2016年12月12日




2016年2月19日 5日目

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6時に目が覚めた、そとは風もなく静かだった。
一晩塩したタコの足を木の下にぶら下げた。
ハエがこないように薄いタオルで包んだ。
一夜干しを作る。


6時半にクレイが迎えに来てくれた。
今日はヨーヘイ氏がカメラ役になってくれた。
朝一で桟橋よりも東でボーンを探すけど、
逃げていくのは小さなカニで、ボーンには出会わなかった。


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日が上がってくると同時に桟橋の西側へ移動し、
今日は風が弱いからボートの上からボーンをを探そうと、
クレイは後ろのデッキに立って長いポールを使って、
船を水深80センチほどのサンゴと白い砂の上をボーンを探した。



いきなりでっかいボーンが目に入ってきた。
サンゴの上で動かないボーンにフライを投げると、
フライの着水地点が遠く、気づいてくれない。
ボートはどんどんボーンに近づいていく、
80センチはあろうでっかいボーンが逃げずにすぐ目の前にいる。


サンゴの上で何かを突っつきながら食べている。
でっかいヒレが水面から出て水しぶきを上げた。
すごい。

もう一度フライを投げると、
ボーンをがフライに気づきゆっくりとフライを追って近づいてくる。

焦らないで、ゆっくりとリトリーブをと言い聞かせても、
気持ちが急いてリトリーブが早くなってしまう。
こちらに近づいてくるボーンは船まで10mほどの近くまできても、
フライを食い付かずにゆっくり追ってくる。

船べりぎりぎりまで、ボーンがよってきて、
ロッドの先端からリーダーの結び目が入ってきそうになったので、
竿先は水面から離さないように、腕を縮めてリトリーブをつづける。


ボーンがフライを突っつき、くわえるのだけど、
ボーンが反転してくれないことにはフッキングできない。
いよいよフライラインがロッドの先端に達しようとした時に、
ボーンが反転し、その衝撃が一瞬竿に伝わり、
フックセットできたと思った瞬間、
竿は曲がらず、フックすっぽ抜け。



ボーンは走り去ってしまった。
突然起こったことで足が震えていた。
ボーンのでかさが凄まじく、
フライを追うシーンまでしっかりと目に焼き付いた。


想像もイメージもしていたけど、
現実に起こった一瞬の出来事は悔しいというよりも、
嬉しかった。


やっぱりこの島のボーンはすごい。
本当にすごい。


クレイいわく10ポンド以上だったという。


気分転換でビールを飲みながら、
サンドイッチを口に加えたままの状態の一瞬のできごとだった。


その感動で、次のビールを開けた。
気分もいい感じになると、
次のボーンが現れた。


茶色のサンゴがまばらに沈む白い砂の上を、
これもまた巨大なボーンが泳いでいるのが15mほど先にはっきりと見えた。

今回は泳ぎながら動いていた。キャスティング姿勢に入り、
気持ちを落ち着かせてラインを伸ばし、
フライを進行方向に入れるものの、
気づかずに泳いでいく、

次のキャストで巨大ボーンはスプーくさせてしまった。
するとその横に中くらいのボーンがいたので、
フライを投げ込むとフライを追って近づいてきた。
ゆっくりとフライを動かしてて、
ボーンがフライを2mほど追ってくると、
反転すると同時にしっかりと竿が曲がって、
フックセットに成功した。

突っ走りが来ると思ったら、
なかなか走らず、
ラインを巻こうと思ったと同時一気に加速し、
フライラインは一瞬に引き出され、
バッキングを50mだして止まった。

ようやくのリールの逆転音とバッキングを勝負。
これだと思ったら。
魚がピクリとも動かなくなった。
怪しいと思って船を前に出してもらうと、
サンゴにラインを巻かれていた。


まだ魚は付いていたけどボートが近づくと糸を切って逃げて行ってしまった。
50センチくらいのボーンだったけど、
このサイズでサンゴ に巻かれてしまうのだから、
あの巨大ボーンはランディングできるのだろうか。

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その後ボーンは5.6回現れてくれたけど、
はっきりと見えず位置を確認している間に気付かれて逃げていくボーンばかりだった。
チャンスはあるのに、そのチャンスをものにできない自分にうんざりしてくる。
力のなさを思い知るばかりで、この切なさが重くて辛い。
これが釣りというものだけ、久々に味合う敗北感はなかなかの重さだった。


クレイと交代して、クレイが船首のデッキにロッドを持って立ち、
私がポールを握って後ろのデッキに立って船を操船してボーンを探した。
風があるとなかなか応える仕事だと思いながら、
南の海でフラットボートでガイドしても楽しいだろうなと思った。
結局今日もボーンは釣れず、桟橋に到着した。


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だけど、前進があった。
どこにボーンがいて、
ボーンがどう風に見えて、
フライにどう反応するのか、
そしてあの突っ走りとサンゴ、


クレイから学ぶことも沢山あった。
クレイと一緒に釣り上げたかったけど、
自分の力で釣れというとなのだろうか、
あと3日間は自分たちだけでの釣り、
ボーンを手にすることができるだろうか。

あとは自分たちの力だけでやらなければならないという試練と、
クレイからもらった沢山のヒントに身が引き締まる感じがした。
昼を過ぎると決まって東からの風が強くなった。


キャンプ場の前は茶色く濁り、
クレイと一緒にボーンを探したフィールドとは全く違う、
キャンプ場のフラットでボーンを見つけるのはかなり難しい、
カヤックから探す手もあるけど風が吹くと厳しい、
カヤックから2人で同時に釣りすることはできない。


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そんなことで、グーグルアースで見つけた場所が気になり始めた。



この島の南側は岸から永遠と続く遠浅のフラットが広がっているけど、
その中でも目を引く美しい白い砂地のフラットのようなものが衛星写真からみれた。
ただ、それが浅いフラットで立つことができる水深なのかどうかわわからないし、
立てたとしても陸続きで歩いてフラットに到着することができるかどうかもわからない。
カヤックでいければ、いざとなればカヤックから釣りができるのだけど、
キャンプ場から15キロほどなので、
いつ強い風が吹くかもわからない海を慣れないシーカヤックで目指すのも無謀すぎる。
でも、その地形が気になって行ってみないことには良いも悪いもわからない。
クレイに写真を見せて聞いてみると、
フラットがどうかの話はしなかったけど、
ボーンを探せる場所はあるようだった。
新しい新天地に行ってみたいフロンティア精神が少しづつくすぶり始めた。



金曜日の夜は、近くのホテルで歌と踊りのイベントがあるというので、
夕食をホテルのレストランで済ますことにした。
ついでにクレイも誘うと、6時の待ち合わせに来てくれた。
目の前に海が広がるレストランには週末ムードの地元の人や、
観光でアメリカから来ている人で賑わっていた。


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まったりとした音楽の生演奏で、キャンプ場とは違う空気だった。
首から花飾りをつけた女性が近づいてきて名刺をくれた。
見ると英語の名前の最後に比嘉という日本の名前が付いていた。
この島には日系の人が沢山いるよう、
日本語は話せないけど、両親や、祖父母が日本人という人が多いようだった。

名刺をくれた女性はフラダンスの先生で日本にもよく来ていて、
800人の生徒が日本にいると話してきたけど、
面倒くさい物売りのようにも見えてちょっとうさんくさかった。

テーブルにクレイとヨーヘイの三人で座り、
チキンとビールとワインを注文した。
ウクレレでアロハミュージックが流れてくると、
さっきの名刺をくれた女性が踊り始めた。

それを見てハッとした、

この女性、そう言えば昨年十勝で会った!と、思い出した。

十勝の音更町で開かれた麦感祭(ばっかんさい)という、
定員200人という超ローカルの地元の人でも知らないカントリーフェスティバルだった。
そのときにフラダンスを踊っていたのを思い出した。

急いでそのことを彼女に伝えると、十勝に行ったことがあるという、
iPadのなかに偶然残っていた写真を見せると、
そうそうここで私踊ったわ。という。
まさかここで、あんな田舎のお祭りで会った女性に会うとはお互いにビックリだった。
本当にフラの世界では神様的な女性で、

さっきはうさんくさと思ったことを反省した。
ゆっくりと心を込めて話す彼女の話し方はいかにもこの島育ちの生粋のフラダンサーで、柔らか踊りは指先までもが美しかった。


そんな彼女に明日の夜の夕食に誘われた、
どこに泊まってるのかと聞かれ、キャンプ場というと驚かれ、
電話がないし自転車しかないというと、
車で迎えに行ってあげるまでというので、
言葉に甘えて明日の夜の時間を決めた。


その彼女の横にいた年配の女性の女性がまたおもしろくて、
良い年なのに、ジョーダンが強烈で、
最後のお別れに「なんでハグしないのよ!」と怒られてしまった。
人つながりでいろんな出会いがあるのが、
面白くて、こんな自由な旅だからこそいろんな展開が面白い。

クレイとの話は釣りのこと、ガイドのこと、家族のことなど、
尽きることなく続き、いつの間にか混み合っていたレストランには客がいなくなって、テーブルと椅子を片付け始めていた。本当に色々と良くしてくれるクレイには尊敬した。


こんな小さな島でフライの世界を自分で開拓し、元祖フライフィッシャーであり、ビジネスとしてここまで築き上げた。島での暮らしと自然を愛し、家族を何よりも大切にする。見習うことは釣りだけでなく、もっと大事な大きなことだった。


69歳、定年後にスタートした第二の人生、とても楽しんでいる彼の姿と、いろいろな問題と立ち向かっている姿も見ることができたのは自分にとってもとても強い信念になった。理想の姿だった。


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真っ暗になっても月明かりが道路を照らし、
いろんなことを思い出しながら自転車をこいでキャンプ場に戻った。
週末だけあって、キャンプ場は少し賑やかだった。
月明かりに海が照らされ美しかった。


明日からまた自分の釣り、
15キロ東のフラットを自転車で目指すことにした。
自分の知恵と技術を試す。
この島の自然と地形を把握して、
潮と風と天気の中からチャンスを見つける、
一匹の魚に出会いたい。
そして明日の夕食に合わせてキャンプ場に戻って来なければならない。

どうなることか・・・


十勝の自然を楽しむためのガイド&ロッジ
ラッキーフィールド

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(18:43)