更紗のタペストリー(L)

auoneblogから引っ越してきました。 主に、アート・書籍・音楽・映画などについて語ってるブログです。 もうひとつのブログ(http://sarasata.seesaa.net/)では、日経新聞の連載小説の感想を綴っています。

11月の読書メーター

11月の読書メーター
読んだ本の数:55
読んだページ数:7234
ナイス数:1440

まんがグリム童話 金瓶梅 (51)まんがグリム童話 金瓶梅 (51)感想
相変わらず西門伯は、何を考えているのか謎のキャラですが、露々を騙して殺そうとしたのは、露々を苦しめることが目的なのではなく、露々の死を利用して西門慶を苦しめようとしたということなのでしょうか…? 少なくとも藩金蓮は、「大旦那様は難癖をつけて旦那様を苦しめたいだけよ」と考えていますが…。春梅の出産のお祝いに孟玉楼が選んだ、霊験あらたかな「戦神の像」は、「始皇帝とともに埋められていたもの」だとのことですが、その由来が本当だとしたら、盗掘品ということですよね…。
読了日:11月30日 著者:竹崎真実
世界一クールな気候変動入門: 情報を正しく判断するために世界一クールな気候変動入門: 情報を正しく判断するために感想
「気候変動そのものの問題」よりも、「気候変動の“否定”という問題」の方に重点を置いており、「誤った情報を信じてしまう心理」と「間違った情報を信じさるために駆使されるテクニック」が紹介されているので、環境学の本であると同時に認知心理学の本でもあります。気候変動の否定派は、「科学そのものを否定する方向性」から「解決策を否定する方向性」にシフトしているのだそうで、ひとりとりが気候変動対策に貢献できる方法として著者が挙げているのは、シンプルに、「気候変動について友だちや家族と語ること」だそうです。
読了日:11月29日 著者:ジョン・クック
世界現代怪異事典世界現代怪異事典感想
妖怪・妖精・幽霊・UMAだけでなく、都市伝説・ほら話(トール・テール)・インターネット上の怪人や怪異・創作であることがはっきりしている架空の生物(『鼻行類』『平行植物』等)も取り扱われています。図版が全くないですし、書籍とネットの情報をまとめただけの内容ですが、「事典」と銘打っているだけあって分厚いですし、アジア・アメリカ・ヨーロッパだけでなくオセアニアとアフリカにまで範囲が及んでいるところに、著者の熱意を感じます。【彊屍】の項目で、台湾映画の『幽幻道士』のことに触れているのが、ちょっと嬉しかったです。
読了日:11月29日 著者:朝里 樹
蟹工船蟹工船感想
ラストの「一九二九.三.三〇」という日付を見て、百年近く前の作品であることを実感し、百年近く経っても全く内容が色褪せていないことに、慄然としてしまいました。いかに「資本主義との闘い」が困難であるかということなので、打ちひしがれそうになる一方で、「文学の持つ力」の永続性には、一筋の光明があります。
読了日:11月28日 著者:小林多喜二
まんがグリム童話 金瓶梅 (50)まんがグリム童話 金瓶梅 (50)感想
春梅の妊娠によって、嫉妬と劣等感に苛まれている于英を気遣ってあげなければならないのは、本来は夫である周菊軒なのに、于英のプライドにきちんと配慮できているのが、西門家の人間であるところに、周菊軒のダメさ加減が出ています。一番于英に気遣っているように見える富葉も、于英の代わりに春梅にいやがらせをすることしか考えておらず、于英が本当に求めているのは「夫からの信頼」であることを見抜けていません。
読了日:11月28日 著者:竹崎真実
バキ外伝 花のチハル 1 (チャンピオンREDコミックス)バキ外伝 花のチハル 1 (チャンピオンREDコミックス)感想
一応、柴千春には「暴走族」という設定があるのに、「仲間とつるむ楽しさ」も「バイクへの愛」も感じられないキャラになってしまっています。暴走族であるからには、「仲間と一緒に走ることの意味(道路交通法違反をしてでも)」を追求し、そこに自分なりの哲学を見出してほしいのですが…。おそらく、作画の尾松知和先生はバイクに興味がない方なのでしょう。私もそうなので、バイクに興味を持てない気持ちは理解できますけど、それはそれとして、「暴走族のキャラが主人公の漫画」で「作者のバイクへの興味のなさ」を滲ませてはダメでしょう…。
読了日:11月27日 著者:尾松知和
地層のきほん:縞模様はどうしてできる? 岩石や化石から何がわかる? 地球の活動を読み解く地層の話 (やさしいイラストでしっかりわかる)地層のきほん:縞模様はどうしてできる? 岩石や化石から何がわかる? 地球の活動を読み解く地層の話 (やさしいイラストでしっかりわかる)感想
「見やすさ」「読みやすさ」を重視した、電子書籍向きの構成になっているので、目に優しい点は良いのですが、図版が緩いイラストのみで、写真が一切ないのが、少々物足りなかったです。…とはいえ、内容自体はとても理解しやすいですし、「未来」から見た「現在の地層」についての言及があるのが、とても良かったです。プラスチックやコンクリートブロックなどの人間が生み出したゴミによる地層は、これまでの地球の歴史の中では異質であり、オランダの科学者のパウル=クルッツェンはそれを人新世(Anthropocene)と名付けたそうです。
読了日:11月26日 著者:目代 邦康,笹岡 美穂
~銀牙少年伝説~ドッグデイズーロクとボクの一番熱かった日々ー 3~銀牙少年伝説~ドッグデイズーロクとボクの一番熱かった日々ー 3感想
主人公が漫画の魅力に取り憑かれ始めたところで物語が終了しているので、その後どのようにして本格的に漫画家を目指すことになったのかがすごく気になりました。タイトルが『ドッグデイズ』の割には、犬のロクとの生活よりも、いかに父親のDVとモラハラに苦しめられた生活だったかの方が詳細に描写されている作品でしたが、腐りきった家父長制の理不尽さを「過ぎ去った思い出」としてノルタルジックに振り返るのではなく、「子供の頃に感じた怒りと惨めさ」を「当時の熱量」を保った状態で描いているのが伝わってくるのが、とても良かったです。
読了日:11月26日 著者:高橋よしひろ
~銀牙少年伝説~ドッグデイズーロクとボクの一番熱かった日々ー 2~銀牙少年伝説~ドッグデイズーロクとボクの一番熱かった日々ー 2感想
砂防ダムに鹿の死骸があると聞けばノコギリで角を取ろうとしたり、畑で謎の卵を見つければ引き出しの中に隠して孵そうとしたり、トンボが大量発生すれば捕まえて羽をむしって水をはったタライに放り込んで「踊らせ」ようとしたり…等の、「貧しい生活の中でも娯楽を見つけようとする子供の発想」の“豊かさ”と“残酷さ”が印象に残りましたが、それと同時に、子供らしい娯楽にあけくれる年齢ではなくなったノブ兄とミチ兄の味わう“惨めさ”や“口惜しさ”も強く印象に残り、読んでいて心が苦しくなりました。
読了日:11月25日 著者:高橋よしひろ
原発一揆~警戒区域で闘い続ける“ベコ屋”の記録原発一揆~警戒区域で闘い続ける“ベコ屋”の記録感想
《希望の牧場》のプロジェクト立ち上げの経緯を記録したドキュメンタリーです。発行は2012年11月なので、福島第一原子力発電所事故が畜産業界に与えたダメージと、それに対する東電と国の対応の酷さへの苛立ちが生々しく記録されていますが、それと同時に、警戒区域内で餓死したり殺処分されたりした家畜の写真や、ペットだったであろう犬の死骸の写真が収録されているので、ショッキングな写真が苦手な人は心の準備が必要です。
読了日:11月25日 著者:針谷 勉
売王(バイキング) 1売王(バイキング) 1感想
初出は2004年の『週刊漫画ゴラク』。主人公の名刺には「よろず商い致し候 近江繁盛」と書かれており(近江繁盛は「おうみしげもり」と読みます)、名刺の割にはどんな仕事をしている人なのか分かりにくいのですが、要はコンサルです。傾いた商売の立て直しに、いかに「三方良し」の近江商人の商売訓(売り手良し・買い手良し・世間良し)を活かしていくか…という部分に、この作品の特徴があります。バブル時代が「一昔前」のニュアンスで回想されていたり、芋焼酎が「流行りもの」扱いだったり、ガラケーが出てくるところに、時代を感じます。
読了日:11月24日 著者:梶研吾,土山しげる
ぼくの犬僕のウィード (ニチブンコミックス)ぼくの犬僕のウィード (ニチブンコミックス)感想
飼い犬の思い出話と、犬の飼い方のアドバイスを中心とした、高橋よしひろ先生のエッセイ集ですが、『銀牙伝説ウィード』の宣伝も兼ねているので、『ウィード』の序盤のエピソードとイラストギャラリーも収録されています。(『ウィード』の連載開始は1999年、本書の出版は2001年。)「犬を捨てないで済む。犬とずっと暮らしていける最低限度の知識だけ伝えられたら」(128p)との思いが強く込められていますが、それと同時に、御自分が「決してよい飼い主ではない」(194p)という、“自省の念”も見られます。
読了日:11月24日 著者:高橋よしひろ
モンキーピーク the Rock 9 モンキーピーク the Rockモンキーピーク the Rock 9 モンキーピーク the Rock感想
「実は女だった」という演出はあまり好きではないのですが、この作品は物語のシチュエーション上、「シニアの女性キャラ」と「少年・少女のキャラ」は登場させにくい問題があるので、「フードの人物の正体」と「マコトの性別」が判明して物語全体としての「キャラの老若男女のバランス」が取れる構成になっているのは、「実は女だった」演出の上手な使い道だと思いました。(ラストでマコトの性別が判明する演出は、ただ意外性を出すだけが目的なのではなく、一人のキャラクターに「少年役」と「少女役」を兼ねさせたと解釈すべきでしょう。)
読了日:11月22日 著者:志名坂高次,粂田晃宏
モンキーピーク the Rock 8モンキーピーク the Rock 8感想
元々、早乙女の目的は宮田を探すことでしたし、自称高橋の目的は究極的には「お金」で、“Aチーム”と葉山は「雇われたから」以上の意味はなく、はなからずっと「魔猿」そのものに執着してきたのは赤崎とシマの二人だけであり、シマの最期には、「仇である魔猿をぶっ殺す」という強烈な信念によって生じた「戦士の風格」がありました。(赤崎も「強烈な信念によって戦うキャラ」ですが、「戦士の風格」というのはありません。)『モンキーサークル』を読んだ時には、シマがこういうキャラに“成長”するとは、思ってもみませんでした。
読了日:11月22日 著者:志名坂高次,粂田晃宏
モンキーピーク the Rock 7モンキーピーク the Rock 7感想
元々精神的に不安定なところのある千葉でしたが、ロープブリッジの苦手さから高所恐怖症がモロバレした上に、これまでさんざん見下してきた“一般人”に助けられるという屈辱により、明らかに合理的な判断ができなくなっており、誰の目から見てもリーダーとして失格なのですが、「仲間を守れ」という東隊長の言葉を思い出して「責任の重み」を感じているということは、兵士として有能かどうかはともかくとして、東隊長に対する尊敬の念だけはホンモノのようです。東隊長、めちゃくちゃ人徳があったんですね…。
読了日:11月21日 著者:志名坂高次,粂田晃宏
モンキーピーク the Rock 6モンキーピーク the Rock 6感想
自然光が降り注ぐ鍾乳洞にたどり着いた早乙女たちは、洞窟の中で二年間も生き延びてきたマコトという少年と出会います。朽ちていく母親の遺体を見ながら、サルのエサの残り物を食べて命を繋いでいたマコトの苦しみは想像を絶しますが、二年間の洞窟生活の中で得たマコトの知識は、早乙女達にとってはとてつもなく貴重です。マコトの存在の重要性は誰もが認めるところですが、「子供は大人によって守られるべき」という価値観をはっきりと感じ取れるキャラが、沼口と葉山しかいないのが気になります。(麻酔が効いている宮田は別として…。)
読了日:11月21日 著者:志名坂高次,粂田晃宏
モンキーピーク the Rock 5モンキーピーク the Rock 5感想
“Aチーム”は、実は現役の自衛隊員ではなく、シマが耳にした噂によると、「自衛隊にも馴染めなかったアウトローの集まり」であり、「金のためならどこでも行って何でもやるヤベーヤツら」らしく、名前だけでなく実態までが『特攻野郎Aチーム』めいています。下柳が早乙女達を助けようとした理由は、「東隊長最後の言葉を守ろうとした」ことと「恐怖を克服したいという個人的な目標」があったからであり、行動原理が良心だったからではなかったとはいえ、早乙女達に希望を与えてくれる存在だったのに、赤崎によって下柳は命を奪われることに…。
読了日:11月21日 著者:志名坂高次,粂田晃宏
モンキーピーク the Rock 4モンキーピーク the Rock 4感想
元々、高橋は得体の知れない雰囲気を漂わせていましたが、ホンモノの「内閣調査室・高橋」が佐藤の前に現れたことで、「高橋」という名前も「内閣調査室」という肩書きも、偽りであることが判明しました。自称高橋は人を殺すことを躊躇しない性格であり、殺人歴があるゆえに赤崎が“同類”(=人殺しの経験あり)であることを見抜きますが、自称高橋が「生きて帰ろうとする信念」があるのに比べ、赤崎には生き残るつもりなど全くなく、二人とも、かつての吉川とはひと味違った「戦闘能力高めのキャラ」です。
読了日:11月20日 著者:志名坂高次,粂田晃宏
緋色い剣 7巻緋色い剣 7巻感想
シグムンドが、キリスト教の「聖ヨセフ」(マリアの夫)に自分を重ねているとは、意外でした。シグムンドはヨセフのようにはなれず、結局、「戦って死ぬこと」に救いを求めますが…。リューにとって、母親は誰なのかといえば、「自分を産んだ人であるスワンヒルド」であることには何の疑いも迷いも持っていませんが、では、父親は誰なのかというと、頭では「自分の母親を孕ませたオーディン」だと認識していても、心が求めるのは「スワンヒルドの夫であるシグムンド」であり、これはもう、本能と言ってもいいのかもしれません。
読了日:11月19日 著者:あずみ 椋
夜まで待てない【単行本版(電子限定描き下ろし付)】 (moment)夜まで待てない【単行本版(電子限定描き下ろし付)】 (moment)感想
主人公が、「幼馴染に片思いしている寂しさ」を「しがらみの無い男との後腐れのないセックス」で紛らわせようとするのはいいとして、その「しがらみのない男」が最初に連れている男への態度があまりにも失礼すぎます。さっきまでのツレをぞんざいに扱い、初対面の男に言い寄る男なんて、普通にクズなのに、クズをクズとして描いていないせいで、主人公が「クズに惹かれてしまう自分の心理」に向き合っておらず、そこが読んでいてしっくりこなかったです。
読了日:11月19日 著者:梶ヶ谷ミチル
ロマンスの神様ロマンスの神様感想
底本は2007年に小学館から出版された単行本ですが、オリジナルは昭和39年(1964年)にひばり書房から出版されています。「3つの願い」系の寓話的な物語といえば、「欲深さ」を「愚かさ」としてオチをつけるのがお約束ですが、本書は逆に、読者に「がめつく世の中を渡ること」を勧める内容となっています。「がめつく」という表現は使っていても、決して「ダーティに生きろ」という意味ではなく、むしろテーマは「良心」です。「良心の物語」をラブコメ仕立てにすることで、女の子の読者にエールを送る構成となっているのがお見事です。
読了日:11月18日 著者:楳図かずお
緋色い剣 6巻緋色い剣 6巻感想
リューの従者となったヒュンドラの口寄せによって、リューはハルドレの魂との邂逅を果たしますが、ハルドレの身体の方は、生まれることのなかったリューとハルドレの娘・ヒルドの魂に乗っ取られることになり、それだけでもややこしい状況なのに、ヒルドは実の父であるリューを憎む一方で、自分が生まれてこれなかった直接的な原因であるシグムンドを慕い、その態度はまるで、シグムンドの恋人気取りです。人間関係の複雑さが増すにつれ、キャラクターの心理状況もまた、どんどん複雑さが増しています。
読了日:11月18日 著者:あずみ 椋
~銀牙少年伝説~ドッグデイズーロクとボクの一番熱かった日々ー 1~銀牙少年伝説~ドッグデイズーロクとボクの一番熱かった日々ー 1感想
初出は2022年の「週刊漫画ゴラク」。【この作品は作者のの実体験にもとづくフィクション作品です。】との記載がありますが、巻末のエッセイによると【この『ドッグデイズ』に出て来るエピソードは全て本当にあった事です。】とのことです。主人公の父親が典型的なDVオヤジで、目が悪くて働けない惨めさを「父権の誇示」ですすごうとする心理があるのに加え、動物に対しては「畜生として身の程をわからせる」ために暴力を振るって「人間様としてのプライドの誇示」をしようとする心理があり、ダメな日本のオヤジを煮詰めたような人物です。
読了日:11月17日 著者:高橋よしひろ
緋色い剣 5巻緋色い剣 5巻感想
ハルドレは自分の死を以てシグムンドへの復讐を果たしますが、本来は冥府へ行くはずのハルドレの魂はフレイヤが預かることになり、身体は何者かによって奪われます。ハルドレの身体を取り戻すために、リューは人間界を去る決意をし、“戦死”する道を選びますが、北欧の人々の「死後の世界」観が独特であるため、このあたりの流れは少々分かりにくいです。同時収録は『イーヴァルの幸運』『千年の琥珀』。
読了日:11月17日 著者:あずみ 椋
マンガ! 大英博物館マンガ展図録マンガ! 大英博物館マンガ展図録感想
2019年に大英博物館で開催された「The Citi exhibition Manga」展の図録の日本語版です。インタビューの対象が漫画家だけでなく編集者にも及んでいますし、「マンガと法律」というテーマで日本人弁護士による著作権や契約関係絡みの解説も載っているので、単純に漫画作品を羅列するのではなく「日本の漫画文化」を包括的に紹介しようとする意欲は評価できるものの、日本では漫画家という職業が社会的にいかに低くみられ、労働者として劣悪な扱いを受けているかは、全く読み取れない内容です。
読了日:11月16日 著者:
日本列島では原発も「地層処分」も不可能という地質学的根拠日本列島では原発も「地層処分」も不可能という地質学的根拠感想
原子力燃料公社から動力炉・核燃料開発事業団に30余年所属し、地質学的調査を行ってきた者として、著者は、様々な根拠を提示して日本で高レベル放射性廃棄物の地層処分は不可能だと断言し、既に日本が抱え込んでいる高レベル放射性廃棄物については、いかに困難であったとしてもわずかに残された道の開発に努力を傾注すべきと述べており、著者の誠意と責任感は伝わってくるものの、「実現性は限りなく低くても、とりあえず処分方法の研究はしている」というポーズを盾に、国は原発推進を続けるであろうことが予想できてしまうジレンマがあります。
読了日:11月15日 著者:土井 和巳
ヴィクトリア朝の寝椅子 20世紀イギリス小説個性派セレクション1ヴィクトリア朝の寝椅子 20世紀イギリス小説個性派セレクション1感想
1953年にイギリスで発表された小説です。主人公のメラニーが、骨董屋で入手した寝椅子でうたた寝をして目覚めたら、ミリーという別人に成り代わっていて、時代は1952年から1864年になっていた…という内容なので、「意識が過去に跳んだ」と解釈すればSF要素がありますし、「メラニーとしての人生はミリーの夢だった」と解釈すれば『胡蝶の夢』的な幻想譚ということになりますが、メラニーにとってはミリーの事情は謎なので、「謎解きミステリー」要素もありますし、深い内面性の描写は時として非常にスピリチュアルです。
読了日:11月15日 著者:マーガニータ・ラスキ,横山 茂雄
緋色い剣 4巻緋色い剣 4巻感想
ロキとシグムンドは、内面の混乱ゆえに自分が何をしたいのかを自分で分かっておらず、一種の自傷行為として他人を罠に嵌めたり傷つけたりしているように見えますが(つまり、他人を傷つけることで自分を傷つけている)、リューとハルドレには、何かを失っても何かを得ようとする前向きさが備わっています。…とはいえ、リューと離ればなれ(ハルドレの認識では「死に別れ」)になった後、ハルドレが失ったものはあまりにも大きく、シグムンドへ復讐が完遂したとしても、喪失感を埋めることは果たしてできるのでしょうか…。
読了日:11月15日 著者:あずみ 椋
サイバーブルー 失われた子供たち 1巻 (ゼノンコミックス)サイバーブルー 失われた子供たち 1巻 (ゼノンコミックス)感想
原哲夫先生の『CYBERブルー』のリメイク版です。(月刊コミックゼノンでの連載開始は2010年。)ブルーとファッツが一体化する経緯はほぼ原作通りですが、その後はオリジナルの展開になります。原作はブルーの顔があまりにオッサン臭すぎることに違和感があったのですが(おそらくは精神年齢の高さを強調する意図があったと思われますが)、リメイク版は17歳という年相応のビジュアルですし、ファッツのデザインには「可愛さ」があります。…ですが、女性キャラに関しては、胸と尻と腿を強調しすぎてブヨブヨ感が出ているのが残念です。
読了日:11月14日 著者:原哲夫,吉原基貴
CYBERブルー 3 (ゼノンコミックス)CYBERブルー 3 (ゼノンコミックス)感想
直接的な殴り合いのシーンがあまりにも多すぎて、「もう、サイバーパンク要素ないじゃん…」と思いながら読んでいたものの、終盤は、ブルーがビル(核融合炉含む)と一体化するシチュエーションに「サイバービーイング」の設定が活かされていますし、ガルゴがローニィに体を“返す”というシチュエーションには「バイオビーイング」の設定が活かされているので、SFとしての筋はきちんと通していると感じます。SFとして筋を通そうとするとどうしても説明臭いセリフだらけになってしまうゆえに、どことなく巻来功士作品っぽさが滲んでいますが…。
読了日:11月14日 著者:原哲夫
CYBERブルー 2 (ゼノンコミックス)CYBERブルー 2 (ゼノンコミックス)感想
地球連邦政府の特別麻薬捜査官のクレアに対して、ブルーは下心を持つような様子は全くなく、異性として値踏みする目線を向けることなどしていないのに、ロボットであるファッツは「久しぶりにいい女じゃねえか」などと言っており、子供であるアレンも(ファッツほど露骨ではないにしても)クレアが美人であることにいちいち過剰に反応しているのが、なかなか面白いです。美しく着飾ったクレアの前でブルーとアレンが「特に内臓に異常はない あと50年は大丈夫だ」「内臓(なか)見てどうすんだよ…」と会話しているシーンは、漫才めいています。
読了日:11月13日 著者:原哲夫
CYBERブルー 1 (ゼノンコミックス)CYBERブルー 1 (ゼノンコミックス)感想
『ロボコップ』と『トータル・リコール』と『ブレードランナー』を足したような世界観ですが、序盤は“バディもの”の雰囲気があるのに早々に主人公の少年と相棒が一体化してしまう展開は、のちの『チェンソーマン』を思い起こさせます。個人的に、“サイバーパンクもの”は、『攻殻機動隊』のような小綺麗な作風よりも、『CYBERブルー』くらいに鉄臭さやむさ苦しさがある方が好きです。この電子書籍版には初出の記載がありませんが、Wikipediaによると、週刊少年ジャンプでの連載期間は1988~1989年。
読了日:11月12日 著者:原哲夫
北斗の拳 5巻 (ゼノンコミックス)北斗の拳 5巻 (ゼノンコミックス)感想
アイリを連れ去った「胸に七つの傷の男」は確かにジャギであるという言質をジャギ自身から取っていないのが、少々気になりました。ジャギは普段は黒いヘルメットをかぶっていますから、誰かがジャギに成りすますのは比較的簡単なのですが…。ジャギとシンが顔見知りだったのは意外でしたが、ジャギによって語られている「シンを唆したエピソード」が真実である証拠は、実はどこにもないんですよね。ケンシロウとシンをこけにするために、とっさにフカシた可能性は、否定できません。(そういう機転だけは利きそうな男なので…。)
読了日:11月12日 著者:武論尊,原哲夫
北斗の拳 4巻 (ゼノンコミックス)北斗の拳 4巻 (ゼノンコミックス)感想
牙一族は、一族を名乗るからには、一族の子を生み育てる女たちがどこかにいるはずなのですが、一体、どこでどうしているのでしょうか…。マミヤは、「戦士の風格」を持つキャラであるところに魅力があるのですが、その「戦士の風格」が、作中では「女を“捨てる”こと」によって得られるものとして描かれてしまっており、更に、「女であることの条件」が、「恋愛感情の有無」とか「裸を見られることへの羞恥心」で象徴されてしまっていることに、激しく違和感が…。まぁ、昭和の少年漫画では、この手のジェンダーバイアスは珍しくないですけれど…。
読了日:11月12日 著者:武論尊,原哲夫
北斗の拳 3巻 (ゼノンコミックス)北斗の拳 3巻 (ゼノンコミックス)感想
基本的には私は「男が母性を求める心理」を美談に仕立て上げる漫画手法は好きではないのですが、この巻で描かれている「バットとトヨの疑似的な親子愛」と「母親の写真が入っているロケットペンダントを心の拠り所にしているデビルリバース」は、グッときます。
読了日:11月11日 著者:武論尊,原哲夫
鉄のドンキホーテ 1巻 (ゼノンコミックス)鉄のドンキホーテ 1巻 (ゼノンコミックス)感想
『鉄のドンキホーテ』というタイトルから、てっきり安彦良和先生の『鋼馬章伝』のような馬型のメカが出てくるSF要素のある作品かと思いきや、モトクロスの漫画だったので、完全に予想と違いました。同時収録の『スーパーチャレンジャー』はオーソドックスなボクシング漫画ですが、もう一つの同時収録の読み切り版の『北斗の拳』は、本編の『北斗の拳』の連載が始まる前に描かれた“パイロット版”です。「北斗神拳」の設定と「モヒカン野郎=ザコキャラ」の図式はこの段階で既に出来上がっているものの、世紀末要素はゼロです。
読了日:11月10日 著者:原哲夫
北斗の拳 2巻 (ゼノンコミックス)北斗の拳 2巻 (ゼノンコミックス)感想
たまたま手に取った週刊少年ジャンプで初めて目にした『北斗の拳』が「究極の暗殺者の巻」だったので、ケンシロウがマッド軍曹に筒状の武器(吸血のNEEDLE KNIFE)をぶっ刺されて血を吹き出しているシーンを見て「そうそう!これこれ!これが私にとっての初・北斗の拳!」と、テンションが上がりました。まさかこの回の「たわば」が、「あべし」「ひでぶ」の次くらいに有名な断末魔になるとは、当時は夢にも思いませんでした。
読了日:11月10日 著者:武論尊,原哲夫
北斗の拳 1巻 (ゼノンコミックス)北斗の拳 1巻 (ゼノンコミックス)感想
『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』を読んだら無性に原作を読みたくなったので、約40年ぶりに再読しました。初読の時は、独特すぎる世界観とド派手なバイオレンスにただただ圧倒されていたので、矛盾には全く気づかなかったのですが、『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』を読んだ後だと、「北斗現れるところ乱あり」という言い伝えが「余計な設定」になってしまっている(「ケンシロウの胸の傷の形」と「言い伝え」には、因果関係は全くない)のは、痛恨のミスとしか言いようがなく、初読の時に気づかなかった自分もまた、「痛恨の見落とし」です。
読了日:11月10日 著者:武論尊,原哲夫
北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝 1巻 (ゼノンコミックス)北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝 1巻 (ゼノンコミックス)感想
漫画の『北斗の拳』が存在せず、オリジナルドラマとして撮影されている設定なので、「ifもの」という形のパロディ作品なのですが、「楽屋落ち」が「原作漫画への丁寧な突っ込み」として機能しているのがキモで、猛烈に原作を読み返したくなります。絵柄はかなり原哲夫タッチが再現されているのですが、どうしても自分の脳内では若杉公徳タッチに変換されてしまいます…。
読了日:11月09日 著者:武論尊,原哲夫,倉尾宏
友情の男アミーゴマン友情の男アミーゴマン感想
「漫画図書館Z」で読了。『コミックコンプ』掲載時に読んでいましたが、お馬鹿ギャグに振り切った作風はこの雑誌の中ではかなり異色だったので、「これを楽しみにしている読者は私くらいなのでは…」と当時は思っていたのですが、2020年に『アミーゴマン リターンズ』を収録した『友情の男アミーゴマン 完全版』が出版されているので、実は相当人気があったようです。絵柄はヘタウマ系ですが、アミーゴギャルやキライヤのような女の子のキャラがなかなか可愛いですし、見慣れてくると主人公のアミーゴマンも可愛く見える時があります。
読了日:11月08日 著者:こにし しのぶ
家庭で作れる 東西南北の伝統インド料理家庭で作れる 東西南北の伝統インド料理感想
この本を読んで初めて知った食材が多数あり、レシピを忠実に守るのはかなりハードルが高いのですが、それだけに、伝統的なインド料理とはどんなものなのかが実感しやすいですし、「東インド」「西インド」「南インド」「北インド」に分けてレシピが紹介されているので、それぞれの地域の食文化の違いが学べるような構成になっています。
読了日:11月07日 著者:香取 薫
肉筆幽霊画の世界肉筆幽霊画の世界感想
まえがきに「本書では名品をフォローするのと同時にできるだけ未紹介の作品を発掘することを心がけた」と書いてあるだけあり、初めて目にするものばかりでした。後ろ姿で、顔は描かれていないのに、「美人画」要素と「幽霊画」要素を併せ持っている20ページの月岡芳年の《幽霊図》が、一番印象に残りました。72ページの河鍋暁斎の《女幽霊》は、「愛する男の首を持って叫ぶ幽霊」と書かれていて、著者はサロメに例えているのですが、私は「憎い男の首」と解釈したので、サロメよりもユディトに例える方が相応しいように思いました。
読了日:11月07日 著者:安村 敏信
衣谷遊作品集 ジャンゴ衣谷遊作品集 ジャンゴ感想
『JANGO!』(初出は1991年「月刊コミックコンプ」)、『うっしゃ!ハンジロー!!』(1996年「少年ガンガン」)、『Fighter泰斗!』(1995年「増刊ビッグコミックスピリッツ」)、『黒鷲のノワール』(1996年「電撃コミック ガオ!」)が収録されています。『JANGO!』は雑誌掲載時にリアルタイムで読みました。『JANGO!』はRPG風味の冒険ファンタジー、『うっしゃ!~』は学園闘争もの、『Fighter~』はプロレスもの、『黒鷲のノワール』はダークヒーロー系のバトルファンタジーです。
読了日:11月07日 著者:衣谷遊
デジタル完全版永久保怪異談デジタル完全版永久保怪異談感想
「不思議な力を持った人達」と永久保先生との交流が描かれています。永久保先生が師匠と呼んでいるHさんの見解が、個人的にすごく腑に落ちて、特に、「お墓参り」に関するお話がとても興味深かったです。『あなたが体験した怖い話』でこの作品が連載されていた2004~2005年は、まだ「墓じまい」はさほど一般的ではなかったと思いますが、もし、Hさんのような方に、「墓じまい」についての見解を求めたら、どういった御意見が出てくるんだろう…と、気になりました。
読了日:11月06日 著者:永久保貴一
木花開弥姫 (コミックレガリア)木花開弥姫 (コミックレガリア)感想
収録されているのは、表題作の『木花開屋姫』、小野小町を主人公にした話(タイトルなし)、『暦屋おさん』、因幡の白兎絡みの話(タイトルなし)、スサノオ絡みの話が2つ(タイトルなし)です。どれも大胆にアレンジされた内容なのですが、一番驚いたのは、イザナギが女性神という設定になっていることでした。(イザナミとは姉妹の関係。)
読了日:11月06日 著者:井出智香恵
本当は恐ろしい! こわい切手本当は恐ろしい! こわい切手感想
切手のデザインだけでも充分怖いのに、なぜそのデザインなのかという背景を知ると尚更怖い…という、「見ても怖いし読んでも怖い」という本です。「ここの部分を拡大すると人の顔に見える」系の、心霊写真的なネタも一部ありますが、「その切手を発行することで政府が何をアピールしたいのか」の部分には、その国の悲惨な歴史や、現在進行形の社会問題などがあり、また、国家の威信がかかっているゆえに「見栄えの良さ」を重視して「精巧な技術」で印刷するために結果として“やりすぎ感”のあるデザインになってしまうという事情があるようです。
読了日:11月05日 著者:内藤 陽介
コミック・シルクロード3 李広利将軍の活躍 編 (ゴマブックス×ナンバーナイン)コミック・シルクロード3 李広利将軍の活躍 編 (ゴマブックス×ナンバーナイン)感想
旅芸人一家の次男として生まれながら、芸人としての才能のない李広利が、妹の後宮位入りをきっかけに武帝から冠位を与えられ、何の功績もないまま弐師将軍に就いたものの、名ばかりの将軍職は己のプライドが許さず、大宛国遠征を自ら申し出るという無茶振りをする…というストーリーです。成り上がりの李広利と対比する形で、軍人の家系の李陵が位置づけられており、出自は違えども、政治に翻弄される運命には似たところがあります。
読了日:11月05日 著者:久松文雄,久保田千太郎
衝撃的においしい鶏むねレシピ: サラダやソテー、煮込みにおつまみも!カリフォルニア流絶品味つけ衝撃的においしい鶏むねレシピ: サラダやソテー、煮込みにおつまみも!カリフォルニア流絶品味つけ感想
鶏むね肉をしっとりさせる「ブライン」という下ごしらえが、塩小さじ2・砂糖大さじ1・水1カップを混ぜたブライン液に24時間漬けるだけという、すごくシンプルな方法であることに驚きました。手間はかからなくても時間はかかるということは、鶏むね肉を買った当日の食事には間に合わないということなので、翌日の食事を前日のうちに考える計画的な人向きの技ですね。
読了日:11月04日 著者:中村奈津子
阿闍梨蒼雲 霊幻怪異始末(3)阿闍梨蒼雲 霊幻怪異始末(3)感想
お墓と極楽の関係性の説明に関しては「なるほど、そういう考え方なのか」と、興味深く読みましたが、「ご先祖がいたから今の自分がいることに思いを馳せる」「(ご先祖への)感謝の心を持って手を合わせる」「今の自分自身の存在にも感謝する」等の価値観は、ややもすると「お墓を維持するために自分という存在があり、また、お墓を維持するために子供を作らなければならない」という、“お墓至上主義”になりかねず、結果的に“出生主義”と“家父長制”を強化することになるのでは…と思いました。
読了日:11月04日 著者:永久保貴一,仙翠蒼雲
阿闍梨蒼雲 霊幻怪異始末(2)阿闍梨蒼雲 霊幻怪異始末(2)感想
蒼雲さんは、自分には不思議な力はなく、決まりきったことを教わったとおりにしているだけと説明していますが、世の中には蒼雲さんから見て「不思議な力」を持つ人がいるようで、この巻に登場する占い師や、前巻で登場した霊能者は、「人と人の縁」を感じ取っているように見えます。こういうのも、一種の「天眼通」なのでしょうか?
読了日:11月03日 著者:永久保貴一,仙翠蒼雲
コミック・シルクロード2 王昭君の悲劇 編 (ゴマブックス×ナンバーナイン)コミック・シルクロード2 王昭君の悲劇 編 (ゴマブックス×ナンバーナイン)感想
「王昭君と陳湯の悲恋物語」という形を取っていますが、ただ運命のいたずらに翻弄されるだけというニュアンスではなく、「漢と匈奴の友好のため」=「戦のない平和な世の中にするため」という使命感を2人が共有しているところが、グッときました。
読了日:11月03日 著者:久松文雄,久保田千太郎
阿闍梨蒼雲 霊幻怪異始末(1)阿闍梨蒼雲 霊幻怪異始末(1)感想
行者の蒼雲さんの、普通のお坊さんのお仕事以外の「ないしょの依頼」(=怪異の始末)を描いた実録漫画なので、「ホラー漫画」要素と「お仕事漫画」要素があると同時に、密教とはどんなものなのかを学べる「学習漫画」要素もあります。同時収録の『霊験を終えて 永久保家幻想 ~あれはきっと幻想です 事実じゃありません~』では、永久保先生の日本酒へのこだわりが描かれていて、「天部の神々の日本酒の好みの傾向」についての言及が、なかなか興味深かったです。
読了日:11月02日 著者:永久保貴一,仙翠蒼雲
コミック・シルクロード1 張騫の遠征 編 (ゴマブックス×ナンバーナイン)コミック・シルクロード1 張騫の遠征 編 (ゴマブックス×ナンバーナイン)感想
漢と匈奴の対立関係の中で翻弄される張騫の人生が、時間的にも地理的にも、スケールが独特です。武帝によって中郎将に任じられ、烏孫国へ旅立つところで物語は終わっていますが、息子と部下は連れて行っているのに、妻だけは家に残している理由が分からないのが気になりました。妻は匈奴の出身なのですから、さぞや西域には行きたかっただろうと思うのですが…。夫の家と畑を守るために残ったのか、それとも、“人質”として残ったのか…。
読了日:11月02日 著者:久松文雄,久保田千太郎
神道オカルト草子神道オカルト草子感想
初出は1996年『ホラーM』10月号。神社の娘である主人公が、神道のお祓いによって霊的なトラブルを解決していくという内容です。『エコエコアザラク』でいえば「エコエコアザラク エコエコザメラク」に当たる決め台詞(決め呪文?)は、この作品では「少彦名命 神伝苦手禁厭法 この手は我が手にあらず 常世に居坐す 久斯の命の苦手なり」なのですが、唱える際に右手の人差し指の一節だけを折る必要があり、「これを読んだ人は、このポーズができるかできるかどうか、一度は試すだろうなぁ」と思いました。(私もやりました。)
読了日:11月01日 著者:永久保貴一
永久保貴一短編集1 遊ぶ踏切【おまけ描き下ろし付き】 (ホラー シルキー)永久保貴一短編集1 遊ぶ踏切【おまけ描き下ろし付き】 (ホラー シルキー)感想
『遊ぶ踏切』『お宮さん』『白粉婆』『黄昏症候群(トワイライトシンドローム)』『おまけのページ 酒呪雑多』が収録されています。あとがき漫画『酒呪雑多』の中で描かれている思い出話によると、『遊ぶ踏切』は1985年12月13日(金)に発売された『月刊ハロウィン』の創刊号(1986年1月号)に載った作品なのだそうで、ゾンビホラー映画ブームに乗ろうとした雑誌だったにも関わらず、「スプラッタだのゾンビだの怖くないよ 怖いのはおばけ!!」とのこだわりから「おばけの怖い漫画」を描いたそうです。
読了日:11月01日 著者:永久保貴一

読書メーター

2024年11月のつぶやき


2024年11月1日~11月7日のつぶやき
https://min.togetter.com/fLxGTWm #ミント

2024年11月8日~11月14日のつぶやき https://min.togetter.com/xFvEDPZ #ミント

2024年11月15日~11月21日のつぶやき https://min.togetter.com/v2lDG3D #ミント

2024年11月22日~11月30日のつぶやき https://min.togetter.com/4XaIVhG #ミント

10月の読書メーター

10月の読書メーター
読んだ本の数:62
読んだページ数:5201
ナイス数:1563

B-PASS (バックステージ・パス) 2024年12月号 [雑誌]B-PASS (バックステージ・パス) 2024年12月号 [雑誌]感想
現在放送中の『仮面ライダーガヴ』の主題歌を歌っているFANTASTICSに加え、2022年に放送されていた『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の主題歌を歌っていたMORISAKI WINも載っているので、特撮好きには嬉しい号です。(ただし、MORISAKI WINは、『冒険×サバイバル』の主題歌の『ネバネバ』のデジタルリリースを受けての記事なので、『ドンブラザーズ』絡みの言及はほんのちょっとです。)
読了日:10月31日 著者:B-PASS編集部
Fielder別冊 怪魚料理読本 (サクラBooks)Fielder別冊 怪魚料理読本 (サクラBooks)感想
2017~2022年に『Fielder』で連載された「怪魚料理」を加筆・改訂して纏めたムック本の電子書籍版です。ビジュアル本としての迫力が凄いので、怪魚の姿(と、それを抱える著者の満面の笑み)を眺めるだけでも楽しめますが、「怪魚を釣ること(そのための準備も含む)」と「釣った怪魚を料理して食べること」の、それぞれの経験を通して、著者が思ったこと・気づいたことを綴った文章も、読み応えがあります。著者の経験や価値観が特殊なのでほとんど共感はできないのですが、共感できないからこそ、読者側にも「気づき」があります。
読了日:10月31日 著者:小塚拓矢
B-PASS (バックステージ・パス) 2024年11月号 [雑誌]B-PASS (バックステージ・パス) 2024年11月号 [雑誌]感想
普段はグラビアを見る時はファッションにはほとんど注目しないのですが、JO1の佐藤景瑚氏が着ている、「Sheeple Zombies and Kool-Aid」と書かれているレザージャケットは、めちゃくちゃ気になりました。(調べてみたら、2022年にsacaiとアーティストMADSAKIがコラボレートしたアイテムでした。)牧島輝氏が撮影しているY字路は、横尾忠則の絵っぽさがあります。
読了日:10月31日 著者:B-PASS編集部
B-PASS (バックステージ・パス) 2024年10月号 [雑誌]B-PASS (バックステージ・パス) 2024年10月号 [雑誌]感想
「ソナーポケットのそんなポケット」のコーナーで紹介されている、西麻布の『生蕎麦 長寿庵』のクロレラ入りの盛りそばが、読んでいてすごく気になりました。(写真を見た時は、てっきり茶蕎麦かと思いました。)クロレラそれ自体に味はないのだそうで、蕎麦の味に影響なくクロレラが持っている栄養が摂れるそうです。
読了日:10月31日 著者:B-PASS編集部
B-PASS (バックステージ・パス) 2024年8月号 [雑誌]B-PASS (バックステージ・パス) 2024年8月号 [雑誌]感想
「THE RAMPAGE」の記事のボリュームがすごくて、全体の1/3以上を占めています。メンバーが16人いるので、グラビアは「左右8人ずつのカット(見開き用)」「中央に全員集合しているカット」「4人カット」「ソロカット」があり、見ごたえがあります。
読了日:10月30日 著者:B-PASS編集部
B-PASS (バックステージ・パス) 2024年7月号 [雑誌]B-PASS (バックステージ・パス) 2024年7月号 [雑誌]感想
杉本琢弥氏のグラビアは、ものすごく天気の良い日に撮影していて、見ていて清々しい気分になれます。「making check!!」のコーナーでも、「和やかで気持ちのいい取材時間でした♪」とコメントされています。
読了日:10月30日 著者:B-PASS編集部
B-PASS (バックステージ・パス) 2024年6月号 [雑誌]B-PASS (バックステージ・パス) 2024年6月号 [雑誌]感想
「making check!!」は、9組分の撮影風景が載っているので、このコーナーを楽しみにしている私にとっては、大サービスです。加藤和樹氏のニューミニアルバムには、「ラーメン二郎」への愛を歌った曲があるのだそうで、これも一種の「ラブソング」ですね…。
読了日:10月30日 著者:B-PASS編集部
公爵の秘密の世継ぎ ハーレクインコミックス公爵の秘密の世継ぎ ハーレクインコミックス感想
ラファエルが6年間もの間、婚約者であるアレグラと性的な関係を結ばなかったことが、あたかも「ラファエル側の不誠実さ」のようなニュアンスで描かれていますが、私はむしろ、「本当に愛している女しか抱かない分別のある男」のように感じました。マスコミは、ラファエルが「アメリカに女性を囲っていた」=「浮気をしていた」と報じていますが、アレグラと婚約する前から付き合っていた可能性は充分にあります。そもそもラファエルとアレグラの婚約は典型的な「政略結婚」ですから、本人には断る選択肢などなかったでしょう。
読了日:10月29日 著者:内田 一奈,メイシー・イエーツ
幻のシャトオ ハーレクインコミックス幻のシャトオ ハーレクインコミックス感想
「フィリップ目線」で物事を考えれば、最善策は「ブレーズとシモーヌが結婚してフィリップを養子として迎えること」ですし、ジャンポールの遺言状の意図もどう考えてもそれを期待してのことなのに、ブレーズもシモーヌも「ジャンポールの遺志」を敢えて無視していることにモヤモヤしました 。でも、それ以上に気になったのは、フィリップに嘘をついている自覚がないという、ブレーズとアンドレアの不誠実さです。結果的に相思相愛になったからいいようなものの、元々は一年間の「契約夫婦」の予定だったわけで、つまりはそれは「偽りの夫婦」です。
読了日:10月29日 著者:山口 美由紀,サラ・クレイウ゛ン
執事たちの沈黙(13) (フラワーコミックス)執事たちの沈黙(13) (フラワーコミックス)感想
まさか最終巻で、「制服プレイ」という形で学園ラブコメ要素が出てくるとは…。私自身は、体育館倉庫という舞台設定には全く萌えませんが、椿がめちゃくちゃ幸せそうなのは、なによりです。…ところで、新社長になった和巳(義経)が、家政婦なり執事なりを雇おうとしないのは、なんだかんだで娘の世話は自分でやりたいのか、それとも、「クソ高ぇ家のローン」のために金銭的余裕がないのか…。椿パパが毎日のように訪問し、入り浸っているのは、孫可愛さだけでなく、一人暮らしが寂しいせいもありますよね…。
読了日:10月28日 著者:桜田雛
墨攻(ぼっこう)(11) (ビッグコミックス)墨攻(ぼっこう)(11) (ビッグコミックス)感想
豸が群れを成すシーンはとてつもなくおぞましいのに、「チュッ」のところだけは可愛く思えてしましました…。まさか終盤で徐福伝説を匂わせるシチュエーションが出てくるとは意外でした。春秋時代の中国と現代の日本を一気に繋ぐことによって、読者が戦争を「他人事」ではなく「自分事」として考えざるをえない演出になっているラストが見事でした。
読了日:10月28日 著者:久保田千太郎,酒見賢一,森秀樹
原発・蛇頭列島原発・蛇頭列島感想
2000年に刊行された『密航列島』に加筆修正し、改題した電子書籍版です。「©yasuo morita 2012」とのクレジットがあり、加筆修正時は2012年であることを念頭に置いて読む必要性がある内容です。著者の視点が「中国の出稼ぎ密航者」に定められており、「密航者の就労先の一つ」として「原発」が出てくるという感じなので、「原発ムラの実態」や「被爆労働」等に関する記述が占める割合はかなり少ない印象ですが、「密航ビジネスありき」で成り立っている日本のインフラの実情を炙り出している点は高く評価できます。
読了日:10月27日 著者:森田 靖郎
執事たちの沈黙(12) (フラワーコミックス)執事たちの沈黙(12) (フラワーコミックス)感想
和巳(義経)と椿の関係を知ってしまったことで記憶喪失になり、精神が十六歳にまで後退してしまった椿パパの、「性欲は十六歳なのに、その性欲に四十代の身体がついていけない」という状況が、可笑しくもあり、悲しくもあり…。「精神が十六歳、身体は四十代」というギャップのせいで、童貞拗らせマインドになってしまうという流れも強烈ですが、たった二粒のタピオカが「ギンギンに興奮するレベルのラッキースケベを演出する小道具」扱いという、その突き抜けた「しょーもなさ」感が、アホエロ演出としてあっぱれです。
読了日:10月26日 著者:桜田雛
墨攻(ぼっこう)(10) (ビッグコミックス)墨攻(ぼっこう)(10) (ビッグコミックス)感想
邯鄲のように、四方を高い壁に囲まれている城塞都市は、日が当たらない東側に社会的弱者が住むようになる…というのは、言われてみれば「なるほど!確かにそうなるよなぁ~」と思うのですが、言われなければなかなか想像が及ばないことです。「城塞都市の内部の格差」が、そのまま「城塞都市そのものの弱点」となり、攻撃のターゲットとして利用されうる…ということは、つまりはそれは、「格差の拡大」とセットになった「富国強兵政策」が、いかに破綻しやすいか、ということを示しています。
読了日:10月26日 著者:久保田千太郎,酒見賢一,森秀樹
寺田本家発酵カフェの甘酒・酒粕・麹のやさしいおやつ寺田本家発酵カフェの甘酒・酒粕・麹のやさしいおやつ感想
同じ著者による2019年発行の『寺田本家発酵カフェの甘酒・塩麹・酒粕ベストレシピ』という本は、レシピの材料欄に「2倍濃縮甘酒」なるものが何の注釈もなくいきなり出てきて、巻末でようやくそれが何なのかが分かるという不親切な構成でしたが、2021年発行の本書ではその点が改善されていて、9ページに【この本で使っているのは、「カフェうふふ」の自家製甘酒。とろりと濃厚な味わいなので、市販品に置き換えるなら「2倍濃縮甘酒」と呼ばれているものを使ってください。】と書いてあります。
読了日:10月25日 著者:寺田 聡美
墨攻(ぼっこう)(9) (ビッグコミックス)墨攻(ぼっこう)(9) (ビッグコミックス)感想
革離が娘(にゃん)に二度も鉄拳制裁を与えているのは、墨者の行動としていかがなものかと思わざるをえません。一回目の鉄拳制裁は「その場を丸く納める一番早い方法」だったからかもしれませんが、二回目は「娘(にゃん)が自分の言いなりにならない苛立ち」で殴ったようにしか見えません。秘密を打ち明けるべきかどうか見極めるための「試し」は、犬の調教まがいですし…。まぁ、それをやられて満足している娘(にゃん)は、既に「調教済みの犬のメンタル」として完成しているので、革離はそれに最適化した対応をしているのかもしれませんが…。
読了日:10月25日 著者:久保田千太郎,酒見賢一,森秀樹
双葉町 不屈の将 井戸川克隆: 原発から沈黙の民を守る双葉町 不屈の将 井戸川克隆: 原発から沈黙の民を守る感想
双葉町の元町長の井戸川克隆氏が、どのように国策に抗い抜いているのかがよく分かるルポです。著者が井戸川氏の「怒り」と「闘志」に強くシンパシーを感じるあまり、井戸川氏の主宰する双葉町中間貯蔵施設合同対策協議会(双中協)にやってくる人々(著者は“家臣”と表現しています)を完全に突き放した目線になっており、「諦めている」「甘えている」「気づかないふりをしている(現実を直視していない)」等、散々な評価をしているのですが、私はその“家臣”呼ばわりされてしまっている人々にも、井戸川氏と同じくらいシンパシーを感じました。
読了日:10月24日 著者:日野 行介
猿少女猿少女感想
「取り出した脳を生かし続ける研究」をしている脳医学博士が、養女として迎えた少女・まゆみに猿の脳を移植したところ、まゆみの身体が徐々に猿のように変化していってしまう…というストーリーです。猿の脳を移植されても、まゆみの意識はまゆみの身体にそのまま残っているので、どうやら「人の意識(もしくは心)は、脳ではなく身体に宿っている」という解釈のようです。脳医学博士の娘の美沙子には全く悪意はないのに、良かれと思ってやった行為がまゆみを追い込んでしまう悲劇性が、読んでいてやるせないです。同時収録は『恐怖の子守唄』。
読了日:10月24日 著者:古賀 新一
怒りのグルメ怒りのグルメ感想
しがないサラリーマンの細井守が、食に関する怒りのエネルギーで「噴飯男(フンパンマン)」に変身し、悪い奴らをお仕置きするという、勧善懲悪ストーリーです。当初は「不味さ」に対する怒りが強めだったものの、話が進むにつれて「ビジネスの阿漕さ」とか「食べ物を粗末に扱う事」への怒りが強めになり(ただし、被害妄想でキレる場合もあります)、お仕置きの内容もスペクタクルになっていきます。同時収録は、“キャバ嬢グルメ”ルポ漫画の『お嬢飯』(おじょうはん)。
読了日:10月23日 著者:土山しげる
墨攻(ぼっこう)(8) (ビッグコミックス)墨攻(ぼっこう)(8) (ビッグコミックス)感想
秦の都の咸陽に、雲荊・蘭鋳と共に潜入した革離は、非情になりきれない悲しき間者の娘(にゃん)と出会い、行動を共にすることになります。一人でも戦う気概のある娘(にゃん)には、革離と似た気質を感じますが、娘(にゃん)にはかなり無謀なところがあり、衝動的に動いてしまうタイプなのか、それとも、焦らざるをえない事情があるのかは、定かではありません。(この巻では、出身地も判明していません。)
読了日:10月23日 著者:久保田千太郎,酒見賢一,森秀樹
ミステリオン 5巻ミステリオン 5巻感想
「生命の誕生」は「祝福されるべきこと」である…というテーマが前面に出ている最終巻でした。「生命賛歌」を「個人のエゴイズムを正当化する手段」として位置づけていないので、「生んでくれた親に感謝」というような方向性での恩着せがましさがないのが、とても良かったです。錬金術というと思い出すのは、澁澤龍彦の『夢の宇宙誌』なので、久しぶりに読み返したくなりました。
読了日:10月22日 著者:あずみ 椋
芸術新潮 2024年6月号芸術新潮 2024年6月号感想
安彦良和特集のタイトルが『アニメの快楽 マンガの叡智』なだけあって、アニメと漫画のお仕事に特化した内容なので、『鋼馬章伝』のような小説の執筆や、『異次元騎士カズマ』『ダーティペア』などの表紙や挿絵のお仕事には触れていないのが少々残念ですが、「人物を描く際には目から描き始める」ということとか、色塗りの工程とか、モノクロの原稿(漫画の原稿)ではいかに薄墨が効果的に使われているかが分かる紙面作りになっています。掲載されている絵の中で、個人的に一番好きなのは、『アリオン』(劇場版)の宣伝ポスター(29p)です。
読了日:10月22日 著者:芸術新潮編集部
墨攻(ぼっこう)(7) (ビッグコミックス)墨攻(ぼっこう)(7) (ビッグコミックス)感想
自らが攻める予定の邯鄲城の墨守をわざわざ革離に依頼する秦王の真意が謎すぎます。「秦王の自信と気まぐれが革離たちの命をもて遊ぶ!」というナレーション風の解説が正しいのだとしたら、何か政治的な思惑があってのことなのではなく、ただの娯楽というということになりますし、「同じ死ぬなら墨者として死ねとこの邯鄲の守城の機会をくれた!」という革離のセリフが正しいのだとしたら、為政者としての器のデカさゆえの温情ということになりますが…。
読了日:10月21日 著者:久保田千太郎,酒見賢一,森秀樹
ミステリオン 4巻ミステリオン 4巻感想
てっきりバルタザールは、父親(=レオン)に振り回されるばかりの人生だったのかと思いきや、貧しいながらも平和な家庭を築き、子供は8人、孫は19人もいたとは…。「賢者の石」によって長い“余生”を得たことで、子供や孫に先立たれる悲しみを経験せざるをえなくなったとはいえ、その経験があったからこそ、死の間際に、父親(=レオン)に対して素直になれたのかもしれません。
読了日:10月21日 著者:あずみ 椋
墨攻(ぼっこう)(6) (ビッグコミックス)墨攻(ぼっこう)(6) (ビッグコミックス)感想
雲荊と行動を共にすることになった革離は、秦軍に強い怒りを持つ者を仲間にすべく、韓の町に入り、蘭鋳という男と出会います。三十人の子供たちと共に秦王を襲う計画を立てている蘭鋳は、子供を道具として見ているというわけではなく、家族を目の前で殺された怨みをお互いに理解し合っているからこそ「仲間」として見ているという事情があるのですが、雲荊は「子供を巻き込むべきではない」という考えです。蘭鋳には蘭鋳の、雲荊には雲荊なりの、「子供に対する優しさ」があり、そして革離にも、子供に向ける視線には「優しさ」が感じられます。
読了日:10月20日 著者:久保田千太郎,酒見賢一,森秀樹
ミステリオン 3巻ミステリオン 3巻感想
財産も領地も爵位も捨てて旅に出る兄(=ヴォルフ)を案じてコンラートが流す涙と、幼い頃に自分を修道院に預けたまま17年も音信不通だった父親(=レオン)を「気の毒な人」と言ってバルタザールが流す涙が、完全に「同質のもの」として描かれており、2人のその優しさが、読んでいて切ないです。
読了日:10月20日 著者:あずみ 椋
墨攻(ぼっこう)(5) (ビッグコミックス)墨攻(ぼっこう)(5) (ビッグコミックス)感想
戦争には、その時代の最高の科学技術が利用されますが、どうやら墨家では「虫の軍事利用」の研究が進んでいるようです。墨家には革離のような「戦闘部門」の者もいれば、革離の幼馴染みの司路のような「農耕部門」の者もおり、革離も司路も戦争孤児として墨家に保護された過去があるのですが、「弱き者を戦や飢えから救う」という人道的な活動を「新たな戦争」へシフトさせるのは権力者にとって容易なことであり、デュアルユース問題の根の深さの所以です。
読了日:10月19日 著者:久保田千太郎,酒見賢一,森秀樹
男麺男麺感想
麺類と落語が大好きな商社マンの池田免太郎(通称イケメン)が、麺好きならではの方法で様々なトラブルを解決していく…という内容です。麺の蘊蓄と落語の蘊蓄を上手に絡めて消化するのは相当難しかったらしく、多少無理のあるストーリーになっていますが、良い感じに力が抜けている作品なので、あっさり読めます。落語の「そば清」に関する注釈を読んで、魔夜峰央先生の『パンドラキン』には元ネタがあったということに、今更ながら気づきました。(二十年越しくらい…?)
読了日:10月18日 著者:土山しげる
ミステリオン 2巻ミステリオン 2巻感想
自らが作ったホムンクルスであるラピスに「愛している」と言ってしまうレオンにとって、妻のソフィアの存在とは一体…と思ったら、レオンにとってソフィアは「母の安らぎを与えてくれる存在」であることが判明し、2人の認識の乖離に納得しました。レオンは自分の母親を知らないゆえに、母親のイメージは「空想の産物」に過ぎませんが、ソフィアにしてみれば、「母を投影している女性」を「妻」として扱うレオンの中に、インセスト・タブーを感じ取ってしまっている…と解釈できます。
読了日:10月18日 著者:あずみ 椋
ミステリオン 1巻ミステリオン 1巻感想
冒頭の雰囲気は「海の男」を主人公にした海洋冒険モノですが、実際には自分の記憶を自分で封印した錬金術師が「自分自身を取り戻す」物語なので、地理的なスケールだけでなく、時間的なスケールも大きい作品です。主人公が錬金術師だと判明した段階で、とある少女がホムンクルスだということは予想がつきましたが、“古書店を営むお爺さん”と主人公の関係には意表を突かれました。
読了日:10月18日 著者:あずみ 椋
第三次世界大戦 愛蔵版 (アルト出版)第三次世界大戦 愛蔵版 (アルト出版)感想
冷戦が終結していない前提で、1995年7月に第三次世界大戦が始まり、8月に終結する…という仮想戦記ものです。紙の単行本が出版されたのが1988年なので、当時の世相がそのまま作品の背景となっており、チェルノブイリの原発事故は既に起きていますが、ドイツはまだ西と東に分かれています。(チェルノブイリ原発事故は1986年、ベルリンの壁崩壊は1989年の出来事です。)1988年を直に知っている世代と、そうでない世代とで、感想が分かれる作品なのではないでしょうか。
読了日:10月17日 著者:小林 源文
墨攻(ぼっこう)(4) (ビッグコミックス)墨攻(ぼっこう)(4) (ビッグコミックス)感想
「戦況を一変させる最後の切り札」は、巷淹中は兵士を犠牲にする方法、革離は城を犠牲にする方法を選び、梁城側が勝利することになります。城は水没してしまいましたが、梁適は「新しく生まれ変わるよい機会」と考え、そんな梁適の前向きさは邑民に希望を与えますが、巷淹中は革離から「墨者として拙者と共に第二の人生を歩まぬか?」との誘いを受けるも、「(墨者として)生まれ変わること」を拒否します。「己の信ずる墨者の道」を行くゆえに墨家では異端である革離もまた、「生まれ変わること」を拒否する者であり、巷淹中とは似たもの同士です。
読了日:10月17日 著者:久保田千太郎,酒見賢一,森秀樹
俺が妊娠するなんて【単行本版(限定描き下ろし付き)】 俺が妊娠するなんて【単行本版】 (fujossyコミック)俺が妊娠するなんて【単行本版(限定描き下ろし付き)】 俺が妊娠するなんて【単行本版】 (fujossyコミック)感想
「男性が男性によって妊娠させられる」というシチュエーションが出てきますが、オメガバース作品のような「男でも妊娠する世界の話」なのではなく、「不条理な出来事」として「男性の妊娠」が位置付けられています。妊娠する主体が男性であるゆえに、「妊娠」が当人にとっていかに「不条理」なことであるかが浮き彫りになっているのが本作のキモであり、これが女性であったなら、「女なら妊娠という不条理を当たり前のこととして受け入れるはず」というジェンダーバイアスの形を取ることになり、バイアスであるゆえに不条理性が見えにくくなります。
読了日:10月16日 著者:斑月
怪異古生物考 (生物ミステリー)怪異古生物考 (生物ミステリー)感想
「伝説上のクリーチャーを生み出した昔の人の発想の源は、古生物の化石なのでは?」…と空想したことがある人は少なくないと思いますが、この本は、単なる思いつきの範疇を超えて、古生物学的な根拠をしっかり示した上で、「九つの怪異の元ネタ」を推測しています。監修の荻野慎諧氏曰く、古生物学は応用する方面が少ないのだそうで、異分野である人文系の課題を解決する手段にできたことを、「些細な一歩ではありますが、たいへんうれしく思っている次第です」と、巻末のコラムの中で述べています。
読了日:10月16日 著者:土屋 健
東亜総統特務隊 ヤパニッシュ・フライビリング・デア・ヴァッフェンSS (アルト出版)東亜総統特務隊 ヤパニッシュ・フライビリング・デア・ヴァッフェンSS (アルト出版)感想
南方から生還した佐藤大輔中尉の処遇に困った陸軍参謀本部が、特務の任務を押し付ける…というところから物語が始まります。そもそもが「厄介払い」を目的としているので、軍がもてあましている人物たちが寄せ集められることになり、ほぼ「珍道中」と言っていいようなノリで特務隊の“活躍”が描かれているのですが、絵柄が「線の薄い劇画」という独特な表現形態であるため、「戦場の描写のリアリティ」と「ギャグ」との兼ね合いも、かなり独特なものとなっています。
読了日:10月15日 著者:小林源文
嵩橋聖徒 短編集(6)嵩橋聖徒 短編集(6)感想
『W―ダブル―』『夢の住人』『時の砂』『闇からの訪問者』『白い城』が収録されています。絵柄は萩尾望都寄りで、ホラー作品としての方向性は山岸凉子寄り…という印象を受けますが、『闇からの訪問者』は新井素子の『あたしのなかの…』を思い出しました。
読了日:10月13日 著者:嵩橋聖徒
嵩橋聖徒 短編集(5)嵩橋聖徒 短編集(5)感想
『追葬』『幻葬』『曳葬』『凍えた夏』『百花繚乱』が収録されています。『凍えた夏』は、川床の部屋のある京都のお屋敷という舞台設定が、サスペンスにうまく活かされています。
読了日:10月13日 著者:嵩橋聖徒
嵩橋聖徒 短編集(4)嵩橋聖徒 短編集(4)感想
『銀の涙 金の瞳』『地の誘惑 天の采配』『月夜の誘い』『幽明鏡』『鏡―ミラー―』が収録されています。中高生の頃、ラジオを聞きながら勉強するのが常だったので、ラジオ講座がモチーフとなっている『月夜の誘い』は、読んでいて懐かしくなりました。(ホラー作品ではありますけど…。)『幽明鏡』には、「何いってんのよ このファミコンで株を買える時代にそんなのないわよ」というセリフがあり、「ファミコン全盛期にそんなサービスがあったんだ!!」と、驚きました。
読了日:10月13日 著者:嵩橋聖徒
ホテル・メランコリアホテル・メランコリア感想
「文蔵」2011年1月号~2012年7月号に連載されたものに加筆修正して2013年に発行された単行本を底本にしています。横浜の高台にある小さなホテルにまつわる8つの物語から成る連作短編です。ミステリー要素、サスペンス要素、ホラー要素、ファンタジー要素がバランスよく調和して、幻想的な雰囲気を醸し出しています。挿画がモノクロの写真なのですが、既存の写真を収録したのではなく、この小説のために撮り下ろしたようで、物語の内容にピッタリ合っています。(ちなみに、写真を担当しているのは著者のご主人の半沢清次氏。)
読了日:10月11日 著者:篠田 真由美
嵩橋聖徒 短編集(3)嵩橋聖徒 短編集(3)感想
『弔いの夢』『見知らぬ街』『やさしい罠』が収録されています。3作品ともサスペンス要素がありますが、『弔いの夢』はホラー要素が強めなので一番好きです。
読了日:10月10日 著者:嵩橋聖徒
嵩橋聖徒 短編集(2)嵩橋聖徒 短編集(2)感想
『気分もう飽和状態』『ティーンズ戦争』『八百長物語』『籠手しらべ初恋組!』『雪のおくりもの』が収録されています。この中では、『八百長物語』が一番好きです。
読了日:10月10日 著者:嵩橋聖徒
嵩橋聖徒 短編集(1)嵩橋聖徒 短編集(1)感想
『浪花寮の戦友たち』『宙子そらそらそ~らほれた』『ネッシ・モッシー・クッシー!?』『ルームメイト』が収録されています。表紙に恐竜が描かれているのが気になったので読んでみたのですが、『浪花寮~』『宙子~』『ルームメイト』は学園グラフィティ的な内容ですし、『ネッシー~』は恐竜を生け捕りにしようとする話ではありますが「恐竜かと思っていた生物は実は恐竜ではなかった」というオチなので、期待が外れました…。
読了日:10月10日 著者:嵩橋聖徒
恐怖のくちばし恐怖のくちばし感想
表紙のタイトルは『恐怖のくちばし』ですが、本扉では『のろいのカラス 恐怖のくちばし』という表記になっています。心優しい女の子の紀代が、いじめられっ子のさおりと仲良くしていたばかりに、カラスの呪いに苦しめられるようになるという経緯が理不尽で、その理不尽さの方が、カラスの描写よりも怖いです。ちなみに、元凶は「さおりの祖母」と「いじめっ子」であり、紀代とさおりはその狭間で翻弄されているという構図です。
読了日:10月09日 著者:古賀 新一
ハッピータイガー ~倒福の伝説~ (アルト出版)ハッピータイガー ~倒福の伝説~ (アルト出版)感想
ノモンハンで瀕死の状態でモンゴルの遊牧民に拾われた日本兵が、ロシアに強制徴募されて前線で弾よけに使われるも、ドイツの捕虜になり、ティーガーの戦車兵になる…という、波瀾万丈の物語なのですが、「英雄譚」のようなニュアンスはなく、主人公が活躍するシーンにはそれなりにスカッとした高揚感はあれど、「おめおめと生き残ったという汚名を受ける不安」と「スパイであることを疑われる不安」が常につきまとっていることが大前提なので、単純な「大日本帝国陸軍軍人かっけぇ~」作品では決してありません。
読了日:10月09日 著者:小林源文
御巣鷹山の暑い夏 愛蔵版 (アルト出版)御巣鷹山の暑い夏 愛蔵版 (アルト出版)感想
1985年8月21日に起きた日航123便墜落事件を、災害派遣された自衛隊員のナカムラの視点(厳密には先輩の視点ですが)で描いています。小林源文先生によるまえがきに、「この被害者の鎮魂と災害派遣された総ての方に捧げる」との一文がありますが、災害現場での自衛隊員の任務は「苦役」としか言いようがなく、決して「活躍」というニュアンスでは描写していませんし、ラストではこの災害派遣には自衛隊だけでなく消防、警察、日赤の看護士、地元の医療関係者も動員されたことに言及しています。
読了日:10月09日 著者:小林 源文
士官候補生ハイト 愛蔵版 (アルト出版)士官候補生ハイト 愛蔵版 (アルト出版)感想
異星の生命体と地球人の戦いを描いたパニックホラーSFとしては王道の内容なので、是非、ハリウッドで実写映画化してほしいです。
読了日:10月08日 著者:小林源文
緋色い剣 3巻緋色い剣 3巻感想
サングブランド神父の布教のやり方は、オーラブ王という後ろ盾を利用した「脅し」であり、島の人々の改宗の判断基準は「アース神(の怒り)とオーラブ王(の独裁)のどちらが怖いか」ということでしかなく、「どちらに感銘を受けるか」ではないというところは、非常に打算的ですし、「親から子」のみを前提とした相続システムゆえの人間関係の齟齬の描写も、「人間の営みの生臭さ」が出ていますが、リューとハルドレがお互いを想う気持ちは、とても真っ直ぐです。
読了日:10月08日 著者:あずみ 椋
京都三十三間堂通し矢列伝 弓道の心と歴史を紐解く京都三十三間堂通し矢列伝 弓道の心と歴史を紐解く感想
平田弘史先生の『弓道士魂』の主人公の星野勘左衛門が、史実ではどういう人生だったのかが気になって手に取ったところ、赤穂浪士の弓の名手の早水藤左衛門は星野勘左衛門に指導を受けていたという思いもよらない情報が載っていて、驚きました。当時の赤穂藩には、沢木善之丞という小笠原流の射手もいたのだそうで、浅野内匠頭から下された藩命により三十三間堂通し矢に出場したものの、実力が出せなかったために矢で自らの喉を突き破って自死しており、著者は「もし沢木が生きていたら、間違いなく四十八士となっていたはずである」と述べています。
読了日:10月08日 著者:高栁 憲昭
dancyu (ダンチュウ) 2024年6月号「驚くほど旨いパン2024」dancyu (ダンチュウ) 2024年6月号「驚くほど旨いパン2024」感想
「パンの断面は発酵と焼成の記録」なのだそうで、パンの断面を強調した紙面作りになっています。これからは、パン屋さんでハーフカットのパンを見かけたら、断面をよく観察してみます。
読了日:10月08日 著者:プレジデント社
おとなの週末 2023年 09 月号 [雑誌]おとなの週末 2023年 09 月号 [雑誌]
読了日:10月08日 著者:
散歩の達人 2024年6月号散歩の達人 2024年6月号
読了日:10月08日 著者:
♂ティンクル2♀ アイドル・スター(3) (少年サンデーコミックス)♂ティンクル2♀ アイドル・スター(3) (少年サンデーコミックス)感想
ティンクルがDJを務める「ティンクル・クルーズ」というラジオショーの中で、リスナーのリクエストの1位がドリカムの『Eyes to me/彼は友達』、4位が小田和正の『ラブ・ストーリーは突然に』となっていて、この頃からずっと絶え間なく現在まで人気をキープしているという事実に、ミュージシャンとしての凄みを感じました。
読了日:10月07日 著者:遠山光
♂ティンクル2♀ アイドル・スター(2) (少年サンデーコミックス)♂ティンクル2♀ アイドル・スター(2) (少年サンデーコミックス)感想
バレンタインの回は、あゆみがまりものバッグの中を無断でチェックするシーンがあって、ドン引きしました。バッグの中から出て来たCDケースが伏線になっているという創作上の都合があるとはいえ、「自分宛のチョコがあるはず」と勝手に決めつけて、その決めつけが正しいことを自分自身で証明するために鞄を漁るというシチュエーションなので、二段仕込みで“痛いシーン”です。「コメディ漫画としての笑いどころ」として解釈すべきなのは分かりますけど、あまりにも度を超したマナー違反なので、とても笑えません…。
読了日:10月07日 著者:遠山光
墨攻(ぼっこう)(3) (ビッグコミックス)墨攻(ぼっこう)(3) (ビッグコミックス)感想
「本国へ引き返せ」という趙王の命令に逆らって梁城の攻略に執着してしまう巷淹中の心理は、典型的な「コンコルド効果」ですが、巷淹中自身も、巷淹中に付き合うと決めた命知らずの二千人の兵士たちも、それがただの「意地」でしかないことは重々承知しており、この「冷静さ」とセットになった「開き直り」の攻撃態勢は、元々は一万五千人の大軍だった時とほまた違った恐怖と混乱を梁城内に与えます。梁渓に「城から出て行け」と言われて出てあっさり行ってしまう革離は、一見潔いですが、その潔さの正体もまた、「(墨者としての)意地」でしょう。
読了日:10月06日 著者:久保田千太郎,酒見賢一,森秀樹
♂ティンクル2♀ アイドル・スター(1) (少年サンデーコミックス)♂ティンクル2♀ アイドル・スター(1) (少年サンデーコミックス)感想
初出は平成3年(1991年)の「週刊少年サンデー」。幼馴染みのまりも(♀)に懇願されたあゆみ(♂)が、女装してオーディョンを受けたら受かってしまい、女装のままアイドル・デュオとしてデビューするはめになる…という内容なので、あゆみは「たまたま女装が似合うだけの男」に過ぎず、まりもの無茶振りに応えているのは恋心ゆえなので、異性装フェティシズムの気質は全くありません。「女装が似合う男性タレント」が珍しくない現在の目線で読むと、男であることを必死で隠す必要性が感じられず、あゆみは普通に「逸材」に思えます。
読了日:10月04日 著者:遠山光
秦始皇帝(4)秦始皇帝(4)感想
炎鹿が、首だけになった丹と対面するシーンには、戯曲の『サロメ』を思い出してしまいました。(炎鹿は丹の首を望んでいたわけではないですけれど…。むしろ、丹の首を愛おしそうに掻き抱く鞠武の方が、サロメっぽい?)燕王とその重臣が判断を間違ったのは、政の中に「丹から炎鹿を奪った罪悪感」があることを察せなかったからですが、そんなの誰にも分かるわけがないですし、仮に丹が生きたまま政の前に引き出されて政から謝罪を受けたとしても、丹側の立場を考えれば、結局、自害するか、「反乱→処刑」ルートだったのではないでしょうか…。
読了日:10月03日 著者:久松文雄
秦始皇帝(3)秦始皇帝(3)感想
政の腹違いの弟の成蟜が、登場してすぐに自害していますが、子楚はいつの間に朱姫以外の女に手をつけていたのでしょうか…。呂不韋と政が邯鄲で隠れ住んでいた間は、おそらくは子楚は政の無事を諦めていたでしょうから、華陽夫人からの支援を維持するためには、とっとと新たな跡継ぎを作らなければならなかったという事情があったのでしょうけれど、だとしたら、政が戻るまでの間は次期太子候補だった成蟜にしてみれば、謀叛を起こすくらい不満を募らせるのは、無理もないことでしょう…。
読了日:10月03日 著者:久松文雄
秦始皇帝(2)秦始皇帝(2)感想
子楚の実母の夏姫が全く登場していないのが気になります。子楚が秦王に即位したのであれば、実母である夏姫に権力が発生しないわけがなく、華陽夫人との力関係はかなり微妙なものになるはずなのですが…。(微妙だからこそ、物語の中に落とし込むのが難しく、割愛したのかもしれませんが。)朱姫は元々政治的野心などまるでなく、愛する呂不韋に懇願されてやむなく子楚に嫁いだだけなのに、出世して保身に走るようになった呂不意から疎ましがられるようになってまい、挙げ句に「女豚」呼ばわり(心の声ですが)だなんて、あまりにも哀れです。
読了日:10月03日 著者:久松文雄
秦始皇帝(1)秦始皇帝(1)感想
一部のキャラクターを極端に愚劣に描いて話を盛り上げるテクニックを安易に使わない作風なので、淡々と物語は進んで行きますが、建築物の外観や内装のディテールのこだわりがかなりあり、特に、「広間を見下ろす構図」(例:屈原が追放されるシーン)とか、「邯鄲の都を見渡す構図」は、どういう資料を見ながら描いたのか、すごく気になります。ある程度はコピペで作業の短縮をしていると思われますが、単純に「白い背景を埋めること」を目的としているのではなく、「奥行きを表現すること」を狙っているのが窺えます。
読了日:10月02日 著者:久松文雄
うかたま 2023年 04 月号 [雑誌]うかたま 2023年 04 月号 [雑誌]感想
発酵食品をテーマにすると、かなりの確率で「麹は日本を代表する国菌として認定されている」ということを根拠にしてナショナリズムを捻じ込んできたり、「良妻賢母のバロメーター」扱いして発酵食品が苦手な女性を「良妻賢母失格」とジャッジしたりする風潮がある中で、この雑誌にはそういうスタンスは見られなかったので、好感を持ちました。(ちなみに、麹を「国菌」と認定したのは「日本醸造学会」なので、「自分で自分を認定しただけ」の、ただの「セルフ認定」にすぎません。)
読了日:10月02日 著者:
文壇文壇感想
『龍彦親王航海記:澁澤龍彦伝』の中に、【石川と丸谷の二人は帰りに北鎌倉の澁澤の家に立ち寄ったが、大いに酔っ払った澁澤は丸谷にむかって「違う!」とか「電話!!」とか大声を張りあげ、酒乱で名高い石川淳の方が、「まあまあ澁澤」などと言ってなだめ役に徹していたらしい。】という記述があり、「野坂昭如の『文壇』では、澁澤も酒乱と書かれていたはず…」と思い、確かめてみたら、「酒乱」ではなく「大酒乱」でした。(189p) 以前読んだ文庫版の表紙は野坂氏の肖像写真でしたが、単行本版の表紙は山本タカト氏による装画です。
読了日:10月01日 著者:野坂 昭如
家畜人ヤプー 愛蔵版 1 (アルト出版)家畜人ヤプー 愛蔵版 1 (アルト出版)感想
『家畜人ヤプー』のコミカライズにはシュガー佐藤版もありますが、シュガー佐藤版のクララは「尊大さ」の中にも「可憐さ」があったのに対し、江川達也版のクララには「可憐さ」がなく、また、シュガー佐藤版の麒一郎はそれなりにダンディなビジュアルだったのに対し、江川達也版の麟一郎は家畜化前でも絶妙に気持ち悪さの滲むビジュアルになっています。意図的にそういう描写をしているのだとは思いますが、元々、江川先生の画風には独特の歪みがあるので、ポーリーヌの肢体の描き方もゴムっぽさのある無機的な質感であり、人間離れした印象です。
読了日:10月01日 著者:江川 達也,沼 正三

読書メーター

2024年10月のつぶやき


2024年10月1日~10月7日のつぶやき
https://min.togetter.com/MIZWBnf #ミント

2024年10月8日~10月15日のつぶやき https://min.togetter.com/aPXNcKy #ミント

2024年10月16日~10月22日のつぶやき https://min.togetter.com/QuH8zuw #ミント

2024年10月23日~10月31日のつぶやき https://min.togetter.com/XfRkZnM #ミント

9月の読書メーター

9月の読書メーター
読んだ本の数:50
読んだページ数:8044
ナイス数:1580

執事たちの沈黙(11) (フラワーコミックス)執事たちの沈黙(11) (フラワーコミックス)感想
和巳兄弟(馨と義経)の確執は、馨が「良き理解者」というスタンスになることで一応は解決しましたが、今度は椿パパが、和巳(義経)と椿の関係を知ってしまったことで記憶喪失になるという、深刻な状況に突入します。椿が「おつき合い1年記念日」をルンルン気分で楽しみにしているシーンを見て、「えっ!?セックスしてもう一年!?」と思ってしまったのですが、よく考えたら、和巳が歳三として振る舞っていた期間も含めてのカウントですよね…。自分の心が穢れていてスンマセン…。同時収録は『箱庭親子』。
読了日:09月30日 著者:桜田雛
納税者だけが知らない消費税納税者だけが知らない消費税感想
消費税が5%だった2013年に出版されているので、やや古めの本ではありますが、消費税が導入された経緯・日本の財政赤字が改善しない構造的問題・輸出戻し税というカラクリによる大企業優遇などは納税者は知っておくべきことですし、少額の個人投資家が得た利益について非課税にする「非課税口座」の新設(要するにNISA)は、キャピタルゲインを目的とした投資会社に新たな市場を提供することとセットであることを指摘し、ギリシャ危機並の経済危機に陥る可能性があることに言及しているのは、注目に値するでしょう。
読了日:09月30日 著者:林 信吾,葛岡 智恭
dancyu (ダンチュウ) 2024年5月号「餃子の新星」dancyu (ダンチュウ) 2024年5月号「餃子の新星」感想
かつては餃子は「スタミナ料理」扱いされる傾向にあったので、ニラとニンニクと油をどぎつく強調する外食の餃子が、子供の頃は苦手だったのですが、今は多様化して食べやすいものが増えてきたと感じます。(おそらくは日本では「ご飯のおかず」として餃子が求められてきたせいで、くどい味付けが好まれてきたのだろうと思いますが…。)42~43ページの、東スポをイメージした紙面は、遊び心があって目を引きました。
読了日:09月29日 著者:プレジデント社
執事たちの沈黙(10) (フラワーコミックス)執事たちの沈黙(10) (フラワーコミックス)感想
本来は椿の父親の秘書である和巳が、なぜ、執事として椿の家で働いているのかが、和巳の回想によって明らかに…。椿と初めて対面した時の和巳は、見た目はスーツ姿でも態度は素の状態(つまり歳三モード)だったので、のちの成長した椿が歳三モードの和巳に惚れてしまったのは、初対面の時の和巳の印象(態度のみ歳三モード)が影響していたのでは…?(椿本人は覚えていなさそうですが。)和巳とはセックスしたくてたまらないのに、歳三モードの和巳は「ときめき」の対象ではあってセックスの対象ではないという椿の心理は、なかなか複雑です。
読了日:09月27日 著者:桜田雛
dancyu (ダンチュウ) 2024年7月号「ひとりでも居心地のいいおいしい店ガイド75軒」dancyu (ダンチュウ) 2024年7月号「ひとりでも居心地のいいおいしい店ガイド75軒」感想
一人の外食でも快適なお店かどうかの判断するには、席の配置のバランスの情報は重要だと思うのですが、「ひとり席の特等席」をピンポイントで掲載して、店内全体の様子を分かるようにしてくれていないのが、少々残念でした。
読了日:09月27日 著者:プレジデント社
緋色い剣 2巻緋色い剣 2巻感想
「テイトの仇」であると同時に「ラジルの仇」でもある自分の立場を駆け引きに利用するというリューの大胆不敵さが、めちゃくちゃカッコイイです。交渉としては筋が通っていますし(ただしソーグンナ伯母とその兄弟たちの怒りの感情はどうにもなりませんでしたが)、リューの身の振り方の問題と、「改宗政策の波」という政治的・宗教的な問題の絡め方に無理がないので、ジャンルとしてはファンタジー作品ではあっても、「十世紀末の北欧を舞台とした物語」として、地に足がついています。
読了日:09月26日 著者:あずみ 椋
執事たちの沈黙(9) (フラワーコミックス)執事たちの沈黙(9) (フラワーコミックス)感想
ブラコンが酷すぎる兄の過干渉のせいで、和巳の性的なストレスが溜まりに溜まり、それが椿との一線を越えるきっかけになってしまうという、斜め上の展開により、ついに本格的(?)なエロ漫画に突入しますが、椿を痛がらせない配慮はきちんとしていますし、自発的にコンドームを使っているので、女遊びの経験値の高さはダテではないです。ゲスい性格とはいっても、女に苦痛を与えることに喜びを見出すような性癖ではなく、和巳にとってセックスとは「快楽を共にする行為」であることが見て取れます。同時収録は『箱庭夫婦』。
読了日:09月26日 著者:桜田雛
執事たちの沈黙(8) (フラワーコミックス)執事たちの沈黙(8) (フラワーコミックス)感想
和巳と高坂が大学生の時に初めて知り合ったエピソードが、さりげなくゲスいです。全体的には、「甘ったるいながらも、一線を越えない“大人の分別”のあるエロコメ」なのに、「さりげないゲスさ」があるところに、この作品の面白さがあります。漫画家・角砂糖カオルとして椿と出会った和巳(主人公)の兄の馨は、椿視点だと“大人の分別”のある男であり、ここだけ見る分には兄弟ソックリなのですが、弟(主人公)目線だと「モラハラ兄」であり、弟(主人公)が実家に帰ろうとしない原因となっています。
読了日:09月25日 著者:桜田雛
執事たちの沈黙(7) (フラワーコミックス)執事たちの沈黙(7) (フラワーコミックス)感想
和巳の「執事モード」と「歳三モード」の使い分けが、椿の“公認”となったことで、2人のやりとりは「プレイ」と化しましたが、事情を知らない第三者(椿の父親)の介在によって、2人の「プレイ」に絶妙な「駆け引き」が生じることとなり、「バカップル」でありながらも「緊張感」のある描写になっているのが、読んでいて楽しいです。椿は、執事の和巳に対しては我儘の限りを尽くすのに、臨時の家政婦の田中さんには物凄く気を遣っており、田中さんに気を遣わせてしまったことに対して罪悪感すら感じているので、そのナイーブさにびっくりです…。
読了日:09月24日 著者:桜田雛
緋色い剣 1巻緋色い剣 1巻感想
北欧神話が絡んでいる冒険ファンタジーですが、序盤が「ロキに育てられた人間の少年リューが、人間の生活圏に戻ってヴァイキングとして生きようとする」という内容であるため、「人間の生活圏に戻ること」がリューにとっての“旅立ち”であり、また、「人間と共に生活を送ること」がリューにとっての“試練”となっています。
読了日:09月24日 著者:あずみ 椋
CDジャーナル2024年夏号CDジャーナル2024年夏号感想
14号連続で登場している中国のボーイズ・グループ「Produce Pandas(熊猫堂)」のインタビューでは、「中国の良さってなんだと思いますか?」という質問に対して漢字文化を挙げており、「一つの事柄を表すのに完結に表現できる」「古典(漢詩)が繊細で優美」「四字熟語には一つひとつに物語がある」「同じ音だけど字が違うことを利用したジョーク(つまりダジャレ)が好き」等のコメントには、ウンウンと納得しました。他に気になった記事は、メルヴィンズ、メアリー・ハルヴォーソン、ヴェロニカ・スウィフトです。
読了日:09月23日 著者:
ニーベルングの指環4 第三夜・神々の黄昏ニーベルングの指環4 第三夜・神々の黄昏感想
9年振りの再読です。(以前読んだのは講談社+α文庫版です。→ https://bookmeter.com/reviews/50603577 )以前読んだ時は、「“世界”に対する復讐の物語」及び「父性(父権)の敗北の物語」と解釈しましたが、今回の再読では、ローゲの「半神」という設定と、ハーゲンの「侏儒族の父と人間族の母の間に生まれた」という設定に注目して、「純血主義の終焉の物語」として解釈しました。
読了日:09月23日 著者:あずみ 椋
dancyu (ダンチュウ) 2024年8月号「泡の酒」dancyu (ダンチュウ) 2024年8月号「泡の酒」感想
ブルーパブ(醸造所併設のビアパブ)が東京23区内に60軒以上あると知って驚きました。詳しく紹介されているのは10軒、マップで所在地だけ記されているのは63軒です。
読了日:09月23日 著者:プレジデント社
ニーベルングの指環3 第二夜・ジークフリートニーベルングの指環3 第二夜・ジークフリート感想
9年振りの再読です。(以前読んだのは講談社+α文庫版です。→ https://bookmeter.com/reviews/50603577 )ヴォータンは血のつながりだけを根拠にして「父親としての権威」を振りかざす存在なのに比べ、ジークフリートを育てあげたミーメには「父親としての権威」は全くなく、ジークフリートとミーメはお互いを疎んじ合っていますが、それでも「理屈ではない何か」(“情”としか言い様のないもの)が2人の間にあることが伝わってきて、「理屈では説明できない心理」だからこそ、強く印象に残ります。
読了日:09月21日 著者:あずみ 椋
ニーベルングの指環2 第一夜・ワルキューレニーベルングの指環2 第一夜・ワルキューレ感想
9年振りの再読です。(以前読んだのは講談社+α文庫版です。→ https://bookmeter.com/reviews/50603564 )たまたまWOWOWで『ロード・オブ・ザ・リング』のエクステンデッド版を観たばかりだったので、共通点を探しながら読みました。同じ「9人編成の騎手」であっても、『ロード~』のナズグルは邪悪なイメージなのに対し、『ニーベルング~』のワルキューレは神々しいイメージなので、完全に真逆なのが面白いと思いました。
読了日:09月20日 著者:あずみ 椋
ニーベルングの指環1 序夜・ラインの黄金ニーベルングの指環1 序夜・ラインの黄金感想
講談社+α文庫を既読済みですが、電子書籍版が読み放題だったので、9年振りに再読しました。(以前の感想はこちら→ https://bookmeter.com/reviews/50603564 )「電子版あとがき」に、1989年に東京で一挙上演されたゲッツ・フリードリヒ演出のベルリン・ドイツ・オペラによる四部作の思い出話が書かれているのですが、B席が4日間で10万円だったとのことで、たまげました…。「CDと違い皮膚の毛穴で聴くという感覚を楽しみました」とのコメントは、直に観劇した人ならではだと思いました。
読了日:09月20日 著者:あずみ 椋
龍彦親王航海記:澁澤龍彦伝龍彦親王航海記:澁澤龍彦伝感想
澁澤龍彦について書かれたり語られたりした膨大な資料をまとめた伝記です。澁澤龍彦ファンをなるべく失望させないよう配慮していることが窺える内容ですが、それでも、矢川澄子絡みの記述は、読んでいて胸が苦しくなります。鎌倉小町の家でのどんちゃん騒ぎは、男目線でなら「楽しいひととき」でしょうけど、同居の女たち(妻である矢川と、澁澤の母と妹)には、どんなに苦痛であったか…。本来は共著とすべき本を澁澤龍彦だけの名義で出版していた件は、離婚後の矢川に印税が全く入ってこなかったであろうことを考えると、いたたまれなくなります。
読了日:09月19日 著者:礒崎 純一
女とかげ女とかげ感想
『女とかげ』『へび先生』『ぬりこめられた死体』『のろいの笑い面』が収録されています。『へび先生』は、唐突に呪いが解けるせいで、読後の余韻がいまいちなのですが、他の三作品は、それぞれ違った余韻が心にじんわりと残ります。
読了日:09月19日 著者:古賀 新一
無垢なる者たちの煉獄 下 (竹書房文庫)無垢なる者たちの煉獄 下 (竹書房文庫)感想
ラファエルとジェシカの関係性を、映画『レオン』のレオンとマチルダのような感じにすれば、ほろ苦い後味の純愛物語としてオチをつけることができたはずですが、そうしなかったのは、「オッサンと少女」という組み合わせは決して対等な関係にはなりえないため、その「アンフェアさ」をロマンティシズムで美化することを避けたということなのでしょうか…。極限状態における「吊り橋効果」を、安易に「純愛」扱いして、それでオチをつけるようなことはしたくなかった…という理由もあるかもしれません。
読了日:09月18日 著者:カリーヌ・ジエベル,坂田雪子
dancyu (ダンチュウ) 2024年2月号「日本一の朝食」dancyu (ダンチュウ) 2024年2月号「日本一の朝食」感想
目玉焼きを作る際に卵をボウルに割り入れる理由は、そうした方が、黄身の周りを覆う白身が剥がれ落ちて、最終的に目玉がきれいに仕上がるためだということを知り、「目玉焼きのような、シンプルで初歩的な料理にも、プロのコツがあるんだなぁ…」と思いました。
読了日:09月18日 著者:プレジデント社
弓道士魂~完全版~ (マンガの金字塔)弓道士魂~完全版~ (マンガの金字塔)感想
江戸時代に実際にあった「通し矢」という競技をテーマにした作品です。「時代劇」+「スポーツもの」としての面白さもさることながら、「藩」を「国家」や「学校」に置き換えれば、オリンピックや甲子園などに付随する「権威主義」の問題点がくっきりと浮かび上がる構成になっており、平田弘史先生の批判的思考の凄さを思い知りました。「プロフェッショナリズム」を安易に「男のロマン」に結びつけるようなことをしていないのは、「人生」や「命」を犠牲にさせられる側(=弱者)への視線が常にあるからでしょう。
読了日:09月17日 著者:平田 弘史
男爵夫人・ラム  山田ミネコ傑作集男爵夫人・ラム  山田ミネコ傑作集感想
『誰かが殺した』『男爵夫人(バロネス)・ラム』『天の涙』『カーニバルの少年』が収録されています。『誰かが~』『男爵夫人~』はミステリー、『天の涙』はファンタジー、『カーニバル~』はサスペンスで、どの作品にも恋愛要素があります。(『誰かが~』と『男爵夫人~』には、「アリスシリーズ」の表記あり。)『誰かが~』に登場するスキンヘッドのアブナー伯父さんは、ユル・ブリンナーがモデルでしょうか?
読了日:09月16日 著者:山田 ミネコ
B-PASS (バックステージ・パス) 2024年5月号 [雑誌]B-PASS (バックステージ・パス) 2024年5月号 [雑誌]感想
SUPER★DRAGONのグラビアが、鮮やかな青で統一で統一されていて、ものすごく印象に残ります。メイキングのコーナーに掲載されている写真を見ると、セットや照明が違うと青の見え方もガラリと変わることが分かります。
読了日:09月16日 著者:B-PASS編集部
神々の山嶺 5 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)神々の山嶺 5 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)感想
マロリーはエベレストの山頂(の直前の地点)で妻子のことを考えているのに、羽生が最期に残した手記の中には妻子のことは書かれておらず、よりによって涼子の名前が書かれているので、「羽生にとって、ドゥマとニマと赤ん坊の存在とは一体…?」と思わずにはいられませんでした。涼子自身ではなく、涼子を通して文太郎のことを想っているのは分るものの、ドゥマにはそんなこと理解できないでしょう。(まさかドゥマに、「夫の最期の手記」の存在を伝えないわけにはいかないですよね…?)ドゥマの件さえなければ、心置きなく感動できたのですが…。
読了日:09月15日 著者:夢枕獏,谷口ジロー
神々の山嶺 4 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)神々の山嶺 4 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)感想
前巻では、深町は羽生に「太い獣臭」を感じ取っていましたが、この巻では「熱い筋肉」や「火球のような呼気」を感じ取っており、「深町から見た羽生」の描写の変化によって、深町と羽生の精神と肉体の極限ぶりが読者に伝わる仕掛けになっているのは凄いと思いましたが、涼子とドゥマそれぞれに対する羽生の想いがはっきりと描かれておらず、どうやらのその「曖昧さ」は「男のロマン」を増幅させるテクニックとしてやっていることのように感じられてモヤモヤします。(原作は未読なので、原作通りなのか、谷口先生のアレンジなのかは分りませんが。)
読了日:09月14日 著者:夢枕獏,谷口ジロー
神々の山嶺 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)神々の山嶺 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)感想
ネパールとブータンの政治・経済状況が、巡り巡って涼子の誘拐事件に繋がっていて、読んでいてやるせなくなります。羽生も深町も涼子も、政治的な事にはほとんど興味を持っていないのですが、本人達が望むと望まないとに関わらず、ただその地に「居る」というだけで、政治的な意味を持ってしまっており、どんな人間でも決して政治的なものとは無縁ではいられないのだな…と、痛感します。
読了日:09月13日 著者:夢枕獏,谷口ジロー
Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.6 (夢幻燈コミックス)Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.6 (夢幻燈コミックス)感想
私は元々、アポリネールは作家として好きなので、モニィの正体はすぐに分かったものの、「画商のトレヴィル氏」に関しては、実在した人物なのか、それとも、美術書を出版しているエディシオン・トレヴィルを元ネタにした架空のキャラなのかが分らなくて、ものすごく気になりました。
読了日:09月12日 著者:秋乃茉莉
Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.5 (夢幻燈コミックス)Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.5 (夢幻燈コミックス)感想
物語のベースとなっているのはアンデルセンの『人魚姫』ですが、ブラントに一気に300年の加齢がおとずれるシチュエーションは、『浦島太郎』を思い起こさせます。「なぁなぁ ホントは怖い大人の童話より」「ハーレクイン的にあのアメリカ娘の恋の行方も気になるねえ」というセリフが、メタ的なジョークになっているのが、ちょっぴり可笑しいです。
読了日:09月12日 著者:秋乃茉莉
Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.4 (夢幻燈コミックス)Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.4 (夢幻燈コミックス)感想
撫子とアルフォンスが結ばれる部分だけ見ると、とても「ハーレクインらしさ」を感じるハッピーエンドなのですが、最後の最後で撫子の婚約者の運命が描かれているため、読後感は切ないです。紙のコミックスだと、この巻は3巻目にあたるので、あとがきの出だしが「Petshopパサージュ編3巻目となりました」になってしまっているのですが、これでは電子書籍版を読んでいる読者は混乱してしまいます。なぜ、編集の方で注釈を入れるなり、電子書籍版限定のあとがきを付け加えるなりの対処をしなかったのでしょうか…。
読了日:09月12日 著者:秋乃茉莉
Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.3 (夢幻燈コミックス)Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.3 (夢幻燈コミックス)感想
パリに出稼ぎにきた女の子が学生に妊娠させられて捨てられる…というシチュエーションには、『レ・ミゼラブル』を連想しました。もしかしたら、秋乃先生は、『レ・ミゼラブル』のトロミエスが物語の中で何の罰も受けていないことが許せなくて、『Petshop of Horrors』ではマティアスに手痛い仕打ちをしたのでしょうか?
読了日:09月11日 著者:秋乃茉莉
Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.2 (夢幻燈コミックス)Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.2 (夢幻燈コミックス)感想
「ハーレクイン」のレーベルで刊行されている割には、あまりハーレクインらしさがないなぁ…と思いながら読み進めていたら、劇中劇のオペレッタはスパダリの男爵とメイドの女の子がカップルになる話だったので、ここの部分はハーレクインらしさがありました。
読了日:09月10日 著者:秋乃茉莉
Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.1 (夢幻燈コミックス)Petshop of Horrors パサージュ編 Vol.1 (夢幻燈コミックス)感想
「19世紀のパリ」という舞台設定が、ただ「おフランスっぽさ」を絵的に表現するだけにとどまっておらず、“世相”をしっかりとストーリーに反映させています。チャイナドレスと19世紀のヨーロッパのドレスのディテールを組み合わせた、D伯爵の“中洋折衷”のファッションが、がめちゃくちゃオシャレです。
読了日:09月10日 著者:秋乃茉莉
ショパン 2022年8月号ショパン 2022年8月号感想
ハチャトゥリヤンというと、「『剣の舞』を作曲した人」という知識くらいしかなかったので、『おそロシアが生んだ偉大なる作曲家』第7回を読んで、「ソ連邦の作曲家なので“ロシア音楽”というくくりの中で捉えられることがほとんどだけど民族的にはアルメニア人」「19歳になるまで楽譜が読めなかった」「民謡100近く歌うことができたのでグネーシン音楽大学に入学できた」等を初めて知りました。ちなみに、このコーナーを担当されている作曲家の中島克麿氏は、ハチャトゥリヤンの孫弟子にあたるそうです。
読了日:09月10日 著者:-
恐怖クラブ4 (ホラーエクスタシー)恐怖クラブ4 (ホラーエクスタシー)感想
「男の嘘(=いつわりの愛)を受け入れてしまったために女神から罰を受けることになった少女」と「ほんの少しの虚飾のために女神の加護が受けられなくなった少女」の孤独が描かれているため、苦い後味のラストではありますが、儚く美しいイメージがオブラートとなっているので、苦みは苦みでも、「ほろ苦い味」です。
読了日:09月09日 著者:曽祢 まさこ
恐怖クラブ3 (ホラーエクスタシー)恐怖クラブ3 (ホラーエクスタシー)感想
3巻目は「秘密クラブ編」となり、部室(?)はバラの花が咲きほこる温室で、体験談の聞き手は「目もみえず言葉もしゃべれない少女」になります。聞き手の少女は「古の王国の沈黙の神殿の巫子の生まれ変わり」という設定なので、ファンタジー色が新たに加わり、クラブの目的が「恐怖を語り合う」ではなく「心を縛る秘密の鎖をあずけにくる」になったことで、ホラー色が薄くなっています。(ただしサスペンスフルではあります。)
読了日:09月09日 著者:曽祢 まさこ
恐怖クラブ2 (ホラーエクスタシー)恐怖クラブ2 (ホラーエクスタシー)感想
死ぬほど恐ろしい体験をした人が恐怖を語り合う「恐怖クラブ」に入部した3人の女子学生のうちの3人目の体験談(『闇の捕囚』)と、顧問のマザー・マグノリアによる助言(『レクイエム』)が収録されています。3人目の体験談は、「依存する者・される者」の関係性が信頼によって安定感を得て友情として成立している(かなり歪んだ形ですが)のが、印象に残りました。顧問のマザー・マグノリアの存在意義は、「二段オチ」のためのキーパーソンとして機能しているので、マザー・マグノリア目線での結末も含めれば、「三段オチ」の構成と言えます。
読了日:09月09日 著者:曽祢 まさこ
恐怖クラブ1 (ホラーエクスタシー)恐怖クラブ1 (ホラーエクスタシー)感想
死ぬほど恐ろしい体験をした人が恐怖を語り合う「恐怖クラブ」に入部した3人の女子学生のうち、2人の体験談が収録されています。1人目の体験談(『変身』)も、2人目の体験談(『優しい恋人』)も、「人と人とのコミュニケーションの在り方」に怖さが潜んでいるので、「人間って怖ぇ~」系の内容とは、ちょっと違います。(これは曽祢まさこ先生の作品に全般的に共通していることですが。)
読了日:09月09日 著者:曽祢 まさこ
白狐奇譚白狐奇譚感想
『白狐奇譚』全4話と、『緑の異邦人』が収録されています。『白狐奇譚』は、「えっ?そんなオチでいいの?」と思ってしまうラストなので、もしかしたら打ち切りだったのかもしれません。もし、「壮大な物語のプロローグ」であることを前提に連載していのだとしたら、かなりもったいないです。『緑の異邦人』は、雰囲気的には「80年代のジュブナイルっぽさ」がありますが、3.5インチのフロッピーディスクが出てくるところだけ90年代らしさが出ています。(底本のコミックスが発行されたのは1998年。)
読了日:09月08日 著者:ひたか 良
オメガ・メガエラ(11) 特別編 (ITANコミックス)オメガ・メガエラ(11) 特別編 (ITANコミックス)感想
本編の“その後”(約10年後)を描いたエピソード二編と、作中では描ききれなかった設定や小ネタのまとめを収録しています。蒔岡がどういった生活を送っているのかは描かれていませんが、episode2の伊織のセリフの中で名前だけ出てきます。本編で、蒔岡が死亡フラグっぽい感じのセリフを言っていたことが気になっていたのですが、少なくとも番外編では存命なので、なによりです。episode1の、恵馬が猩羅に新聞を読み聞かせているシーンで、猩羅が涙を滲ませていますが、もしかしたら、菊三は故人となってしまったのでしょうか…。
読了日:09月07日 著者:丸木戸マキ
お祓い探偵団 2巻お祓い探偵団 2巻感想
第9話『霊感少女美貴の浄霊!!』は、心霊番組の収録で本当の心霊現象が起きてしまったり、霊感少女という芸風のタレントに本当の霊感が生じてしまったり…などのシチュエーションに、山岸凉子先生の『汐の声』を思い出しましたが、救いのない『汐の声』とは違い、『お祓い探偵団』の方は明るいオチです。「痴情のもつれで死亡する教師」とか「自分の死を受け入れられない小学生」等、深刻なシチュエーションが出てくる回もありますが、おばばさまと万樹の掛け合いによるコメディ演出によって、絶妙にシリアスとコメディの調和が取れています。
読了日:09月06日 著者:ひたか 良
お祓い探偵団 1巻お祓い探偵団 1巻感想
「明王寺」「真田」というキャラクター名や霊能力者のおばばさまのビジュアルが『鬼の哭く刻』(『妖鬼妃』収録)という短編と同じですが、『鬼の哭く刻』に登場する女子高生のフルネームは「明王寺真己」、『お祓い探偵団』に登場する女子小学生のフルネームは「明王寺万樹」なので、同一のキャラクターによる未来と過去の話なのではなく、パラレルストーリーのようです。おばばさまは報酬に見合う分しか霊能力を使わないのですが、時には自作のインチキ開運アイテムを売ったりもしているので、ビジネスライクを通り越して、かなり強欲です。
読了日:09月06日 著者:ひたか 良
マンガでわかる 絶対に損しない相続マンガでわかる 絶対に損しない相続感想
2015年に相続税の基礎控除額が「3000万円+600万円×法定相続人」に引き下げられることを受けて2014年に出版された本なのですが、情報が10年前のものということを考慮しても、嫁を舅姑の養子にする(130p)とか、タワマンを買う(170p)とかの「露骨な節税対策」を、さも「税務署がすんなり認めてくれる適切な方法」であるかのように書いているのはどうかと思いますし、「子が親よりも先に死ぬ可能性」をほぼ無視した内容(かろうじて、50pに「子から親へ」の相続に関する記述はありますが)なのも、いただけないです。
読了日:09月05日 著者:
タンゴは踊れない:黒豹はゴシップの帝王 ハーレクインコミックスタンゴは踊れない:黒豹はゴシップの帝王 ハーレクインコミックス感想
男の色気ムンムンのダンサーのキャラクター性が、JET先生の作風とマッチしていて、この点はすごく良かったのですが、冒頭でヒロインのルシールにやたらに再婚をせっつく友人のミッシェルの言動が不快で、「親戚のお節介オバサンかよ」と思ってしまいました。いい男を紹介してくれるというのならまだしも、そうでないのなら「いい男を探す努力をしろ」と言っているに等しいわけですから、大きなお世話としか言いようがありません。
読了日:09月04日 著者:JET,ミランダ・リー
ふしぎ館の相続人ふしぎ館の相続人感想
児童文学っぽい雰囲気のある作品です。魔法使いのおばあさんが、自分の跡継ぎを決めるために、四人の孫娘を一人ずつ試す…という内容なのですが、他に男の子の孫が2人いるのに、女の子だけがお気に入りという設定です。「魔女を継ぐ資格のある者(=女の子)」しか興味が無いというのは、祖母という立場上、ちょっとどうかと思うのですが、もしかしたら、現実世界(=読者の世界)の家父長制的価値観へのカウンターとして、敢えて「女尊男卑」的な人物像にしたのかもしれません。
読了日:09月04日 著者:曽祢まさこ
宗像教授世界篇(1) (ビッグコミックススペシャル)宗像教授世界篇(1) (ビッグコミックススペシャル)感想
このシリーズは、断片的にしか読んでこなかったので、冒頭の人物紹介で忌部捷一朗がゲッソリとやつれていたり、妹の忌部神奈が宗像に恋愛感情を抱いていることが明示されていることに驚き、本編を読んで神奈が闘病の果てに事故死していることに更に驚きました。神奈よりも捷一朗の方が好きなキャラだったので、神奈の死により、捷一朗が宗像の自説に歩み寄る展開になってしまっているのが、個人的にしっくりこなかったです。この2人は、永遠のライバル関係でいてほしかったです…。(できれば神奈と宗像もですが…)
読了日:09月03日 著者:星野之宣
ショパン2022年5月号ショパン2022年5月号感想
表紙がデヴィ夫人なので、てっきりピアニストとして活動されているのかと思ってしまったのですが、「イブラ・グランド・アワード・ジャパン」というコンクールの主催者としてインタビューに応じている記事が載っているからでした。御自身の楽器の経験は、小学生の時にカトリック西麻布教会でオルガンをほんの少しだけ教えてもらったことと、20~22歳くらいの時にジャカルタでピアノを習って《エリーゼのために》までは弾けるようになったとのことで、私とさほど変わらないレベルのようなので、ちょっと親近感が湧きました。
読了日:09月03日 著者:
ショパン2023年5月号ショパン2023年5月号感想
特集『大学ピアノサークルの秘密』を読んで思ったのは、「サロン化しているサークルでは、chocoZAPを利用するような感覚でピアノを弾きたい生徒を排除してしまう可能性があるのでは?」ということと、「生徒が生徒に教えるというシチュエーションでは、セクハラが起きやすいのでは?」ということでした。もちろん、この手の問題は、ピアノサークルに限らないことなのですが、ピアノという楽器の特質上、他の一般的なサークルよりも可視化されにくいような気がします。(自分の中に偏見があるのは重々承知で…。)
読了日:09月03日 著者:
兄貴と呼ばないで兄貴と呼ばないで感想
『兄貴と呼ばないで』『共犯者』『やさしい人殺し』『なんてたってギャンブル』『巻末のおまけ』が収録されています。表題作はコメディ路線ですが、オチは微妙にサスペンスフルです。『共犯者』『やさしい人殺し』はシリアスな雰囲気が一貫しているサスペンスで、こちらの方が好みです。『なんてたってギャンブル』『巻末のおまけ』は近況報告を兼ねたエッセイ漫画ですが、当時はまだハーレクインや「まんがグリム童話」系列のお仕事はしていなかったらしく、『巻末のおまけ』冒頭で「ホモしか描かない漫画家モトハシです」と自己紹介しています。
読了日:09月02日 著者:本橋 馨子
妖鬼妃妖鬼妃感想
『鬼の哭く刻』、『妖鬼妃』(シナリオ協力:唐沢俊一 / ゴーゴリ作『ヴィイ』より)、『ダブル・ボディ』が収録されています。表題作は、ビデオテープのダビングがホラー度を高めるギミックとして機能しているところが、『リング』に近いと思いました。『鬼の哭く刻』は、ジャンルとしては学園ホラーですが、オチの付け方はギャグです。『ダブル・ボディ』は、「男女入れ替わりネタ」の純然たるコメディ作品なので、ホラー要素はゼロです。
読了日:09月02日 著者:ひたか 良
ジョジョの奇妙な冒険 第9部 ザ・ジョジョランズ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)ジョジョの奇妙な冒険 第9部 ザ・ジョジョランズ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)感想
「これは亜熱帯の島々でひとりの少年が大富豪になっていく物語――」という説明が冒頭にあるのですが、主人公のジョディオ・ジョースターはただ漠然と「金持ちにりたい」とか「偉くなりたい」と思っているわけではなく、15歳という年齢にして既に、富が流れ込んで来るこの世の「理(ことわり)」とか「仕組み(メカニズム)」を俯瞰しています。
読了日:09月01日 著者:荒木飛呂彦

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