居場所(絵里生誕記念)もっと近くで(ガキれな)

2011/12/30

込められた思い(やじすず)

ベリキューアイランド千秋楽。


最終リハーサルの直前、
あたしがソロで歌う機会があることを知らされた。



「よかったね、愛理」

楽屋に戻ると、舞美ちゃんが真っ先に声をかけてくれる。


「うんっ」

あたしはにっこりと頷く。


「何歌うの?」

「それはねぇ…『あなたなしでは生きてゆけない』」

舞美ちゃんに歌詞カードを見せながら、あたしは答える。


「ずいぶん懐かしい曲にしたんだね。どうして?」


やっぱり、それ聞いちゃうよね。

この曲を選んだのは、結構深い意味があるんだよ。


ただ、ちょっと恥ずかしいけど。


「やっぱさ…Berryzが先にデビューして、悔しい気持ちがあったでしょ?」

舞美ちゃんは黙って頷く。

「初心忘るべからずじゃないけど、そういう気持ちを忘れないように、と思って…」


「そっかぁ。やっぱ愛理ってすごいね」

舞美ちゃんはにっこりとほほ笑んで、あたしの頭をなでる。

「ちゃーんとそういうこと考えてるんだね。さすが愛理だよ」


「そ、そんなことないよぉ…」

あたしは、しばし舞美ちゃんの手に頭を預けていた。

舞美ちゃんの手、あったかいなぁ。


ずっと触れててほしい。

離れないでほしい。



本当は、もうひとつ意味があってこの歌にしたんだけど。


これはあたしの心の中にずっと留めておかなきゃいけない。




ライブが始まって、いよいよあたしのソロ。

ステージには、あたしだけが残る。


その時、ステージから捌けようとしていた舞美ちゃんが戻ってきた。

どうしたんだろう。


「応援してるからね、愛理。がんばって」

舞美ちゃんは、ほんの少しひざを曲げて、あたしの目の高さに頭を合わせてくれる。
そしてやっぱりにっこりと笑ってくれる。


わざわざこれを言いに、戻ってきてくれたんだ。


うれしいよ、舞美ちゃん。


「舞美ちゃんのために歌うね」

あたしが笑顔で答えると、
舞美ちゃんは、お客さんのためにもね、と言い残してステージから捌けていった。


お客さんのために歌うのはもちろんだけど、
この曲を歌うと決めたのは、舞美ちゃんに対しての思いも込められているから。


本当はステージをこういうことに使っちゃいけないんだろうけど。

こういう形でしか、素直に気持ちを表現できないから。





―― 一生あなたのこと、愛したい ――


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sarishin at 13:04│Comments(0)TrackBack(0)キュート編 

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