最強法律相談室

山口県周南市で長年多重債務者の問題に取り組んできましたが、このブログでは、過払金返還請求に関するサラ金との示談交渉、裁判を中心に、私の実体験を公開させて頂きます。

契約番号のない基本契約書

 Hさんの裁判で、三洋信販から準備書面が出てきた。
 相変わらず悪意の受益者ではないから過払金に5%の利息を付けるのは間違いだという主張である。5%を付けない金額、61万円ならば返還に応じるとも書いてある。
 以前にも書いたが、三洋信販が使用している基本契約書には、みなし弁済の要件との関係で致命的な欠陥があり、みなし弁済は成立しない。
 それは、三洋信販が借主に最初に交付する基本契約書に、契約番号がないという点である。基本契約書に契約番号の記載がない以上、個々の貸付け時に交付する書面に契約番号を記載していても、両者を一体の契約書面と見ることはできないから、みなし弁済成立の要件である17条書面の交付は認められない。
 この点については、すでに周南簡裁、山口地裁で、同趣旨の判決が出ている。
 
 この契約番号の欠如は、たまたま当時の担当者が番号を書き忘れたなどというものではなく、そもそも借主に交付する基本契約書に契約番号を記載する欄がないことに起因している。
 しかも、問題なのは、複写式の基本契約書のうち、三洋信販側に残される基本契約書には、ちゃんと契約番号の記載がある点である。
 つまり三洋信販は、自分の手元に残す基本契約書には契約番号を記載しながら、借主に交付する基本契約書では、契約番号をわざわざ複写式の対象から除外して、契約番号が残らないようにしていたのだ。
 
 借主は、もらった基本契約書をなくすことが多いので、実際の裁判では、三洋信販の手元に残っている基本契約書だけが、裁判所に提出されることが多く、この契約番号の欠如を見過ごしたと思われる判決も出ている。

 三洋信販が何故このような欠陥契約書を使っていたのかは不明だが、ある裁判では、「印刷ミス」という弁解が飛び出したので、思わず笑ってしまった。
 私が収集した資料では、昭和63年から平成16年まで実際に使用されていた基本契約書に契約番号の記載が欠如しており、このような長期間の印刷ミスなど、常識的にありえない。

 とにかく三洋信販側が争う以上、徹底的に裁判を続ける予定。

はじめてのアコム♪

 アコムの社員もこのブログを読んでいるらしい。
 先日このブログに、アコムの過払金の案件を書いたところ、早速アコムから和解したいという電話が入った。驚きである。
 このブログも私のHPも全く一般に宣伝しておらず、読者はごく内輪だけと思っていたからだ。それともアコムの社員の中には、すべてのブログにアコムの悪口を書いている不届きな者がいないか、毎日検索している担当者でもいるのだろうか。う〜〜〜〜ん。
 とにかくこのブログの存在が、過払金返還の実務に影響を及ぼしたのは、アコムが初めてである。

 は じ め て の  ア コ ム ♪
 
 本日三洋信販から、Yさんの過払金120万円、Oさんの過払金65万円の入金があった。

 平成17年の過払金取戻額の合計、本日現在90、055、180円
 

病は借金から

 夫婦で債務整理をしているMさん来所。
 夫婦で合計500万円を超える過払金を取り戻した。残った借金もこれでほぼ返済出来て、現金100万円を本人に渡せることになった。
 本来ならばめでたしめでたしなのだが、実はMさんの奥さんが現在病気で入院中。そういえば前は夫婦で月1回の打ち合わせに来ていたのが、最近は夫だけになっている。病状を聞くと、かなり悪いらしい。
 「女房が生きているうちに、借金を0にしてやれて、よかった」
Mさんはそう言って頭を下げたが、私にはどうにもやりきれない思いが残る。
 過払金が500万円も発生したということは、それだけMさん夫婦が長い年月、高い利息の借金を真面目に返済してきたということだ。生活を切り詰めて、一生懸命働き続けたMさん夫婦にとって、いつも借金のことが大きな心の負担になっていたはずだ。
 借金がMさんを病気にした、と言ってもいい。
 払い過ぎたお金は、過払金という形で、後から取り戻すことが出来るが、食べたい物も食べずに、休みたい時も休まずに働き続けたことによって、失われたMさんの健康を再び取り戻すことは難しい。
 もう少し私が早く仕事を進めて、借金を0にしてあげたら、ここまで重い病気にならずに済んだのではないかという後悔も頭をよぎる。
 Mさんが、一日も早く元気になることを強く願う。

貸付けのない残高?

 GEコンシューマーフアイナンス(レイク)から送られてきたNさんの取引履歴は、貸付けがないのに突然残高482、118円からスタートしていた。
 何もしないのにある日突然借金ができる人はいない。サラ金からお金を借りるという行為、サラ金から見ると金銭の貸付けという行為があって、初めて借金の残高がいくらということになる。ところがNさんは貸付けがないにもかかわらず、ある日突然借金の残高が出現したのである。
 これはGEに限らず、サラ金が古い取引履歴を開示したくない時に、時々使われる手法。当然こちらは、そのような取引履歴では納得しない。
 対抗手段としてこちらがやるのは、最初の残高を0円にして、以後の取引だけを利息制限法で再計算する方法。
 つまり貸付けのない残高というものは、理論的にありえないので、計算上は0円とみなすというわけだ。
 2年くらい前からこの方法を取っている。その後裁判所でも、同様の計算方法を認めた判決がいくつか出た。
 Nさんの場合も、取引の冒頭の残高を0円で計算すると、過払金が約187万円発生したので、直ちにその返還を請求した。
 そうしたところ最近になって、ようやく古い取引履歴を開示してきた。再度計算すると、過払金は、約822,000円になった。187万円請求されるよりも、82万円にした方が得ということか。
 最初から正直に古い取引履歴を開示してくれれば、こんな面倒な手間をかけずに済むのだがといつも思う。

 GEには、直ちに裁判を提起する予定。


弁護士費用

 弁護士費用は現在自由化されており、弁護士会としての統一的な基準はない。
 したがって、ある事件で弁護士費用がどのくらいかかるかは、実際に依頼する弁護士に個別に聞いてもらう他ない。
 本日来所されたTさんは、債務整理をすることになり、私の弁護士費用を262,500円と定めた契約書を作成した。債務整理は特別の場合を除いて、すべてこの金額でやっている。一括で支払えない人は、さらにこれを分割にしている。
 成功報酬は、原則として0円。
 例えば、当初500万円の借金を、利息制限法で200万円に減額した上で、各社と分割返済の和解を成立させても、262、500円以上の費用はいただかない。
 但し過払金を取り戻した場合だけ、取り戻した金額から何%かの報酬をもらっている。過払金の報酬は、実際にお金が返ってきた後の支払いなので、依頼者の方も支払いがしやすい。

 先日ある依頼者に上記の説明をすると、「どうしてそんなに安いのですか?」と驚いたような顔つきで聞かれた。その人は、ネットで調べて、債務整理の弁護士費用は約100万円かかると思って、来ていたそうだ。
 自由化されている以上、他人の費用の高い、安いのコメントは出来ないが、私に限って言えば、この金額で別に極端に安いとは思わない。ビジネスとして、十分ペイしているからだ。
 過払金取り戻しの分野は、弁護士全体で見ると、まだまだ未開拓の分野。多くの、特に若手の弁護士が、この分野にチャレンジしてほしいと思っている。

少額の過払金

 Sさんはアコムに25,582円の過払金が発生した。
 すでにかなり前に過払金の返還を催告したが、アコムからは何の返事もない。アコムに限らず、こうした少額の過払金の場合、サラ金に返還を請求しても、無視されることが多い。理由を聞いたことはないが、多分少額の過払金は、無視をしても訴訟まで起こされることはないという読みだろう。
 たしかに数万円の請求金額で訴訟をすることは、対費用効果の点では、完全な赤字になるので、多くの弁護士は手がけていないと思う。
 しかし、私は少額の過払金でも、絶対にあきらめない。
 というより、この少額の過払金が役にたっている。
 私の依頼者は地元の周南地区に居住している者が多いが、たまに岩国とか宇部あたりの依頼者もいる。それらの依頼者に過払金が発生した場合、訴訟を起こす管轄裁判所は、岩国や宇部の裁判所となるのが原則。しかし例えば宇部だと、片道1時間以上かかるので、訴訟を起こしにくい。そんな時この少額の過払金の出番である。
 つまり少額の過払金の依頼者と宇部の依頼者との共同訴訟を行う。共同訴訟の場合、原告の一人について周南の裁判所での管轄があれば、周南で裁判ができる。もちろん依頼者には事情を説明して了解をもらうが、反対されることはまずない。
 そんな事情もあり、今年は共同訴訟をたくさんやった。

 平成17年の少額過払金訴訟のチャンピオン(予定)はYさんで、アイフル相手の訴訟で、過払金3000円を取り戻した。
 年末には、少額過払金に年5%の利息を付けて、サラ金に請求書(再)を出す予定。

昭和から平成

 債務整理のMさん来所。
 三洋信販に約110万円、武富士に約170万円の過払金が発生してることが判明。今回三洋信販は昭和63年以降、武富士は昭和57年以降の取引履歴をそれぞれ開示してきた。
 昭和といえばずいぶん昔のような気がするので、ほとんどの債務者は、その頃の貸付けや返済のことは、現在の自分の借金に関係ないと思っているが、実は大いに関係している。長期間、高利の返済を続ければ、それだけ過払の金額も増えるからだ。

 大手のサラ金は、どこも取引履歴をコンピュータで管理しているので、10年前だろうが、20年前だろうが、保存しているはずである。時たま、コンピュータの情報を消去したと言う抗弁を持ち出すサラ金もいるが、全く信用していない。
 問題は一人で経営しているような零細サラ金である。コンピュータを全く導入していないような昔風サラ金も地方には、少なくない。一応顧客台帳はあるのだが、10年以上前は、捨てましたと言われると、なかなか反論は難しい。
 実際に零細サラ金からの過払金の取り戻しは、大手に比べて少ない。
 コンピュータの導入を義務付けて、過去の取引履歴を原則永久保存させる法律を作るべきではないだろうか。

一括返済

 40代の女性、Dさん来所。
 一ヶ月前、サラ金7社に約390万円の借金があるとのことで相談に来られたが、取引履歴を取り寄せて、利息制限法で再計算すると、約65万円まで減った。

 その上、アコム、プロミス、アイフル、しんわ、レイクに合計約480万円の過払金が見つかった。
 計算上は、過払金で借金を返済できるのだが、過払金はいつ返還されるか未定なので、一応債務整理の計算からは除外。Dさんの給料から毎月3万円を捻出して、65万円の借金を分割返済することにした。
 後日、過払金が返還されたら、分割返済の借金も一括返済する予定。たまに債務者の中には、返還された過払金を借金の返済に充当することをいやがるも者もいるが、極力説得して、一括返済することにしている。お金は不思議なもので、目の前に置いておくと、いつの間にかなくなってしまうからだ。
 
 すでに過払いの何社かからは、過払金の7割程度ならすぐに返済するので和解してほしいという打診も来ている。早く返してほしいのはやまやまだが、7割という水準は低すぎるので、お断り。最低でも8割以上、訴訟提起後は9割以上を原則にしている。

おみやげ

 債務整理のFさんが夕方来所。
 しんわ、武富士、プロミス、三洋信販から、過払金を取り戻したので、借金と弁護士費用を差し引いても、約86万円を本人に返還することができた。
 私はこれを「おみやげ」と呼んでいる。
 
 取り戻した過払金は、原則他の借金の返済に当てるが、最近は借金を返済出来て、さらにおみやげを持って帰る人も出てきた。
 9月に債務整理が完了したAさんなどは、おみやげを約400万円持って帰った。
 といっても、このお金のもともとの出所は、Aさん本人なのだから、誰に遠慮する必要もない。それだけAさんが、真面目に返済を続けてきた証拠である。

 

取引履歴

 債務整理手続中のTさん来所。
 当初5社、300万円の借金があるとのことだったが、債権者から取引履歴を取り寄せ、利息制限法による引き直し計算をしたところ、約90万円まで減った。
 そこで、これを毎月2万円の45回払いで整理する予定。
 5社の中で三洋信販の取引が古く、過払金が約25万円発生した。
 三洋信販から開示された取引履歴は平成6年12月以降のものだったが、本人の記憶では、さらに古い昭和の頃から同社と取引をしているとのこと。
 再度三洋信販に古い取引履歴を開示するよう求めたが、平成6年以前はコンピュータにないとの返事が返ってきた。
 もちろん私はこの返事を使用していない。サラ金は古い取引履歴を開示すると過払金が多額になるので、あの手この手で古い履歴を隠そうとすることが多いからだ。
 Tさんの場合、約定の利率では残金があるケースなので、本来ならば、返済が滞納した場合、三洋信販はTさん相手に裁判をすることになる。その時取引開始からの履歴がないと残金の存在を立証することが難しい。いざという時に備えて、すべての履歴は保存してあるはずだ。

 とりあえず三洋信販相手に過払金返還の訴訟を起こし、裁判の場で、古い取引履歴の開示を求めることにした。
 コンピュータにないならば、倉庫を探してでも古い履歴を出すよう強く求める予定。
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弁護士 中村覚

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