2012/12/05
時間貯金(れなまー)
「たなさたーん!!」
遠くから佐藤の声。
でも、その声の感じはいつもと違う。
ほわほわした感じやなくて、なんか切なく聞こえる。
「たなさたん!!行っちゃやです!!」
走ってきた勢いそのままに、佐藤はれーなに抱きついてくる。
行っちゃイヤって…れーな、自販機の前でジュース飲んどっただけやけど?
「卒業しちゃうなんてイヤです!」
そう言って、佐藤はれーなの顔をじっと見つめた。
あ。
れーなの卒業の話、今聞いてきたとかいな。
「まーちゃんがいい子にしてなかったからですか?」
佐藤が真顔でそんなことを聞いてくる。
「違うとよ」
れーなは、佐藤の頭を撫でてやる。
「誰のせいでもないっちゃん」
「じゃあ、なんで卒業しちゃうんですか…?」
佐藤の目はうるうるしはじめていた。
「モーニング娘。で学ぶことはもうないけんさ。
次のステージに進むための卒業って感じやね、簡単に言うと」
れーなの説明にも佐藤はふるふると首を横に振る。
「モーニング娘。のこと、嫌いになっちゃったんですか?」
「それも違うと」
れーなは笑って答える。
「むしろ、前より娘。のことは好きになったっちゃね」
「好きなのに、やめちゃうんですか?」
涙を溜めた目をごしごしとこすりながら、佐藤が食い下がる。
「好きでも、卒業せんといかん。それが娘。やけん」
れーながきっぱりと言うと、佐藤は何かを言いかけた口を閉じた。
佐藤がわかってくれるかどうかわからんけど、
娘。の後輩として、知っておいてほしいことやけん。
「そうやって、娘。はずっと新しい娘。として続いてきたと。
センパイが卒業せんかったら、佐藤とれーなも出会えてないとよ?」
佐藤がはっとする。
ちょっとは、卒業の意味わかってくれたとかいな。
あと、佐藤には言っておかないかんこともあるけんね。
卒業の時にもっときちんと伝えるつもりやけどさ。
「れーなね、佐藤には感謝しとぉと。
佐藤がれーなにどんどん来てくれるおかげで、後輩と仲よくなれたし」
「……ほんとですか?」
れーなは黙って頷く。
「そのおかげで、娘。のことめっちゃ好きになったっちゃん」
そう言って、佐藤の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「だからね」
れーなは、佐藤をまっすぐに見つめ返す。
「卒業してもなんにも変わらんよ。れーなはずっとれーなやし。
娘。が好きなのも一緒ったい。会う時間がちょっと減るだけやけんね」
「……はいっ」
佐藤は、何かに納得したように何度も頷いた。
「あの、たなさたん?」
「ん?」
佐藤がまた真剣な表情でれーなを見つめる。
「まーちゃん、卒業までずっとたなさたんのそばにいます」
――いつものことやろ?
れーなはそうつっこみそうになったけど、佐藤は真剣。
「たなさたんとの時間を貯金しときます」
そう言って、佐藤はふにゃっと笑った。
そっか。貯金か。
「たなさたんっ」
佐藤がれーなの手をとる。
――なんで恋人つなぎになっとぉとよ。
まあいいか。
れーなは佐藤の手を握り返す。
「おかーをこーえー」
「ゆこーおーよー」
れーなが歌うと、佐藤がちゃんと続きを歌ってくれる。
「楽屋戻ろっか」
「はいっ!」
元気よく答えた佐藤は、いつもの笑顔になっとった。
あと半年。
めいいっぱい仲よくしてやろーかいね。
遠くから佐藤の声。
でも、その声の感じはいつもと違う。
ほわほわした感じやなくて、なんか切なく聞こえる。
「たなさたん!!行っちゃやです!!」
走ってきた勢いそのままに、佐藤はれーなに抱きついてくる。
行っちゃイヤって…れーな、自販機の前でジュース飲んどっただけやけど?
「卒業しちゃうなんてイヤです!」
そう言って、佐藤はれーなの顔をじっと見つめた。
あ。
れーなの卒業の話、今聞いてきたとかいな。
「まーちゃんがいい子にしてなかったからですか?」
佐藤が真顔でそんなことを聞いてくる。
「違うとよ」
れーなは、佐藤の頭を撫でてやる。
「誰のせいでもないっちゃん」
「じゃあ、なんで卒業しちゃうんですか…?」
佐藤の目はうるうるしはじめていた。
「モーニング娘。で学ぶことはもうないけんさ。
次のステージに進むための卒業って感じやね、簡単に言うと」
れーなの説明にも佐藤はふるふると首を横に振る。
「モーニング娘。のこと、嫌いになっちゃったんですか?」
「それも違うと」
れーなは笑って答える。
「むしろ、前より娘。のことは好きになったっちゃね」
「好きなのに、やめちゃうんですか?」
涙を溜めた目をごしごしとこすりながら、佐藤が食い下がる。
「好きでも、卒業せんといかん。それが娘。やけん」
れーながきっぱりと言うと、佐藤は何かを言いかけた口を閉じた。
佐藤がわかってくれるかどうかわからんけど、
娘。の後輩として、知っておいてほしいことやけん。
「そうやって、娘。はずっと新しい娘。として続いてきたと。
センパイが卒業せんかったら、佐藤とれーなも出会えてないとよ?」
佐藤がはっとする。
ちょっとは、卒業の意味わかってくれたとかいな。
あと、佐藤には言っておかないかんこともあるけんね。
卒業の時にもっときちんと伝えるつもりやけどさ。
「れーなね、佐藤には感謝しとぉと。
佐藤がれーなにどんどん来てくれるおかげで、後輩と仲よくなれたし」
「……ほんとですか?」
れーなは黙って頷く。
「そのおかげで、娘。のことめっちゃ好きになったっちゃん」
そう言って、佐藤の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「だからね」
れーなは、佐藤をまっすぐに見つめ返す。
「卒業してもなんにも変わらんよ。れーなはずっとれーなやし。
娘。が好きなのも一緒ったい。会う時間がちょっと減るだけやけんね」
「……はいっ」
佐藤は、何かに納得したように何度も頷いた。
「あの、たなさたん?」
「ん?」
佐藤がまた真剣な表情でれーなを見つめる。
「まーちゃん、卒業までずっとたなさたんのそばにいます」
――いつものことやろ?
れーなはそうつっこみそうになったけど、佐藤は真剣。
「たなさたんとの時間を貯金しときます」
そう言って、佐藤はふにゃっと笑った。
そっか。貯金か。
「たなさたんっ」
佐藤がれーなの手をとる。
――なんで恋人つなぎになっとぉとよ。
まあいいか。
れーなは佐藤の手を握り返す。
「おかーをこーえー」
「ゆこーおーよー」
れーなが歌うと、佐藤がちゃんと続きを歌ってくれる。
「楽屋戻ろっか」
「はいっ!」
元気よく答えた佐藤は、いつもの笑顔になっとった。
あと半年。
めいいっぱい仲よくしてやろーかいね。
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この記事へのコメント
1. Posted by kame1gaki2 2012/12/05 23:42
講釈師 見てきたような 嘘をつき
いや失礼m( __ __ )m
まるでバックステージドキュメントみたいな感じですね。
実際まーちゃんには
たなさたんとのただ楽しい思い出だけでなく
なんていうか背中を見て得られるような貯金もして欲しいしそうであってほしいな
(無理かもしれないけど…)
いや失礼m( __ __ )m
まるでバックステージドキュメントみたいな感じですね。
実際まーちゃんには
たなさたんとのただ楽しい思い出だけでなく
なんていうか背中を見て得られるような貯金もして欲しいしそうであってほしいな
(無理かもしれないけど…)
