映画や小説を分析する

約220作、映画や小説に対する感想を書いています。漫画、音楽、絵画についての感想もあります。日本、英語圏、アジアの映画やTVドラマをゆったり楽しんで一休みしています。

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セックス依存症になりました



セックス依存症になりました、という無料で公開されていた当事者が描く漫画を読みました。

チャラ男と呼ばれる男性が苦手で距離をとってきましたが、昔からそうした方々に惹かれる部分があり仲良くなることもありました。距離をとりつつ、何故仲良くなるのか、その理由を分からずにいました。

痴漢をする男性が直感的に、対象を狙い定めるのと同じように、直感的に私は手を出す相手ではないと識別されているようですが、よく相談を受けます。

漫画を読むと、セックス依存症の当事者が感じている心情をわかりやすく理解できる作品だと思いました。 



皆、愛情の喪失を経験していました。

アルコール依存症の父親からの暴力と性的虐待、性の不一致 、不倫からの失職、絶望感を抱いた理由は様々でした。

解離するくらいのトラウマを抱え、そこから抜け出そうとして、コントロール感を取り戻そうとして、誤って依存症に陥っていました。



失った愛情を別の異性に求めてセックスをしてみても、愛情を得られるわけではありませんでした。

人の愛し方を知らない親のもとに生まれると、人を愛せず、親と同じ依存症に陥り、セックスを繰り返してしまうというだけのように見えました。

失恋に対する復讐のように沢山の異性と付き合って、お金を手にしても、コントロール感を取り戻してみても、問題は、自分を大事にする愛し方を知らない、ということの病識がないことだな、と感じました。

自分を大事にできない破滅的なセックスだから避妊など出来ない、という考えには、確かになぁと納得できました。逆に言うと、相手をモノのように利用するセックスだから避妊など出来ないという面もあるのでしょうか。

しかし、「自分とパートナーを守るため避妊具を使おう」と勧めてきた自分の言葉を情けなく思い、相談者の言葉は、この言葉で離れたのかもしれない、と反省しました。

自分を大事になどと言われても、うざいのは、自分を大事にすること慣れておらず、どこから手をつけて良いか戸惑っているからなのかもしれない、と察しました。

同じ立場の満たされない愛情の課題を抱える仲間同志の中で、大事にされなかった自分を受容し、自分や他人を大事にする、愛情の注ぎ方を学ぶ、ということが大事なことなのかな、と考えさせられました。



皆の前で経験を語り合う支え合い、マイノリティな仲間と繋がる安心感は、快楽とは違うベクトルに依存症を抱える患者達を導いていました。

皆の前で自分史を語る曝露療法を眺めていると、恥を伴う性に関するトラウマや慢性的な虐待の後遺症、複雑性PTSDが病理の中心なのかな、と実感できました。

自助会は大変だけれども、病院にいるときより明るく、安定感があり、語り合える仲間を見つけるという経験が大きい、と思えました。

 

良い漫画だな、と思いました。

私は性依存症ではありませんが、性的魅力というよりどこか性依存症の当事者に仲間意識を感じるのは、私も自信が乏しく絶望感を抱いて暮らしてきた犯罪被害者だからかもしれないな、と気付けました。それが周りに伝わってしまう部分があったのでしょうか。

被害者は確かに性依存症を抱える方を非難するかもしれませんが、仲間同士で支え合えたら回復を目指しやすいでしょう。仲間同士で傷つけあい、他の被害者を出さないシステムは、虐待の連鎖を外に広げないという視点で描かれていましたが、そういう面もあるのか、と意外でした。

変わらず、性依存症の方からの相談が私には続いているのですが、長年にわたり満たされない愛情を私一人では満たせません。沢山の人との繋がりや時間の中で満たされ、次の誰かに愛情を注げるブラザーのような存在になっていかれれば、と今は考えています。

それにしても、援助交際や痴漢や下着泥棒などの犯罪絡み、描かれていませんが性感染症の問題、望まない子供が出来る問題や虐待の連鎖については、解決の難しいことだ、と悩んでばかりです。

出来ないことと出来ることを日々見極める力を私も鍛えていきたいものです。


 
 
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武則天 秘史 DVD-BOX1 (7枚組)
リュウ・シャオチン
ビクターエンタテインメント
2015-07-02




総合評価 ⭐️⭐️⭐️⭐️
脚本 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
配役 ⭐️⭐️⭐️⭐︎
演出 ⭐️⭐️⭐️
映像 ⭐️⭐️⭐️⭐️
音楽 ⭐️⭐️⭐️⭐️


 
女性的魅力を使って出世する女性はいつの時代にもいます。

若さは女性の武器。その武器を使って、どこまで出世できるものでしょうか。

キャサリン紀のような王子の妻になることが女性の一番の出世でしょうか?

武則天は、それ以上のことを7世紀にやり遂げてしまいました。豪農の二番目の妻の娘から皇后となり、李一族の唐を乗っとり、自分の国を建国してしまいました。

武則天は、歴史上、最も出世した女性かもしれませんが、そんな勝者は、幸福を手にし、一族で仲睦まじく、至極の人生を送ったのでしょうか?



武則天は、中国史上、唯一の女帝です。

前漢の呂后、清の西太后と並ぶ、中国三大悪女の1人として有名です。

晩年は、謎の僧侶とのセックススキャンダルを起こしたり、若い美男子を侍らせていたりしたそうで、男性が若い女性を侍らせるのに似たようなもので権力を持つと性差はないようにも感じてしまいました。

劇中で武則天は語っていました。女性が男性と同じように権力を手にしても、男性と同じように幸福を感じられる、とは限らないと。そんな権力すら本望でなかったというこの女性は、何故ここまでの権力を握ってしまったのでしょう。

ファン・ヒビンの武則天は長いですが、こちらはまだ短く観やすく、その経緯を説明してくれました。



その理由を私は武則天の生まれや育ちに探してしまいました。

武則天の父親は裕福な軍人として描かれていました。父親は1人目の夫人との間に男児を数人もうけ、妻が亡くなると再婚します。武則天は義兄達にいわれのない虐待を受けて育ったのだといいます。

そこから、宮廷に才人として迎えられます。後宮には、沢山の美人が集まり、王の寵愛を巡り競い合っていました。

武則天は、貴族でもなく身分が低いながら王に見染められかけますが、周りが許すはずがなく、武家が国を乗っ取るという予言が囁かれます。すると、王は武則天を大事にしつつ疎遠にするようになってしまいます。

そんな折、後宮で王の息子と出会います。 女性に弱い王子でした。武則天は、事務処理能力を買われ秘書のように王へ仕えながら、自分に好意を持つ長男でもない彼を王に付ける活動に力を入れ始めます。

王の愛を勝ち取れないと、息子を狙う姿は、可愛くても淡々としていて、幼少期に父親を失い不適切な扱いを受けトラウマでも抱えたのか、と察しました。



王の崩御と共に、武則天は墓に弔われるより寺の尼となり出家する道を選び、女性としての世俗の出世は諦めるためのコースを選びますが、反社会的で反抗的でした。

武則天は、王子様が迎えに来てくれると信じて、僧侶に虐げられながら反抗的に生き永らえ待ちました。

そして、遂に新しい王が寺を訪問すると、人目を偲び寺で子供を産むのでした。さすがに寺で子育てできず、武則天は長男を姉に育ててもらいます。



それから、正妻と側室のバトルを緩和させる名目で、武則天は後宮に呼び戻されますが、側室の地位に甘んじることなく、野心的に勝ち抜いていきました。

王は、正妻の正論に飽き飽きしており、側室の与える音楽やお酒や娯楽に依存していたのです。

そこに、武則天は、安らぎと花、美を王に与え、病弱な王の仕事を手伝い楽をさせることで、王の信頼と愛情を勝ち取り、子供を次々ともうけます。

しかし、正妻と側室がタッグを組み、武則天を陥れ、傷つけ、身の危険を感じさせます。追い込まれた武則天は、生き延びるには打ち勝つ他ないと考えるようになります。

そこで、自分の娘を殺して、その罪を正妻に着せ、側室と共に追放・殺害して正妻の座をえます。娘を殺したことについては、私を守ってくれてありがとうと感謝し、罪や嘘を正当化してしまいます。



成人した息子達は、妻を迎えると、男性優位な時代の在り方を学んだからこそ、理想的な男性社会を実現しようとします。しかし、武則天にあえなく虐げられ、打ち負かされ、武則天が王になりました。

現実の世界では、学問の理想が通じず、武則天に虐げられて息子達は発狂したり、病にかかったり、自殺したりします。

次々と皇太子や王すら所有物のように容易にすげ替えられ、三男の左遷後、言いなりの四男を王に据えた後、武則天が自ら王となり新しい国を建国します。官僚達も大量に粛清される恐怖政治を実現できた人でした。

彼女が築いた幸福な家庭は、確かに暗殺された元正妻や元側室の幽閉された娘達に比べたらマシだったでしょうけれど、勝つことで建国できても、幸福な家庭を築けるとは限らない、と考えさせられました。



王が脳梗塞を起こしたのが、唐を支配された敗因でしょうけれど、親への反発とはいえ、国事を顧みず武則天という女性を選んでしまったのは、性依存症だったのでしょうか。

楊貴妃に傾倒した王も躁病か性依存症なのだろう、と考えたりしますが、女性に容易に操作されやすい王のキャラクターも気になりました。

人を愛せない障害を抱えていたから冷淡に成し遂げられた業績である一方、所有物のような支配や束縛という虐待に夫も息子達も従っても、愛情を感じられず、武則天から逃げ出したり、反抗したりでした。

国の支配という面では恵まれた才能だったとしても、家族の絆という面では、うまくいかないキャラクターだったのだろう、と察しました。



武則天は反社会性人格障害、サイコパスでは、と私は疑ってしまいました。

自分が生き延びるため、という最大限の正当化をして娘に感謝して乗り越えていましたが、普通の人は出世や保身のために娘を殺しません。今の時代なら虐待で犯罪者でしょう。

ただ、こうした軍人にマッチするキャラクターが、冷淡に王の反対勢力を打ち破り、虐げ左遷させてしまえたのでしょう。朝廷で力を得るため、王は武則天をますます利用するようになります。

病弱な王は、脳梗塞を繰り返し、軽い認知症のようになっていき、武則天から権力を取り返すことにことごとく失敗します。遂には、認知症の症状だったのか、性依存症だったのか、王という立場や環境のためなのか、若い女性の愛人を武則天に隠れて次々と探すようになります。

武則天の姉、姪にまで王が手をつけるのは常軌を逸しています。通常なら夫を愛する妻は病みそうな状況です。しかし、姉が正妻に憧れて妊娠したところ武則天の側近に毒殺されました。また、復讐に燃えて王の愛人になった姪も武則天の知恵により毒殺されました。

武則天には運と度量を感じますが、サイコパスだから王の愛情など求めていなかったのではないか、権力を手にするため王を出世の手段に利用しただけではないか、と疑いました。



武則天は、反社会性人格障害のようでした。

正室の権利を侵害し、寺で尼の立場で子供を産む社会的規範に適合しない行動をとり、娘が正室に殺されたと自分の利益のために嘘をつき、衝動的に刃物で自分を傷つけ訴えたり攻撃的で、自分にも息子にもリスクを取らせ、正当化してばかりで責任をもたない。

15歳以前から素行症があったのか、双極性障害ではなかったのか、という点には疑問が残りますが、いずれにしても、精神的に健康な人ではない印象でした。



他の男性の王もそうでしょうけれど、人の上に立つ人材は、正常から偏った存在でもあり、何らかの病理を抱えるものかもしれない、とも考えました。

勝者が常に健康で幸福とは限らず、むしろ病的な人だからこそ周りの人達とは違う偉業を成し遂げるものかもしれません。

他の男性の王達と、統治能力がどれほど優れていたか、という面で比較することが、王の真価を測る術かもしれません。

何かの優れた能力を得ることは、他の何かを犠牲にしていることもあるものかもしれず、王に相応しいキャラクターや精神病理もあるのだろうか、と考えさせられました。




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雨が降ると君は優しい [DVD]
玉山鉄二
ポニーキャニオン
2018-04-25





総合評価 ⭐️⭐️⭐️⭐️
脚本 ⭐️⭐️⭐️⭐️
配役 ⭐️⭐️⭐️
演出 ⭐️⭐️⭐️
映像 ⭐️⭐️⭐️⭐️
音楽 ⭐️⭐️⭐️⭐️

 

「雨が降ると君は優しい」は、野島伸司さんが描いた性依存症を抱える妻と共依存に苦しむ夫の話。

脚本家や小説家、出版業界の闇を描きつつ、一見平和な家庭と、性依存症を抱える妻の裏切りと家族の共依存を描いた作品でした。

私は、よく周りから不倫がバレたなど性の相談を受けます。私は誘われても断ってきましたから不倫をしたこともなく、なぜ性依存症の方々が私を相談相手に選ぶのか、不思議に思っております。



性依存症は、未だ調査が必要で、今は精神障害ではない概念のようですが、研究はなされています。

海外データでは、一般人口の3-6%で、男女差は5:1で男性が多いといいます。学校や職場にも、たまにいます。遠くで苦しまれるうちは同情できますが、近くで巻き込まれると悲劇的なのが、不倫、性依存症でしょう。

性依存症に5つのモデルを提唱する人もいるようです。強迫性障害モデル、衝動コントロールモデル、コントロール不能モデル、依存症モデル、生物学的精神モデル。

性依存症を抱える方の中には、気分障害や不安障害、ADHDや強迫性障害などの精神障害を患う方がおり、重症度などに関わるのだとか。また、性犯罪者やHIV陽性者が高い確率で性依存症を抱えているといいます。

性依存症と呼ぶ前に、双極性障害、認知症、身体表現性障害、物質関連障害を除外する必要もあるのだとか。

性依存症といっても、日本の研究によると、痴漢や盗撮など犯罪が多く含まれ、不倫は10%程度のようなので、不倫に特化した性依存症の治療は、自助会や支援団体などあるようですが、まだまだ手探りな点も多いのかもしれません。



不倫をする側は、快楽を満たして幸福なのでしょうか。

この話ではそうではないようでした。当事者達も、苦しんでいる部分があるかもしれないように見え、だからこそ周りを巻きこんでSOSを出しているのかもしれず、解決策が見つかればと願っております。

性的虐待被害と性依存症との関わりも強く、不安や回避のアタッチメントや復讐の不倫を正当化する方ではサイコパスとの関わりもあるようで、キャラクターの課題もあり一朝一夕に解決する問題ではないでしょう。

それでも、性依存症の治療では、薬物療法に心理療法を組み合わせた方法が一番有効性が高いと考えられているため、認知行動療法やマインドフルネスやゲシュタルト療法などと合わせて対症療法的に支援していくことが大事でしょうか。



さて、このドラマでは、自助会や専門的カウンセリングは出来ていたのでしょうか。

心理士のような精神科医が出てきました。依存症を抱える男性患者と交際してみたり、主人公の夫と共依存脱出と語り寝てみたり、アルコール依存症患者の自助会に主人公を参加させたりしていました。

性依存症だけの自助会や家族会もあるようですが、描かれていませんでした。



配役や演技は、良い面も悪い面もありました。

ピュアな雰囲気のある佐々木希さんが主人公彩を演じたことで、ドロドロしすぎず、さらっとした仕上がりになった印象を受けました。ただ、演技に批判が出た話も理解できる気もしました。実父がメンタルを病み自殺、グレていた時期がある、という佐々木さんの生い立ちが役と重なりました。

玉山鉄二さんを初めて知りましたが、苦悩する演技が目立ち、よい配役だったと思いました。幼少期に過酷な事件に巻き込まれた恐れがあり、常に笑顔の解離性障害を抱えるかもしれない役柄。どんな虐待的な職場でも淡々と生き延びることができていた彼が苦悩する、というのは相当なダメージを察しました。

陣内孝則さん演じるアルコール依存症を抱える男性編集長と共依存に苦しむ精神科医の愛人の話が絡み、病態を知っていてもやめられない強迫的な共依存の一面もよい描写だと思いました。

陣内さんの娘役は、自殺した母親の愛人だった作家に近づき、なぜ母親が家族を捨て自殺したのかに囚われていました。家族も巻き込まれてしまう狂気を感じました。



虐待を受けて育った男女の恋愛には、今までの人生の後遺症が邪魔をするものかもしれず、そんな悪い運命から2人が人里離れた島へ逃れて暮らす選択肢は、確かにトリガーを減らすという依存症治療でしょうけれど、幻想のようでした。

もし、パートナーが性依存症なら、AIDSや梅毒のような性感染症が自分や子供にうつる心配も必要になるので、私なら添い遂げるか戸惑いそうです。それでも戸惑いながら、リスクを受け入れ夫婦生活を続ける人も多いでしょう。

そんなリスクを軽視して、夫妻で不倫を繰り返したり、不倫がバレたり、結婚後も恋愛にスリルを求め続ける方々がいます。家族との関係は不良だったり、支配的な親による虐待を語られたりします。

この話でも、小さい頃に再婚した母親からの虐待を思い出す度、不倫を重ねる妻の姿が描かれていました。虐待を受けた子供達の一部は、自分を傷つけるものですが、性依存症は、自傷の一種なのかもしれないと私は考えています。

猫が身体を擦りよせてくるように、寂しいのか、何かを拭い去りたいだけなのでしょうか。虐待の後遺症から抜け出すには、それなりに時間がかかるものです。歳を重ねるごとに、暴力から離れれば離れるほど落ち着いていく人が多いもので、この話にもそんな部分を感じました。



性依存症を抱えた親のもとで育つ子供もまた過酷な人生を歩む中で、人格に歪みが出るかもしれません。

この話では、主人公達の娘が、小説家となり妖艶ないでたちで、このストーリーを語っていました。幼少期に母親に失踪された影響が出てもおかしくない方だと察しました。

性依存症を抱える親を持つ子供は、親の再婚や新しいパートナーのもとで育たねばならないか、親が失踪すればマイノリティな環境に身を置かねばならず、普通の子供として育ち難さを感じることもあるかもしれません。

自由奔放な親のキャラクターを取り入れ同じように育つか、親を反面教師として禁欲的に育つか、に傾くのだろう、と察しました。親が性的関係を広げれば広げるほど、その土地で暮らし難くなるかもしれず、地に足のつかない暮らしになるのかもしれません。

何があっても生き延びられたら良いと思いますが、大人達の身勝手な恋愛の中で、生き延びていく子供は、親の不倫を許す分、自身や他者の不倫を許すようになり、大変だろう、と同情します。家族や子供へのサポートが早く解明されることを祈ります。

海外には性依存症家族向けワークブックが既に販売されていたため、不倫された家族からの相談も少なくないので翻訳しようと考えています。



赤い虫が動き出すと主人公は不倫を繰り返し、囚われていました。実は、赤い虫は、腕を母親からムチで叩かれたミミズ腫れであり、トラウマがフラッシュバックする度、性的逸脱行動を繰り返していたわけです。

再婚した父親をとられることに実母が嫉妬した虐待。実父を早期に失うとエディプス・コンプレックスも起きず母親を独占できるはずですが、その母親が別の父親を選び自分を虐待したという体験は、想像を超えたショックな出来事で、深い孤独を与え人格形成に影響したことでしょう。

そんな愛情の喪失、回避型アタッチメントのなか、サイコパスのように、可愛いらしい外見により異性との性行為の快楽で孤独を癒される誤った学習をしてしまえば、その後の人生でも性行為の快楽に依存する癖がつくのでしょうか。

よい夫が見つかっても、夫に打ち明けられず、行動化に依存する境界例のようにも見えました。父親不在の影響からか、抑制が効かず内省されるタイプではなく、他罰的に繰り返しておられ、快楽に弱いタイプなのだと察します。コントロール不能型でしょうか。

ただ、安心できる関係性のなか、トラウマを分析家に語り赤い虫を思い出しても痛みや孤独を感じない解釈を暴露していければ違う経過を辿ったのでは、と考えてしまいました。コンテイナーが出来るだけでも落ち着かれそうですが、依存症の夫との関係に悩む不安定な女医はコンテイナーに成り得ませんでした。

そんな女医ばかりではないと思うのですが、この女医は、依存症家族の共依存から二人が抜け出すためだと語り、主人公の夫と不倫してしまいました。夫が主人公を支え続けられたのは、この共依存をする家族同士の支え合いによる罪責感もあったのかもしれませんが、正攻法ではないでしょう。

確かに性依存症は病ではなく、治療法はないかもしれませんが、もっと他に解決策がないのか、と感じました。この話のように刺激の少ない離島に移り住む環境調整により改善する御伽話のようなこともあるのでしょうか。解決するにも時間がかかる問題だった、ということでしょうか。

結局、時間薬、人薬、問題行動を引き起こすトリガー(男性)を取り除くことで回復された方という描き方に見えましたが、やや単純化しすぎた感をうけました。難しいとは思いますが、トラウマを性行為なしで扱えるよう支援できればよかったのではないか、と疑いました。

因みに、不倫を含めた性依存症を抱える方の生い立ちには、幼少期の養育者からの不適切な扱い、トラウマ体験があると考えられているため、そのトラウマを語れた、という関係性だけでも治癒的だったのでしょうか。心療内科のある種の薬には、性欲低下の副作用をもつものもあります。

性依存症のような行動が見られる時、ドパミンやホルモン異常の絡む方もいるかもしれず、薬物療法が解明されればですが、性依存症に対するホルモン療法や薬物治療は一般的ではないようです。恋愛感情を生物学的に説明してしまったら、ドラマになりえず倫理的問題もあるからでしょう。



ある性依存症を疑う知人は、刺激が少ない携帯電波すら届かない山間部に移住しましたが、若い男性が職場に現れるとつい付き合ってしまい、結婚と離婚を繰り返し、違う父親の子供達を育てています。

昔から家庭教師先の生徒を食べたいと語る知人でした。女性に経済力があれば、そんな自由な生き方も、バレない限り社会的に許容されます。山間部に移っても変わりないように見えました。だからこそ男性を支配し操作する社会的成功を求めて、今も戦いキャリアを築ける才能でもあるのだろう、と察します。

本当に依存症であれば、生涯の付き合いになるもののはずです。それから、多数の子孫を残したい欲求は動物本来の本能のようでもあり、やはり病とするのが妥当なのか、戸惑う部分もあります。しかし、周りを病にする精神障害のような社会性の障害という一面を持つ印象を受けます。

その方が持つ弱みと強みをありのままに受容し、周囲で戸惑う人への配慮を促し、背景にトラウマがあるようであればトラウマは性依存しなくても治せることを伝えれば良いのか、と私は考えたりします。共依存関係にある家族支援も必要だと思います。縁を無闇に切れば良いものでもないと思います。

不倫が病かどうかはケースバイケースでも、無視できない重大な家族のトラブルだと考えています。ただ、男性社会では、女性を武器にする頭の良い女性は出世しやすく、こうした生き方もあるのか、と戸惑うこともあります。

今はそんなことを朧げに考えながら、ただただ本人が暮らしやすいよう受容して支援していますが、どうすれば解決する問題なのか、スッキリと割り切れずにいます。そう簡単に一日でよくなるような悩みでもないはずですが、彼らの幸福について考えさせられながら、支援の仕方を学んでおります。



【参考文献】
A cmprehensive Review of psychotherapeutic treatment of sexual addiction. journal of groups in addiction and recovery 2016, 11, 59-71
Predicting percieved infidelity from gender and interpersonal trait. Sexual and relationship therapy 2017, 32, 89-101
性依存症の治療、榎本稔等、2013年、日本アルコール関連問題雑誌、15、100-102


 
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