2017年01月14日

pjcinema 2016年8月3日発売、→Pia-no-jaC←初の試みとなる、映画音楽カバーアルバム。公式サイトでは通算14枚目のアルバムとしてカウントされ、全6曲を収録。制作にまつわるエピソードを語ったインタビューはこちら。

 基本的にオリジナルアルバム→クラシックのカバーアルバム「EAT A CLASSIC」シリーズを交互にリリースしてきた彼らですが、今回は前作のオリジナルの次に本作を発表するという変則的な流れ。筆者もてっきり次は「EAT A〜」シリーズが来ると思っていたのですが、既にライブで披露している曲も含めて、メンバー二人が選んだ著名映画作品からのサントラ、あるいは主題歌をチョイスして、彼ら流に料理する…という意味では「EAT A〜」シリーズの番外編といったスタンス、と呼ぶべき作品だと思います。

 選ばれた6曲は、ハリー・ポッターやミッション・インポッシブルなどの人気シリーズをはじめ、いわゆるブロックバスター映画からのチョイスということで、映画自体を鑑賞していなくてもどこかで聴き覚えのある曲ばかり。そんな中、原曲を→Pia-no-jaC←ならではの解釈で破壊&再構築する「EAT A〜」シリーズと比べると、彼ら自身がインタビューでも語っていましたが、基本的にはオリジナルのメロディー、リフといった根幹の部分を最大限尊重している演奏スタイル。その点では過去の「Disney Rocks!!!!」に通じる部分もあるかも。
 とはいえ、普遍的なカバーに終わらず、アルマゲドン主題歌の「I DON’T WANT TO MISS A THING」は原曲の重厚さとは異なるポップなアレンジにしたり、「GHOST BUSTERS」では原曲の時代性を感じさせるサウンドから一転、攻撃的なアコースティック調に味付けしつつ、あの有名な雄叫びをしっかりと再現してみたり(笑)と、ピアノとカホン(+叫び)の組み合わせで出来うる最大限の「らしさ」はしっかりと各曲アピールされていると感じました。

 原曲のメロディーの良さも相俟って、お馴染みのサントラナンバーを新たな形で体験できるという意味ではとても楽しいアルバム。トータル25分弱なので、もうちょっと聴いていたい…というところで終わるのが何だか惜しい演奏時間でもあります(笑)。この「Cinema Popcorn」も彼らのレギュラーワークとして定期的に続けて欲しいなぁ、と思える好作品でした。

sasa0053 at 20:26コメント(0)トラックバック(0)CD Review ハ行 

2017年01月09日

smap25 2016年12月21日発売、同年末に28年に及ぶ活動に終止符を打ち解散となったSMAPの3枚組ベストアルバム。全50曲収録。初回限定盤はデジパック仕様+歴代のアーティスト写真(森且行在籍時のショットも満載)やディスコグラフィー、ライブデータなどが両面に掲載された大判のポスター大の紙が封入。

 彼らのCDデビュー25周年を記念し、2016年秋にビクター公式サイトの特設ページからネット投票を募集。その結果の上位50曲を収録したリクエストベスト。ファン投票の結果はこちら。収録順は投票ランク順ではなく、全50曲中、Disc-1は1991〜2000年、Disc-2は2000〜2006年、Disc-3は2006〜2015年にリリースされた楽曲といった時系列順に構成。アルバム初収録のシングル表題曲・カップリング曲が9曲(オリジナルバージョンがアルバム未収録だった「BEST FRIEND」含む)、ツアーの幕間に使用されたという「チョモランマの唄」は初のCD化。

 昨年の8月中旬に年内での解散を発表、それを受けてと思われる今回のリクエストベストということで、投票数第1位となった「STAY」を筆頭に、恋人・友人・家族など、「誰か」との繋がりを歌った曲が多く選出された印象。もちろんデビューシングル「Can't Stop!! -LOVING-」、出世曲「$10」、六人時代の代表曲「がんばりましょう」、ミリオンセラー「夜空ノムコウ」「らいおんハート」「世界に一つだけの花(シングル・ヴァージョン)」など、SMAPの歴史を語る上で欠かせない曲も選ばれてはいますが、投票ではなくセールス面で客観的に選べば収録されたであろう90年代中盤のヒットシングルがごっそりと抜けていたり、活動後期に関してはシングル曲と同じぐらいの割合で一般知名度の低いアルバム曲が選ばれるなど、投票当時の状況を顧みるに投票が偏った結果、「SMAPの25年間の音楽活動の集大成ベスト」とはならなかった感があります。

 とは言うものの、さすが約400曲ほどの中から選ばれた50曲なだけはあり、収録曲は良曲・佳曲が潤沢。筆者は以前にも書いた通りDisc-1の時期に思い入れがあるわけですが、Disc-2、3で初めて耳にして気に入った「SUMMER GATE」「Dawn」「gift」、久し振りに聴いた「世界に〜」のカップリング「僕は君を連れてゆく」はやっぱり良い曲だなぁ、と再確認できたり、「BANG! BANG! バカンス!」は歌詞はアレだけど(笑)トラック自体はカッコ良いよな…とか、国民的路線から脱却して新しい試みへの挑戦がうかがえた「Joy!!」「シャレオツ」「華麗なる逆襲」などの不惑(?)アイドル路線も、解散がなければもっと続いていたのかな…と色々と思いながら聴くことができました。

 SMAPが「アイドルが歌うポップミュージック」に変革をもたらした要因のひとつでもある豪華外国人ミュージシャンによる演奏期(Smappies)のナンバーが1曲も収録されず、アルバム未収録のままのシングル曲もまだまだある、という点で本作はコンプリートベストとは言い難くはありますが、逆に言えばSMAPの楽曲の魅力はこの3枚50曲だけでは収まり切れないよ、という結果であるような気も。生演奏主体の「COOL」「WOOL」、2000年までの全シングル収録の「Smap Vest」と、まだ存在意義を失っていない各ベスト群への扉として、熱心なファン以外にも、特にSMAP未経験者のリスナーが手に取りやすいベストを最後に作ってくれたのはありがたい作品だな、と思います。

sasa0053 at 16:07コメント(0)トラックバック(0)CD Review サ行 

2017年01月01日

 2017年、新年明けましておめでとうございます。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 2016-2017年の年末年始は、三年連続でマニアックナイトを開催したDEENのカウントダウンライブに参加してきました。
 新年のご挨拶代わりと言っては何ですが(笑)、本公演のレポートをご覧下さいませ。続きを読む

sasa0053 at 20:29コメント(2)トラックバック(0)ライブレポート 

2016年12月31日

 あと少しで2016年が終わります。
 今年はブログ開設後100,000ユニークアクセスを達成するなど、長く続けてきたなぁ…との思いを濃くした年でもありました。

 来年は開設10年目(満10年は来年の今頃)に突入しますが、相変わらずの自分のペースで更新していきますので、どうぞよろしくお付き合いください。

 今年一年、ありがとうございました。
 皆様、良いお年を。


 管理人:SASA 拝

sasa0053 at 17:00コメント(0)トラックバック(0)雑記・その他 

2016年12月30日

 本ブログで紹介してきたCDアルバムの年間TOP10を発表する年末恒例企画。
 選定基準は「2015年末〜2016年にリリースされた作品」が対象です。
 例年同様にカウントダウン形式で簡単なコメントと共にご紹介。「続きを読む」からご閲覧ください。続きを読む

sasa0053 at 13:49コメント(0)トラックバック(0)Review (Others) 

2016年12月25日

deenprecious2 年の瀬も押し迫った2016年12月21日に2作目のカップリングベストを発売したDEEN。前作以降の収録範囲である2006年から2015年までにリリースされたシングルのカップリング曲をライブテイクやリミックスを除いて網羅した本作を、今回の「CD Review Extra」では全曲レビューいたします。加えて、初回生産限定盤に付属する昨年のカウントダウンライブの映像を収録したBlu-rayの内容も併せてご紹介。「続きを読む」からご閲覧ください。続きを読む

sasa0053 at 11:25コメント(0)トラックバック(0)CD Review ExtraCD Review タ行 

2016年12月17日

ohgurobest 2016年11月23日発売、6年間の休止期間を経て今年より活動を再開した大黒摩季のオールタイム・ベストアルバム。CD4枚+90年代のMVを収録のDVDを同梱した計5枚組の初回生産限定BIG盤、CD3枚組STANDARD盤の2種で発売。なお、DISC 1〜3はBIG盤、STANDARD盤とも同一内容。今回のレビューはSTANDARD盤となります。

 昨年から所属アーティストに楽曲を提供したり、今年は「d-project with ZARD」にゲストボーカルとして参加したりと、ビーイング関係作品に急接近していた大黒摩季ですが、この度その古巣に正式復帰。離脱後の15年間、いくつかの非公認ベスト盤や、制作の裏側を暴露に近い形でビーイングに晒されてきた彼女だったので、今回の復帰はリスナーとしてはかなり衝撃的だったのですが、インタビュー記事を見る限りでは現在は両者の関係も良好のようで、その復帰第1弾作品はビーイング時代・EMI時代・インディーズ時代までの全活動を網羅した重量級ベストアルバムという形に。STANDARD盤は基本的には全シングル+αを年代ごとにリリース順に48曲収録。

 DISC 1は1991年の正式デビュー前のオムニバス作品に収録された「STAY」から1995年前半までの全17曲。ブレイク作「DA・KA・RA」、「チョット」「別れましょう私から消えましょうあなたから」「あなただけ見つめてる」「夏が来る」「ら・ら・ら」などの代表曲が満載、セールス全盛期ならではの錚々たるラインナップ。公認・非公認のベストアルバムに何度も収録されたお馴染みの曲ばかりで正直新鮮味はないのですが、ダンサブルなナンバーに現代女性の本音ぶっちゃけ路線、という彼女のパブリックイメージを象徴している楽曲がズラリと並んでいるのは壮観。また、「Harlem Night」「白いGradation」は1999年の「BEST OF BEST」以来のCD収録なのが妙に嬉しかったりします(笑)。 

 DISC 2は1995年後半からビーイング離脱第1弾シングル「虹ヲコエテ」をリリースした2001年夏までの全16曲。「熱くなれ」のヒットが突出しており、「愛してます」「あぁ」「アンバランス」のスマッシュヒットはあるものの、セールス的には徐々に目減りしていく時期の作品群ではありますが、「ゲンキダシテ」「空」、そして長らくアルバム未収録だった「ガンバルシカナイジャナイ?!」、アルバム曲「風になれ」などの、バンドサウンド主体のメッセージソングが増えてきた時期でもあり、今回一気にまとめて聴くと3枚のディスクの中では一番好きな音楽性だな、と感じられました。

 DISC 3は2001年後半から活動休止までの2010年、そして2015年に発表された「TAKE OFF 〜SKYMARK,Cheer Up ver.〜」、2016年の配信シングル「Higher↗︎↗︎Higher↗︎↗︎」、そして新曲1曲を収録した全15曲。従来の専属アレンジャーの葉山たけしと離れ、代わって登場したのは小西貴雄、西平彰、本間昭光、武部聡志などの著名アレンジャー陣。基本的にはデジタルロックがメインですが、「胡蝶の夢」などの今まで切られなかったバラードシングルもリリースしたりと色を出しつつ、ビーイング時代よりはインパクトは弱くなったものの極端に路線を変更することなく現在に至る感じ。そして「(夢が)叶わなかったから出会えた仲間や居場所は愛しい」「満たされてないけど温かな愛はある」と現在の自分を肯定した新曲「My Will 〜世界は変えられなくても〜」も今の彼女だから歌えると思わせるミディアムナンバーでお薦め。

 歌詞ブックレットは作品リリース時のアーティスト写真、各楽曲には収録シングルまたはアルバムのジャケット、リリース年月日まで詳細に記載された丁寧仕様。そしてCDケース裏には「All Words & Music:Maki Ohguro」の文字。今までの某スタッフ表記の連発は何だったのか…と思えるほどの元鞘っぷりなのですが(苦笑)これからは環境的にも両者上手く続けていってほしい、と願います。それはさておき、遂に登場のオールタイム・ベストなので、新旧ファン共に是非聴いてもらいたい作品ですね。

sasa0053 at 22:12コメント(0)トラックバック(0)CD Review ア行 

2016年12月11日

4yu 2016年2月3日発売、さかいゆうの通算4枚目となるオリジナルアルバム。EP盤としてリリースされた「サマーアゲイン」、シングル「ジャスミン」を含む全11曲収録。初回生産限定盤には新録を含むカバーアルバムが付属の2枚組。

 コラボベストを挟んで約2年振りのオリジナルアルバムとなった本作。バンドを固定した前々作、feat.名義でゲストアーティストを招くなどの試みが特色でもあった前作に比して、本作は突出したゲストクレジットを設けずに曲ごとに様々なミュージシャンが演奏参加するという、ある意味普遍的な内容。目を引いたのは基本的に全曲さかい自身が編曲を行っていたクレジットが今回は単独名義では11曲中4曲と大幅に減少。既発売の「ジャスミン」は蔦屋好位置、その他Avec Avec、石崎光、mabanuaらが編曲に携わるという試みがなされていた点。

 とは言っても、それによって劇的に彼の楽曲が変わった!ということはなく、ピアノを軸に置いたポップミュージックは今まで通り。軽快に奏でられる「Doki Doki」「WALK ON AIR」、アダルトテイストの「下剋情緒」「愛は微熱」、歌詞に奏法も登場するスローナンバー「あるギタリストの恋」、テーマ性を含んだ「SELFISH JUSTICE」等々、良い意味でのさかいゆうのカタログ見本市のような構成が楽しめる充実の内容。ボーカルにも曲によって微妙に声色を使い分けるなど、以前よりも表現力がついてきたような気がします。全体を通してアップテンポ気味な曲が多いので、最後の「ジャスミン」のバラードの良さがより引き立った、という配置も特筆しておきたいポイントでした。良質のピアノポップスアルバムとして本作もまたお薦めの作品です。

 初回生産限定盤の特典CDは「さかいゆう COVER COLLECTION」。過去に参加したカバーアルバムから7曲+新録の「よさこい鳴子踊り」、そして2015年9月に開催されたビルボードライブからのカバー音源2曲を加えた全10曲収録。どの曲もカバー元のアーティストの著名な楽曲がセレクトされており、「今夜はブギーバック(NICE VOCAL)」(小沢健二 featuring スチャダラパー)はラップ部分が完全カット、ヒップホップ調の装いの「The Stranger」(ビリー・ジョエル)などの変更はありますが、基本的には原曲を尊重したアレンジ。筆者としては以前にも書きましたが本作にも収録された槇原敬之のトリビュートアルバムでの「遠く遠く」が気に入って、ここでさかいゆうに興味を持ったので、今回の収録は嬉しい限り。また、新録として彼の地元である高知県の舞踊曲をファンク風にアレンジした「よさこい鳴子踊り」も洗練された好アレンジ。こちらのCDも聴いて損なしの内容でした。

sasa0053 at 18:28コメント(0)トラックバック(0)CD Review サ行 

2016年12月04日

25THPLAYLIST 2016年11月2日発売、デビュー25周年を記念して企画された広瀬香美のセルフカバーベストアルバム。先行配信シングル「ロマンスの神様 2016」を含む全11曲(うち1曲はカラオケ)収録。初回盤にはリリース当時に制作されていた歴代のMVを22曲+ライブ映像3曲を収録したDVDが同梱の2枚組。本エントリーはCDのみの通常盤のレビューとなります。

 毎年冬になるとヒット曲を中心に手替え品替えのベストアルバムをリリース…という傾向の広瀬香美ですが、今年は少々趣を変え、代表曲6曲のセルフカバー+新曲3曲+アルペンCM起用ソングの新録メドレーを収録という構成。
 セルフカバーから先に紹介していくと、TUBEがアレンジをし、演奏・コーラスにもメンバー全員が参加して、彼らのレパートリー「あ〜夏休み」に酷似のイントロアレンジで意表をつかせるという一発ネタ(?)を披露しつつも基本的には王道バンドアレンジの「ゲレンデがとけるほど恋したい 2016」、ピアノ一本のハネたリズムで弾き語られた「愛があれば大丈夫 2016」、オーケストラを従え70名ものコーラス隊と共に歌い上げる「DEAR...again 2016」、そして90年代後半にアレンジャーとして彼女の作品に多数参加していた本間昭光が久々にアレンジに直接関与した「promise 2016」は小編成のアコースティック編成、「ストロボ 2016」は原曲を基にリメイクを試みるなど、どの曲もオリジナルのエッセンスをある程度尊重しつつ、現代的に再構築した聴き応えのある内容に仕上がっていました。

 新曲3曲はエレクトロ風味の「青い冬ハジマレ」、軽快なミディアム「最高のエンディングを共に」、メロウなバラードの「A Song For Two」。さすがに上記のヒット曲に混じってしまうと、メロディーの冴えに関しては一歩譲るところがあるものの、どの曲も安心して聴ける広瀬香美印のナンバー。そして実質ラストの10曲目「ALPEN MEDLEY90's」は、「ロマンスの神様」から始まり、99年の「恋のベスト10」までを時系列順に、最後は再び「ロマンスの神様」で締めというノンストップメドレー。一定のテンポをキープし続けるので、バラード曲の捻じ込み方には少々強引な面も見受けられますが(苦笑)、「ストロボ」のリズム上で「I Wish」を続けて鳴らす、というのは意外性のある良アイデアだと思います。

 現在の彼女のボーカルスタイルが楽曲発表当時と結構異なっているので、原曲を聴き慣れているとセルフカバーでの歌声には若干違和感がありますが、その「変化」も楽しめる1枚。相変わらず新曲のCD音源での発表の場がベストアルバムの中…という状況ながら、本人が制作にフル稼働している本作はなかなかに楽しめました。

sasa0053 at 13:47コメント(0)トラックバック(0)CD Review ハ行 

2016年11月27日

yasuoburger 2016年4月4日発売、井上ヤスオバーガーの通算4枚目のオリジナルフルアルバム。シングル「自転車乗りの唄」を含む全12曲収録。

 井上ヤスオバーガーは、バンド活動を経て現在はソロとして活動中の京都在住のシンガーソングライター。一年の大半をほぼライブツアーに費やし、全国を渡り歩いて歌い続けているとのこと。基本的にはギター一本で弾き語るライブスタイルなのですが、本作は全曲「井上ヤスオバーガーバンド」なるバンド形態にコーラスやパーカッション、アコーディオンなどのゲストミュージシャンを招いてのバンド演奏。また、収録曲中、既発表音源である「ココロの旗」「シンガーソングライター」は新たに再録されたもののようです。

 そんな彼の作品、一聴して強いインパクトを受けるのはやはりその歌声。やや高めのハスキーなボーカルは、分かりやすく例えるならば真心ブラザーズのYO-KINGの声を少し甘くしたような感じ…と形容すればイメージしていただけるでしょうか。個性的な声質の一方で活舌は良く、歌詞はとても聴き取りやすいという長所があり、「雨が降ってるの?」「君なんかいなくなっても」など、日常の身近な出来事から書き起こした心象風景をリスナー側にダイレクトに伝える役割をしっかりと果たしている「シンガーの声」という印象を受けました。

 楽曲を構成するメロディー自体は親しみやすく、フォーク寄りのロック調といったところ。アレンジ自体も「花と雨の詩」などでは一部打ち込みを導入しつつも、斬新な試みをせずに一般的なバンドスタイルで、アップテンポな曲でも土のようなボーカルと相俟ってどこかのどかな雰囲気も感じてしまうのですが、これがまた相性が良いと言いますか、ボーカルとバンドがちゃんと喧嘩しないで溶け合っているのは聴いていて心地良さがあります。その最たる例が冒頭のタイトルチューン「すべてを音楽にかえる」。ピアノ一本とパーカッションのみの歌い出しから始まってどんどん楽器がレゲエ風のリズムを刻んで重なっていき、最後はコーラス隊も加わって壮大になり盛り上がっていく展開は歌詞も含めて鳥肌モノ。

 全編を通してキャッチーなメロディーと独特の歌声が淡泊すぎず、過剰すぎず、1時間弱の演奏時間もスルっと聴ける良盤。公式MVとしてアップロードされているシングル「自転車乗りの唄」の雰囲気を気に入った方にはその延長線上のアルバムとして、是非お薦めしたい作品ですね。

sasa0053 at 21:54コメント(0)トラックバック(0)CD Review ア行 
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