2017年08月05日

「宮廷女官チャングムの誓い」強者と成功の秘訣 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎



総合評価 ⭐️⭐️⭐️⭐︎
脚本 ⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎
配役 ⭐️⭐️⭐️⭐︎
演出 ⭐️⭐️⭐️⭐︎
映像 ⭐️⭐️⭐︎⭐︎
音楽 ⭐️⭐️⭐️⭐︎

宮廷女官チャングムの誓いを今更ながら観ました。

2000年以降の韓国ドラマで視聴率がトップ2に入るほどの人気作。

宮廷から命を狙われて逃げ延びた女官と武官の娘として百丁という奴婢の村に生まれたチャングムは、弱者の立場に生まれながら、かつては強者だった両親のもと生まれていて、才能をあり余していました。チャングムは男の子に混じりウサギをとったり、文字を学んだりする自由を母親に制限され育ちました。

隠れて無難に弱さを保護色にして生きることから自由を求めたチャングムは、父親に駄々をこねて人前で元武官の力を発揮させたことにより指名手配されていた父親は逮捕され、都で処刑される父親を追った母親を宿敵に殺され、孤児として弱者社会からもあぶれますが、苦難を生き延びて女傑に育っていきます。

抵抗勢力との壮絶な戦いを繰り広げ、強者の怯えや自身の過信を知り、沢山の人の犠牲と沢山の人への貢献により宮廷で最高尚官や王の主治医を務め歴史に名前を残します。結局、チャングムも宮廷を追われて両親と同様に追われながら百丁の村で弱者に紛れて平和な家庭を築きます。

誰もが求める富や権力の虚しさと人と人との愛情の尊さを描いた作品なのかもしれませんが、成功する強者が生まれる秘訣が見てとれるところに魅力を感じました。



チャングムの家庭は複雑な家庭でした。

父親は宮廷の元武官、母親は宮廷の元女官。2人とも宮廷で権力争いに巻き込まれて凄惨な思いを味わい、命を脅かされ疲れ果てていました。

チャングムの母親は無実の罪を着せられ毒を飲まされて野に捨てられた犯罪被害者でした。毒に解毒剤をチャングムの母親の親友が混ぜてくれていたおかげでチャングムの母親は生きのびます。

放送時、人気を博したという友人役はキーセンの親の元に生まれた賎民。男に乱暴されかけた時に大声を出して助けてくれた貧しい両班のチャングムの母親と友人になり宮廷料理人になり、チャングムの母親が陰謀に巻き込まれて命を奪われることを知りながら保身のため戦えなかった弱者でした。

毒をもられながら逃げ延びて川に流されていた弱者の母親と、そこを助けてくれた武官の父親との間にチャングムが生まれます。



チャングムは1人娘で両親から愛情を注がれて育ち自意識が強く、両班の男の子に混じり野山で遊んだり文字を学んだり、受け継いだ才能を豊かに開花させて育ちましたが、いつも犯罪に巻き込まれることを怯える母親に自由を制限され、隠れて暮らすよう言われるので、反発していました。

チャングムの父親は、チャングムに同情しすぎて、自分が実は武官だと漏らしてしまいます。8歳のチャングムは、父親に相撲をするようせがんだ上、父親が戦った相手にはめられて捕まりそうになった時、父親の身分を聴衆の前で叫んで明かしてしまいます。

実はチャングムの父親には燕山君の母親を毒殺する公務に関わった過去があり、燕山君により指名手配されていたため、父親はチャングムのために処刑されてしまいます。韓国史上悪名高い燕山君の時代、燕山君の母親毒殺に僅かでも関わった役人が次々と逮捕され処刑されていた時代でした。

チャングムは母親と村を追われ逃亡して都まで父親の死に目に会おうと追いかけました。しかし都に戻ると、チャングムの母親を殺そうとした宮廷の宿敵であるチェ一族に見つかり、刺客によりチャングムの母親は矢を放たれてチャングムを庇って殺されてしまいます。

8歳の少女チャングムは、母親の死も十分に理解できないながら母親を埋葬し、母親の遺言通り宮女になり母親の無念を晴らすという目的を胸に抱き、孤児として食べ物を盗んで手に入れながら生き延びていきます。そのなかで普通は守るべき社会規範やルールを超えたアウトローな強者になります。



チャングムは食べ物を盗もうと忍びこんだ家で、妻の目を欺き自宅で作った酒を盗む父子に出会い、後の国王に出会い、人生を切り開いていきます。

チャングムはその妻に見つかると、図々しく遺品を差し出し、家に済ませて欲しいと頼み込みます。そして8歳にしてチャングムは朝早くから家事を手伝い、重たいお酒を運ぶ児童労働に励み始めます。

燕山君の治世に反発する権力が謀反を起こす可能性があり後の中宗の家へは誰も近付けませんでしたが、反対勢力にチャングムが目をつけられてしまいます。何も知らずに政権交代に関わったチャングムは反対勢力から報酬をもらいますが、無礼ながら自分を宮女にしてほしいと配達先で直談判して機会をえます。

革命は成功し、中宗の時代が訪れると、チャングムは宮女見習いとして宮殿に呼ばれて生存/出世競争が幕を開けます。



チェ一族にしても、チャングムの恋人にしても、家や親の期待に添い、成績優秀に育った他者評価や社会規範を尊重する弱者のなか悪どいことをしても気にせず生きていた人達だったので、チャングムに畏敬の念を抱き、前者は自分と違う異物を取り除こうと激しく迫害し、後者は自分にはない強者を恋慕します。

チャングムは既に迫害されて1人で生きてきたので社会に排除される恐れなど持っていない上、様々な犯罪レベルの器物破損、拉致、投獄、殺人事件、服役に巻き込まれた経歴によって鋼のように打たれて、より強靭に鍛え上げられていきます。

成功を重ねて過信から失敗もして、宮中の脅迫や懐柔に動じない、王妃に対しても信念を主張できる稀有な存在であり、かつ幼い頃の王との因縁もあり、王に好意を寄せられてチャングムは側室ではなく王医として任命されます。

しかし、王や王妃に必要とされることで、失敗すれば命を失いかねない仕事に常に向き合うことになり、好きな男性は僻地に飛ばされてしまうなか、日々仕事に集中しなければならない重責を彼女は負います。朝鮮の女性のために人生を捧げ、王の死後は命を狙われながらも、家族の元に帰ります。

全力で目前のことに集中できる注意力障害かもしれないレベルの才能と最短で成功を掴み取る遂行能力と、友人や親族、恋人との関係性に支えられた成功を眺めると、チャングムを教えた主女医の語っていた成功者のパターンにそっていました。



強者が生まれる理由と成功の秘訣が詰まったサクセスストーリーでありながら、宮中で出世する虚しさも表現されていて、自分の家族と過ごし支配されすぎず自由に暮らす幸福も描かれていて、チャングムの人生は、女性にとって理想的な生き方に見えて、考えさせられる作品でした。


sasa320 at 10:00│Comments(0)アジア | tvドラマ

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