2016年12月11日




2016年2月18日 4日目

朝まで熟睡。5時半に目がさめると。まだ真っ暗だった。
波の音とニワトリのコケコッコーが聞こえてくる。
たくさんの星が輝いていた。薄手の長袖と長ズボンでちょうどいい気温で、
とても穏やかな朝だった。


今日はいよいよ、フィッシングガイドのクレイとの釣り。
朝食をピーナツバターとジャムのサンドイッチで済まる。
自転車で7時に待ち合わせをしている桟橋を目指す。
昨日までの3日間で得た自分のボーンの情報とクレイの釣りがどうなのか、
楽しみだ。


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朝の潮は干潮が8:49だった。下潮から上げ潮にかけて時間を狙う。
桟橋につくと、クレイが立派なボートを横付けして待っていた。
あいさつをかわし、支度を終える。
ヨーヘイ氏がクレイと一緒にボーンを探し私はクレイの様子を観察しながら歩いた。


ボートはターポンやボーンの釣りでよく見るような底が平らで浅い場所に入っていけるフラットボートで、前には立ってキャストできるデッキがあり、うしろに登って ポーリングしながらボーンを探せる最新型の新しいボートだった。こんな小さな田舎の島と島育ちのクレイと最新型のフラットボートに少し違和感を感じた。


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ボートは10分ほど走り、ウミガメを蹴散らせて青い海を進み、リーフのサンゴに何度か船をぶつけながらインリーフの浅い砂地へと入って、ボートを止めた。

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膝よりも浅い水深でマングローブの近くでボーンを探し始めた。

キャンプ場の前と比べると砂が白く水の透明度が全然ちがう。
これでボーンがいたら簡単に見つけることができるだろうと、
ゆっくりどこまでも続く遠浅のフラットをゆっくり歩いた。

だけど、ボーンが全然いない。
クレイは絵のついた長い鎌を持って、
マングローブの小さな木を一本一本切りながらボーンを探して歩いた。
白いサギのコロニーと白い煙突が2本遠くに見えるフラットで、
島側からの吐き出しの風は、水が濁らないでボーンを探すにはちょうどいいという。
ボートでさらに西へ移動し、青いチャネルに海の上に小屋があるフラットに近づくと、
岸辺が泥でに濁っていた


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それを見て、先日の雨で淡水が流れ込んでボーンが岸によってないのかもしれないという。
昼を過ぎた頃、クレイはボーンを探すのを諦めたのか、
マングローブの茂みに踏み込み黙々と鎌で切り始めた。

話を聞くと、牛やヤギや山に増えたせいで山の土で川が汚れ、
それが海に流れ込み海が汚れた。
水を浄化するためにマングローブを導入したところ遠浅の干潟、
フラットにマングローブが進出してきて、
どんどんフラットがマングローブの林になってきてしまっているという。
それを政府に訴えたところで対策を取ってくれず、
自分のフィールドを一本一本鎌で切って守っているという。


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今年種から芽吹いたとだろうと思える雑草のようにフラットに生えるマングローブの稚樹の数は岸に沿って果てしなく続き、それが3ヶ月でこうなるという彼の話に、同じガイド同士と辛さを感じた。

ボーン探しはいつしかマングローブ抜きに変わって、竿を置いて稚樹を抜いていると、
足元にでっかいタコを見つけた。

面白がってフライで引っ掛けて捕まえようとすると、
マングローブにつかまって動かなくなってしまい、
クレイからもらった大事なフライを切られてしまった。
そのことをクレイに話すと、捕まえようという話になった。
3人でタコが隠れた場所に集まり、
鎌でタコを穴から引っ張り出すとクレイとタコの素手の格闘が始まった。
それを見ててスイッチが入ったのがヨーヘイ氏でクレイからタコを奪い取ると、
タコの頭をひっくり返して、あっさりと勝負をつけてしまった。
突然スイッチが入ったヨーヘイ氏のワイルドさに腹から笑った。
フライも回収でき3人でかなり興奮した。
クレイも、今までガイドをしてきたけど、タコを仕留めたのは初めてだと、
ボーンが釣れるよりもよっぽど貴重だと興奮していた。


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そんなことで一度ボートに戻って、おやつを食べてビールを飲んだ。
ボーンは釣れないけどクレイと一緒に海の上で過ごす時間は気持ちよかった。
最後満潮までの時間を桟橋の近くの浅場でボーンを待とうと上陸した。
この日は2度ヨーヘイ氏とクレイの前にボーンが現れただけで結局1日目のガイドは終わった。
私はでっかいフグがフライを追いかけてくるのをみたくらいだった。

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P2180681ザトウクジラの潮吹きと体全体出して、ジャンプする光景が近くで繰り返されていた


クレイは子供が6人いて10年前にガイドの仕事を始めたという、
もう69歳の彼は退職前は電話の仕事をしていたという。

年間120日ほどのガイドで高そうな車と最新式のフラットボートやハーレイのバイクを持っている様子からは、この島の中ではいい暮らしをしている様子だった。

子供の頃から釣りが好きでボーンを釣って育ち、たまたま勧められてフライを初めてだとボーンを釣ったのがきっかけで、今では世界基準のフラットボートでワールドクラスのボーンを相手にガイドするまでの地位を築きあげた。

よそのガイドシステムを学ぶわけでもなく、自分の家族と島の自然と暮らしを一番に考えて、やっていくうちに、こうなったと、彼の話はなかなか深く尊敬した。

島の自然があって、ボーンフィッシュがいて、フライの技術を学び、ガイド業という島では考えられない高収入を得れるビジネスは島育ちの人間にはなかなか理解できないもの。

だけど、いまでは恩恵を受けるボーンフィッシュと自然を守る意識を強く持っている。

もちろんそれは生計を立てる上で大事なことで、ボーンフィッシュと美しいフラットがあるおかげで家族を養え、島で暮らせるのだから大切にするのは当たり前なこと。ただ、ボーンフィッシュにはレギュレーションやライセンス制度がなにもなく、職業漁師が長い網でボーンを含め大量に魚を取ってしまうのがなんとかしたいとぼやく。


それは、ガイド仲間を増やし連携して、働きかけないとなかなか難しいものだろうと思った。モロカイも北海道もまだまだ発展途上にあると感じた。

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クレイの車に自転車を積み、食料品店に立ち寄って生の分厚いステーキ肉を買った。
ステーキ肉が驚くほど安くて、今夜は豪勢。
相変わらずニンニクの皮むきからはじめ、
フライパンに入れた油とスライスしたニンニクで油に香りをつけて、
キツネ色になった頃合いでニンニクを取り出し塩と混ぜガーリックソルトを作る。
油で分厚い肉を焼いて、火が通ったら肉汁と除けておいた脂身でジャガイモと玉ねぎをじっくり炒めた。

生のパプリカをかじりながら、ニンニクたっぷりのステーキは身にしみて美味かった。
レーズン入りのずっしりとした食パンがとても美味かった。

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夜の時間は静かで、ゆっくりと時間が流れ少しはだざむく、長袖のフリースでちょうどよかった。
たまに通る車とシャワーを浴びに来る人が1人いた。

風は止み、今夜は波の音もしない。明日はチャンスがあるだろうか、
4日目が終わったのに、まだボーンは釣れない。
ドラグの逆転音がそろそろ聞きたい。神様にお願いしてテントに入った。



つづく


十勝の自然を楽しむためのガイド&ロッジ
ラッキーフィールド :http://lodgeluckyfield.com
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(22:28)