2024年05月16日

中之島春の文化祭が終わってから一週間。
……以内には書こうと思ってたけど、明日の明日のまた来週で、そうこうしてる内に世の演劇人は次の本番に向かって動き出し、私は色々忘れていきすっかり平熱になっての今日この頃の今更。
ド酷い風邪をこれでもかとこじらせて、咳をし過ぎたせいで肋骨ヒビ入ってるかも……と思ってた痛みもすっかりなくなった。
それくらいの月日が流れとる。

「サンセットルール」に関してもたくさん褒めてもらえて嬉しかったな―と思ってたはずなのに、「そうでもなかったかも……」となっておりますが、木山さんの撮ってくれた写真もきちんと使わなければと思うので振り返り。

まずは何より、三等からチケット買ってくれた皆様、コメント書いてくださった皆様、特に好きでもないけど嫌いでもなかったよって皆様、ご来場誠にありがとうございました。
300席満席ってのはありがたいものだなーと、美術建て込んで5ステージやってそんだけも埋められなかった劇団の人としては他人の褌でのそれをしみじみ噛みしめておりました。

ブログ書くにあたり一番言いたかったことは、ラストシーンのあのやり取りがあるから「サンセットルール」なんだね。
……ってなってしまったのが個人的には、『ジャガイモを揚げた料理=ポテトフライ』『トマトを切ったの=トマトスライス』みたいでちょっと恥ずかしいんだけど、もう恥ずかしいくらいがちょうどいい気がしてきたし、澤井さんと哲州さんに話しても反応今一つだったのでもう忘れたことにする。

お話としては当時あだち充を読み漁ってたのもあって、「こういう感じの芝居っていいかも」と思って書いたら、ほとんど何も起こらなくて慌てて修正して大変だった。
サザンの「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」という曲が大好きで、世間的にはいけないことだしバカなんだけど、足りないからこそ美化される二人の中だけでの関係と、男の側の単純さなんかがすごく出ててそこがまたこの曲の愛せるところで、そんなこんななお話でした。

前回の「ゾン・ビハインド」もそうなんだけど、結局はエゴなんだなーって思うのです。
そのエゴを前にして迷いがあったり、それを見え見えで近づいていったり。
それをコメディにするのか、シリアスにするのかは切り口だけの問題で、談志の言う「落語は人間の業の肯定」というのがそういう「ダメなんだけど何かいいんだよなー」ってところの答えをくれてる気がする。


お芝居的にはX にも書いてましたが澤井様々でした。
そもそもはエミィ賞で稽古してたときに、澤井さんのオーダーの理解というか、そこをしっかり馴染ませてくるストイックさに今更ながら驚いたのもあって、「この人と二人芝居してみたいな」ってのが発端。
あとは「二人っきりでも緊張せずに稽古できそう」ってのもあった。
実際は初日からものすごく緊張した(笑)
哲州さんが稽古場にいてくれたおかげで恥ずかしいやら申し訳ないやらなシーンも乗り越えられた。

稽古は10㎝を5㎝…1㎝…5㎜……と、どんどん細かいところを詰めて詰めての稽古で、
「じゃあお前ひとりでやれよ」って怒ってるんじゃないだろうかと思いながら、澤井さんにたくさんのリクエストをしたし応えてくれた。
その詰めに詰めたものが本番で機能していたのかは、お互い緊張しながらやってたので覚えてない(笑)
でも仮に機能してなかったらなかったで、次やるとしたら更に踏み込んだものになるし、
ブレてたとしても、詰めてたからこその少ないブレで済んだとも思う。
何もない台本なので、それ以外でいかに見せられるかの思考と試行の稽古はしんどくも楽しかった思い出。

もう自分が良いと思うものを、良いと思う人と作る、
極端に言えば、観てる人が「そういうのはええねん」って思っても、
「今はこれが好き!」って自己満足が満たされればそれでいい。
あまりにお客さん来なさ過ぎて家賃一年分を越える赤字出したり、何者にもなれないままこの歳になって、働きながら演劇やってる意味なんてそれしかないじゃないかって気付いた目覚めた諦めた来世で頑張る。


今のところ何も良い話はないのだけど、
「サンケイホールブリーゼでこそ、このちっとも動かない芝居は本領を発揮する!金は出す!!」
って人が出てきたら明日からでも頑張れる。

でもまた30分に仕立て直して、本来あるべき劇場サイズでやるなり煮るなり焼くなりをあまり日を置かないうちにやった方がいいんだろうなーと思って、思ってるだけの毎日です。

ブログは文字数制限ないからダラダラとりとめなく書いちゃうからダメね。
これでも三日かけて、どうにか読んでもらえるくらいになったかなーって感じなので効率悪いね。


ではあとはお写真コーナー。
本当に動かないものだから、どこがどのシーンの写真かもわかんないので何となく並べます。
同じ写真被ってたらごめんなさい。
(撮影:木山梨菜)


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この冒頭の喋り始める前が個人的に一番好きな絵。



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結構稽古した道案内(笑)


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終わってから教えてもらったのですが、長期入院の人の点滴の刺す位置はここじゃないらしいです。
次回があればしれっと修正。



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ブレたら嫌だから言わなかったけど、このあとの「……ごめん」がすごくいい。『それー!ドンピシャ!』って感じの澤井さん。


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澤井さんのご実家から持ってきたもらったぬいぐるみ。
最初はもう少し大きい熊だったんだけど、実は貴重なものだとわかってこっちになった(笑)


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そりゃ最初のうちは「こんなことさせて悪いなー」とは思ったさ。


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2024年03月07日

手前に書いたブログも退団のお知らせで、何とも言えない気持ちですが、
美香本響こと、響さんが退団致します。

当たり障りなく書こうかとも思ったのですが、
響さんも私も「心機一転、各々が新たな道を……」と、ごまかせる年齢でもなく、
そうする方が、却ってみっともないことになりますので、
やはり「どうして?」というところについて触れていこうと思います。

とは言いましても、ことのすべての原因は私にありまして、
以前と比べて明らかに執筆で躓くことが多くなっていることがすべてです。
もうこの二行で事足りてしまいます。

昔は30分程度の台本ならどうとでもなったのですが、ここ最近は執筆期間は常にうち回り、大袈裟ではなく人生に絶望する時間となってきております。
頭でっかちにはなっていくのに、それに技術が伴ってこないのです。

そんな中、劇団員に毎回当て書きをするのも難しくなってきておりました。
そして、そんな中で私の出した答えは、劇団という形をやめて一人ユニットに戻るということでした。

公演を重ねていく内に劇団員がいることのありがたさは身に染みて感じてきましたが、
それ以上に執筆の苦しみは耐え難く、先日の火ゲキの後に響さんと哲州さんと三人で話をしました。

私の申し出に対して、それでも残ると二人は言ってくれました。
その答えはものすごく意外で、ものすごくありがたかったのですが、
私が逆の立場なら絶対に取らない選択だったので、おそらく二人の思ってる形とは違う、もっと素っ気ないものになるだろうことを話しました。
その上で、改めて残るメリットとデメリットを考えてもらい、
結果、今回の響さんの退団という形になりました。

二年前に私から頭を下げて劇団員になってもらったことを思うと、
自分かわいさからの今回の決断は響さんに対しては申し訳ない限りですし、寂しくも思います。
もちろん、その罪悪感も寂しさも身勝手なものでしかありません。
私には人と一緒にホームを作るというのは向いてないのだなと今更ながら身に染みております。

響さんに関してという書き出しながら、
色んな意味で「どうして?」という疑問が残るので触れておきますと。
倉増哲州こと哲州さん哲州さんは、本人なりに残る意味があるとのことで、
もう散々話し合ってのその決断なので、ひとまずはこの先も劇団員として所属します。
ただ、先にも書いたように、三等フランソワーズでの哲州さんの露出は減ることになると思います。
哲州さんの出演を楽しみに観に来てくださっているお客様がいらっしゃるのも知っておりますので、このことに関しても申し訳ない限りです。

もう私自身が原因のことなので、どう書いたところで文面に気まずいものが混じってしまうのですが、
決して響さんと絶交したわけでもありませんし、今後も響さんに出演してもらう機会はあると思います。
逆にもし私にできることがあるなら、そのときは声をかけてほしいと思っております。

いくら書き直しても、納得のいく文章にはなりませんので、
ここで末筆とさせていただきます。
美香本響さんはもちろんのこと、三等フランソワーズにも今後も変わらぬご愛顧を賜ることができましたら幸いです。


三等フランソワーズ
中川浩六

2023年09月16日

退団するにあたり、木山さんからは何も書いてくれるなと言われていたのですが、
木山さん自身が結構書いちゃってるので、補足ついでにウェットになり過ぎない感じで書きます。

木山さんの文面だけ見ると、「そんなに大変なことが……」って思うかもですが、
実際には私も木山さんもそれぞれで感情的な部分が抑えられなかった故の結末です。

お互いに歳相応の包容力があれば、思ったことを喉元でグッと堪えられればよかったのですが、
いつもお互い血みどろになるまで殴り合いでした(物理でなく)。
いよいよ致命傷になって、それでもまだ殴り合うので、
もうお互いに不幸でしかないから、ここらで幕引きとしようということになった次第です。
残念ながらトムとジェリーのようにはなれませんでした。

木山さんは、トライアルへの参加をもって最後の舞台にすると決めていたので、
それがあんな形になってしまって残念では言い表せない思いですが、どうしようもありません。
結果、配信が終わる今日に退団発表することになりました。

色々な葛藤もありつつ、せめて三等フランソワーズとして、客席からの拍手で終わらせてあげたいという気持ちもあったのですが、
これまた私の話の持っていき方が悪かったので、最終的にはそれも叶いませんでした。

2015年の旗揚げの年のクリスマスギャロップから数えて、実質八年近くを木山さんとは歩んできました。
これまでの三等フランソワーズがあったのは、間違いなく木山さんがあってこそでした。
木山さんが私のケツを叩かなければなかった公演もあります。
感想ツイートのエゴサ漏れのフォローも、客演さんに対しても気遣いも、あれもこれもすべて木山さんのサービス精神の賜物です。
ですので、ここから先の三等フランソワーズは、そういう意味では質が落ちるかもしれません。
先に謝っておきます。すみません。

最初に辞めると言ったのは木山さんですが、
最終的に決めたのは私です。
それでもいざこうなってみると、想像以上に寂しいものです。

でもそういう寂寥感で今まで何度も思いとどまって、
今日まで何度もお互いに後悔してきたのも事実です。
客観的に見れば、これがベストな選択だというのは間違いないのです。

木山さんにとって、三等にいるから得られた幸せもあったけど、
三等にいたから背負い込んが不幸がそれ以上にあったはずなので、
今は嫌なところが漂白されて、良い記憶ばかりが思い出されるけど、
「今から思えば、あれは明るい門出だったんだなー」って人生が木山さんを待っていると思います。
それは私自身の人生を振り返っても思うことなので、確信してます。


ここで宣伝ですが、
先ほども書きました通り、三等フランソワーズとして最後の舞台は用意できませんでしたが、
近いうちに別の機会で木山さんと会える機会があります。
もちろん、たまたまそういうタイミングになっただけで、
声をかけてくださった先方さんは、「妙なタイミングになっちゃったなー……」と思ってることでしょう。

近いうちに情報が公開されるはずですので、
もしご都合がつきましたら、足を運んであげてください。
直接お話をする場もあると思います。

ひとまず木山さんは、三等フランソワーズからも演劇からも離れます。
ただ、もし再び芝居を始めるとなった場合は、私としてはできる限りのことはしてあげたいと思っております。
ですので、もしそんな日が来たときには暖かく迎えてあげてください。

最後となりましたが、長いお付き合いの皆様も、ついこないだ知ってくださった方も、
女優、木山梨菜を可愛がっていただき、誠にありがとうございました。


三等フランソワーズ
中川浩六