最強法律相談室

山口県周南市で長年多重債務者の問題に取り組んできましたが、このブログでは、過払金返還請求に関するサラ金との示談交渉、裁判を中心に、私の実体験を公開させて頂きます。

アイフルの「アンケート」

 先日過払金の裁判で和解したアイフルから私の顧客のAさんに電話がかかってきた。
内容は、アイフルが周南法律事務所の口座に振り込んだ和解金を受け取ったかという確認と弁護士と直接面接したかという質問。

 全く余計なお世話である。
 アイフルはアンケートと言っていたが、その意図が弁護士と顧客との信頼関係にひびを入れて、少しでも過払金回収を躊躇させようというものであることは明白。
 弁護士の正当な業務活動に対する妨害行為であるとともに、顧客の個人情報(氏名・電話番号等)の目的外利用にも該当すると思われる。

 似たような妨害行為をKCカードもしていたが、いよいよサラ金業界もなりふり構わない抵抗に入ったようだ。
 アイフルには書面で抗議するとともに、今後同社とは減額の和解をしないことにしようと思っている。
 
 

 

更生会社武富士のご連絡

 武富士から更生計画に基づく第1回弁済金の連絡が届いた。

 これによると私の依頼者275名に支払われる過払金は合計1358万1698円とされている(他に相続関係を確認中で保留されている者が2名)。
 分かっていたこととはいえ、少ないなあという感想。
 
 弁済率3.3%から逆算すると、過払金の総額は4億1000万円を超える。あらためて武富士事件の被害の大きさを感じさせられた。

 今回の弁済金については、弁護士の成功報酬18%はとてもいただけない。
 私が遂行した仕事の内容如何にかかわらず、依頼者全員一律に回収した金額の10%(消費税別)に減額させていただくことにした。
 同業者の弁護士費用に口を出したくはないが、できれば武富士の件に関しては、21%とか25%などという金額ではなく、被害者救済の観点から、相応の減額が行われることを期待したい。

KCカードの悪あがき

「昨今、一部弁護士、司法書士における過払利息返還報酬の悪質な所得隠し、脱税の問題がマスコミで報道されておりますことを付記致します」

 これは最近KCカードが過払金請求事件で勝訴した原告に送付してきた書面の一部。
 KCは裁判では極めて低水準の和解案しか出してこないので、和解交渉を打ち切って、判決になることが多い。当然原告勝訴の判決が出るのだが、判決が出ると、過払金に年5分の利息を付加した金額を、原告の口座に一方的に振り込んでくる。この辺りまでは、アイフルの一方的な郵便為替の送付と同じだが、KCはご丁寧に、「ご案内」と題する書面を原告宅に郵送してくる。内容は、原告の口座に振り込んだ金額の明細と、上記の「昨今ー」の文面。
 さらに「ご参考」として、日弁連がルール化した報酬規制なども載せている。
 事例として、約定残高50万円の人が、過払金100万円を取戻した場合の弁護士費用の上限は、合計32万円(消費税別)とされている。

 KCの目的が一部の悪徳弁護士から顧客を救済しようというものとは到底思えない。要するに、原告と弁護士の信頼関係に亀裂を作り、過払金の裁判で低水準の和解を弁護士に承諾させようという狙いだと思われるが、悪あがきとしか思えない。

 ちなみに当事務所では、減額報酬金等は一切いただいていないので、上記の事例では、弁護士費用は18万円(消費税別)となる。
 KCさんは、「参考」の箇所に、ついでに周南法律事務所の場合はこうなりますという計算を追加で記載してくれるだろうか。

馬鹿なやつ発言

 渋谷まで一人で歩いていって
 ネオンの坂道で倒れたって
 馬鹿な奴だったよ お前は最後まで

 南こうせつマキシーのためにの一節。
 古い歌だが、こうせつの名曲で今でも時々耳にする。歌詞の中で、自殺した女性マキシーのことを二度も「馬鹿」と言っているが、この歌を聴いて、不快になる人はいないだろう。日本語の意味合いは極めて複雑で、「馬鹿」と呼んだからといって、必ずしも相手を侮辱しているとは限らない。親しい友人の死を悼む気持ちを「馬鹿」という言葉で表現することもあるのだ。

 報道によると、平野達男復興担当相が、講演会の中で、大震災の津波から逃げなかった高校の同級生のことを「逃げなかったばかなやつもいる」と発言したことに対し、自民党の大島理森副総裁がかみついて、「閣僚として許されざる言葉だ」と批判し、臨時国会で追及すると息巻いている。

 しかし平野氏の真意が、故人を侮辱するものでなかったことは明らかだ。
 どうも最近の自民党と一部マスコミは、民主党閣僚の失言のあらさがしに専念し過ぎているように思える。
 こんな「言葉狩り」はやめて、本来の政策論争を充実させてほしい。

 

武富士へ回答

 武富士に対して過払金を請求していた依頼者の方を、あらためて数えてみると、合計276名だった。
 これは中村が担当している分だけなので、当事務所全体ではこの倍以上はいると思う。

 更生計画案に対する賛否の意向を確認したところ、同意(賛成)は、わずか9名で、大多数は不同意又は弁護士(中村)一任だった。
 この結果の通りに、賛否を記載した書面を提出済みである。

 報道によると、更生管財人が武富士創業一族に対する損害賠償請求の訴訟を起こしたようだが、あまりに遅いのではないか。
 創業一族に対する責任追及は、武富士の経営が破たんした直後から強い声が上がっており、すでに訴訟も多く起こされている。管財人はこれまで一体何をしていたのか理解できない。更生計画案に対する同意を集めるためのパフォーマンスと見られても仕方ないだろう。

 
 
 

市長の給与

 私の住んでいる山口県周南市の木村健一郎市長が、自身の給与を半額にする条例案を議会に提出したが、賛成少数で否決された。

 木村氏は、今年の春の選挙で市長に選出されたばかりで、元々は司法書士。
 私より4〜5歳年上だが、隣接業種ということもあり、多少お付き合いもある。
 今回の給与半減は、市長選挙で木村氏が掲げた公約の一つで、周南市の財政を改革する先頭に立つ者の意気込みを示すものとして、多くの市民の共感を得た。市議会でどのような議論がなされ、どのような理由で反対されたのか詳細を知らないが、選挙で示された民意が実現されなかったことは大変残念。

 そこで木村市長に提案。
 給与半減の条例案は将来時機を見て再度提出するとして、それが実現するまでの間は、当面支給される給与の半額を東北大震災の義援金として寄付したらどうだろうか?実行できたらあっぱれである。

 それにしても、反対した議員らはどこのだれなのか?新聞報道だけでは分からないので、今後は市議会の広報で、こうした賛否の分かれた議案については、賛成議員、反対議員の氏名をその都度公表してほしいと思う。

懲役14年は軽いか

 今年2月に福岡県内で発生した飲酒運転の死亡事故について、福岡地方裁判所は。被告人を懲役14年とする判決を言い渡した。
 飲酒運転に対する厳罰化によって、危険運転致死罪の法定刑は最高懲役20年とされている。

 「最高刑の20年でも短い」

 新聞で報道された遺族の声。
 会見した裁判員たちからも、同じような感想が聞かれた。
 事件の詳細を知らない立場からは、この量刑を軽々に論評することはできない。ただ一般論として言えるのは、刑務所で14年間生活することは、決して楽なことではないということだ。25年の弁護士生活で手掛けた刑事事件で、多くの被告人が服役する結果になったが、服役後の感想は一様に辛く厳しいものだった。

 日本の刑務所の実態。国民の誰もが裁判員に選ばれる可能性がある以上、私たちはもっと刑務所と収容者の実態について、リアルな認識をもつべきだろう。
 いろんな書物が出ているが、「獄窓記」(山本譲司著・ポプラ社)をおすすめしたい。山本氏は元民主党の衆議院議員。政策秘書の給与流用事件で詐欺罪に問われ、懲役1年6カ月の実刑判決を受け、服役している。
 獄窓記はその服役生活の体験を記したもので、日本の刑務所の実態、その問題点などが大変分かりやすい。

 そういえば、これまで服役中の方二人から、過払金返還請求の依頼を受けた。
 取戻した過払金が彼らの更生にいくらかでも役に立てば幸いである。

クラヴィス

「この後、別件があるのですが、そちらには出頭されないのですか?」
「えっ?」
「別件の過払金の裁判でクラヴィスが被告になっているのですが、そちらには支配人は出頭しないのですか?」
「・・・それは・・・はい・・・この件だけで・・・」

 某簡易裁判所の法廷。
 貸金請求の裁判に出てきたクラヴィスの支配人に対し、裁判官が別件の過払金返還請求の裁判には出頭しないのかと質問したところ、大変歯切れの悪い答えが返ってきた。
 クラヴィスは、裁判で負けても、過払金を払わないことで有名。私が担当している事件でも、すでに勝訴判決が確定しているのに回収できていない案件がかなりある。
 その一方で、貸金の回収だけはちゃっかり励んでいるのだから、けしからん会社である。
 貸金の裁判が終わって、そそくさと法廷を出ていく支配人をつかまえて、「なぜ過払金を払わないのか」と詰め寄ろうと思っていたが、次の事件が私の担当事件で、廷吏に「中村弁護士さん」と呼ばれたので、追いかけるのをあきらめた。

 最近この手の会社が増えている。
 サラリーマン支配人に文句を言う気にもならないが、経営者は未払いの過払金をどうするのか、債権者にきちんと説明すべきである。

アイフルの延期戦術

 最近対アイフルの過払金裁判で、アイフルがしきりに次回期日を来年以降に延期するよう申し立てている。
 その理由は、悪意の受益者の争点で、来年に最高裁の判断・指針が示される見込みなので、それを待って審理をしてほしいというもの。
 しかしアイフルが指摘する事件は、悪意の受益者ではないと認定した高等裁判所の判決に対する上告受理申立てについて、最高裁が上告を受理して、本年11月10日を口頭弁論期日に指定したというもの。したがって、悪意の受益者ではないとした高等裁判所の判断が、覆される可能性が極めて高い。

 このようにアイフルにとって不利益な最高裁判決が予想される以上、ことさら期日を延期して、最高裁の判断を待つ必要など全くない。
 もちろん私の知る限り、どこの裁判所も、アイフルの延期申請は認めていない。
 アイフル流の訴訟引き延ばし作戦は、もういい加減にしてほしい。
 

過払金最前線

 ずいぶん長い間ブログの更新をしなかった。
 一部で「中村は死んだ」という噂も立っていたようだが、別に死んでいたわけではい。要するにブログを書く時間があれば訴状や準備書面を1本でも書きたいくらい忙しかったということ。ブログの更新を楽しみにされていた方には大変申し訳なかった。

 過払金最前線は、大局的には、すでに掃討戦に入ったと思う。
 取引の分断、悪意の受益者、遅延損害金、時効の起算点などの論点で、未だ頑強な抵抗を続けるサラ金も存在するが、訴訟の件数自体は、まもなく大幅に減少することが予想される。
 もちろん最強法律相談室は、サラ金被害者の根絶まで、徹底的に戦う覚悟だが、多少は時間に余裕が出てきたので、こうしてブログを再開することにした。

 過払金最前線で最近特に感じるのは、取引の分断と一連性の論点をめぐる下級審の混迷である。その根本原因は最高裁にあるのだが、それにしても裁判所(裁判官)によって、これほど好き勝手な判断を繰り返されたのでは、弁護士はたまったものではい。もちろんこの混迷こそが、サラ金と被害者とのせめぎ合いの象徴とも言えるが、実際に個別の事件を担当している弁護士としては、そんな評論家的な論評よりも、最高裁がもう少し明確な判断基準を出してくれることを切望せざるを得ない。

 例えば、先日私は某裁判所で、第1取引4年、中断期間1カ月で、別個の取引であると判断した判決をもらった。理由は、第1取引終了時に契約書を返還したこと、第2取引開始時に契約書とカードを新しく作ったということ。もちろんすぐに控訴したが、控訴審の判断が出るまでには、まだまだ時間がかかるだろう。
 要するに、最高裁が示した6つ程度の基準のうち、どの基準をどの程度重視するのかが裁判官によってバラバラなのだ。いくら裁判官の独立といっても、このバラバラ状態は少しひど過ぎる。
 最高裁が、判断基準の具体的な当てはめについて、明確にしていないのだから、ある意味では下級審の裁判官も被害者なのかもしれない。
 
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弁護士 中村覚

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