はっぴーばーすでー。(さゆれな+α)天使の休息(さゆれな)

2011/11/27

記憶~Independence Girls・第13話

真っ白な視界。



何度も見たことがある光景。



これは、天井だ。

ずっとずっとこの景色しか見てなかった記憶がある。



――また、この夢。


夢だとわかっている。

――たぶん、夢なんだろうと思っている。


天井を見ている自分を、客観的に見ている自分がいる。

なんか変な感じ。


真っ白だった視界に、何かが入りこんでくる。

それがなんなのかは分からない。
すりガラスが入っているみたいに、ぼんやりとしか映らない。


たぶん、人なんだろうと思う。


ひとり、ふたり……4人ぐらいいるだろうか。

あたしの顔を覗き込んでるように見える。


誰かの泣いている声がする。

あたしを見て泣いているのだろうか。だとしたら、どうして?



わからない。



何度も何度も見た夢なのに、どうしてこの夢を見るのかが分からない。


自分の記憶の一片なのか、まったく関係のないものなのか。



わからない。



やがて、天井の色が変わる。



真っ白な天井から、真っ黒な天井へ。


そして、真正面からまばゆい光が当てられる。



また誰かがあたしの顔を覗き込む。

やっぱり顔はわからない。


でも、ひとつだけ分かること。



今度の人たちは、笑ってる。


あたしの顔を見て、満足そうに。



「最終確認しておきましょうか」

あたしの頭を軽く持ち上げ、女性がつぶやいた。

どこかで聞いたことがあるような声。



次の瞬間、あたしの頭に激痛が走る。


脳をわしづかみにされたような。

頭をプレス機にかけられたんじゃないかと思うような圧迫感が襲う。



やめて。あたしの頭がどうにかなっちゃう。




痛い。



痛い。



怖い。



嫌だ。



助けて。



痛い。



痛い―――。





「――ちゃん!リサコちゃん!」

あたしの視界に飛び込んできたのは、
心配そうにあたしの顔を覗き込んでいたチサトちゃん。


「大丈夫?昼寝しながら苦しそうな顔してたけど」

そうか。あたしお昼寝してたんだっけ。


「大丈夫だよ。ちょっと変な夢見てただけ」

「そっかぁ。病気なのかと思って心配したよぉ」

チサトちゃんは、にっこりと笑ってくれる。


「そうそう、おやつにアイさんがクッキー焼いてくれたんだよ。
Buono!のみんなも戻ってきたし、一緒に食べようよ」

そう言って、チサトちゃんはあたしに手を差し伸べてくれる。


「うんっ」

あたしはその手をとる。



この夢がなんなのか、いつかはっきりさせる時が来るのかもしれない。



――この人たちとなら、はっきりさせられる気がする。



そんなことを思いながら、
あたしはチサトちゃんに連れられてキャンピングカーへ乗り込んだ。


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sarishin at 12:29│Comments(0)TrackBack(0)Independence Girls 

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