コマドリスマイル -Robin Williams Unofficial Archive-

since:2014.08/14 名優・ロビン・ウィリアムス(1951-2014)の遺した映画作品を紹介するアーカイブスです。※2016年末、更新終了。

ABOUT -はじめに-

 ロビン・ウィリアムスという俳優をご存知でしょうか。

 ある時はパワフルな熱血教師、またある時はナイーブな医者、さらにある時は独善的な殺人犯、しかしてその正体は・・・常にサービス精神を忘れない、ユーモア溢れる愉快でナイスなおっさん!

 彼のコメディからシリアスまでを幅広くこなす演技力、そして何より時折見せる「100万ドルの笑顔」は、数多くの観客のハートを今までも、そしてこれからも掴んで離さないことでしょう。

 「コマドリスマイル」は2004年にホームページ形式で立ち上げた、ロビンをささやかながら応援するサイトでした。
 諸事情により2010年秋で閉鎖しましたが、2014年8月11日、彼の突然の訃報を受け、「彼がこの世に遺した映画作品を書き留めておこう」と思い立ち、ブログという形で復活させていただきました。

 本人はこの世を去っても、作品は後世まで輝き続けます。
 本ブログが、ロビン・ウィリアムスと共に歩んだ方々、これから知ることになる方々の記憶の一助になることを願って。

 2014年8月14日 管理人:SASA 拝

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち -Good Will Hunting- (1997)

goodwillhunting
監督:ガス・ヴァン・サント
主演:マット・デイモン
共演:ベン・アフレック、ミニー・ドライヴァー

<ロビンの役名:ショーン・マグワイア(大学講師)>
 バンカーヒル・コミュニティー・カレッジにて教鞭を取る心理学講師。同窓のマサチューセッツ工科大学のランボー教授から、同学校の清掃係にして数学の天才的頭脳を持つ青年、ウィル・ハンティングの更生のセラピーを依頼される役。

 過去のトラウマから他人に完全に心を許さないウィル、2年前に愛する妻を失った悲しみを抱えるショーン。両者の孤独をそれぞれ描きながら紆余曲折を経て徐々に打ち解けあい、お互いに新たな一歩を踏み出そうとする前向きな映画作品。ショーンを演じるロビンは助演的な立場から人生を導く「教師」役を、過剰な演技を排して繊細に好演。本作に関しては特に喜怒哀楽の感情を微妙に示す「瞳」の演技が印象的でした。

 本作でロビンはアカデミー賞助演男優賞を受賞。四度目のノミネートにして念願のオスカーが彼の手に握られることに。

 また、ロビンの逝去直後の2014年8月22日、NHK-BSでは追悼の意を表して本作がオンエアされました。

<吹替情報>
 樋浦勉氏が担当。物静かな語り口は氏ならでは。

ハドソン河のモスコー -Moscow On The Hudson- (1984)

moscow
監督:ポール・マザースキー
共演:マリア・コンチータ・アロンゾ、クリーヴァント・デリックス
備考:日本での劇場未公開(ビデオスルー作品)

<ロビンの役名:ウラジミール・イワノフ(サックス奏者)>
 モスクワ国立サーカス団でサックスを吹くロシア人。サーカス団のニューヨーク公演直後に「自由」を求めて百貨店で半ば衝動的(?)に亡命宣言をし、アメリカで自分の居場所を探すことに。

 ロシア人役ということでロシア語を鍛錬しマスターして撮影に臨んだというロビンの若き日の隠れた名作。
 新たな母国で見つけた親友や恋人、周囲を取り巻くほとんどの人々がそれぞれの国から亡命してきた身であり、出身国での倫理感やルール、カルチャーギャップですれ違って行く恋模様もありつつも、基本は穏やかなタッチのコメディ。亡命直後、スーパーに買い物に行った際に棚に並べられた数々のコーヒーの缶を見て感動のあまり気絶するシーンなどもアリ(笑)。
 故郷の人々、家族、サックスへの想いが綴られた作品で、おススメな一本。モスクワ時代ぬぼーっとした容貌だったイワノフが、段々見た目的にも垢抜けて行くのもロビンファンとしては要チェック(?)。ラスト付近、独立記念日の暗唱シーンのくだりは地味ながら心に沁みます。

 ブレイク前の映画ということで、日本では長らくVHSのみのリリースとなっていましたが、2013年にTSUTAYAのDVDオンデマンドサービス「復刻シネマライブラリー」にて取り扱い開始。レンタルには出回りませんが、ロビンファンには是非観て欲しい作品として個人的一押し。

 日本語吹替えは未収録。ロシア語→英語で話が進むので、ストーリー上入れようがない、という措置でしょう。

ナイト ミュージアム -Night at the Museum- (2006)

nightmuseum
監督:ショーン・レヴィ
主演:ベン・ステイラー
共演:ジェイク・チェリー、カーラ・グキノ、ディック・ヴァン・ダイク

<ロビンの役名:セオドア・ルーズベルト大統領(の展示物)>
 主人公・ラリーが夜間警備員として着任した、自然史博物館に展示されているアメリカ第26代大統領の実物大の蝋人形。夜になると動き出す他の展示物が巻き起こす騒動に頭を悩ますラリーにアドバイスを与える役。

 2000年代、いわゆるブロックバスター映画に出演することのなくなったロビンのほぼ唯一と言ってもいい一般的な知名度を持った作品。出番は主演のベン・ステイラーに次いで多く、颯爽と愛馬に跨ってラリーを救出したり、彼に説教じみた(?)助言をしたりと、「人を導く(教師的な)役」という意味では、「いまを生きる」や「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」の系譜に連なる役柄なのかもしれません…強引な論理かもしれませんが(苦笑)。
 威厳を保ちつつ羽目を外したコメディックな演技あり、同じく展示物である先住民族の娘・サカジャウィアに淡い恋心を抱くなどの切ないシーンもありと、助演ながらこれぞロビン!といった彼の魅力が詰まった楽しいファミリー映画。大ヒット作となり、2009年、2014年にはそれぞれ続編が製作され、ロビンも同役で出演しています。

<吹替情報>
 岩崎ひろし氏が担当。いかにも大統領!と言った感じの威厳に満ちた声が実にハマっています。

ビッグホワイト -The Big White- (2005)

bigwhite
監督:マーク・マイロッド
共演:ホリー・ハンター、ウディ・ハレルソン、ティム・ブレイク・ネルソン
備考:日本での劇場未公開(ビデオスルー作品)

<ロビンの役名:ポール・バーネル(旅行代理店社長)>
 アラスカにて旅行代理店業を営む初老の男性役。彼の会社は倒産寸前ながら、トゥーレット症候群という精神病に悩む妻・マーガレットを療養をかねてハワイに連れていきたい、という目標のために、行方不明になって5年になる実弟・レイモンドにかけてあった100万ドルの保険金を死亡扱いという理由で手に入れようとするのだが…?

 殺し屋が出てきたり、他人の死体を偽装したり…と、展開はシュールなサスペンスドラマ、というよりブラックコメディ入っているという感じの映画で、この年代のロビン作品に多く見受けられる、いわゆる観る側を選ぶような作品。ポールが愛妻(ホリー・ハンター)のために奮闘する姿は滑稽でもあり感動的でもあり、どっちつかずかな~という気はしますが、個性的な俳優たちが揃っていて演技の質は全体的に高いです。
 舞台となったアラスカの白銀の風景も美しく、視覚的にも楽しめるのではないでしょうか。

<吹替情報>
 大塚芳忠氏が担当。

バードケージ -The Birdcage- (1996)

birdcage
監督:マイク・ニコルズ
共演:ジーン・ハックマン、ネイサン・レイン、ダイアン・ウィースト

<ロビンの役名:アーマンド・ゴールドマン(ナイトクラブのオーナー)>
 サウスビーチのナイトクラブ「バードケージ」を経営するゲイのオーナー兼演出家。昔、別れた妻との間に出来た二十歳の息子ヴァルが、ガチガチの保守派上院議員を親に持つバーバラと結婚するにあたり、ひと騒動が巻き起こるファミリーコメディ。

 フランスの演劇「Mr.レディ Mr.マダム」をアメリカに舞台を移したリメイク作品ですが、この作品ではロビンは女装しません(笑)。それでも顔にファンデーションを塗り、口ヒゲをたくわえ、光モノを身につけまくる姿は何だかエロい(汗)。演出家役ということもあり、アドリブをかましながらの演技指導シーンが笑えます。もちろん笑わせるシーン以外でも、バーのカウンターで一人悩む場面などの演技も光っていました。
 しかし、そのロビンもキーリー上院議員を演じるジーン・ハックマンも霞んでしまうほど強烈だったのが、ロビンのパートナーを演じるアルバートこと、ネイサン・レインの存在感。彼(彼女?)の熱演を抜きに本作は語れません。ちなみに、バーバラ役で出演したキャリスタ・フロックハートは、後年「アリー my Love」の主役として一躍有名になった女優さんです。

<吹替情報>
 DVD版では安原義人氏が、テレビ吹替では羽佐間道夫氏がそれぞれ担当。

RV -RV- (2006)

rv
監督:バリー・ソネンフェルド
共演:シェリル・ハインズ、ジョジョ、ジョシュ・ハッチャーソン、ジェフ・ダニエルズ
備考:日本での劇場未公開(ビデオスルー作品)

<ロビンの役名:ボブ・マンロー(飲料水販売会社営業)>
 ソーダ会社のやり手(?)営業マンにして二児の父親。愛する妻はいつも傍らにいてくれるものの、思春期に突入した子供たちとのすれ違いの毎日に危機感を覚え、一家でのハワイ旅行を計画する。しかしその直前に上司からの重要なプレゼンテーションを迫られ、苦肉の策として「RVカーをレンタルして家族旅行を兼ねてプレゼン会場のコロラドへ行こう」という作戦に出るが…?

 ロビンが一家の大黒柱を演じるのは「ミセス・ダウト」以来?いわゆるファミリーものから一線を退いていた00年代のロビンにとっては、父親役としても久々のコメディ作品主役(でも日本では劇場未公開…)ということで、全編にわたって彼が大暴走する爆笑オヤジ映画がここに誕生(笑)
 初っ端のシルベスタ・スタローンの声マネに始まり、彼のアドリブ&コメディックな演技を堪能できるロビンファン必見の作品。また、「家族の絆」を笑いを交えて綴っていく物語になっていて、「生活するためには仕事も大切。でもそれも愛する家族のため」と、一人身体を張って慣れないアウトドアライフに奮戦する姿は健気です。なお、結構汚いシーンもあるので鑑賞時はご注意を(苦笑)。

<吹替情報>
 江原正士氏が担当。

ロビン・ウィリアムズのクリスマスの奇跡 -A Merry Christmas Miracle- (2014)

christmas
監督:トリストラム・シャピーロ
共演:ジョエル・マクヘイル、ローレン・グレアム、オリバー・プラット
備考:日本での劇場未公開(ビデオスルー作品)

<ロビンの役名:バージル・ミッチラー(簡易トイレ設置職人)>
 ウィスコン州在住の初老男性。通称「ミッチ」。クリスマスイブに家族を連れて帰省してきた疎遠の息子とは会話する度に喧嘩腰になるほどの犬猿の仲。その二人がある理由から長時間のドライブで息子の住んでいるシカゴまでクリスマスプレゼントを取りにいかなければならなくなったのだが…?

 2014年冬にアメリカで公開、日本では翌年11月に劇場未公開作品としてリリースされた本作は、ロビンの没後に公開された実写映画の中ではこれが最後とされる日本上陸作品。日本でのビデオタイトルには「ロビン・ウィリアムズの~」と彼の名前が冠されていますが、「余命90分の男」「シークレット・ロード」のような単独主演作品というよりも、ジョエル・マクヘイルとのW主演作品というのが実質かも。
 ロビン演じるミッチは飲んだくれの面倒臭い毒舌偏屈親父…という、どうしようもない(苦笑)キャラクター。「余命90分~」といい、ロビンの晩年の作品はこういうタイプの役柄多くないですか^^;。そんな父親を反面教師にして育った息子・ボイドも頭に血が上ると極端にエキサイティングな行動を取る辺りは遺伝子の成せる業か、という気がします(笑)。
 心の底では息子を愛しているけど素直になれずに悪態の繰り返し…という屈折した人物をコメディックに演じる彼の姿を観られるのもこれが最後か…と思うと寂しいものがありますね。全体としてはブラックな部分も散見されて万人受けにはやや弱い作品。ロビンファンはクリスマス前に是非ご鑑賞を。本編終了後のメッセージにも注目。

<吹替情報>
 岩崎ひろし氏が担当。彼が演じるロビンの新作はもう出ないと思いますが、晩年のロビンを演じさせれば天下一品の声優さんだと思います。

パッチ・アダムス -Patch Adams- (1998)

patch
監督:トム・シャドヤック
共演:モニカ・ポッター、ダニエル・ロンドン、フィリップ・シーモア・ホフマン

<ロビンの役名:パッチ・アダムス(医大生)>
 本名ハンター・アダムス。精神科に入院した際に「笑い」が心の癒しになることに気づき、やがて医師を志して医学大学へと入学し、独自の医療方法を模索していく青年(?)役。

 実在の医師パッチ・アダムスの半生を基に描かれた本作。ロビンがパワフルかつ型破りなキャラクターを演ずるという意味では、「グッドモーニング、ベトナム」のラジオDJ、「いまを生きる」の英詩教師の延長線上にある役柄。「ユーモアこそが最良の薬」「死を遅らすよりも質の高い生を」というパッチの信念や、患者に対しての身体の治療のみならず、心のケアを模索する姿勢は素晴らしいと思います。
 ただ、孤独なアウトサイダーであるが故に周りの言うことを全然聞かない(苦笑)唯我独尊的な行動はちょっと目に余るものが。後半の無免許治療や大学病院の備品をくすねるあたりはさすがにマズいのではないでしょうか…(汗)。とはいえ、基本的にはコメディ寄りの作風ということもあり、クスリと笑わせるシーン、ほのぼのとしたシーンも用意され、トータルでは心温まる作品になっています。

<吹替情報>
 原康義氏が担当。
若々しくカッコ良い声が、理想に燃える青年パッチによく似合っています。中でも劇中の「立ち入り禁止なんて、おっかしいよ!」というセリフが妙に学生っぽくて良かった(笑)。

シークレット・ロード -Bovlevard- (2014)

boulevard
監督:ディート・モンティエル
共演:キャシー・ベイカー、ロバート・アギーレ、ボブ・オデンカーク
備考:日本での劇場未公開(ビデオスルー作品)

<ロビンの役名:ノーラン(銀行員)>
 60歳の男性。仕事も順調、長年連れ添った妻とも良好な関係を続けていたが、ある夜、ひょんなアクシデントをきっかけに知り合った青年・レオに何故か心を惹かれ、彼の生活の歯車が少しずつ狂い出す…。

 アメリカでは2014年春の映画祭で初上映。日本ではビデオスルーとなり2015年10月にDVDがリリース。その際に「名優ロビン・ウィリアムズ最後の主演作品」というキャッチコピーが付きましたが、アメリカで同時期に公開された「余命90分の男」にも同じようなコピーがあったような…(笑)。
 壮年の男性が青年との出会いで人生が変わっていく物語…と書くと、ロビンの出演作品の中では「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」が思い浮かびますが、本作はシチュエーションも話の展開も全く異なるので要注意(?)。12歳の頃から自分が同性愛者ということを自覚しつつも妻を愛し続け、堅実な生活を送ってきたにも関わらず、衝動的にそうなるのか?!と、歩んできた年月にしてはいささか性急な展開を見せるのですが、その辺りはもうちょっと描写が欲しかったところです。とりあえず奥さんのお怒りごもっとも(苦笑)。

 なおオリジナルのタイトル「Bovlevard」は大通りの意。ノーランがここでレオと出会って人生が変わるきっかけになったのと、ラストで人生を「道」に喩えるモノローグとに由来したものでしょうか。ただ日本では分かりにくいと判断されたのか、直球なタイトルに変更されています。

 日本語吹き替えは未収録。
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