更紗のタペストリー(L)

auoneblogから引っ越してきました。 主に、アート・書籍・音楽・映画などについて語ってるブログです。 もうひとつのブログ(http://sarasata.seesaa.net/)では、日経新聞の連載小説の感想を綴っています。

2010年06月

茶輪

 「銀座めざマルシェ」の京都のコーナーで、こういう物を購入しました。
 





 一見、茶器でも入っていそうな、立派な入れ物ですが…








 …実は、中に入っているのは、抹茶味のバームクーヘンです。
 入れ物の方は、紙製です。

 京都宇治田原産の最上級抹茶が使われているという、なかなかの贅沢品です。
 かなりしっかり抹茶の味がするので、抹茶がお好きな人にオススメの一品です

『無花果の森』(185&186)



 眠れぬ一夜を明かした。翌日は小雨がぱらつく空模様だった。
 住んでいる自宅マンションも警察に張られているのは確実だった。
 鉄治は着の身着のまま、東京駅まで出て、西を目指し、新幹線に乗った。

 「それで名古屋駅でサクラさんと出会った」と鉄治は言った。
 「どうして」と泉は言いかけ、声がしわがれていたので、咳払いをした。「どうしてその話を私に?」
「同じ穴のむじな、だから?」
「それもあるけど、それだけじゃない。崖から自分自身を突き落とした男にも、信じたいものがあるんでしょう、きっと」
「それを言うなら、私だって同じです。サクラさんにはこのことは?」
「或る人物から罠にはめられた、ってことだけは言ってあります」
「本当に、誰も証人はいないんですか」
「いませんね。僕はデスクにも嘘をついてたわけだから、彼が一連の出来事の背景にあるものを知るわけがない」 












 塚本は、自分が「泳がされている」という可能性については、全く考えないのでしょうか? もし、警察にわざと「泳がされている」としたら、塚本の世話をしているサクラは、ヤクの密売人の候補者に挙げられてしまう可能性が大なんですけどねぇ…。
 泉だって、もちろん、「ヤク繫がり」のお仲間と思われるのは必至です。

 そういうところまで頭が回らない男なのだとしたら、塚本はヤク絡みの事件になんか関わるべきではありませんでしたね 記者としてあまりにも迂闊すぎます。




 179話~186話までの挿絵です。

『韃靼の馬』(235)

《逐電 39》

 ふと書院棚の赤い仮面に目を止めた克人は、それを手に取った。
 …はじめて人を殺めた。勝ったという喜びなど微塵もなかった。
 克人は赤い仮面を顔に当ててみた。
 扉を引き開けたとたん、朴秀実と鉢合わせした。
「……歌舞伎、堪能しました。中村七三郎、艶やかでしたなァ」
 朴はわざと高調子な、少し震える声でいった。
 克人はうなずき、足早やに遠ざかる。
 いったん自室にもどると、机上に置いた新たな通信文と小百合への手紙を手にした。
 寝静まった大坂のまちを駆け、唐金屋の裏木戸を敲く。
「対馬藩士阿比留克人と申します。こんな夜更けに誠に申し訳ありませんが、火急の用件でご主人にお目にかかりたい」
 番頭が出てきた。
「これは阿比留さま、何事でございます?」












 ええっ 朴は放置
 克人の性格だと、「口封じにぶっ殺す」というわけにはいかないんでしょうけど…。でも、放置はまずいですよ、さすがに…

阿蘇ビール

 昨日に引き続き、本日も、「銀座熊本館」で購入した商品をご紹介します。
 最近、ラベルに釣られて買うビールといえばベルギービールがほとんどだったので、日本のビールを買ったのは久しぶりです。


阿蘇ビール


 製造・販売しているのは、熊本県阿蘇郡南阿蘇村の「阿蘇ファームランド」です。

 くせがなく、すっきりとした味わいのビールです。「ビールの苦味が苦手」という人でも、これなら飲みやすいと思います。

『韃靼の馬』(233&234)

《逐電 37&38》

 立ち上がりながら刀を抜いたのは、双方ほとんど同時だった。
 克人に示現流の手ほどきをした僧は、一の太刀を疑わず、二の太刀は負け、と教えた。
 偶然にも、柳の剣の極意も一の太刀にあった。
 彼は父の調永から手ほどきを受けた。小野流一刀流。開祖は伊藤一刀斎景久というが、生涯仕官することなく流浪の日々を送った。その極意を「一の太刀切落とし」と呼ぶ。
 小野派一刀流の奥義には、双方が敵の正面めがけて上段から斬り結び、鎬同士がすれ合う瞬間、鎬の厚みを利用して、瞬時に敵の軌道を微妙に中心からそらし、そのまま切り下げる、とある。
 こっそり戻ってきた朴秀実が、扉の節穴から固唾をのんで見守っていた。

 斬り込んだ。刀は渾身の力をこめて降りおろされ、二人は切っ先を床に向けたまま、じっとみつめ合った。
 突然、柳の顔にふしぎな笑みが浮かんだ。それをみた克人は、かつて経験したことのないようななつかしさを覚えて、戸惑った。
 過たず中心線を切り下げたのは克人の剣だった。
 鎬同士が風鈴のような音を上げてすれ合った瞬間、克人の鎬に微妙な、だが計りがたい力が加わった。その力で、柳の刀は一寸ほど中心線をそれた。
 柳の顔から胸、腹へ縦一文字に切り裂かれた。
 微妙に動いた克人の力は、立木打ちから生まれたものだった。
 鬱陵島には森もなければ動物もいない。柳成一に立木打ちの稽古の機会は与えられなかったのだ。
 柳は膝から頽れ、突っ伏した。
 克人は急いで円卓の上の紙類を懐に入れ、室内を見回した。














 柳は、縦に真っ二つになって絶命しましたか…。恐るべし、薩南示現流


 …というより、凄いのは克人自身でしょうか。やっぱり、基礎を繰り返す訓練は大事なんですね…。

 


なんとなくロートレックとかビアズレーっぽい雰囲気のカフェオレ

 学年誌関連の記事がやっと終わったので、ようやく、「高橋コレクション日比谷」の後のアンテナショップ巡りで購入した商品について、ゆっくりご紹介できるようになりました

 さて、私が珍しい商品を購入する時は、大抵はパッケージに釣られて買ってしまうのですが、今回ご紹介する商品も、モロに、パッケージに釣られて買ってしまいました。


「らくのうマザーズ」のコーヒー飲料とカフェ・オ・レ


 なんだか、ロートレックやビアズレーの絵の雰囲気に似ているような気がしませんか?

 ご参考までに、ロートレックとビアズレーの絵の画像をアップしておきます。
 
ロートレックが描いたポスター
(オールト&ウィバーグ社のために作られたポスター/1896年)



ビアズレーが描いたポスター
(セント・ニコラス社児童書広告ポスター/1894年)



 この商品を購入したお店は「銀座熊本館」なんですけど、パッケージのデザインと熊本県には、一体どんな関係が…?
 やっぱり、南蛮貿易がらみなんでしょうか?


『無花果の森』(183&184)



「新宿のどこですか」
「歌舞伎町」
 歌舞伎町に行けば、身を隠せる場所はいくらでもありそうな気がした。
 着ていた上着の内ポケットから覚醒剤が出てきたわけだから、覚醒剤所持の罪に問われることになる。自分ははめられたのだ、と主張しても、そんな証拠など、どこにもなかった。
 記者としての仕事で、芸能界の薬物汚染問題を取材中だったと主張しても、ミイラとりがミイラになることもあり得た。
 自分は初めから、マークされていたのだ。三浜の関係者によるタレコミをもとに、自分はずっと監視され、あとをつけられていたのだ。

 俺はガキか。いったい何年、記者をやってきたのだ。
 頭をかきむしりたくなる思いだったが、今はそれよりも何よりも、これからどうすべきか考えなければならなかった。
 鉄治は歌舞伎町の近くでタクシーを降り、人ごみの流れに身を隠した。目についたコンビニに入って、ATMを使い、銀行口座からありったけの現金をおろした。どうせ遠からず警察に知られるのだろう、と思ったが仕方なかった。
 その晩は、それ以上動きまわるのは危険だと判断し、歌舞伎町の個室ビデオ店で過ごした。














 歌舞伎町は逆に危なくないかぁ? 警察の取締りがかなりキツいと思うんですけどねぇ…

 …まぁ、普通に考えれば、塚本は「泳がされている」ということですよねぇ…。警察が麻薬関連の捜査をするとなれば、必ず「入手ルート」を洗うはずですから…。

『韃靼の馬』(231&232)

《逐電 35&36》

 柳の指が、阿比留文字の上を滑ってゆく。
「イ、スン、ジ。朝鮮人の名前だ。どこかで聞いたことがあるぞ。……ひょっとしたら姜九英を殺った男じゃないのか?
 姜を殺したイスンジがいま暗行部のどこにいて、どんな任務についているか、本国に問い合わせればすぐに分かることだ。いよいよ年貢の納め時だな。
 だが、私はそう短兵急に事を運ぼうとは思っていない。阿比留、助かる道はあるぞ。冬至使、とあるが、北京に行こうというのか。狙いは? その意図、目的は何なのだ? この工作は対馬藩の指令によるものか、それとも幕府か? これらを明かしてくれれば、イスンジの命だけは助けてやる」
 
 克人は、阿比留文字が解読されるとは思ってもみなかった。……柳成一、何てやつだ。この通信文を証拠として、李順之は処刑される。いま、柳の言を真に受けて、清国潜入の目的を明かしたとしても、李は助からない。
 柳成一の冷たく、勝ち誇った声がひびいた。
「分かった。その男の名はこう書く……」
 筆を執ると、「李順之」と大書した。
「東莱府の秘密名簿にこの名があったのをたったいま思い出した」













 李順之の名前がバレたとあっては、もう、柳を始末するしかないですね
 …でも、うまく柳を始末できたところで、「死体をどこに隠すのか」「朴をどうするのか」という問題が残っていますが…。

小学館の『小学四年生』7月号(その7)

(その6からの続き)


 試着室の中でコーディネートを考えていたみらのは、スタッフがカエデの悪口を言っているのを壁越しに聞いてしまいます。




スタッフ「さっきの白金カエデ、ちょっと笑っちゃったね」
スタッフ「あたりまえだよ~!ちょーっとカワイイからって、まわりがチヤホヤして、じつっ力もないのに店長になっちゃってさ」
スタッフ「でも、今日失敗して実力ないのがわかったら、一気に人気がなくなっておわりだよ」

 
 なんと 世間ではカリスマモデル扱いされているカエデでしたが、実は、実際の人気はこんなもんでしたぁ
 ファッションの世界は厳しいんですねぇ…

 みらのが試着室から出てくると、そこには、カエデの姿があります。
 先ほどの「スタッフの悪口」をカエデも耳にしてしまっていたのですが、カエデは気にしている様子はありません。


カエデ「なによ。私に同情するしてるの!?」
みらの「えっ…あ…、その
カエデ「わたしは今日ぜったい優勝しなくちゃならないの。カワイソ~ とか思うくらいなら、すぐに勝負をおりてくれない?」
みらの「かえでさん…」



 今までのカエデは「ただの見栄っ張りキャラ」っぽい雰囲気がありましたが、今回は「意思の強さ」が感じられます。ただの悪人キャラではない面がだんだん出てきたようですね。


みらの「あ!さっきぶつけたところ、赤くなってるよ!」(カエデの左足首を指差す)
カエデ「! これじゃスカートははけないわ。でも、リゾートだから素足のほうが…」(慌てて服を選ぶ)




カエデ「これでいくわ!」(試着室から出てくる)
みらの「(カッコイイ!うすいブルーのデニムも今年っぽいし。実力ないなんてウソだ…!)」
みらの「同情なんてしないよ。だから勝負もおりない!実力でカエデさんに勝ちたいの!」
カエデ「…好きにすれば」
スタッフ「あと30秒です!そろそろ舞台のほうに…」
みらの「(でも…このままのコーデじゃ、負けちゃうかも。どうしよう!?」

《つづく》



 …というわけで、どうやら、みらのは残り30秒で、何かしらの「工夫」をすることになるようです。
 どんな工夫なんでしょうか? 楽しみですね~。

『無花果の森』(181&182)



 刑事たちの背後、少し離れたところに、パトカーが一台、停められているのが見えた。
「運転免許証とか、お持ちじゃないですか」
 鉄治が免許証を差し出すと、小太りのほうがそれを受け取った。
「すみませんが、そっちに向かって立ってくれませんかね」
「どうしてです」
「所持品をちょっと検査させていただきたいもんでね」
 刑事の手が、鉄治の着ているジャケットやチノパンツのポケットを次から次へと探りまわった。
「ああ、これですねえ。パケですね。これはね、あなたのね、今、着てらっしゃっしゃるね、この上着の内ポケットから出てきたんですからね」
 小太りの指には、白い粉が入っている正方形のパッケージが挟まれていた。

 三浜作次郎はなつみを利用して、鉄治を罠にはめることに成功したのである。
 二人の刑事が相次いで後方のパトカーを振り返った隙に、鉄治はつかまれていた腕を振り払い、猛然と走り出した。
 その付近の土地勘はあった。全速力で走り抜け、雑居ビルの並んだ通りに出た。通りを横断しようとして、走ってきたタクシーと危うくぶつかりそうになった。
 迷わず手を上げ、ドアにすべりこみ、急いでたもんで、と言い訳した。渋谷、と言いかけ、新宿、と言い直した。











 あ~あ、まんまと罠に嵌っちゃいましたか、塚本…

 …でも、この罠の嵌め方って、変ですね。覚醒剤所持の罪で塚本が警察に捕まれば、当然、入手経路の調査が始まります。そうなれば、三浜となつみの名前が当然出てくることになります。塚本は三浜とさんざん一緒に飲んでいますし、なつみとは直前まで飲んでいますし…。目撃証言はかなり出てくることになります。
 なつみは所詮は捨て駒でしょうけど、三浜の名前が上がってしまうのかなりまずいのでは…?

 …まぁ、こんな杜撰な罠を実行するくらいですから、きっと、警察内部に三浜の息のかかった者がいるってことなんでしょうね。

『韃靼の馬』(230)

《逐電 34》

「あの戦いのときからずいぶんたったな」
「そうだ、あのとき、きみの仮面はまっぷたつに割れたはずだが……」
「仮面なんていくらでもあるさ。……おや、朴、まだいたのか。気がきかないやつだな。外せ」
 朴の足音が廊下を遠ざかる。
「読み解いたぞ。昔、諺文をやっておいてよかった」
「馬鹿なことを。諺文とはまるで関係ない」
「このくだりは日本の銀情報だな。誰にこれを渡そうとしているのかというと……暗行部内の人間だ。この通信文には宛先、宛名はないが、どこかにそいつの名前が潜んでいるはずだ」
 柳が求めているのは、克人の対朝鮮工作の中身ではなく、工作の協力者の名前なのだ。
「これは冬至使という意味だろう?」

 











 朴に対する柳の態度、すがすがしいまでに冷たいですね

 朴のことだから、部屋から離れていったと見せかけて、忍び足で扉のところまで戻って聞き耳を立てていそうですね~


小学館の『小学四年生』7月号(その6)

(その5からの続き)


 参加者の紹介が終わり、ここから本格的なコンテストが始まります。
 出されたテーマは、「ちょっとオトナのリゾートファッション」。
 参加者の4人は、舞台の裏(らしき場所)に行き、服をチョイスし始めます。


服を選んでいるみらの。


 私はてっきり、コンテスト用の洋服は自分達のお店から持ってくるのだとばかり思っていたのですが、会場に用意してある服から選ぶんですね…。
 元のゲームがこういう設定になっているのでしょうか?

 「オトナ」なコーディネートというものはどんなものか、色々考え、みらのはこのような服をチョイスします。



 このシーンのみらのは、ジェシカを見て「オトナっぽい…!でも、わたしのスタイルじゃにあわないかも」と思ったり、「なるべくなら、実際にお客さまが気に入ってくれるコーデがいいし…」と思ったりして、かなり頭を働かせています。「乳がデカい」=「オトナっぽい」という安易な価値観の『ないしょのつぼみ』とはえらい違いです。やぶうちセンセぇは、ちょっとはかなき先生を見習ってみたらどうですかねぇ?



(その7に続く)

『韃靼の馬』(229)

《逐電 33》

 克人は利根と篠原小百合あての封書を置いてゆくことにする。斬り合いになったとき、邪魔になるだろう。
「では、案内しろ」
 前をゆく朴の背中をみつめていると、朴が斬られるのではとびくびくしているのが分かる。
「江戸でみた歌舞伎はたのしめたか?」
 一瞬、朴はきょとんとし、それからほっとした表情でふり返る。口を開きかけたとき、すでに軍官宿舎の前に立っていた。
 大きな燭台が柳の円卓を照らしている。
「私は立ったままで。まず、用件をうかがおう」
「おすわりなさい。ここは喧嘩の場所ではない」
 柳の流暢な日本語に克人は驚きの目を向ける。
「どうだい、日本人のきみが朝鮮語で、朝鮮人の私が日本語で話し合うというのは?」

 











 さすがに、克人に後ろを取られているとビビるんですね、朴…。
 側に柳がいない状態じゃ、守ってもらえませんもんねぇ…。

 …てか、柳が守ってくれるとは限らないか 朴なんて所詮は捨て駒だし


『甘苦上海<完結版>』は、「続編」ではなく「リメイク」?

 二日連続で『甘苦上海』ネタはをやるのは嫌だったのですが、妙なことを発見してしまったので、記事にします。

 5月26日の記事にも書いた通り、amazonの方では、『甘苦上海<完結版>』の商品紹介は、次のようになっています。

 《高樹文学の新たな到達点がここにある! 欲望を肯定するアジアで最も熱い都市で51歳の独身女性企業家が“人生最後の恋の冒険”に挑んだ果てに何が待ち受けていたのか? 大好評の新聞連載でミステリアスに終わった物語が本書で遂に完結、思いがけない結末に瞠目せよ! 》

 上記の紹介文だと、あたかも、この小説は、過去に出た単行本(Ⅰ~Ⅳ)の「続編」のように思えますよね?  ところが、「日本経済新聞出版社」のHPの方では、これと同じ紹介文の他に、「おすすめポイント」として、以下のような文が付け加えられているんです。

 《2009年、4分冊で刊行した「甘苦上海」を全面改稿まったく新しい物語に生まれ変わっています。》
 ソースhttp://www.nikkeibook.com/book_detail/17100/   

 「全面改稿」  「まったく新しい物語」  と、いうことは…。今回出版された『甘苦上海<完結版>』という本は、Ⅰ~Ⅳの「続編」ではなく、「リメイク」ということなんでしょうか
 …でも、そうであるのなら、タイトルは『甘苦上海<完結版>』ではなく、『新・甘苦上海』とか、『甘苦上海・改』とかにすべきなのではないかと思うのですが…。
  なんでまた、一見、「続編」としか思えないタイトルにしたんでしょうか? 謎ですねぇ…



 甘苦上海<完結版>
甘苦上海<完結版>
著者:高樹 のぶ子
日本経済新聞出版社(2010-06-22)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

『無花果の森』(179&180)



「実ははね……今日が死んだ弟の命日でね。ふとあんたのことを思い出した。それでちょっと声を聞きたくなったんだよ」
 そんなことでわざわざ、と思わないでもなかった。三十代半ば過ぎの若さで海で溺れ死んだという弟の話を鉄治は、これまで何度も聞かされていた。
 あんたは弟と瓜二つなんだよ、と言われれば、そうですか、とうなずかざるを得なくなる。
「じゃあ、また会おう。いやいや、邪魔したね。申し訳ない」
 電話はそこで切れた。
 なつみはすでにカウンターのスツールから下り、鉄治のジャケットを抱えていた。
「はい、これ」
「ありがとう」
 ジャケットの袖に腕を通した。

「会えてよかった。シャンペン、ごちそうさまでした」
「元気で。幸せを祈ってるよ」
 まだ十一時だった。空腹を覚えたので、パスタかピザでも食べ、冷えたビールを飲み直してから帰ろうと思い、ゆるい坂道を下り始めた。
 坂道を下りきった時、背後から「すみません」と声をかけられた。二人の見知らぬ男だった。一人は背が高く、紺色のサファリジャケット姿。もう一人はずんぐりとした小太りで、カーキ色のブルゾンを着ていた。
 背の高いほうが、「麻布署の者ですが」と言いながら、警察手帳を示した。「ちょっとご協力いただきたいんですがね。身分を証明できるものを何かお持ちではないですか」













 あ~あ…。こりゃ、きっと、ジャケットの中にヤクを仕込まれちゃってますねぇ… ドジを踏んじゃいましたねぇ、塚本

 今回登場した私服刑事は、一人はジャケット、もう一人はブルゾンを着ていますが、私が以前会ったことのある私服刑事はスーツを着ていて、一見、サラリーマン風でした。
 最初、私はてっきりセールスマンかと思い、つっけんどんに対応してしまったのですが、「実は、この近くで指名手配犯の目撃情報がありまして、その情報を集めているんです」と言いながら警察手帳を出してきたので、ビックリしました
 
 

『韃靼の馬』(228)

《逐電 32》

「朴、早く行って、おまえが案内してこい。しかし、斬られるかもしれんぞ」
 朴は克人の部屋の扉の隙間から小声で呼びかけた。
 克人はいきなり扉を開けた。朴だと分かると、無言で中に引きずり込んで、扉を閉めた。
「軍官司令がこれをみせろ、と……」
 差し出された紙には、柳によって書き写された阿比留文字とその読みに対応する諺文文字、漢字が記されている。
「柳は、私にこれをみせろといっただけか?」
「いいえ、それをみたら、即刻、ご足労ねがいたい、と。その紙はお返し下さい」
 柳から指示されていたわけではなかったが、朴はとっさの思いつきでそういった。阿比留の顔色を変えさせるほどの力があるのなら、もらっておこう。

 










 柳からも克人からも手荒く扱われちゃってますね、朴は…
 でも、そんな事ちっとも気にしている様子がないのが、パシリキャラクオリティですね

『甘苦上海・完結版』発売記念企画:「帰ってきたがんくうぐるめ」

 5月26日に記事にしました通り、本日は『甘苦上海・完結版』の発売日でございます(私は買いませんけど。)
 せっかくなので、『完結版』の発売を記念して、「がんくうぐるめ」シリーズの続編の記事を書くことにします。

 過去の「がんくうぐるめ」の記事はこちらです。 

がんくうぐるめ(その1)
がんくうぐるめ(その2)
がんくうぐるめ(その3)
がんくうぐるめ(その4)
がんくうぐるめ(その5)
がんくうぐるめ(その6)
がんくうぐるめ(その7)
がんくうぐるめ(その8)
がんくうぐるめ(その9)
がんくうぐるめ(その10)
がんくうぐるめ(その11)
がんくうぐるめ(その12)
がんくうぐるめ(その13)
がんくうぐるめ(その14)



 6月18日に、「高橋コレクション日比谷」についての記事を書きましたが、ギャラリーを出たあと、染井さんと一緒に、アンテナショップ巡りをしました。
 アンテナショップといえば…そう…私に課せられた使命(?)は、神戸ワインを探すことです

 …というわけで、神戸ワインを探してみたところ…。
 こういうのを発見しました。



 神戸ワイン生石鹸。
 お値段は1680円也。


 …え~っと…なんで、神戸ワインそのものは売られていないくせに、「神戸ワインが混じっている石鹸」は売られているんでしょうか…
 しかも、お値段が随分と高いです。1個500円くらいなら買おうかと思ったのですが、1680円って… ネタで買うにしては高すぎます
 ワインの香りを楽しみたい人なら最初からワインを飲みますし、品質の良い石鹸を求めている人は「神戸ワイン」のネームバリューには釣られないと思うのですが…一体どういう人をターゲットにして作られた商品なんでしょうか

 ちなみに、「神戸コレクション2010」について検索してみたら、どうやら今年もこのイベントでは神戸ワインがアピールされていたようです。

ソース http://ameblo.jp/kobe-fw0103/entry-10454772273.html
(『神戸ファッションウィーク事務局ブログ』というブログ内の、2010年2月9日の「神戸コレクション上海2010レポート」という記事)

 都内のアンテナショップでは神戸ワインを売る気ゼロなのに、上海ではアピールしまくりって… 「財団法人神戸みのりの公社」さんは、一体何を考えておられるのやら



『韃靼の馬』(226&227)

《逐電 30&31》

 伝書鳩に代わる他の手段で李順之に連絡しなければならない。克人は銀情報をもう一度阿比留文に翻訳したうえど、もとの資料を燃やした。明朝、対馬藩京都藩邸と府中を直接結ぶ専用飛脚嚢に托すことにする。しかし、冬至使の出発には間に合わないかもしれない。
 思いがけず小百合への想いが克人の胸中に込み上げてきて、それを手紙に認(したた)める。
 朴は柳成一の部屋にいた。匿うというより軟禁の状態に近い。
 脚を切り取られた鳩を馬上才にやったのは全く余計な挑発行為だ。土の中にでも埋めておけばいいものを……。

 諺文に似ているぞ、と柳はつぶやいた。
 小さい頃、父親の調永から日本語を習ったとき、日本語の漢字のよみには音と訓があること、平仮名や片仮名という表音文字を漢字と組み合わせて使用することを知った。
 やがて朝鮮にも諺文という表音文字があることを知り、しばらく面白半分に勉強した。その後、武科の試験に挑み、備辺司局付属学院に入り、卒業後、観察御史に配属された。そのときの直属の上司が姜九英であったが、彼は五衛府暗行部の男に殺された。
 柳は謎めいた文様のひとつひとつを大きめの紙に拡大して書き写し、その横に形の似た諺文文字を置いた。
「たしかに符号する。諺文と照応しているぞ!」
 柳は朴を手招きする。
「対馬藩警固隊長補佐の阿比留にこれをみせて、即刻、私のところへ来るようにいうのだ」
 柳が手渡したのは、短冊大の紙を三つ折りにしたものだった。













 阿比留文字を解読することに成功しちゃったようですね、柳は
 柳が解読できた理由は日本語と朝鮮語の両方に精通していたおかげですから、ほとんど奇跡みたいなものですね 克人は運が悪かったとしかいいようがないです


小学館の『小学四年生』7月号(その5)

 ついに「ワールド・クイーン・コンテスト」が始まった『わがままファッション GIRLS MODE みらのSTYLE』ですが…。

 …どうやら、出場者は4人しかいないことが判明しました。


エントリーNo.1
「ティンバー」の店長のコーネリア



エントリーNo.2
「アルタイル」の店長のジェシカ



エントリーNo.3
「メイプル」の店長のカエデ


 …そんでもって、エントリーNo.4は、「Dolce」の店長のみらのです。
 
 う~ん…「ワールド」という単語を冠しているのに、この規模って… もしかしたら、実際のゲームの設定に合わせたのでしょうか?


 …さて、モデルとして活躍しているはずのカエデですが、舞台の上で機材に足をぶつけてしまい、少しよろけてしまいます。



 見た目は自信満々のカエデですけど、内心は相当緊張しているようです。
 モデルの世界は厳しいんですねぇ…。



(その6に続く)

 


『無花果の森』(177&178)



 約束の九時きっかりにバーに行くと、なつみはすでに先に来て彼を待っていた。カウンター席は三分の一ほど埋まり、白人の中年男女のグループが席を陣取っていた。
 結婚が決まったことを祝して、鉄治はシャンペンを注文してやった。
 鉄治にふられたとわかって、傷心の思いの中、たまたま出かけて行ったパーティーで友達から男を紹介され、すぐに恋におちたのだ、となつみは言った。
 結婚することになった男を褒めちぎっているなつみが、どこか憐れにも思えた。
 そうこうするうちに、白人のグループがもうひと組、がやがやとバーに入って来た。先に来ていたグループとは仲間同士のようだった。

 なつみが時折、腕時計をちらりと覗く仕草をし始めた。
「そろそろ出ようか」
「うん」
 鉄治が財布の中から一万円札を取り出し、バーテンダーに手渡した時、シャツの胸ポケットに突っ込んである携帯電話が震えだした。
 ディスプレイには、「非通知設定」とあった。
 バーから早足で出て、「もしもし」と言った。電話をかけてきたのは三浜作次郎だった。













「結婚することになった男を褒めちぎっているなつみが、どこか憐れにも思えた」(by塚本)

 なんだよこの上から目線は 別にいいじゃんか、褒めたって。仕事のために愛のないセッ○スをしている塚本だって相当憐れなんだから



171話~178話の挿絵です。

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