2021年01月29日

私は何をしているのだと何度も疑問に思いながら通った稽古。
それでも思い返してセンチメンタルな気持ちになるのは、
結果がよかったからで、これでズタボロならもう一回沖縄に飛んで新原ビーチで身投げしてた。
もちろん、「観たけどもそんなに……」って人もいるだろうなーというのも感じてるけども、
そこを掘り下げても先はないので、ご容赦いただきたい。
千秋楽ラストのMILKの着替えをしてるときから、
「あー、手前のあそこがああだったから受けなかったのかも」とか、
「あー、あそこ手直しするの忘れた」とか、
様々な「あー」が頭をよぎる公演だった。
が、まあそれも演劇ならではです。

振り返りちょっと長いです↓

【ブルーハーツ】
宇宙人が地球であれこれ振り回されたり、失恋したり、寅さんみたいな感じの話にしたいなーってところが発端で書き始める。
舞台をヤクザ事務所にするだとか色々考えたけど、何でだか忘れたけど場末のスナックに落ち着いた。
話の流れ的にはほぼ決まっていたので簡単に書けるだろうと思っていたけど、死ぬほど躓いた。
もう何がどうしたらそれが面白くなるのかわからなくて地獄だった。

逃げて逃げて逃げ回って、ふと原点回帰で、
「別に寅さんが書きたかったんだから必要以上に笑えなくてもいいじゃないか」
というところで、
そこから一気に肩の荷が下りた。
いや、あれが寅さんかというとわかんないけど、まあそう思って書いたんだなーって話です。

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最初から有元さんをヒロインにと思ってたとこもあって、
そこから響さんと木山さんをあの立ち位置にして、ガリガリ書いたところで、
あれれ、ちょっと待てよ。
響さんのこのポジションって、さような……いやいや、何言っちゃってんの? 
別にスナックのママに著作権はないし、キャラクター的に違うし、
かぶってたとしてもそれは演者が一緒だからたまたま偶然そうなっただけであれはそれでこれはあれですし、
一瞬設定をヤクザ事務所に戻そうかと思ったが、
すでにそんなことを気にしてる余裕なんて一ミリもなかったのだ。
あとは、スナックなら1stに寄贈(ということになっている)してあるカウンターを使えるメリットがあった。

台本をかき上げた段階では、どうにか話の辻褄があったというところで、
ラストシーンは全然違ったし、つまんなかったし、脈略も何もなかった。
もういいや、稽古しながら考えよっと思った。

なので、一番最初の稽古はすごく緊張した。
行くのが嫌で嫌で嫌過ぎて嫌だった。
台本は先にデータで渡してあったので、
有元さんとか、うえー何だこれって思ってるだろうなと憂鬱な気持ちだった。

でも有元さんは、ものすごくつまんない台本を、ものすごく一生懸命噛み砕いてくれて、
この台本悪くないんじゃないかとすら思った。

台本は稽古中に少しずつ変更、加筆を繰り返した。
主に後付け設定を成立させるために手前を加筆。
何だか辻褄が合わないので加筆。
それはもう違法建築だぜってくらいの増築っぷりで、
役者側からしたら、
「こんな書き方あるのか? こいつポリシーとかプライドとか魂とかないのか?」
と思ったに違いない。
そんなものはない。

ないことはなしが、いつでも捨てられるところに置いてある。
台本がすべてと思ってないし、最終的に板に上げたものがよければ、
途中の恥も何も知らないのだ。
役者はこちら側の人間なんだし、変に気取ったところで穴があるのは明らかなので、
「ここは穴です! でもここをこういう工程で塞ぎます! そしてここでこうしたら、さもそれっぽくなります!!」
みたいなことを伝えていく。

そういう作業に本当に前向きに楽しんで取り組んでくれたチームだった。
有元さんは本当に器用なので、細かい仕草から表情から感心させられっぱなしだった。
有元さんが前向きに取り組んでくれたおかげで、私も前向きに楽しく向き合えたし、それを裏切る形にはしたくないなーと思った。

あと、私はマイムへの苦手意識がすごいので、ドアのマイムとか本当に嫌だった。
何もないのに何かあるように見せるのは詐欺師のすることだと教わって育ってきたのが、ここに来て仇になった。
まっすぐ育ち過ぎた。


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響さんは別の稽古があって、半月ほど遅れての参加だったけど、
まったく遅れを感じさせず、セリフもほぼ入れて来てくれてたし、自分なりに作ってきてくれていた。
元々楽しい稽古場だったけど、響さんが来て更に笑うことの多い稽古場だった。
主に有元さんが響さん見てよく笑ってた。


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山下さんのキャラクターは最初は単純にDQN(今でも使う?)だったけど、
どういう経緯だったか頭悪い設定ができて、そして半袖半ズボンになってしまった。
汗っかきの山下さんにとっては、楽ちんな衣裳になった。
本人は非常に礼儀正しい人間だけど、やはり岸和田の男なので、
芯の部分にはこういうヤンチャな部分があるのだろう。
非常に活き活きとしていた。
あと、カウンターを探るときのさりげないセリフが上手だなと思った。
山下さんの得意なところをようやく見つけたかもと思った作品だった。
あと、声量チャンピオン。


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木山さんは……木山さんに水商売的な役なーと思ったけど、
流行ってない場末のスナックという設定は木山さんにぴったりだった。
ナチュラル。リアリティ。いそう。
そしてまたクリスマスギャロップのときも響さんと絡んでたので、
序盤から非常になめらかで、小ネタ以外のことでうるさく言った記憶はない。
本番始まってからは、
合いの手のツッコミがうまくなったなーとしみじみと思ってた。
芝居に集中せずに思ってた。

セリフのやり取りとしては他の役は誰も聞いていない、
誰もそれに答えないし反応しない、あくまでお客さんしか聞いていないというツッコミをそう呼んでるんだけども、
誰かのセリフがウケなかったときに、絶妙なタイミングと声量とコンパクトさで合いの手を入れることで拾えるのと、
逆に手前のセリフがウケたら、空気のように邪魔にならないようにさらっと流す。
あとから「あのツッコミ面白かったね」とも言われない、本当に地味な職人ポジションだけど、
木山さんは確実に拾っていたし、ここに関してもうるさく言った記憶がない。



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私に関して言うなれば、録音シーンは辛かった……。
もう小屋入りしてから今さら変更できないので、全力で有元さんの芝居に任せるしかなかった。
土曜の夜くらいからは、どうせ何もできんしと完全に開き直ってた。
有元さんも辛かったらしいけど、そりゃ有元さんが一番辛いだろうけど、
それでもめげずに成立させてくれて感謝と感動しかない。

最後にこの録音は自分のキャパオーバーを補うためにやったわけではない。
難解なセリフをものともせず、長いセリフもぺーらぺら。
絶対に噛まないし、一言一句台本のセリフを変えない。
昨年の30GPで私どもが青塗りしてるのを横で見ながら「やばいやばい」と指さしていた男に、
世間様から「無駄遣い」と言われるような役をやらせたいと思ってニヤニヤしてたのが発端。
気に入ったら本公演にも呼んでよって言ってたのに、まさかのLINE未読スルーですわ。

役の設定を変えて他の誰かにお願いしようかと考えたり、
逆に何となくできそうな人にお願いしようかとも考えたが、
結局自分がやった方が早いなと思ってやめた。
おかげでメイクして落としての繰り返しが大変だった。
肌が荒れて電気シェーバーで髭剃るだけで流血していた。
何かの拍子に何かの機会があれば、あんたが出ないから血出たんですけど!
と、文句を言ってやりたい。
という裏話でこの作品に関してはおしまい。

たくさん撮ってもらったので、
写真を大量に載せておきます↓
(撮影 松田ミネタカ)

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