2009年12月

2009年12月31日

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2009年12月30日十勝北部の森にて 鹿の死骸に群がるミヤマカケス

2009年12月30日。先日25日のクリスマスの日に山に残した鹿を見に行った。驚いた事に、骨と皮だけになっていた。わずか5日だった。あたりには鹿の毛が散乱し、大きな鳥の羽の跡や、動物の足跡でまわりの雪が固められ広場のようになっていた。どれだけの動物たちが集まったのだろうか。

鹿の死骸に近づくと、一匹のキタキツネがゆっくりと去って行く姿があった。周りの木にはミヤマカケスが何羽かとまっていた。死骸から30mほど離れて見ていると、すぐにカケスが死骸に群がり、喧嘩が始まった。普段見慣れているカケスも群れで見るとおもしろいもので、カケス社会にも上下関係があり、一番大きなカケスは争いもせずひたすら肉を食べ続け、下位のカケス同士が争い合い、カツンと口を鳴らしたり、ギャギャーと騒ぎ、時よりポヨなどの不思議な音を立てて、肉を奪い合っていた。ミヤマカケスは森の見張り屋でありあらゆる動物たちにエサの存在を知らせる情報通。最後の最後まで死体に群がり森の掃除屋でもある。

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5日には骨と皮に鳴っていた 09年12月30日鹿追町にて

野生動物が野生動物を食う。たった5日の間に1頭の鹿は骨と皮になる野生。人間界よりもしたたかに野生は動いている。60cmに積もった雪をスノーシューを履いて歩くのは、年末の食べ疲れ、飲み疲れの体にはこたえた。ダケカンバの枝に止まったおばさまのようなエゾライチョウとカツラの種を食べるウソに出会えた。静かな森で耳をすますと聞き慣れない鳥の声が聞こえたけど、その正体は謎のままに2009年の山の神々にありがとうと挨拶をした。

(00:25)

2009年12月27日

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2009年12月25日巨大なクリスマスツリーの森を歩いた

朝9時、十勝北部の森に入った。日の差し込まない深い谷は、青くキンと冷えていた。日あたりの良い場所まで、ひざした程度に積もった雪を歩いた。先行する彼の肩にはライフルがかけられている。息をひそめて気配を消して鹿を探す。山道を歩き、尾根近くに上がると、太陽がダケカンバと針葉樹の森を照らしていた。マイナスの世界でも陽だまりは心地よく、風がない森に音は無く、耳鳴りのような静寂だった。日あたりの良い場所は、鹿だけでなく、植物にとっても生きのびれる場所であり、植物をエサにする昆虫たちにとっても快適な場所。木々を飛び回る小さな鳥たちのさえずりが耳に入った時そんな生命スポットを理解した。

彼の「まて」という手の合図に一瞬緊張が走った。ライフルをかまえ、一発の銃声が山に響いた。

「ためらいがあった」という。現場には鹿の死骸も血痕すらも無かった。4頭いた鹿の中から、大きな雌ははずし、小さな雄に狙いを付けようとした心のためらいがあったのだ。何秒という時間ではなく、心のなかの一瞬のためらいだった。


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2009ねん12月25日 エゾマツの幹に空いたクマゲラの食跡


クリスマスの森には、全く人間界のせわしさはなかった。あたりまえである。年賀状書きや忘年会、大掃除なんてあるはずも無く。巨大なクリスマスツリーのようなトドマツに積もった雪は、気温の上昇とともに、音を立てて滑り落ち、キラキラと粉雪が輝くだけだった。クマゲラは太いエゾマツの幹の中でうごめく虫の気配に食欲を増し、空腹を満たすために荒々しく木に穴をあける。穴をあけられた木はねっとりとした松ヤニを流し治療にかかる。自然界は何も変わりなくあたりまえに時間が流れているだけだった。

帰り道、すぐ目の前を1匹のエゾタヌキが現れた。短い足でも雪の中を転がるように歩き、頑張れば捕まえられそうなのそっとした動きはたまらなく優しい姿だった。すぐ近くに血痕を見つけた。不思議な事もあるもので、さっきはずしたと思った鹿は、血痕を一滴も落とさずに数百メートルを歩き、林道の脇で息絶えていた。タヌキが教えてくれたからよいものの、無駄死にさせてしまうところだった。

鹿を解体していると、ほとんど昼間活動する事がないエゾクロテンが私たちの姿を気にせず、すぐ近くまで近寄って来た。足もとに現れたトガリネズミも雪に付いた鹿の血をむさぼり食べていた。鉄砲の音でオジロワシはやってくると言う。ハンテングという視点から見る森の姿。生きるか死ぬかという動物との知恵比べ。そしてありがたく頂く命と、ありつづける森に対する感謝の気持ち。

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2009年12月25日大雪の山奥にて

とれるだけの肉をとって、頭や足、皮、内蔵は山奥に置いてきた。この一頭の鹿がこれからどれだけの動物たちによって利用されるのだろうか?ミヤマカケス、シジュウカラやハシブトガラ、カラスが騒げばオジロワシ、オオワシ、そしてクマタカもやってくる森だ。トガリネズミ、エゾクロテン、イイズナ、キタキツネ、エゾタヌキ、みな良い正月が迎えられるのかもしれない。どんな動物が集まるかちょっと気になり、暮れの忙しさの中見に行くチャンスをうかがっている。


(12:52)

2009年12月25日

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2009年12月21日ヒッコリーウインドにて

そりゃ、うれしいですよね。

安藤さんは鶴居でウイルダネスロッジ「ヒッコリーウインド」を営む傍ら、ネイチャーガイドとして地域の自然を案内してくれる。宿とガイドという私が目指す姿を、すでに10年前から、初めている北海道でも先駆的な人。私の大先輩でもあり、悪友でもある。ヒッコリーには毎年この時期になると、足を運び、彼のギターライブでクリスマスムードを楽しむのが恒例になっている。今回は、私の独立にあわせてビジネスプランというか、進行状況というか、これからの計画を発表しろ!とご指名があり、集まった方々のまえで、十勝の魅力というか営業?をさせてもらった。安藤さんの宿で十勝にできる宿の紹介をさせてもらう、ライバル同士なのでは?と思うかもしれない。それよりもライバル同士こそ手をつなぐとより広い展開が生まれる。まして、十勝と釧路。釣りや鳥など興味は尽きない。そんなことより、同じ苦労をし、同じ問題を抱え、立ち向かう壁も同じ人間と同じ時間を過ごすことがとても心地よいものなのである。そんな彼のライブに発お目見えした、右横の少女は彼の娘だった。

そりゃ、うれしいですよね。

(17:16)

2009年12月22日

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2009年12月19日ドロノキにとまるオオワシとオジロワシ
今年初めて開催された「十勝川ワシフェスタ」が終了した。午前中の観察会に参加した人およそ60人。人もさることながら集まったオオワシとオジロワシも視界に入るだけでもおよそ50羽。皆盛大に集まってくれた。

対岸のドロノキにとまるワシたちは、水路内のサケの死骸が目当て。氷の中でルイベになっているサケを川に下りて食べ、木に止まっては周辺を見回す。雪が積り一面白くなり、早朝の冷え込みで川からたちのぼった水蒸気が木に凍りつき、霧氷になって河原の木々を真っ白くする。10時頃東から低い光があたると、キラキラと輝きながら舞い落ちる。ワシのくちばしの黄色もよりいっそう精悍さをみせる。十勝晴れの中のワシ観察は本当に気持ちよかった。

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2009年12月19日サケの死骸をめぐって争うワシたち 十勝川にて

このワシたちが集まるのも、人間が作った構造物による。2007年に完成した魚道は、一部のサケは上流に上る。けれど、多くのサケが力尽きてこの場所で死ぬ。この大量の死骸を求めて、カラス、トビ、カモメ、キツネなどの肉食動物、そしてワシが集まってくる。餌付けではないが、まったくの自然でもない。「ワシが見れてすごい、豊かな自然がある」で終わってしまうのではなく、もっともっと大切なことをこのワシたちは私たちに教えてくれる。

山と海を行き来したいのは、サケだけではない。ヤツメウナギやサクラマス、イトウだってこの川にはいる。海のめぐみを山へと運んでくれる生き物たちを、人間が作ったダムが止めてしまう。森が作った豊かな栄養も海までたどりつくことができない。オオワシ、オジロワシが集まる自然は、もちろんすごい。だからこそ彼らのメッセージに耳を傾け、これから私たちが何をしなければならないのかを考えなければいけない。彼らの目の鋭さに気づきたい。この凍てつく寒だからこそ見せてくれる自然。ここまで読んでくれたあなたにはぜひ見て感じてほしい。見れるのは12月から1月いっぱい。ピークは12月中旬から1月中旬の1ヶ月間です。時期が遅れると、サケの死骸がなくなり、ワシたちは山奥の鹿や海岸の魚をもとめ分散してしまいます。時計の針を自然にあわせ見に行きましょう。










(20:21)

2009年12月17日

十勝川ワシフェスタ
2009年12月16日十勝毎日新聞掲載

いよいよ19日に十勝ではじめてのワシフェスタが開催されます。「鳥」というテーマにどれだけ多くの関心が集まるか楽しみ。身近にいる鳥は、ハトやスズメだけじゃない。十勝には十勝の鳥がいて、ところ変わればその地方特有の鳥たちがいる。まして鳥たちの声は目をつぶっていても聞こえてくるし、季節を教えてくれる。そんな鳥たちの動きに気づけたとき、自分が年をとったことに気づき、そして豊かさを感じるものである。1人でも多くの人がこの豊かさに気づき、周りにある身近な自然を大切に、世代をこえたコミュニケーションにつながっていけばいいのかもしれない。

温かい服を着こんで、双眼鏡を首にぶら下げて鳥を見に行きましょう。

(11:11)

2009年12月16日

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2009年12月15日十勝毎日新聞

今期の寒さが日に日に増し、早朝気温を記録更新するこのごろ。天気がよいほど放射冷却で気温が下がり、そしてパキンと冷えた朝ほど抜けるような青空が広がります。それが十勝特有の十勝晴れと呼ばれるものです。

この寒さに乗ってロシアから続々とワシたちが北海道へ渡ってきます。十勝川で産卵を終えたサケたちに群がるのがオオワシやオジロワシの優美な姿です。2007年に治水事業として千代田新水路が完成したために、サケが集まりオオワシやオジロワシのお食事場所ができたのです。そんな動きが十勝川温泉協会や日本野鳥の会を含め、活発に動き始めました。12月19日「十勝川ワシフェスタ」が行われます。柳生さんも来ます。

北海道の冬は、温かい車から鳥でも見ているのが一番です。


(09:25)

2009年12月12日


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河原に立つドロノキはワシたちの格好の止まり木になる 09年12月11日十勝川にて


いよいよワシたちの本格的な季節がやってきた。十勝川で産卵を終えたサケの死骸を求めて、たくさんのオジロワシとオオワシが集まってくる。12月〜2月頃がワシがみれ、オオワシは12月中旬〜1月いっぱいが一番よく見れる。2月になるとサケの死骸もなくなり、ワシたちは十勝川上流へ鹿の死骸を求めて移動する。

オオワシがとまっている木は北海道の開拓を支えた重要な木だった。川沿いに立つドロノキはマッチの軸へと姿を変えた。北海道の入植者たちはこのドロノキを切って生計を立て、マッチ産業を中心に町が形成されていったという。ドロノキは太陽を好み荒地に育つたくましい木。今では材木にもならず、役立たずとレッテルを貼られ見向きもされないドロノキだけど、立派な生き証人なのである。


オオワシは体長88センチ、翼を広げると2メートルを超える。木の上にたたずむ姿は遠くから見ても迫力が違う。飛んでいる姿を双眼鏡で見たら人生観が変わる。そんな優雅なオジロワシだけど、食べているものはサケの死骸、エゾシカの死骸などで、自分から狩をすることがめったにない。エサがないときはカモやカモメを捕えるらしいけど、北海道のワシたちは要領がよい。

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夕暮れに十勝川にてサケの死骸に群がるオオワシたち 09年12月11日 十勝川にて



(14:19)

2009年12月11日

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クボタさん 2009年12月10日山奥の湖にて 

クボタさんは私の師匠であり、悪友のひとり。

70歳近く、白髪の頭でもギョロっとした目。重みのある口調は貫禄がある。この年でフライロッドを自由に操る技術には恐れ入る。十勝の名だたる川を釣り歩き、川の主たしをしとめてきたその経験は、十勝の自然の懐の広さ、雄大さを感じさせる。

この日は朝から、イトウを狙ってボートを出した。水量が多い秋の釣りは、岸から立ちこむのが難しく、気温はマイナス3度、日中でも釣竿のガイドが凍る。そんなときこそ北の魚は活性が高く、氷が張る前がチャンスなのが、イトウ釣り。釣れるといえど幻という魚、いつ掛かるかわからないイトウに何度も竿を振り続けた。

風は弱く、水面は鏡のような静けさ、高く昇らない太陽であるだけで体を温めてくれる。モノトーンの木々の世界にダケカンバの白がよく目立つ。カラスやヒヨドリが木々を彩るツルウメモドキの実を求め騒がしかった。湖に釣り人は誰一人いない。たまに鹿撃ちのジープが走り、銃声が山に響いた。

8番ロッドにタイプ3のシンキングラインをつけ、じっくり沈めて気配をうかがう。岬の先端、湾戸の奥の浅場、過去にいい思いをしたポイントをくまなく狙ったが、竿を曲げたのは数尾のアメマスと太ったウグイだった。

この湖もあと数日で氷に閉ざされることだろう。

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夕暮れに掛かったのは、50センチのアメマスだった 茶色の濃い金色のアメマスだった 2009年12月10日




(09:44)

2009年12月05日

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フライフィッシングをはじめるなら11月がいいのかもしれない。産卵期が終わったアメマスは素人でも十分に釣れるチャンスがあるから。今回は2人。1人はルアー釣りをちょっとやったことがある友人と釣りまったく経験なしの友人。午前中河原でいろいろ説明して、フライを飛ばせるようになり、午後から魚が潜むプールへ。

「あそこまで飛ばせれば魚が釣れる」という意識が働くと、さっき覚えたキャスティングはバラバラになって悪循環になるのがフライフィッシングのややこしいところ。それでも、魚がヒットすれば、フライフィッシングの壁を少しづつ乗り越えてしまう。

たかが釣りなのに、どうしてそんなにめんどくさく釣るの。フライフィッシングはめんどくさい釣り、でもやっぱりフライフィッシングは面白い。竿のガイドについた氷を落としながらふと思う12月だった。

私の場合は、フライフィッシングで初めて釣り上げた魚は、屈斜路湖のアメマスだった。フライで釣った初めての魚は、心の奥深くに眠る釣りのフライの原点なのかもしれない。

フライフィッシングではじめての魚を手にした2人 拍手です!
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(18:08)

2009年12月01日

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ロッジラッキーフィールド
吉原拓志・なぎさ(よしはらたくじ・なぎさ)
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(08:50)