2007年01月10日

僕らの60年代シリーズ第15弾★時代を駆け抜けた名馬たち

□■僕らの60年代シリーズ第15弾
   1960年前後の 時代を駆け抜けた名馬たち■□


★昭和32(1957)年生のサラブレッド 超特急“コダマ”
 名馬にもいろいろある。勝ち星の多い馬、産駒の優秀な馬、無事是名馬というのもある。コダマは、故障は多いが名馬の範疇に入っている。昭和32(1957)年生まれのサラブレッドにはヤマニンモアー、タカマガハラ、ホマレボシ、シーザー、スターロツチ、オンスロートなど多くの強力馬がいた。しかし、コダマは皐月賞、日本ダービーに勝ち、その明るさと甘さ、それと超特急“こだま”からつけられた親しみやすい馬名で人気を博した。
 デビュー戦は34(1959)年9月の京都競馬で、皐月賞まで6連勝と誰にも止められない快進撃を見せた。しかし旧4歳の5月中旬、調教中に落鉄。オープンを使うことができなくなってしまった。その後、左前脚も落鉄したが、そのことは馬主の伊藤由五郎氏にも知らせず、治療を続けた。悪いことは他にもあった。主戦の栗田勝騎手が正月の京都競馬で右足骨折というアクシデントに見舞われ、年明け初戦から皐月賞までは渡辺正人騎手が乗って勝っていたのだ。栗田騎手は骨折した足にステンレスの金具を入れたままというシビアな状況で、5月29日のダービーを迎えた。コダマは26頭立ての1番人気。不安を抱えながらのレースではあったが、好位追走からゴール前でヤマニンモアーを交わして、レコード勝ちを収める。後に武田文吾調教師は「コダマは剃刀(かみそり)、シンザンは鉈(なた)の切れ味だ」と言っていたが、そのとおり、コダマの一瞬の脚にはすばらしいものがあった。
 しかし、この強行軍がたたってか、秋のコダマは超特急どころか各駅停車にも劣る不出来だった。三冠を目指した菊花賞は厩務員組合ストの騒ぎのなかで、キタノオーザの5着と完敗。古馬になってようやく復活し、旧5〜6歳時に宝塚記念など6戦5勝して、旧7歳で種牡馬となった。主な産駒に桜花賞馬のヒデコトブキがいるが、コダマは昭和51(1976)年6月に腰麻痺(腰ふら)で死亡している。伊藤オーナーが「女のような大きなおいど(尻)」と笑ったが、そのなかに剃刀の切れ味が秘められていたのだろう。



★昭和38(1963)年 メイズイ
「MG対決」「MG馬券」などと、スポーツ紙の見出しになるほど、昭和38(1963)年のクラシックは尾形藤吉厩舎のメイズイとグレートヨルカに注目が集まっていたが、とりわけメイズイの実力は他馬に抜きん出ていた。
 メイズイは、千明牧場で昭和35(1960)年にただ1頭生まれたサラブレッドだった。尾形調教師が、当歳のメイズイを牧場で見て「方々で当歳を見て来たが、こんな素晴らしい小僧(当歳馬)はいない」と折り紙をつけた程だった。メイズイはすくすくと育っていったが、無理して使わないという千明康オーナーの意を体して、デビューは旧4歳の正月、中山の新馬戦1200メートルだった。ここで2着に10馬身差をつけて勝ったメイズイは保田隆芳騎手で3連勝する。しかし同じ厩舎に走る馬が2頭いるのだから、乗り役を早く決めないといけない。結局ベテラン保田騎手はグレートヨルカ、メイズイは森安重勝騎手と決まったのだ。
 いよいよ、雌雄を決する日本ダービーだ。皐月賞ではメイズイ1着、2着グレートヨルカの“銀行馬券”で決まったが、果たしてダービーはどうだろうか? しかし、ここでもメイズイの方が強かった。17頭のライバルを尻目に快調なペースで逃げ、懸命に追うグレートヨルカに大きく7馬身差をつけて、尾形厩舎7頭目のダービー馬となった。しかも、勝ちタイムは2分28秒7のレコードだった。
 さあ、次は三冠最後のタイトルが待っている。果たしてあの逃げ脚で菊花賞の3000メートルをこなせるか? 夏を休養に充てたメイズイはオープンに2連勝して自信満々、11月17日の当日を迎えた。9戦8勝で二冠馬という実績が、単勝馬券の8割3分2厘という人気を生み出した。しかし、果敢な逃げで1周したメイズイが、2周目の3コーナーを過ぎると、嘘のように遅れ出した。あれよという間にずるずると後退し、グレートヨルカの6着と完敗。敗因についてはいろいろと議論されたが、結局“距離”が合わなかったということになった。事実、メイズイは2400メートルを超える距離では一度も勝っていない。

★昭和39(1964)年 鉈(なた)の切れ味!“シンザン”
 セントライトから23年ぶりに、シンザンが史上2頭目の三冠馬になったのは、東海道新幹線が営業を開始し、東京オリンピックが開催された昭和39(1964)年である。
  その翌年に秋の天皇賞と有馬記念を勝ち、史上初の五冠馬となって、ミスターシービーやシンボリルドルフが出現するまで、競馬サークルの目標は長いこと、「シンザンを超えろ」だった。
明け4歳(旧年齢表記)になったシンザンが或る朝、調教のあとに脚を引きずり、爪から血を出している。調べると、飛びが大きくて前肢と後肢の蹄がぶつかってしまうのが原因だった。
 それから武田文吾調教師の苦労がはじまった。脚に布やゴムテープを巻いたりしたがうまくいかない。装蹄師とも知恵をしぼって、独特の蹄鉄を作った。それが世にいう「シンザン鉄」である。
  シンザンは旧3歳11月にデビューして4連勝したが、クラシック候補としての呼び声はそんなに大きくはなかった。その証拠に関東初登場のスプリングSは6番人気。そこでの勝利が皐月賞でシンザンを1番人気にした。
「ナタの切れ味」と文吾師はシンザンの強さを表現した。「負かした相手を徹底的にやりこめずに、明日の希望を持たせた紳士的な馬や」
 2着馬との差は少し。しかし必ずゴールポストをシンザンは先頭で駆け抜けていた。

    ※JRA50周年-時代を駆け抜けた名馬たちより抜粋

★おまけ 昭和47(1972)年
 2月に札幌で冬のオリンピックが開催されて笠谷幸生選手が大活躍。7月に田中角栄内閣が成立し、日本列島改造論による土地ブーム。9月に日中国交正常化が合意に達したのが昭和47(1972)年である。
 その年、皐月賞馬ランドプリンス、ダービー馬ロングエース、名血タイテエムの、関西3強を菊花賞で破ったのが、増沢末夫騎乗の関東馬イシノヒカルだった。
 イシノヒカルは生まれつきに右前脚が外向していて6人の客が断わり、やっと7人目の客に480万円で買われた。いつでもコズミがひどくて万全の状態でレースをむかえられず、おまけに気性に難があったが、皐月賞を4番人気で2着という底力を見せた。
 ダービーは加賀武見騎乗で6着。加賀の海外遠征で増沢末夫騎乗となった菊花賞は5番人気である。本馬場入場をしてすぐ、ブラスバンド隊の赤い服におびえたのか暴れて増沢を手こずらせ、ざわめいたスタンドからヤジを浴びせられた。「今から騒いでたんじゃ3000メートルは無理だよ」
 そんなファンの失笑にくわえ、返し馬に入っても突然にゴネたり、発走直前に落鉄してスタートを4分遅れさせたりしたが、淀の坂下りから見せた強さは圧倒的だった。
 それから35日後の有馬記念でイシノヒカルは1番人気。またも増沢騎乗で、メジロアサマ、メジロムサシ、ベルワイドといった天皇賞馬を蹴散らしてしまった。
 表彰台で涙をこらえている浅野武志調教師の心の底に、小島武久騎手の姿があった。小島武久は本番では乗ることのないイシノヒカルに、くる日もくる日も明るく調教をし、気性の激しさのひとつひとつと戦っていたのである。
 ファンに見えるのはレースだけだが、競馬は陰の力がなくてはならない。

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sapporotoro at 23:59│Comments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote 60年代シリーズ | エッセイ 競馬名勝負

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この記事へのコメント

2. Posted by トロ   2007年01月11日 23:22
はんかくさいさん 今晩は〜
>何ちゅう大人気ない勝ち方する馬や!
笑えますね〜
一方、サイン的な見方をしたくないのですがディープが引退しないで、今年の国際1回目有馬に、もし参戦したら.....
など、いろいろ考えてしまいます。


 
1. Posted by はんかくさい   2007年01月11日 06:19
5 トロさんおはようごさいます(ρ_-)o
武田調教師がディープを見たら、何ちゅう大人気ない勝ち方する馬や!と怒りますかね(爆)
小島騎手の下りで、ドリパスの高田騎手とだぶるのは私だけでしょうか(^-^)

今年の宝塚では、サムソンとかドリパスとかカワカミとかソング、アサヒ等の有力4歳馬みんな元気に出走してくれたら・・と想像しただけでワクワクしますが、無理でしょうね(^o^;)

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