2008年12月01日

乳酸

今日は、疲労物質と言われている、乳酸についてだ。


乳酸が、どうして疲労物質と呼ばれているのか。それは、「酸」であるからだ。体内は常にだいたい中性に保たれている。それが、きつい運度によって大量に生じた乳酸によって酸性に傾くと、筋肉が収縮しづらくなるからだ。こうしてさらに運動をしつづけられなくなることから、乳酸は疲労物質といわれてきた。

しかし、強い運動をした次の日に、疲労を感じるのは、全くもって乳酸のせいではない。筋肉が強い運動によって傷つき、可動域がせばまると同時に、出力が弱っているだけにすぎない。

乳酸は、エネルギーの源である糖から、手っ取り早くエネルギーを抽出されたことによって生じる、食べ残しのようなものだ。そして乳酸は、少し面倒な処理をすることで、もう一度エネルギーとして使われ、最後は水と二酸化炭素になる。最終的に水と二酸化炭素になるというこの流れは、どのエネルギー源においても変わらない。糖であれ、脂肪であれ、最終的にはエネルギーと水、二酸化炭素に分離される。

まず、グリコーゲンに代表される糖からエネルギーを取り出す方法だが、それには2通りの方法がある。1つ目が、手っ取り早くいくつかのエネルギーを取り出す方法だが、これにはエネルギーを取り出すために2回の処理を行うだけだ。また、この反応には酸素を必要としないため、赤血球とのやりとりもしなくて良い。しかし取り出せるエネルギーは少なく、長時間の運動を持続することができず、食べ残しである乳酸を発生させてしまう。

2つ目が、完全に水と二酸化炭素にしてしまう方法だ。この方法では、先ほどの手っ取り早くエネルギーを取り出す方法の、実に10倍ものエネルギー取り出すことができる。しかし、12段階もの手はずを踏まなければ成らず、そのほかにも赤血球との酸素のやり取りなどもあるため、瞬間的にエネルギーが必要な場合にはエネルギーを供給することはできない。

また、脂肪からエネルギーを取り出す方法も、同じく十数段階の手はずを踏まなければならないため、瞬間的にエネルギーが必要な場合にはエネルギーを供給することはできない。また、糖からエネルギーを取り出す2つ目の方法と、脂肪からエネルギーを取り出す方法の大部分は同じであり、これを行っているのが、ミトコンドリアと呼ばれる細胞である。この細胞は、生命の基本であり、生きている、といわれる生命は全てこのミトコンドリアをもっている。

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筋線維に関する記事の最後で述べたように、これらのエネルギーの取り出し方の特徴は、筋線維の特徴そのものであり、そのとおり、手数を少なくして素早く、エネルギーを取り出す方法は主に速筋で使われ、たくさんの処理をしてたくさんのエネルギーを取り出す方法は主に遅筋で使われている。だから、速筋としては、自らの中に貯蔵していた糖を分解し、発生してしまった乳酸を、遅筋において完全に水と二酸化炭素にしてほしいし、遅筋としても、わざわざ糖からエネルギーを取り出すよりも、既に乳酸という消化されかけのもののほうが、分解しやすいし、ありがたく受け入れたいのである。

ここで活躍するのがモノカルボン酸トランスポーター(MCT1)と呼ばれる物質で、このMCT1は、乳酸を筋肉から運び出し、他の組織へと運んでいく、運搬屋(トランスポーター)をしている。速筋で発生した乳酸を、せっせと遅筋へと運び、そこでエネルギーに完全分解させるようにしているのだ。乳酸が極限までたまるような、高強度、長時間の運動をした直後にしばらく歩いたり、ジョギングをしろといわれるのはこのためだ。

速筋で大量に作られた乳酸を、遅筋によってエネルギーに変えてもらうことで、素早く体内を酸性から中性に戻し、また運動できる状態に近づけることができる。また、このMCT1の量もトレーニングによって増やすことができ、トレーニングによって次第に疲れにくくなる一因に、このMCT1がある。

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食後に身体がだるく感じることにも、乳酸が関わっている。食事によってたくさんの糖分や脂質が身体の中に入ってくると、筋肉と同時に、脂肪組織も、栄養を蓄えようと活動する。この脂肪組織にはミトコンドリアが少なく、脂肪組織の活動は、速筋の活動と似たようなエネルギー代謝をしている。つまり、脂肪組織が活動すると、乳酸を作り出してしまうのだ。このため、血中を流れる乳酸の量が増大し、身体がだるく感じるのだ。

昼過ぎの身体がだるい時に昼寝するのも気持ち良いが、歩いたり、ジョギングするなど、遅筋を普段の生活より少し多く使ってあげるだけで、格段にだるさは解消するはずだ、ということも付け加えておこう。






saru_exercise at 22:41|PermalinkComments(0)基礎、ダイエット 

2008年11月29日

筋タイプとトレーニングについて

前回は、基本的な筋タイプの違いに関してしか述べられなかったので、もうちょっとトレーニングと合わせて、筋タイプについて書くぜ


筋タイプには速筋(タイプ鏡維、白筋)と、遅筋(タイプ祇維、赤筋)があることは既に書いたが、実はそれらの中間的な筋線維も存在する。その筋線維は白筋と赤筋の中間的な色をしていることから、ピンク筋と呼ばれたりしている。専門的にはタイプa線維と呼ばれている。この筋線維の特徴は、「速筋と遅筋の中間的」の文字通り、そこそこ大きな力をそこそこ持続して発揮できる、ということだ。

このピンク筋は、速筋がトレーニングの強度や方法によって遅筋的な能力を身につけたものである。ここでいう遅筋的な能力とは、筋線維の中にミオグロビンなどの赤色組織を持ち、脂肪からエネルギーを取り出せる能力、ということだ。速筋が、遅筋的な能力を身につけ、変化するため、タイプa線維と呼ばれるのだ。反対に、純粋に素早く、大きな力を出すのに適した速筋(白筋)は、タイプb線維と呼ばれている。

人間の身体には大きく分けて速筋と遅筋があるというのは何度も述べていることだが、この速筋(タイプa,b線維)と遅筋(タイプ祇維)の割合はだいたい1:1である。そしてこの割合は生涯変わることはない。どんなトレーニングを積んでも、タイプ祇維はタイプa線維にも、b線維にもなれないのだ。

しかし、タイプa線維からb線維になったり、その逆の変化は容易に起こる。トレーニング次第でたった数週間のうちに変化できるとも言われている。マラソン選手などは、タイプb線維がタイプa線維よりも圧倒的に多く存在しているという調査結果もある。

では、100メートル走専門のスプリンターの筋線維組成はどうかというと、a線維が圧倒的に多いと思われがちだが、じつはそうでもない。厳しいトレーニングには反復が必要であるため、すぐに疲れてエネルギーも使い切ってしまうタイプbだけでは練習ができないのだ。逆に、生きるためにエサを獲るライオンやチーターなどは練習をしておらず、その場の一発勝負で力を出し、その他の時間は寝っ転がっているためタイプb線維が多いと言われている。この、練習に対する筋線維の反応はとても大きく、一発勝負に見えるウェイトリフティング競技の選手も、タイプa線維がとても多く存在しているそうだ。

つまり、本物のアスリートは、その競技に一番良い、タイプa線維とタイプb線維の割合を持った人、というわけだ。神経系の良し悪しは別として、筋線維組成の観点からいえば、誰もがその競技に一番合った肉体を、トレーニングによって得られる、ということだ。また、そのパフォーマンスを支える重要な鍵が、どんな競技であれ、タイプa線維であるということも、付け加えておこう。


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そして、このタイプa線維のトレーニング方法であるが、この筋線維は普通の生活をしていては出現しない。前回の記事で述べたように、「普段は遅筋→速筋」の順番で筋線維は使われてゆき、たいていの生活で遅筋では間に合わなくなる瞬間というのはそうそう訪れない。

大きな負荷を繰り返し、反復してかけ、さらには速やかな回復が必要とされる時になって初めて、タイプb線維がタイプa線維へと変化し始めるのだ。具体的には、100メートル全力疾走をはじめとする瞬発的かつ高負荷の運動を、短いインターバルで多くの本数をこなす時。あるいは、全身の体脂肪を極限まで使う、フルマラソンのような運動をした時だ。

ライオンやチーターのように、一発勝負の高負荷な運動を行っても、その他の長い時間を寝っ転がって過ごしていては、タイプb線維はタイプb線維のまま(白は白のまま)である。つまり、タイプa線維の多さは、どれだけきつい練習をしてきているか、という指標のひとつでもあるのだ。



saru_exercise at 13:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)パフォーマンスアップ 

2008年11月28日

筋タイプとトレーニング方法

まず手始めに、自信を持って書ける事、
筋タイプとそれぞれに対するトレーニング法について

筋肉には大きく分けて2つの筋タイプがある。

速筋と、遅筋だ。それぞれ、速筋がタイプ鏡維や白筋、遅筋がタイプ祇維や赤筋と呼ばれたりしている。
大きな特徴は、その名前から分かるように、筋出力の速さと強さの違いだ。
速筋はすばやく、大きな力を出すことを得意とし、遅筋は小さな力を、持続的に出力することを得意としている。遅筋が赤筋と呼ばれるのは、持続的に力を出すためのエネルギーを作り出すための機構、ミオグロビン(赤い色をしている)が多く含まれるからだ。

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人間は普段の生活では基本的に遅筋を主に使っている。普段の生活の中で、時たま大きな力が必要な時(階段の上り下りや、重い荷物を運ぶ時)には、速筋の活動量が増える。基本的に、遅筋から使い始め、遅筋の出力だけでは追いつかなくなってきたら、速筋を使う割合を増やしていく、というパターンだ。

「普段は遅筋→速筋」


しかし、普段の生活の中でも、速筋が優先されて使われるタイミングがある。これは、筋肉がブレーキとして働く時だ。例えば、自分の上から重いものがのしかかってきた時、安易につぶれたりせずに、きっと耐えるだろうと思う。もし、耐え切れず徐々につぶされていく過程でも、一気にぺシャッとならずに、できるだけ頑張るだろう。これが、ブレーキとして筋肉を使っている時だ。

普段の生活で言えば、階段を下りること、がブレーキとして筋肉を使っている時だ。この現象が起こる理由は、前出の例のように、自分の上から何かにのしかかられていることをはじめ、ブレーキをかけなければならない場面というのは大抵生命の危機が迫っているからだ。ここぞという時に、弱い力しか発揮できない遅筋から使っていたのでは間に合わない。ブレーキをかける時には速筋から優先的に使われることは、DNAに組み込まれたことなのだ。

「ブレーキをかけるときは速筋→遅筋」


これらのことが、何を表すかというと、大きな力を発揮する速筋をトレーニングするには、軽い運動を続けて、遅筋→速筋と使っていくよりも、強い運動を行い、ブレーキング要素を強調した方が、効率が良いということだ。トレーニングをする際に、重りを「おろす時はゆっくり」と言われるのはこのことからだ。

また、筋肉痛というものは主に速筋に起こるものである。山登りに行った後、よく筋肉痛になるのは、山を登ったからではなく(登る時は遅筋→速筋)、正確には山を下るからだ(下る時はブレーキをかけるため速筋を多く使う)。

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また、これらの速筋と、遅筋においては、主に使われるエネルギーにも違いがある。
速筋は素早く、大きな力をださなければならないために、主に糖分を原料とし、力を発揮する。逆に、遅筋は、そこまで素早く、大きな力を出す必要もないため、脂肪を主に原料としている。

これは、まずそれぞれの栄養分が蓄えられている場所が関係している。糖分は、身体の中で筋肉中か肝臓にしか蓄えることができない(糖尿病になると血中にも多くの糖が漂っている)。逆に脂肪は体中のどこにでも皮下脂肪や、内臓周辺に腹腔内脂肪として蓄えることができる。

また、糖分(グリコーゲン)から運動のエネルギーは比較的簡単に取り出せるが、脂肪からは酸素を使ってしかエネルギーを取り出すことはできない。つまり、糖分をエネルギーにするには手間がかからず、脂肪をエネルギーにするには多くの手数を踏まなければならないということだ。

速筋の特徴は「素早く」、大きな力を出すこと。このため、速筋では簡単にエネルギーを取り出せて、しかも筋肉中に蓄えられている糖分を原料に力を発揮し、素早く力を発揮する必要の無い遅筋では、脂肪と呼吸によってエネルギーを取り出しているというわけだ。

ちなみに、速筋が糖分から簡単にエネルギーを取り出す過程で乳酸が生まれる。この乳酸がどこに行くかというと、遅筋だ。遅筋の中にあるミトコンドリア(赤色成分に含まれる)によって乳酸は完全に水と二酸化炭素とエネルギーに分離され、遅筋のエネルギーとして再利用されて役目を終える。



saru_exercise at 00:55|PermalinkComments(0)基礎、ダイエット