更紗のタペストリー(L)

auoneblogから引っ越してきました。 主に、アート・書籍・音楽・映画などについて語ってるブログです。 もうひとつのブログ(http://sarasata.seesaa.net/)では、日経新聞の連載小説の感想を綴っています。

ドイツ

『蟹の横歩き』(ギュンター・グラス/著)


 ノーベル文学賞受賞作家のギュンター・グラスの小説に、『蟹の横歩き』という、ちょっと不思議なタイトルの本があります。
 タイタニック号の沈没事件よりもずっと犠牲者が多いのに、政治的理由でタブー視されほとんど注目されてこなかった「ヴィルヘルム・グストロフ号』という船の沈没事件を題材にした小説なのですが、それだけがテーマではなく、日本で言うところのいわゆる「ネトウヨ」もテーマになっているという、二重の形での「タブーへの挑戦」が試みられている作品です。 
 原作の出版は2002年、日本語訳の出版は2003年なので、日本ではまだ「ネトウヨ」というネットスラングはなかったですし、右翼思想のネットユーザーのクラスタはあったとは思いますが決してメジャーではなかったと思います。
 日本でいうところの「ネトウヨ」に当たる存在がドイツでは2002年当時に既に相当目立つ存在だったのか、それともギュンター・グラスがものすごく敏感に「ネトウヨ」の芽を嗅ぎ取っていたのかは分かりませんが、ドイツは社会全体が右翼的な思想に敏感なので、少なくとも日本よりはずっと早く「ネトウヨ」的な存在への認識がネットユーザー内で生じていたのは確かなのではないでしょうか。日本語訳が出た2003年頃は、ほとんどの日本人にはネット内の右傾化なんて他人事という認識だったと思いますが…。(私もそうでした。)

 この小説で謎なのは、『蟹の横歩き』(原題:Im Krebsgang)というタイトルです。日本語訳が出版されて10年以上経過しているというのに、ネットで検索してみても、タイトルの由来が出てきません。(私の探し方が悪いのかもしれませんが…)
 小説を読み終わった直後に私が考えたのは、「蟹が前に歩けないように、人間の思想も常に右や左に揺れ動いていて、中庸を気取ろうとすると思考停止状態になる(前に進まない)」という意味を含んでるのでは…? というだったのですが、『蟹の横歩き』の数ヶ月後に読んだウンベルト・エーコの『歴史があとずさりする時――熱い戦争とメディア』という評論集の訳者あとがきで、イタリア語には「エビの歩き方で先を行く」という表現があることを知りました。



 『歴史が後ずさりするとき』の原題は『エビの歩き方で。熱い戦争とメディアのポピュリズム』(A passo di gambero. Guerre calde e populismo mediatico )だそうで、イタリア語では本来「前身」すべきなのに実際には「後退」していることを指すのに「andare a passo di gambero(エビの歩き方で先を行く)」という表現を使うのだそうです。
 これを読んだ時、真っ先にギュンター・グラスの『蟹の横歩き』を思い出し、「もしかしたら、“エビの歩き方で先を行く”という表現をもじって、このタイトルにしたのでは…?」という考えが頭をよぎりました。

・本来「前身」すべきなのに実際には「後退」している(戦前への回帰が見られる)→イタリア語で言うところの「andare a passo di gambero(エビの歩き方で先を行く)」状態。

・思想が極端に右寄りになったり左寄りになったりする→まるので蟹の歩き方のよう。


 …ということで、『蟹の横歩き』というタイトルになったのでは…?と私は考えたのですが、残念ながらこの推論が正しいのかどうか調べる手段がありません。
 ドイツ語のサイトで、『蟹の横歩き』の解説をしているページがあれば、由来が書かれているのかもしれませんが、少なくともウィキペィディアの『Im Krebsgang』のドイツ語の解説にはタイトルの由来は載っていませんでした。

ホルツァー・ビアー

ブログネタ
ビール に参加中!
 木こりのラベルのビールを買ってみました。

ホルツァー・ビアー1


 裏のラベルには町の絵が描かれています。

ホルツァー・ビアー2

ラベルの解説↓
ホルツァー・ビアー
アルゴイ地方の木こりのために造られた、伝統的なバヴァリア・ビール
 


 「バヴァリア・ビール」についてググッてみたら、Wikipediaの「ババリアビール」が出てきました。

 Wikipediaによると、「ババリアビール」とは

《ビール・ブルワリー・ババリア・エヌヴイ(Bier brouwerij Bavaria N.V.)は、1719年に創立したオランダのビール会社。北ブラバント州・スヘルトーヘンボスに本社を置く。
 ブランド名はドイツのバイエルン州が由来で、「ドイツ風のビール」と言う意味で名づけられている。設立当時はビールメーカーとして発足し、1998年頃からコーラやカシスといった飲料品等も取り扱うようになっている。同国ハイネケン社に匹敵する規模を誇るオランダを代表するビールメーカー。

 現在ババリア社は、イタリアのサッカークラブACミラン及びエールディビジ所属のPSVアイントホーフェンのオフィシャルスポンサーを務めている。》



 …だそうで、ブランド名としての「ババリアビール」はオランダのビールなんだそうです。
 今回私が買った『ホルツァー・ビアー』は、原産国がドイツになっているので、本家のバヴァリア(ババリア)ビールです。う~ん、紛らわしい…

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