2016年12月04日

25THPLAYLIST 2016年11月2日発売、デビュー25周年を記念して企画された広瀬香美のセルフカバーベストアルバム。先行配信シングル「ロマンスの神様 2016」を含む全11曲(うち1曲はカラオケ)収録。初回盤にはリリース当時に制作されていた歴代のMVを22曲+ライブ映像3曲を収録したDVDが同梱の2枚組。本エントリーはCDのみの通常盤のレビューとなります。

 毎年冬になるとヒット曲を中心に手替え品替えのベストアルバムをリリース…という傾向の広瀬香美ですが、今年は少々趣を変え、代表曲6曲のセルフカバー+新曲3曲+アルペンCM起用ソングの新録メドレーを収録という構成。
 セルフカバーから先に紹介していくと、TUBEがアレンジをし、演奏・コーラスにもメンバー全員が参加して、彼らのレパートリー「あ〜夏休み」に酷似のイントロアレンジで意表をつかせるという一発ネタ(?)を披露しつつも基本的には王道バンドアレンジの「ゲレンデがとけるほど恋したい 2016」、ピアノ一本のハネたリズムで弾き語られた「愛があれば大丈夫 2016」、オーケストラを従え70名ものコーラス隊と共に歌い上げる「DEAR...again 2016」、そして90年代後半にアレンジャーとして彼女の作品に多数参加していた本間昭光が久々にアレンジに直接関与した「promise 2016」は小編成のアコースティック編成、「ストロボ 2016」は原曲を基にリメイクを試みるなど、どの曲もオリジナルのエッセンスをある程度尊重しつつ、現代的に再構築した聴き応えのある内容に仕上がっていました。

 新曲3曲はエレクトロ風味の「青い冬ハジマレ」、軽快なミディアム「最高のエンディングを共に」、メロウなバラードの「A Song For Two」。さすがに上記のヒット曲に混じってしまうと、メロディーの冴えに関しては一歩譲るところがあるものの、どの曲も安心して聴ける広瀬香美印のナンバー。そして実質ラストの10曲目「ALPEN MEDLEY90's」は、「ロマンスの神様」から始まり、99年の「恋のベスト10」までを時系列順に、最後は再び「ロマンスの神様」で締めというノンストップメドレー。一定のテンポをキープし続けるので、バラード曲の捻じ込み方には少々強引な面も見受けられますが(苦笑)、「ストロボ」のリズム上で「I Wish」を続けて鳴らす、というのは意表をついた良アイデアだと思います。

 現在の彼女のボーカルスタイルが楽曲発表当時と結構異なっているので、原曲を聴き慣れているとセルフカバーでの歌声には若干違和感がありますが、その「変化」も楽しめる1枚。相変わらず新曲のCD音源での発表の場がベストアルバムの中…という状況ながら、本人が制作にフル稼働している本作はなかなかに楽しめました。

sasa0053 at 13:47コメント(0)トラックバック(0)CD Review ハ行 

2016年11月27日

yasuoburger 2016年4月4日発売、井上ヤスオバーガーの通算4枚目のオリジナルフルアルバム。シングル「自転車乗りの唄」を含む全12曲収録。

 井上ヤスオバーガーは、バンド活動を経て現在はソロとして活動中の京都在住のシンガーソングライター。一年の大半をほぼライブツアーに費やし、全国を渡り歩いて歌い続けているとのこと。基本的にはギター一本で弾き語るライブスタイルなのですが、本作は全曲「井上ヤスオバーガーバンド」なるバンド形態にコーラスやパーカッション、アコーディオンなどのゲストミュージシャンを招いてのバンド演奏。また、収録曲中、既発表音源である「ココロの旗」「シンガーソングライター」は新たに再録されたもののようです。

 そんな彼の作品、一聴して強いインパクトを受けるのはやはりその歌声。やや高めのハスキーなボーカルは、分かりやすく例えるならば真心ブラザーズのYO-KINGの声を少し甘くしたような感じ…と形容すればイメージしていただけるでしょうか。個性的な声質の一方で活舌は良く、歌詞はとても聴き取りやすいという長所があり、「雨が降ってるの?」「君なんかいなくなっても」など、日常の身近な出来事から書き起こした心象風景をリスナー側にダイレクトに伝える役割をしっかりと果たしている「シンガーの声」という印象を受けました。

 楽曲を構成するメロディー自体は親しみやすく、フォーク寄りのロック調といったところ。アレンジ自体も「花と雨の詩」などでは一部打ち込みを導入しつつも、斬新な試みをせずに一般的なバンドスタイルで、アップテンポな曲でも土のようなボーカルと相俟ってどこかのどかな雰囲気も感じてしまうのですが、これがまた相性が良いと言いますか、ボーカルとバンドがちゃんと喧嘩しないで溶け合っているのは聴いていて心地良さがあります。その最たる例が冒頭のタイトルチューン「すべてを音楽にかえる」。ピアノ一本とパーカッションのみの歌い出しから始まってどんどん楽器がレゲエ風のリズムを刻んで重なっていき、最後はコーラス隊も加わって壮大になり盛り上がっていく展開は歌詞も含めて鳥肌モノ。

 全編を通してキャッチーなメロディーと独特の歌声が淡泊すぎず、過剰すぎず、1時間弱の演奏時間もスルっと聴ける良盤。公式MVとしてアップロードされているシングル「自転車乗りの唄」の雰囲気を気に入った方にはその延長線上のアルバムとして、是非お薦めしたい作品ですね。

sasa0053 at 21:54コメント(0)トラックバック(0)CD Review ア行 

2016年11月24日

 昨日、本ブログのユニークアクセスが、来年1月の開設10年目突入を前にして100,000hitsを突破いたしました。
 開設当初はまさかここまで続けられるとは思わなかったのが本音です(笑)。これまでにご来場下さった皆様、相互リンク先の方々にも心より御礼申し上げます。

 さて、そんな昨日はDEENの武道館公演が開催。
 昨日から検索で去年の武道館のライブレポートを辿って本ブログに来訪下さる方が結構いらっしゃいますが、筆者は所用により今年は残念ながら参加できませんでした。
 バラードナイトということでレアなバラードが演奏されたり、アンコールでKYADEENが出たり(笑)なかなか面白そうなステージだったようで。映像商品化を楽しみに待つことにします。

 それでは、改めまして今後とも本ブログをどうぞよろしくお願いいたします。

sasa0053 at 21:07コメント(0)トラックバック(0)雑記・その他 

2016年11月19日

tutu 2016年9月21日発売、TM NETWORKのボーカリスト・宇都宮隆がTMN活動休止期(1992〜1994年)に活動していたソロプロジェクト「T.UTU with The BAND」形態でリリースされた楽曲+αの全29曲を網羅したCD2枚組に加え、当時のライブ映像を収録したDVDをワンパッケージにした、全曲最新リマスター、Blu-spec CD2仕様による3枚組アルバム。

 T.UTU with The BANDはその名の通り、宇都宮隆が率いるロックバンド。メンバーは完全固定ではないものの、葛城哲哉&是永巧一のツインギター、FENCE OF DEFENCEの山田亘のドラム、そして元REBECCA(当時)の土橋安騎夫のキーボードを核に据え、TMN活動休止から「TMN終了」直前までの約2年間、宇都宮のソロワークを担っていました。その後はこの名義での活動はありませんでしたが、今年の秋に22年ぶりの全国ツアーを展開。本作はそれを記念したプロダクトであり、収録内容は活動2年間にリリースされた3枚のシングル、2枚のアルバム、更にビデオに付属していたCDに収録されていた楽曲を一部バージョン違いを除いてすべて収録、その上に当時の未発表カバー曲、2016年に制作された新曲を1曲ずつ収めた全曲集となっています。

 Disc 1は1993年2月発売の1stアルバム「BUTTERFLY」の全10曲、シングルカップリングの「Midnight Calling You」、ビデオ付属CDの中から1曲、ラストに未発表の「シーサイド・バウンド」(ザ・タイガースのカバー曲)を収録の全13曲。ソロデビューシングル「Trouble In Heaven」(のアルバムバージョン)で始まる本作は、宇都宮のルーツであるという正統派ロックサウンドを標榜したような雰囲気の作風。キーボードの音色は90年代初頭…という印象は否めないものの、野性的なボーカルで熱く歌う宇都宮はTMではあまり見せない路線で生音のバンドサウンドと相俟って比較的新鮮。なお、「シーサイド・バウンド」はクレジットによれば1992〜1993年にレコーディングされたそうですが、バンドメンバーは全く異なり、どういった経緯で録音されたのかが不明ですが、ラフなデモ音源的なものではなくしっかりとしたテイクで収められており、これはこれでアリかな、といった感じ。

 Disc 2は1994年1月発売の2ndアルバム「Water Dance」の全13曲、ビデオ付属CDから2曲、さらに新曲の「flow」で構成された全16曲。特筆すべきはバンドのメンバーである石井恭史(コーラス→ベース担当)と宇都宮が共同で作曲を手掛けた「BOYO-BOZO」名義の楽曲が7曲収録されている点なのですが、本作のクレジットではなぜかユニット名ではなく「宇都宮・石井」の連名名義に。そんな話はさておき(?)Disc 1の前作よりも当時の音楽シーンの主流(まあ言ってみればビーイング的な)に接近したポップロックな内容で、打ち込みナンバーや穏やかなバラードもあり、TMフォロワーにはこちらのほうが取っつきやすい楽曲群だと思います。唯一の新曲「flow」は作曲・編曲が初のバンド名義で勢いのある生音サウンドを聴かせてくれています。

 Disc 3はDVD。1994年リリースの日本武道館ライブビデオの完成前映像を初商品化した「THE VIDEO “Live Water Dance” prototype」として全8曲収録。「Hothouse Fruit」以外は既発映像(の編集前映像?)のようですが、当該のビデオは筆者は未見。本作においては純粋にライブパフォーマンス映像をそのまま収録しているようで、音はライン録りがメインなのかあまり会場の臨場感は拾えていないのですが、カット割りもきちっとされており、「普通のライブビデオ」として十分楽しめる内容だと思います。しかしウツを始めとしてメンバーの皆さん、さすがに若いなぁ(笑)。

 「T.UTU with The BAND」で駆け抜けた2年間を総括、ライブ映像も付いて4,000円+税という、ベテランによくありがちな高額ボックス商法が当たり前の時代に良心的な定価も嬉しい本作。願わくば今後のTM関連のリリースがもしあれば、本作に倣った価格設定にしてもらえるとありがたいです、SONYさん(苦笑)。

sasa0053 at 16:09コメント(0)トラックバック(0)CD Review ア行DVD Review 

2016年11月13日

perfumecosmic 2016年4月6日発売、Perfume通算6枚目となるオリジナルアルバム。シングル「Sweet Refrain」「Cling Cling」「Relax In The City」「Pick Me Up」「STAR TRAIN」を含む全14曲収録。本エントリーでは本編CD(通常盤と内容同一)+特典CD+特典Blu-ray(初回限定盤Bでは内容同一のDVD)が厚紙ボックスに収められた初回限定盤Aをご紹介。

 ポップス寄りの楽曲が多かった前々作「JPN」、転じて従来の攻撃的テクノサウンドに重きを置いていた前作「LEVEL3」。本作はこの二作の折衷とでも呼ぶべきでしょうか、アルバム全体で良い意味での「これまでのPerfumeの美味しいところどり」な雰囲気。実質1トラック目のタイトル曲「COSMIC EXPLORER」のドラマチックなイントロのリフにまず耳を惹かれ、軽快かつキャッチーな「Next Stage with YOU」、バキバキのEDMサウンドで歌詞がほとんど無いに等しい実験的な「STORY」、後半に進むとちょっと可愛らしい「Baby Face」「TOKIMEKI LIGHTS」を経て、アッパーな「Pick Me Up」、ラストは「Hold Your Hand」で大団円という流れ。

 新曲が前半に集中、後半はアルバムミックスが複数あるとはいえ既発シングル曲が多いこともあって、ややハーフベスト的な雰囲気も感じられますが、オリジナルアルバムとしては多めの曲数・総演奏収録時間(約1時間)の割りにスムーズに聴ける構成になっています。前々作は好きだったけど前作は攻めすぎてちょっと…という感想だったリスナーにはバランス的にちょうど良い塩梅(?)の作品と呼べるのではないでしょうか。

 初回特典のCDには配信シングルとしてリリースされ、本編にもリミックスで収められた「FLASH」のシングルバージョンと同曲のインスト、そしてメンバーによる1時間弱のラジオ番組を模した「Perfumeのただただラジオが好きだからレイディオ!2」が収録。アルバム収録曲のタイトルを捩った質問コーナーやカルタ大会(笑)、本作を引っ提げたライブツアーへの意気込みなどが聴ける緩く楽しい内容。Blu-rayは「FLASH」「Hold Your Hand」のMVに、2014年発売当時の「Cling Cling」のライブシューティング、更に、昨年末のNHK紅白歌合戦での最新映像技術を大胆に使用して披露された「Pick Me Up」の舞台裏や前日までのリハ、本番でのパフォーマンスを収録したドキュメンタリーが収録。アーティストの出演映像作品をなかなか商品化しないNHKにしては大盤振る舞いな内容で、楽しませてもらいました。

sasa0053 at 16:23コメント(0)トラックバック(0)CD Review ハ行DVD Review 

2016年11月05日

deenkioku 2016年11月2日発売、DEEN名義の「記憶の影」、KYADEEN名義の「遊びにいこう!」の両A面スプリットシングル。通常盤には上記2曲に加え、ボーナストラックが1曲追加収録。初回生産限定盤Aの【DEEN盤】には池森秀一の街歩きドキュメンタリーDVDが、初回生産限定盤Bの【KYADEEN盤】には「遊びにいこう!」のMV+メイキング映像収録のDVDがそれぞれ同梱。本エントリーは通常盤のレビューとなります。

 DEENとしては通算45枚目のシングル作品となる「記憶の影」は作詞が池森、作曲がキーボードの山根、編曲が元GARNET CROWの古井弘人。近年の作風ではやたら歌詞の内容が若かったり、アレンジにEDMを導入してみたりと実験的な面が感じられたのですが、今回は久々のDEEN王道バラード。さらに失恋ソングとなるとシングルでは2009年の「Negai」以来。いつものサポートメンバーによるバンド演奏+ストリングスカルテットも招いて盛り上げる定石っぷりには目新しさはありませんが、安心して聴ける(?)1曲に仕上がっています。

 「遊びにいこう!」DEEN×キャイ〜ン=KYADEEN(キャディ〜ン)の企画作品。先日配信されたニコ生によると、元々はキャイ〜ンのラジオ番組に池森がゲストで出演して意気投合。さらにDEENのA&Rである山口氏が、かつて天野ひろゆきが在籍していたブラックビスケッツの担当だった、という縁もあり、今回のコラボが実現したとのこと。作詞は池森が1コーラス目、天野が2コーラス目を手掛けたそうです。「記憶の影」と対をなす元気なアップテンポナンバーで、ボーカル配分も池森・天野がほぼ半分ずつを担当するなどDEENとキャイ〜ンの両者の扱いはイーブン。元々天野は歌唱力があり、曲自体もネタに走ることなく正統派な作りなのが好印象。なお、ウド鈴木はクレジットによるとコーラス&エアサックスで参加しているようです(笑)。

 通常盤にはボーナストラックとして「Let's Show Time!」がDEEN名義で収録。ゲストミュージシャンを招かず、作編曲を担当した田川がほぼ一人でプログラミング&ギターを弾いたような打ち込みナンバーなのですが、ジャズテイストで歌詞も含めアダルトな雰囲気が最近のDEENとしては異色。大きなライブ会場よりもビルボードライブのオープニングナンバーに似合いそうな好楽曲。AOR期ファンの筆者としてはこういった路線もたまにはやって欲しいと思っていたので嬉しい作品でした。

sasa0053 at 19:09コメント(0)トラックバック(0)CD Review タ行 

2016年10月30日

goingblue 2016年8月24日発売、約2年半ぶりとなるGOING UNDER GROUND通算11枚目のオリジナルアルバム。シングル「the band」を含む全10曲収録。

 昨年1月末でドラムスの河野丈洋が脱退し、メンバー三人となってからの初のオリジナルアルバム。メジャーデビューから2009年まで在籍していたビクターからの発売で、前作や近年発表のシングルはインディーズ流通だったため、久々のメジャー復帰作。プロデュースはバンド名義+サポートキーボードの橋口靖正の連名。クレジットには橋口とドラマーの冨田政彦が「Additional musician」として表記され、レコーディングはメンバー三人+橋口+冨田の5人のみで行われたようです。なお、四人時代の末期にシングルのカップリングとして発売され、アルバム未収録曲だった「スパイス」は新録での収録(Alternative Ver.)。

 「脱・青春」という路線を強調するようなアルバムタイトルの本作。既に四人時代からこういった作風の歌詞は多く見受けられたのですが、キーボードの伊藤洋一が脱退し、ポニーキャニオンに移籍した直後ぐらいの「無理やりにでも前へ!」と大きく舵を切っていた頃から年月を経て、本作では「青春が終わって友達とも別れて、それでも人生の旅は続いていくんだね」(要約)的な、葛藤の時期を越え、「Teenage last」「Driffting Drive」、そして「Soul train」に代表されるように、ようやく地に足を着けた楽曲が多いイメージ。
 アレンジ的には直球パンク調の「天使たち」、モータウン風の「45rpm」、全作品が松本素生の作詞曲である中、橋口が作曲に名を連ねている「天国の口、終わりの楽園」は珍しくベースラインが強調されていたりと、バンドの再出発にあたって落ち着くどころか攻めの姿勢を感じました。ドラムス以外にキーボードやプログラミングも担当していた河野が抜けた影響か、従来にあった上モノ系の音は鳴りを潜め、ギターを軸にしたロックバンド的なアプローチはメジャー初期を彷彿とさせ、CD帯の「2枚目の"ファーストアルバム"である」という煽り文も一回りして原点に立ち返った、という意味なのかも。

 「the band」はシングルとしてはちょっと弱いかな?と思いましたが、バンドの決意表明、というスタンスの楽曲として本作でラストに配置されたと捉えるならば、大きな扱いを受けるシングル表題曲として世に出したのは納得。一方でアルバムタイトル曲の「out of blue」が意図的であろうとはいえヨレヨレのチューニングで収録されたのは勘弁してくれ、と思いましたが(苦笑)、筆者としては「おやすみモンスター」以降では一番気に入ったアルバムになりました。メジャー作品なので大きなレンタル屋では目にしますし(前作は探すの大変だったんですよ・笑)、新生ゴーイングの新たな出だしとしては上々のアルバムだと思います。

sasa0053 at 21:40コメント(0)トラックバック(0)CD Review カ行 

2016年10月23日

hztpianocraze 2016年9月7日発売、ピアノ+ベース+ドラムスで構成されるスリーピース・インストゥルメンタルバンド、H ZETTRIOの3rdオリジナルアルバム。「EXCITING FLIGHT盤」「DYNAMIC FLIGHT盤」の2種形態で発売され、今年2月から6月にかけて配信されたシングル8曲を含む本編12曲は共通、ボーナストラックの13曲目が異なる仕様。本エントリーのレビューは「EXCITING FLIGHT盤」となります。

 2013年末にCDデビューを果たしたH ZETTRIO。メンバーはH ZETT M(ピアノ)、H ZETT NIRE(ベース)、H ZETT KOU(ドラムス)の三名。以前から活動歴のあるH ZETT Mは、設定上はそうではないと否定しているものの(笑)、元PE'Zのヒイズミマサユ機であり元東京事変のH是都Mと同一人物。そしてこれもインタビューなどでは否定されてはいますが(苦笑)、このバンドのメンバー全員が元PE'Z。そんな彼らが配信シングルとして今年3月にリリースした「晴天 -Hale Sola-」が、PE'Zの「Hale no sola sita 〜LA YELLOW SAMBA〜」のカバーとして発表され、本作に収録されていたことから興味を持ち、今回初めて彼らの作品を手に取ってみることにしました。

 既配信曲と新曲で構成された本作、前半はタイトル曲「PIANO CRAZE」を筆頭に、ジャズ的要素を根底にとにかくパワフルなピアノロックが炸裂。元々AZ YOU LIKE(東野純直のトリオ編成)、風味堂、そして→Pia-no-jaC←などの、ギターレスのピアノトリオ編成を好んでよく聴いていたということもあり、筆者のストライクゾーンにドンピシャ。4曲目に収録された先述の「晴天 -Hale Sola-」も、原曲のホーン+ピアノのダブル主役からピアノトリオでカバーするにあたって、ピアノのみらずベースでメロディーを弾くなどの見せ場も作られ、PE'Zのオリジナルを尊重しながらもトリオならではのアプローチで満足の出来。
 ただ、このまま最後まで全力で突っ走られると正直聴く側としては辛いな…と思い始めた辺りの6曲目の「Den-en」以降、終盤にかけては、メロウな楽曲を中心に取り揃え。「ダイナミックにとろけて」ではシンセのブーストっぽい音を使ったり、「MESHI -episode 2-」では途中でラップが登場したり(このラップ、クールな曲とはミスマッチだと思うのですが・笑)と、リスナーを飽きさせない工夫を凝らしつつ、ディズニーライクなマーチ風の「夢と希望のパレード」では賑やかに、本編ラストの「Wonderful Flight」ではアグレッシブに締めと、適度なバリエーションで最後まで楽しませてくれます。ボーナストラックの「炎のランニング」はメンバー各自の一大セッション大会の様相で、アンコール的なポジション。この位置での配置は納得。

 ピアノトリオのバンドは、音色も含めて多彩な表現ができるギター不在の中で如何にバリエーションを作っていくか、という点で、どのバンドも苦心しているようなイメージがあり、彼らもその見えない壁と戦っているような気がします。その成果が本作には表れているのではないでしょうか。現時点では未聴の以前の作品にも興味が沸いてきました。ピアノサウンドが主役のインスト好きの方にお薦めしたい作品です。

sasa0053 at 13:49コメント(0)トラックバック(0)CD Review ア行 

2016年10月16日

nanasetreasure 2015年10月28日発売、デビュー20周年を記念してリリースされた、相川七瀬のキャリア初となるカバーアルバム。全10曲収録。初回限定盤はスリーブケース仕様。

 1995年のデビューから2000年までの彼女のトータルプロデュースを務めた織田哲郎。そんな彼の本人名義の楽曲や、作家として他アーティストに提供した作品をカバーしたのが本作。織田自身は歌詞ブックレットに相川とのツーショット写真が1枚、巻末クレジットに「Very Special Thanks to〜」として名前が記載されているのみで、今回の作品の制作には直接関わっていないようですが、発売直後の相川七瀬のインタビューではアレンジに関して提言をしていたことが彼女の口から語られるなど、間接的には絡んではいるようです。

 選ばれた楽曲は1991〜1995年まで、相川のデビュー直前までに織田が発表してきた作品の中からのセレクト。この時期は彼のビーイング在籍時にあたり、本人名義の「いつまでも変わらぬ愛を」、近藤房之助&織田哲郎名義の「BOMBER GIRL」を除くと8曲中5曲が当時所属のビーイング系のアーティストに提供した楽曲で占められています。また、ゲストボーカルとしてつるの剛士、SHOW-YAの寺田恵子、杏子、中村あゆみが招かれている他、コーラスとしてビーイング関係者である大黒摩季、宇徳敬子、元WANDSの柴崎浩、元the FIELD OF VIEWの浅岡雄也もクレジット。宇徳以外は自身と関わりのある楽曲のコーラスに主に参加。ギタリストの柴崎がギター演奏ではなくコーラスで参加する、というのは少々驚きましたが、アレンジ、演奏自体は当時のビーイングとは関わりのないメンバーで制作されています。

 さて、リアレンジされた楽曲の感想なのですが、上記のインタビューにもありますが、「相川七瀬の良さってものは、パンチがあるっていうこと」という織田のアドバイスに従って、どの曲もエレキギターがバリバリに鳴り、ドラムが隙間を埋めるように響く、ラウドなロックサウンドが炸裂。「チョット」「Precious Summer」など、元々アッパーな曲に関してはコード進行を一部変更するなどして現代的によりビルドアップ、という感想ですが、「碧いうさぎ」「君がいたから」「翼を広げて」などのミディアム〜バラード系の曲でも歌詞に寄り添う気配はほとんどナシで(苦笑)、良くも悪くも「相川七瀬のセールス全盛期のイメージ通り」の仕上がり。これらの原曲のイメージに思い入れがあるリスナーは正直戸惑うと思います。筆者も一聴してちょっとギョッとした曲もあったのですが(笑)、相川七瀬が織田哲郎作品のカバーをする意味、というものを考えて構築した世界、これはこれでアリかな、とも思いました。

 せっかくならば久々に織田哲郎プロデュースの新曲でも1曲ぐらい…とも思いましたが、既に独り立ちを果たし、自分の足で歩き続けている彼女ですから、敢えてそうしなかったのかもしれません。本作、特にサウンド面では賛否両論あるとは思いますが、結構面白いアルバムでした。

sasa0053 at 21:42コメント(0)トラックバック(0)CD Review ア行 

2016年10月11日

keizo25 2016年9月7日発売、中西圭三のデビュー25周年を記念してリリースされた2枚組ベストアルバム。全30曲をリマスターして収録。初回限定盤には初商品化となる全11曲のMVを収録したDVDが付属。本エントリーは通常盤のレビューとなります。

 1991年にデビューし、90年代に男性ポップスシンガーとして活躍、その後は提供作家として地道に活動を続ける中西圭三。ベストアルバム自体はこれまでにシングルコレクション2作、セルフセレクション1作、レーベル主導と思わしきベストが2作と、既に5作がリリースされていますが、本作は彼の25年間の活動をレーベルの垣根を越えて選曲し、基本的に時系列順に並べられたオールタイム・ベスト。各ディスクのラストには新曲が収録されています。なお、これまで彼の作品はパイオニア、ユニバーサル、VAPなどからリリースしてきましたが、今回は今まで個人名義としては一度も関わりのなかったワーナーミュージックからの発売となっています。

 Disc1はデビューから1995年までの楽曲を収録。出世曲「Woman」、代表曲「Ticket To Paradise」「You And I」「眠れぬ想い」「非情階段」など、小西貴雄とタッグを組んでいた活動全盛期の楽曲がズラリ。ダンスビートを基調にしたこの頃が今でも中西のパブリックイメージであると思われますが、「Kiss,Merry X'mas」以降、佐橋佳幸をアレンジャーとして迎え、「SO BAD」などのアコギを前面に押し出した時期の楽曲も収録。この路線、当時はちょっと馴染めなかったのですが、今聴くとこの時期の楽曲も改めて良さを感じられました。

 Disc2は1996年から現在に至るまでのセレクション。小田和正をアレンジャー&コーラスとして迎えた「次の夢」、大御所シンガー、ピーボ・ブライソンとのデュエット「What I Do For Love」、ブレイク前のゴスペラーズをゲストに招いた「WITH」など、コラボレートやバラードシンガー的な側面が目立ってきた時期から、「Choo Choo Train」「タイミング」「ぼよよん行進曲」という提供曲のセルフカバー、AOR要素満載の「Twilight Stream」、死別を歌ったバラード「風雅」など、多種多様な楽曲が選ばれています。後半はリリース時期が飛び飛びになっていることもあり、Disc1ほどの統一感は感じられませんが、彼自身が作詞を手掛けた活動後期の曲も多く含まれており、詞曲を手掛けるソングライターとしての手腕も大いに感じられる内容になっています。

 新曲は全部で3曲。「Goods for you.」「美しい唄」はこれぞ往年の中西節の美メロバラード。「千年の誓い」はケツメイシのRYOをフィーチャリングしたEDMナンバーで現代の音楽シーンに寄せた作品と、ある意味両極端の楽曲を配置。だいぶ待たされた(苦笑)新曲ですが、どの曲も好印象の仕上がりでした。

 欲を言えば車のCMソングに起用された「Precious Love」や、「MUST BE HEAVEN」「HIGHER SELF」などのドラマ関連のシングル曲、現時点での最新アルバム「I'm home」からも選曲して欲しかったところですが、それを言い出すとキリがないので省略(笑)。2000年代突入以降はリリースペースが極端に落ち、かつてのように音楽シーンに頻繁に顔を出す機会も減ってしまいましたが、相変わらずのソウルな歌声やメロディーメイカーぶりの健在を堪能できる、お薦めベストアルバムです。

sasa0053 at 22:19コメント(0)トラックバック(0)CD Review ナ行 
記事検索
Recent Comments
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

Profile
  • ライブドアブログ