたカラスの雛の物語です。
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カラスの番い(つがい)が我が家の庭に現れだしたのは昨年の秋でした。
 
常連のスズメや鳩、そして毎年決まってやってくるツグミやヒヨドリ、オナガに混じって、カラスのつがいを見かけるようになっていました。

その頃は気づかなかったのですが、子育てを行うための、言わばマイホーム探しをしていたんですね。
我が家は4匹のワンコが時々、庭を駆け回るものの、総じては子育てには安全な環境と判断したのでしょう。

やがて、つがいのカラスはマイホーム造りの建築材料を集めて来ます。
カラスの頭の良さには感心してしまうのですが、何処から探して来たのか?ワイヤー製のハンガー を見つけて来ては、庭に隣接した電柱の上に置き始めました。それも7〜8本あるでしょうか?
電柱ですから、周囲から丸見えです。

「こんな無防備のところに家をつくるの?」
なんて思ったりしたのですが、やがて気づきます・・・
実はマイホーム造りの本命場所は我が家の庭のヒバの木でした。高さは7メートル位でしょうか?ヒバは常緑樹なので葉に隠れて周りからは良く判りませんし、北風や冬の雨や雪からも守ってくれそうです。
最初の電柱の上は建築資材の倉庫だったのです!

ヒバの木の見えにくいところにワイヤーハンガーを工夫して設置します。そこに集めて来た小枝、さらに剥がした樹皮、苔、そして我が家のワンコの毛(2代目リボンの毛なんか最高です)を敷き詰めて周りを囲って行きます。
さながら、軽量鉄骨?で家の構造を作って床や壁は木造+自然素材の断熱材での家造り・・・なかなか理に適っています。実際には家と云うより巣なんですが・・
うーん、感心。

おそらく、3月の下旬あたりで雛が生まれたのでしょうか? 何匹生まれたのかは定かではありません。この時期の親カラスはデリケートなので、こちらも静かにそっとしていました。

異変が起ったのは4月の中頃でした。
カラスの親が凄い声を張り上げてタヌキを追いかけていたのです。タヌキは柿の木によじ登ったのですが、木の上では形勢不利と思ったのでしょう、木から飛び降りて隣地に逃げて行きました。

この時、タヌキがカラスの雛から一羽を連れ去ったのではないか? そんな気がする程の叫び声をカラスの親は張り上げて、タヌキに向かって行くのを目撃しました。

そんな自然界の厳しさを垣間見る事件もありましたが、
ゴールデンウィークの終わる頃に、カラスの雛が一羽、我が家の庭でよちよき歩きを始めました。
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笹の茂みを歩いたり、庭石の上にちょこんと登ってみたり・・
羽をバタバタさせますが、まだ飛べる様子はありません。
つがいの親カラスは近くの少し高いところで見守っています。
いよいよ巣立ちの訓練が始まったようです。

まだ飛べない雛には危険が一杯です。
タヌキや猫、青大将あたりが狙うかも知れません。
地上に降りてからはこちらも落ち着きません。
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そんな心配をよそに、カラスの雛は庭をヨチヨチ歩き、庭石の上によじ登ったりしています。

そもそも、この時期の雛には警戒心が全くありません。
近くに行っても、カメラを向けても、ワンコたちが近づいても、こちらを見ているだけです。

勿論、カラスの親は常に雛を近くで見守っています。時々、注意を呼びかけるように鳴き声を出したり、餌を与えに雛の傍らに舞い降ります。
一日中、雛を見守る姿はちょっと感動的です。

こちらの心配は夜です。
まだ飛べない雛はねぐらに帰ることが出来ません。
1日目の夜は笹の茂みで一晩過ごしたようです。でも、茂みの中ではタヌキに襲われないだろうか?
こちらもゆっくり眠れなくなりますね・・笑
翌朝、元気に歩きまわる姿にホッとします。

2日目の夜は我が家の玄関脇にある丸太に組み込まれた水栓柱の上にちょこんと座って眠りました。すぐ脇には常夜灯が灯って明るいのですが、前夜、茂みの中で寂しい思いをしたのでしょうか?
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近くに行っても、キョトンとしています。
ここで保護したら、きっとペットになりますね・・・
でも、それはダメでしょう。親カラスは雛が一人前になるように一生懸命なのですから。

3日目は一日中雨降り。カラスの雛は一日中ずぶ濡れになっています。まだ、木の下で雨宿りするとかの術を知らないようです。
風邪など引きはしないか? 心配になってしまいます。
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地上に降りて4日目になると、カラスの雛の動きも活発になります。小さな石から石へ飛び移ったり、ちょこちょこ動き回っています。親ガラスは盛んに、雛の近くで木の枝に飛び移って見せています。お手本を見せているのですね。

「あなたは、こうやって飛ぶのよ!」母カラスの誘いに雛も飛ぼうとチャレンジを始めるのもこの頃です。
今居る場所より高いところへの意識が目覚めてきます。
飛ぼうか?(まだジャンプですが)飛ぶまいか? そんな葛藤をしている様子が可愛いです。

思い切ったのはいいですが・・失敗もありました。
庭石から隣りのドウダンツツジへ(思い切って!)飛び移りました。
ドウダンツツジは低木なので、これならいける!と考えたのでしょう。
けれど、ドウダンツツジの細い枝ではカラスの雛を支え切れません。
カラスの雛はドウダンツツジの中へもがけばもがくほど吸い込まれていきます!

しばらく、悪戦苦闘したあげくに雛はドウダンツツジから脱出に成功しました。
やれやれ・・こちらもハラハラと気がきではありません。

この日も笹の茂みで夜を過ごしました。

そして5日目。
この頃の私は、朝と夕方のバード(カラス)ウオッチングに夢中です。
この日もカラスの雛は早朝からトレーニングを開始しています。勿論、親カラスも我が子を見守っています。
もう少しで飛べそうな気配を感じます。

出勤前の私は、シャワーと朝食を済ませると庭に出て雛を探します。ちなみに、雛を見つけるには親カラスの居場所から探します。
けれども、この時はいくら探してもカラスの雛は見つかりません。
もしや?と思い、視点を上にして目を凝らします。親ガラスがいるから、この辺り・・・

あっ、いました! 地上から2メートル、目線より少し高いところにある木の枝に停まっています。
やったぁ〜、ついに飛んだんですねぇ。
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雛カラスが得意げに鳴いています。

地上に降りて(落ちて?)5日目、親カラスが見守る中、ついに雛カラスは木の上まで飛びました。鳥類なので飛ぶのは当たりまえですが、カラスの雛の場合は大変なんですね。親カラスも嬉しいでしょうが、私もなんだか嬉しい日になりました。

この日は平行棒のようになっている木の枝を行ったり来たり。高いところでのトレーニングを繰り返しました。
夜は木の上で眠ったようです。
こちらも木の上なら安心です。

6日目も飛ぶ練習を繰り返します。 目測を誤ったりしている様子がまだ危なっかしく見えます。

そして、7日目は我が家の屋根に飛んできました。
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この頃から飛行距離や高度は格段に向上します。
しかし、お腹を空かせると鳴いて親にご馳走をねだります。親カラスも地上や木の幹等から食べるものを探すように仕向けますが、肝心の雛は親から貰いたがる様子がありありです。親カラスの気持ちを考えると気の毒になってきます。
いやぁ、親は大変です。
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そして、今。
飛べるようになってから約2週間の時間が経ちましたが、今も親カラスの監視下で雛カラスは生活をしています。
雛カラスの飛行術は格段に向上し、私も羨ましく思えるほどカッコ良く飛び回っています。

雛が親元を離れる巣立ちまでは、もう少しの時間があるのでしょうか?
こんな時間をもう少し見守ってあげたい。
そんな、風薫る5月です。
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