最強法律相談室

山口県周南市で長年多重債務者の問題に取り組んできましたが、このブログでは、過払金返還請求に関するサラ金との示談交渉、裁判を中心に、私の実体験を公開させて頂きます。

サラ金利用は恥ずかしい?

「主人はサラ金からも借金してたんです」

来所されたYさんの奥さんの話。
Yさんは夫婦で借金の整理を依頼されている。ご主人から依頼を受けたのはクレジット3社で、いずれも利息制限法で計算しても残債務が出たので、先日本人と協議して、整理の方針を確認した。
本日奥さんとの打ち合わせをした最後に、実はご主人にはかつてサラ金の借金があり、現在は完済していることが判った。

「完済してるのなら、過払いでしょう。なぜそのことを私に言わなかったんでしょう?」
「サラ金から借金していたことが恥ずかしかったんだと思います」

最初の相談の際に、当然私から完済している金融業者はないかを尋ねている。たまに古くて思い出せない人もいるが、分かっていてあえて黙っている人は珍しい。

「別に何も恥ずかしいことはないですよ」

私の依頼者は、サラ金と取引の経験がある人が多いので、そんなことは当然のような感覚が私にはあるが、世間一般の人にとっては、サラ金と取引があったことを弁護士に打ち明けること自体に大変な抵抗を感じている人もいるのかもしれない(少し反省)。
しかし、ご主人にはクレジット会社に残債務があり、これからそれを整理していかなければならないのだから、完済=過払いの情報を聞いた以上、弁護士として無視はできない。かといって、ご主人からの正式な依頼がないのに、私が勝手に手続きをするわけにもいかない。
結局、今夜奥さんからご主人を説得してもらい、明日ご主人からあらためて依頼の連絡をしてもらうことになった。吉報を期待したい。




法律相談日空き情報

HPに、法律相談日の空き情報を試験的に掲載することにした。

来所しての法律相談をご希望の方は、この空き情報を見て、予約の電話をしていただきたい。なるべくリアルタイムで更新していく予定だが、若干の時間差が生じる可能性もあるので、必ず電話で確認していただきたい。
当事務所の電話が通じる時間は、午前9時〜午後5時まで。夜間、休日もメールで仮予約を受け付けるが、こちらの方もダブルブッキングの可能性があるので、必ず当事務所からの予約確認の電話をもらってから来所していただきたい。

武富士更生計画案

「中村先生はどうされますか?」

先日山口県内の先輩弁護士から問い合わせの電話があった。武富士の更生管財人から送られてきた更生計画案に同意するかしないかという問題。

「もちろん反対です」

第1に3.3%という弁済率はあまりに低い。
返済の原資があるかないかを問わず、このような低弁済率で、一般市民である多くの過払金債権者に深刻な被害を与える以上、もはや武富士という会社を更生させる社会的な価値はなく、破産により完全な清算を行うべきである。

第2に、武富士の旧経営陣・オーナー一族に対する責任追及が十分に行われたのか極めて疑問である。
報道によれば、更生管財人の弁護士は、更生申立代理人と同一である。この規模の更生申立てとなると、相当前から武富士旧経営陣と綿密な打ち合わせ、協議を重ねていたのは間違いないだろう。そうした旧経営陣との人間関係、信頼関係のある弁護士が、他方で責任追及を厳正に行うことは到底期待できない。この点については、更生管財人に選任した東京地裁民事8部の対応も大いに疑問である。

もちろん破産に移行した場合は、さらに低い配当率になるリスクもある。依頼者には、私の意見を文書にして送り、最終的な判断は依頼者自身に委ねることにした。




楽天KC

福岡簡易裁判所で対楽天KCの過払裁判。

ご存知のとおり、楽天KCは、本年8月より、楽天カードとKCカードという二つの会社に分かれた。そのため、訴訟提起時は、原告5名に一つの被告だったのが、今後は二つの被告を相手に裁判を続けることになった。
もちろん、返すべき過払金をきちんと返してくれるのならば、別に会社の分割をしようが事業の譲渡をしようが何も文句はないのだが、なぜか新会社になったとたん、極めて低水準の和解案を提案するようになった。

「今後は厳しくなります」

担当者は言うのだが、もちろん納得できない。
長年高利の利息で稼いだ歴史を無視して、事情が変わったから安くしろと言われても、はいそうですかと言えるはずはない。会社を分割する時点で、当然将来の過払金の負担は、当事者たちも計算にいれていたはずである。

楽天グループを率いる三木谷氏は、東北大震災の義援金に10億円を出すと報道されたが、グループ内の会社が引き起こした人災の被害者たちを簡単に切り捨てるようでは、10億円も単なるパフォーマンスではないかと思わざるを得ない。

島田紳助引退に思う

本当に突然だった。
レギュラー番組を多くかかえ、超売れっ子のタレントだったので、誰もが驚いたと思う。

記者会見によると、十数年前にトラブルが発生し、暴力団関係者に解決してもらったようだ。
トラブルの具体的内容や解決の方法が不明なので、コメントしにくいが、いずれにしても、反社会的勢力である暴力団関係者を頼ったことは、許されないことだったと言わざるを得ない。
引退というのは少し厳しすぎる感じもするが、この潔さはやはり紳助らしいとも言える(どこかの首相と大違い)。

弁護士的に見ると、どんなトラブルか知らないけれど、なぜ弁護士に相談できなかったのだろうかと首をかしげてしまう。
当時は身近にすぐ相談できる弁護士がいなかったのか、いたけれど遠慮したのか、不明だが、トラブル解決を職業とする弁護士の立場からは大変残念だ。

私の住んでいる山口県でも、トラブル処理を暴力団関係者に頼むという事例は時々耳にする。たいていは、きちんとした解決にならず、もめることが多いのだが、それでもこうした事例は後を絶たない。
我々弁護士は、市民が気軽に相談できる存在に、まだまだなれていないことを深く自覚し、何らかの有効な手立てを講じなければならない。

悪意の受益者でお悩みの方へ

 最近、過払金訴訟の記録がやたら重くなった。
 原因は、サラ金業者が悪意の受益者であることを徹底的に争い、17条書面と18条書面の交付を立証するために、ジャーナルと呼ばれる記録や、電子データから復元したと称する明細書等を書証として、大量に提出することが多くなったからだ。

 貸金業者は、過払金について、特段の事情のない限り、悪意の受益者であると推定される(最高裁平成19年7月13日判決)。
 この19年判決以降、しばらくの間、サラ金側が悪意の受益者であることを争うことは少なくなっていた。
 流れがやや変わったのは、最高裁平成21年7月10日判決が、期限の利益喪失特約のもとで返済金を受領したというだけでは悪意の受益者であると推定できないとした頃から。
 特にアイフルは悪意の受益者であることを徹底的に争い、膨大な書証を頻繁に提出するようになった。
 この流れに拍車をかける判決も出た。平成21年11月2日京都地裁判決、平成22年1月29日大阪地裁判決などで、アイフルはすかさずこれらの判決を乙号証として提出するようになった。
 特に上記京都地裁判決は、「17条書面及び18条書面を交付したことの立証は、原則として、当該顧客に関する具体的立証を要せず、当該業者の業務体制についての一般的立証で足りる」と、全く信じられないような判断を示した。仕事仲間の中には「中村先生、当分京都には近づかん方がええよ」などと親切にアドバイスする者すらいた。

 しかし最高裁平成21年7月10日判決は、期限の利益喪失特約のことだけを問題にしており、それ以外の17条書面、18条書面の要件については具体的には触れていない。たしかに「任意の支払い」という要件は、法的な評価を伴う要件なので、どのような場合が任意でないのかについて、解釈が分かれることもあり、そのこと自体はやむを得ないと言える面もあるだろう。これに対して、17条書面、18条書面の各記載事項は、法律が明文で定めた要件であり、本来解釈が分かれる余地はない。仮にサラ金業者が法律の明文と異なる解釈をしていたとしても、それた単なる勝手な解釈であり、そのような解釈をしたことによって、悪意か否かが左右される理由はないはずである。

 そんな思いで京都に通って訴訟を続けていたところ、本年7月26日、京都地方裁判所第1民事部で、うれしい判決が出た。
 この判決は、被告(アイフル)が17条書面、18条書面を交付したと認めるに足る的確な証拠はないとした上で、さらに

「仮に、被告が消費貸借契約時に交付したと主張する書面及び各貸付時に交付したと主張する書面が交付されたことが認められたとしても、本件基本契約書と本件各明細書等のいずれにも、17条書面の記載事項である「返済期間及び返済回数」や各回の「返済金額」の記載はない。したがって、17条書面の交付があったとは認められず、貸金業法43条1項の要件を充足しない」

「返済期間、返済金額等の記載がない場合でも、17条書面の交付があるとする解釈を示す裁判例が相当数あったとか、同解釈を示す学説が有力であったとはいえない」

「以上の説示を考え併せると、被告が貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情が立証されたものと認めることができない」
「したがって被告は悪意の受益者である」

 つまりこの判決は、アイフルが苦労(?)して揃えた大量の書証について、「ご苦労様。でもそれが全部の取引について揃っていたとしても結局ダメよ」と宣告したものである。

 もちろんアイフル以外の悪意の受益者を争うすべての業者についても、ほぼ同様の論理が当てはまる。
 近日中に最強法律相談室のHPで、判例紹介としてアップするので、ご参考に。



 
 

 

ゴールデンウイーク

今年のゴールデンウイークは、メール相談が多かった。

 年末年始もそうなのだが、ほとんどの法律事務所はお休みしているので、急遽相談をしたいと思った人は相談する弁護士をさがすのに苦労しているようだ。
 加えて、多重債務者の多くは、朝から晩まで働いている人が多いので、こうしたまとまった休みの時でないと、相談をする気力がわいてこないという人もいた。
 当法律相談室は、年中無休だが、本来は弁護士会全体として考えていくべき問題だろう。

 過払金の回収は極めて順調。
 ブログの更新を待っているというメールを多くいただいたので、今後は出来る限り更新に励みたいと思っている。

 (新着過払金入金情報)
 ・5月1日 武富士 400万円
       三菱UFJニコス 9515円
       エイワ 53万円(2件)
       アコム 43万円
       三洋信販 981万7886円(5件)
       アイフル 89万8000円(3件)
       CFJ 1283万7800円(11件)
 ・5月7日 新生(旧GEコン) 925万6000円(12件)
       CFJ 1382万7900円(9件)
       三菱UFJニコス 42万3384円
       プロミス 822万2000円(7件)
 ・5月8日 三洋信販 84万円(3件)
       日新信販 8万円
       アイフル 162万7000円(2件)

  平成21年の過払金取戻額、本日現在合計4億498万9757円
       

 

勇気を振り絞って

「勇気を振り絞ってご相談にまいりました」

 Kさん(60代女性)はすでにサラ金数社の借金を完済している。
 どれも高利の借金なので、利息制限法で再計算すればもちろん過払いなのだが、サラ金から借金をしていた時代のことは「悪夢」と思って極力思い出さないように努めていたという。
 数ヶ月前に当事務所の宣伝広告を目にしたが、それでもサラ金とかかわることは避けようという思いが強く、相談に行く勇気がなかなか出なかった。

 他方、高利の借金の返済で、長年あれだけ辛い思いをしたのだから、いくらかでもお金が取戻せるならば、何とか取戻したいという気持もあった。
 悶々と悩んだ末、ようやく相談に来所された。

 「サラ金から過払金を返還させるのは、あなたに対する償いです。慰謝料みたいなものだから、全く遠慮はいりませんよ」

 過払金の返還請求という形でも、サラ金とは一切かかわりを持ちたくない、忘れてしまいたいという人は意外に少なくない。
 少しでも気軽に相談や手続きができる方法を、我々ももっと工夫する必要があると思っている。

裁判官交代の季節

山口地裁周南支部で対プロミスの裁判。
 プロミスは、過払金の時効の問題や充当の問題について、独自の主張を展開していたが、請求金額のほぼ満額に近い裁判所の和解案が出て、本日和解が成立。
 いずれも長期間の取引の事案だったので、4件で合計2000万円を超えた。
 多少プロミスに時間稼ぎをされてしまった感じもするが、結論としては良い結果となった。

 4月は裁判所の裁判官が転勤で移動する季節。
 裁判官も人間でいろんな人がいる。担当の裁判官が交代したことによって、それまでの裁判の流れが大きく変わってしまうこともたまにあるので、本人訴訟をされている方は注意していただきたい。

平成21年の過払金取戻額、本日現在合計3億387万0729円
 

中身のないアイフル答弁書

多忙でなかなかブログの更新ができていないが、別に健康を害しているわけではないので、ご安心いただきたい。
 毎日ひたすら、過払いの訴状、準備書面の起案に励んでいる。

 アイフルの答弁書は、分厚いがほとんで中身はない。
 過払金の借入債務への充当や時効の起算点など、すでに最高裁判決によって決着済みの問題を、あらためて蒸し返す議論がほとんど。
 しかも、私の裁判の場合は、原告10人程度の共同訴訟が多いのだが、アイフルは原告一人につき1通の答弁書を出してくるので、答弁書だけで、膨大な量になる。もちろん書いてある内容は大部分が共通した内容。
 地球環境の保護のためにも、このような紙の無駄遣いはやめて、最終ページの「まとめ」だけを記載した答弁書を出していただきたいと思う。

 (新着過払金入金情報)
 ・3月2日 イオンクレジット 11万9000円
       三洋信販 730万4765円(6件)
       プロミス 218万1000円(5件)
 ・3月3日 エイワ 16万5000円(3件)
       アコム 531万円(5件(
 ・3月4日 GEコン 78万8000円(2件)
       ポケットカード 174万5922円(5件)
 ・3月5日 ニッセンジーイー 116万円
       日新信販 63万5000円
 ・3月6日 全日信販 11万円
       武富士 198万円
       ムトウクレジット 3万円
       アコム 80万円
       しんわ 24万9092円
 ・3月9日 オリコ 118万円(2件)
       クレデイセゾン 41万4231円
       西京カード 13万7000円
 ・3月11日 GEコン 62万3000円
        アコム 403万5000円(7件)
 ・3月12日 ベルーナ 56万円
        アコム 313万7616円(4件)
        プロミス 83万4937円
        東光信販 6300円
        オリコ 7万4000円
 ・3月13日 プロミス 24万9000円

  平成21年の過払金取戻額、本日現在合計2億3308万9061円

 
 

 
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