鳥のように(マノマネ)あこがれの先に(嗣永桃子生誕記念)

2013/03/03

心残り(やじなき)

いつもと変わらない℃-uteの楽屋。

千聖と舞がわいわいはしゃいで、
愛理がそれをにこにこしながら見つつ何やら書きもの。

で、リーダーは……。



あれ?

さっきまで愛理と一緒に書きものしてなかったっけ?



「愛理、リーダーは?」

「んー、さっきふらっと楽屋出てったよ?」

いつの間に。全然気がつかなかった。


「舞美ちゃんがどうかした?」

「え、いや、どうもしないんだけど。確かいたよなぁと思って」


どうもしてはいないんだけど。


でも。

なんか、変。



今日、リーダーがなんかおかしい。


――リーダーに監視されてるような気がする。


あたしとやたら目が合う。
で、目が合うたびにぱっと目をそらされる。

気のせいじゃないと思う。


こんなこと、今までなかったんだけど。

どうかしたのかなぁ……。



「――なっきぃ?なっきぃってば」

愛理の声で我に返る。

「あ、ごめん。ぼーっとしてた」

「愛理たち呼ばれたから行くね。なっきぃはお留守番」

愛理はふにゃふにゃした笑顔でそんなことを言う。

楽屋に千聖と舞の姿はすでになかった。


ありゃ、あたしとリーダーはまだ待ち?


「はいはーい。いってらっしゃーい」

あたしはそんな愛理にひらひらと手を振る。

「いってきまぁす」

愛理も手を振り返して、楽屋を出て行った。



楽屋には、あたしひとり。

てか、リーダーはどこ行ったわけ?


暇なんですけど。
誰もいないから、おしゃべりもできないし。


「あれ、なっきぃひとり?」

その時、リーダーが楽屋に戻ってきた。

「うん、他の3人呼ばれて行っちゃった」

「そうなんだぁ」


ん、リーダー、なんかにやけなかった?


まあいいや、話し相手が戻ってきたし。


「そういえばなっきぃ」

リーダーが話しながらあたしの隣に座る。

「写真集見たよ。相変わらずスタイルいいよねぇ」

「いやいやリーダーだって負けてないじゃん」

なんなら、リーダーの方がスタイルいいと思うけど。
背も高いし、顔だって美人顔だしさ。

「なっきぃの方が、女の子って感じの体してるし」


そんなことを言いながら、リーダーがあたしに近づく。

「なっきぃ……ちょっと後ろ向いて」

言うが早いか、あたしの座ってる椅子をくるりと回す。


「ちょ、ちょっと!何すんの?」

「うん…ちょっとね」

リーダーの声があたしに近づく。


「なっきぃってさ、ほんといい体してると思うんだよねぇ」

とうとうリーダーの声があたしの耳元で聞こえる距離。

「やだ、恥ずかしいじゃん」

あたしはドキドキしながらも、リーダーをはぐらかしてみる。


「褒めてるんだから、恥ずかしがらなくてもいいでしょ」

「!!」

あたしの両脇からリーダーの腕が伸びてきた。

そして、その両手があたしが着ているパーカーの中へ。


「リーダー!何してんの!?」

あたしは、その手から離れるために立ち上がろうとした。

が。

その瞬間にリーダーが両腕に力を込めたので、
あたしの体は椅子にすとんと戻ってきてしまった。


逃げられない。


「動かないで」

あくまでもリーダーはいつものリーダーの口調のまま。

その間にも両手はあたしのお腹のあたりを撫でまわしている。


「や、ちょっと…くすぐったいよぉ」

完全にリーダーのなすがまま。
誰も見てないけど、恥ずかしさで顔が熱を持ちはじめてる。



リーダー、なに考えてんの……?




「よし」

何か納得したようにつぶやくと、
リーダーは手を離し、おもむろに立ち上がった。


ん?なにが「よし」なの?


「やっぱり、なっきぃは女の子らしいカラダだなっ」



……は?




「山形ロケの時、なっきぃだけ腹筋チェックしてなかったから」

「――へっ?」

あたしは立ち上がって、リーダーの方に向き直る。


「いつか、なっきぃも腹筋チェックしようと思ってたんだぁ」

リーダーはにこにこしながら、あたしにサムズアップ。


「あー、すっきりした!」

ひときわ大きな声でリーダーはそう言うと、
他のメンバーの様子を見に楽屋を出て行ってしまった。



なんなの、今の数分。

あたしがすっきりしないんですけど。


まあ……あれ以上何かされても困っちゃうんだけどね。

困らない、かも……いやいや考えてんのあたし。


とりあえず、顔のほてりをなんとかしなきゃ。
あたしは冷たい飲み物を買いに楽屋を出た。


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sarishin at 22:18│Comments(0)TrackBack(0)キュート編 

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