わが社の記者力の低下が現場の深刻な問題になって久しい。毎年のように記者教育の徹底と充実を目標に掲げ、現場で取り組んできたはずだが、残念ながらその成果が、十分に表れているとは言い難い。どこに問題があるのか。今度こそ真剣に考え、取り組まなければ将来が危ういと言わざるを得ない。
物事を的確に判断する力、粘り強く対象に迫る根気と忍耐、素早く反応できる瞬発力。物事を深く考える力。先を読む洞察力。難解なことをやさしく、分かりやすく表現して伝える力。時代の風を読み取る感性。人の痛み、喜び、悲しみに共感できるこころ。理不尽なことに怒ることのできる精神。そして何より自分の仕事を面白がってやれる自分ー。記者に必要なこれらの要素は、これまで長い間、先輩から後輩へオン・ザ・ジョブで自然に伝えられてきた。若い世代は先をゆく先輩の背中が語りかけるものを感じ取りながら必死に追いかけてきた。そうすることが学びであり、あすの仕事への力になってきた。そうしたプラスの世代連鎖が機能しなくなっているとすればどうするのか。問題のありかは複合的であり、対応策は簡単ではないと思われるが、ひとつひとつ検証し、現場のモチベーションを高めて若手、中堅記者の力を伸ばしていかなければならない。何から始められるのかを改めて考え、実行したい。
毎年、そう思っているなら早く実行してほしい。未熟な記者が書く記事を読まされている読者の身になればそうだろう。