最強法律相談室

山口県周南市で長年多重債務者の問題に取り組んできましたが、このブログでは、過払金返還請求に関するサラ金との示談交渉、裁判を中心に、私の実体験を公開させて頂きます。

過払金614万7000円

 平成17年も残り少なくなってきたので、過払金で今年心に残った件を振り返ってみたい。
 Aさん74歳男性。
 今年の4月に初めて相談に来られた。その時は借金が約132万円あり、年金と建設業の収入で返済してきたが、最近体調が悪く足がふらふらするので、もう仕事ができない、どうすればいいか、という内容だった。
 借金解決のための一般的方法を説明して、とりあえず利息制限法による引き直し計算をしてみようということになった。
 1ヵ月後、担当事務員から上がってきた一覧表を見て驚いた。債権者3社全部が過払いで、しかもその金額は600万円を超えていた。
 本人に状況を説明して、この過払金を取り戻しますと言ったが、その時のAさんの反応は、本当に返ってくるのかいな、という反応だった。
 その後3件とも訴訟を起こし、
        7月  アコム 247万円
        8月  GEコン 71万7000円
        9月  武富士 296万円
の、合計614万7000円の取り戻しに成功した。
 この金額は、サラ金から一人が取り戻した金額としては、私の依頼者の中で過去最高の金額である。
 弁護士の成功報酬を除いた金額は、もちろん全額Aさんに返還したが、喜ぶよりもただただ驚いていた。

 弁護士事務所に相談に来たAさんは幸運だった。
 まだまだ弁護士の敷居は高く、本来過払いなのに、真面目に返済を続けている債務者は多い。
 

年末年始の訴状起案

 弁護士業界もやはり年末は忙しい。
 法律相談、裁判、和解協議、打合せなどで忙殺されている。
 おかげで、過払金返還の訴状の起案がたまってしまい、ざっと30件はあるようだ。仕方ないので、年末年始を利用して訴状を起案する予定。
 3桁の過払金、つまり100万円以上の過払金は、依頼者の債務整理に与える影響が大きいので、最優先で訴状を出しているつもりだが、いま一覧表をチェックしてみると、3桁で訴訟未提起が6件もある。反省。

 というわけで日曜日も仕事をしているのだが、朝は大雪のため自宅から動けず、事務所到着が遅くなってしまった。

 Sさんの、しんわに対する訴状を起案している。過払金の金額は約289万円。
 実はこの借金はもともとMさんの借金で、Sさんが連帯保証したもの。Mさんが自己破産したため、その後はSさんが返済をしてきた。
 過払金は主債務者だけに発生するとは限らない。連帯保証人でも、利息制限法の利率を超える利息を支払えば、当然過払金は発生する。
 このSさんの場合、厳密に言うと過払金の中に、Mさんの分とSさんの分が含まれている。しんわは、Sさんの分だけ返還することを提案してきた。そこでMさんに連絡を取り、Mさんの分もしんわに返還請求をすることを私が依頼を受けた。
 その結果訴状は主債務者と連帯保証人とが共同原告になっている。ちょっと珍しい訴状。

 新年は、年末年始に起案した訴状で一斉に提訴する予定。

ライフの過払金

 ライフからHさんの過払金349,000円が返ってきた。
 ライフは平成12年頃に会社更生をしているので、それ以前に発生した過払金は免責されたとして、返してくれない。
 何となく納得できないのだが、裁判所も同様の結論だ。
 そのため、こちらは、会社更生後の取引分の過払金しか請求できない。だからライフの過払については、あまり減額した和解はしない方針。
 Hさんも上記の金額は、過払金の100%で和解したもの。

 Hさんは、夫婦で債務整理をしている。弁護士から受任通知を出した後も、地元のKという金融業者が自宅に来たりして、精神的に大変辛い思いをしてきた。
 受任通知を無視する業者は最近では少なくなったが、10年くらい前は周南地区でも頻発したので、悪質な業者には慰謝料請求の裁判を起こすなどして対抗した思い出がある。
 Hさんは、ライフのほかにも、武富士、日新信販、CFJから合計320万円の過払金を取り戻した。
 「何とか正月を越せそうです」
 Hさんの債務整理もようやく展望が開けてきた。

リボルビング方式

 報道によると、最高裁判所は、リボルビング方式の融資について、返済期間、返済総額を記載した書面を、個々の貸付けごとに交付しなければ、貸金業者にみなし弁済は成立しない旨の判決を出した模様。
 貸金業法43条のみなし弁済の規定を、厳格に解釈しようとするこれまでの判例の流れに沿ったものといえる。

 最近は過払金返還の裁判がマスコミでも報道されるようになった。おかげで、有益な判例情報が、直ちに全国に伝えられるのでありがたい。

 リボ方式の論点については、三洋信販の上告審で、請求認諾の肩透かしをくったと聞いていただけに、大変ありがたい。

 本日武富士より、275万円(2件分)の過払金の返還があった。

 平成17年の過払金取戻額、本日現在合計93、525、180円。



 

 

三洋信販とプロミス

 午前10時から周南簡易裁判所でHさんの三洋信販に対する過払金の裁判。
 三洋信販は一応悪意の受益者の点を争ってきたが、和解案として、70万円を提示してきた。請求金額は77万円。75万円ならいいでしょうと返事すると、73万円にならないかという。結局73万円を1月13日までに返還ということで和解成立。
 何だか八百屋の店先で、おばさんが店主相手に値切り交渉をしている感じ。
 Hさんは債務整理を予定しているので、この73万円は貴重な財源。

 大手サラ金は、和解するまではあれこれもめることも多いが、いったん和解が成立すれば、ほぼきちんと約束は守ってくれる。この点は、一般の個人や会社相手の民事事件と大きく異なる。
 そのため、こちらの方も、1月13日には確実に73万円の入金があることを前提に、今の段階で、他の債権者に債務整理案を提案できる。このメリットは大きい。

 午前11時半から、プロミス相手の過払金裁判。
 請求金額117万円。
 110万円の和解案を提示したところ、検討させてくれということになった。
 次回期日は2月2日。
 110万円が返ってくることを前提にした債務整理案は、もちろんまだ提示出来ない。

 

アイフルと和解

 親子で債務整理をしているSさん来所。
 前にも書いたが、Sさんは、アイフルに約300万円の借金があり、自宅の土地建物に抵当権が設定されている。
 不動産を担保に取っているアイフルは、これまでなかなか分割返済の債務整理に応じてくれず、私の依頼者も過去に二人自宅を競売で失っている。長年生活の拠点としてきた自宅を失うことは、想像以上に辛いことだ。
 Sさんの件も、これまで何回かアイフルに分割返済の整理案を提案したが和解成立に至らず、Sさんも自宅を失うのではないかと心配していた。
 その後交渉を続けた結果、幸いなことに、Sさんの件では、アイフルも分割返済の債務整理に応じてくれることになり、この度無事和解が成立した。今月から返済スタートで、最初に頭金を30万円支払う。Sさんにとっては大金だが、ここでもCFJから取り戻した過払金が大いに役立って、頭金の大部分は過払金で、まかなうことができた。
 来月からは月額58,000円を約4年間返済する。支払総額はちょうど300万円。
 アイフルとの和解成立を報告すると、Sさんは大変喜んでくれた。
 親子でがんばって、残りの借金を返済していくと言う。
 毎月の返済額は、Sさん親子にとって、決して楽ではない金額。
 Sさん親子の本当のたたかいは、始まったばかり。
 
 

債務整理完了のお知らせ

 債務整理をしているIさん来所。
 CFJから過払金142万円を取り戻すことができたおかげで、債務整理は順調に進めることが出来た。全部の借金を返済するには足りなかったが、返せる分は返して、残りを毎月2万円ずつ分割返済することになった。
 Iさんの債務整理は本日で終了。
 弁護士によっては、毎月の返済金を事務所で預かって、返済を代行している先生もいらっしゃる。大変ご苦労なことで、頭が下がる。
 私も、かつてはそうしていたのだが、債務整理の事件があまりに増えたので、到底事務員では処理できなくなり、今は本人に任せている。それくらいの作業は、債務者本人にやらせる方が、本人のためにもなると思う。

 そこで、債務整理案について全債権者から了解を取れた段階で、債務整理が完了した旨のお知らせを債権者に送付している。今後の返済は本人の責任で行うことを伝え、完済後の借用証等の返還も直接本人に送付するよう通知しておく。

 これで私としては一件落着なのだが、たまに途中で返済が出来なくなって、再び相談に来る者もいる。実際には相談に来るのはまだ良い方で、何も連絡のないまま行方不明になる者も少なくない。弁護士に整理してもらったのに、それを実行できなかったはずかしさからだろうか。

 年の瀬になると、そうした行方不明者の顔が浮かんできて、どこでどうしているのか、やはり気にかかる。
 

方針の決定

 借金の相談者Tさん来所。
 本日が2回目の打合せである。
 私は、借金の相談者の場合、原則として初回には方針は決めない。借金の解決法としては、債務整理、個人再生、自己破産などがあるが、初回の相談では、借金の金額が確定していないことが多いので、方針が決められないからだ。借金の額、つまり債務額は、利息制限法に引き直すと、本人が思っていた金額よりも減少することが多い。債務額が減少すれば、破産を覚悟していた人も、破産をしなくて済む可能性がある。
 Tさんは、初回の相談時には、借金が約220万円ということで、破産もある程度覚悟していた。私の調査の結果、債務額は約130万円となった。しかも武富士に90万円の過払金があることも判明。
 破産はせずに、借金を毎月分割で返済する債務整理をすることになった。
 このように債務額について利息制限法による再計算をしてから、方針を決定するのが当然だと思う。もしも、そのような作業を省略して、すぐに破産と決め付ける弁護士がいたら、手抜きとしかいいようがない。
 サラ金の中にも、受任通知を出すと、すぐに方針を明らかにせよと迫る業者がいるが、利息制限法による再計算が終わるまでは、すべてお断りしている。

 Tさんは、自分の借金が思いがけず減少したことがうれしかったようで、夫にも借金があるのでぜひよろしくと言って、帰っていった。

武富士さん、あと56,000円です

 武富士相手に過払金返還訴訟をしているOさんの2回目の裁判が、12月15日にある。
 当方の請求金額は、約126万3000円。
 訴訟後、武富士から108万円で和解したい旨の申出があったが、私の和解基準9割に達していないのでお断り。113万6000円なら和解することも付け加えた。
 あと56,000円である。
 それくらいなら妥協して良いのではという意見もあると思う。
 もちろんケースバイケースで、柔軟に対応しているつもりだが、Oさんの場合は、武富士から過払金全額を取り戻しても、確実に借金が残るケースなので、今後のOさんの債務整理をスムーズにするため、1円でも多く取り戻したいところ。
 OさんはすでにCFJから過払金774,000円を10月に取り戻している。これに武富士からの過払金の返還が実現すれば、債務整理もかなり楽になる。

 もうひとがんばり。 あと56,000円。

離婚

 過払金のことを中心に書いているので、それ専門の弁護士と間違われるかもしれないが、もちろん他の種類の事件も扱っている。
 昨日は、珍しく離婚がらみの相談が2件あった。
 離婚と遺産に関する相談は、景気の良し悪しにかかわらず、コンスタントにある。借金の相談ばかりで多少うんざりしている時は、離婚と聞くと思わず「良かった」と言いそうになる。

 Hさん(男)とNさん(女)は、離婚した元夫婦。二人とも借金をかかえており、別々のルートで私の事務所に相談に来た。借金が増えた経緯をいろいろ聞いているうちに、なんだ二人は元夫婦なのかとわかった。
 二人とも債務整理をすることになり、整理案を作成して債権者と交渉を続けた結果、何とかまとめることができた。
 何度目かの打ち合わせの際、Nさんに、Hさんと復縁する気はないのかと聞いてみた。子供もいるし、復縁した方が生活費も安上がりになって、債務整理も順調に進めることができるのではと思ったからだ。Nさんは、借金のこともあるしと消極的な素振りを見せたが、私の見るところ、まんざらでもなかった。
 数日後、Hさんとの打ち合わせの際、同じ質問をぶつけてみた。Nさんは、まんざらでもないよと言うと、うれしそうな顔を見せた。
 その後、忙しさにまぎれて、この件はすっかり忘れていたのだが、最近Hさんがやって来て、Nさんと再婚すると報告してくれた。
 
 借金が離婚を生み出すこともあれば、債務整理が再婚のきっかけになることもあるらしい。

 昨日三洋信販から過払金19万円入金。
 平成17年の過払金取戻額、本日現在合計90、245,180円。
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