2017年09月05日

「夢」予知夢 ⭐︎⭐︎⭐︎(⭐︎)

夢 [DVD]
寺尾聰
ワーナー・ホーム・ビデオ
2013-06-26



総合評価 ⭐️⭐️⭐️(⭐︎)
脚本 ⭐️⭐️⭐️⭐︎
配役 ⭐️⭐️⭐️
演出 ⭐️⭐️⭐️
映像 ⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐︎
音楽 ⭐️⭐️⭐️


黒澤明監督の夢を観ました。

美化されすぎた日本の伝統文化に躊躇いつつ、やはり映像美を感じさせる作品でした。

1990年代の日米合作作品では、戦後の帰還兵の苦しみ、利便性のため電力をまかなうため原発に手を染めた国に対する懸念を夢という形で表現されていました。

広島を訪問したオバマ大統領に続き、トランプ政権を迎えた日米関係、北朝鮮が韓国や中国、ロシア、アメリカではなく日本にミサイルを放ち攻撃している戦時中のような緊迫したアジア情勢の2017年を監督は予想さえしなかったことでしょう。



こんな夢を見た。

というスライドに続くエピソードが何篇か集められた作品で、あまりまとまりはありませんでしたが、光景の美しさに目を奪われました。

私は、初めのキツネね嫁入りの光景を1番、素晴らしいと思いました。

次の雛人形が田園に現れる光景も美しかったですし雪山登山中に現れた雪女も日本らしいと思いました。

ゴッホをマーティン・スコセッシ監督が演じていたことや、ゴッホの作品のなかに迷い込むデジタル合成に驚いてしまいました。ウディ・アレン監督の2012年制作ミッド・ナイト・イン・パリには驚きましたが、1990年代に似たような構想で黒澤明監督により撮られていたとは。。

放射線被曝による人の鬼化やタンポポの巨大化。断崖絶壁で放射能に追い詰められた元政治家らしき男性と、庶民の子連れの母親、彼女達を被曝から守ろうとして足掻く庶民の男性を見ていると、東日本大震災の原発事故は、昔から懸念されていたことなのだと気付きました。

利便性を追求する学者達を批判する老人が生きる自然の美しさ。長野県の大王わさび農場の景色は美しく、日本の美しさを幻想と共に切り取ったような描写で幕を閉じていました。



懸念されながら政府や企業が大丈夫だというから信じた庶民の最後を眺めると、2017年9月の北朝鮮からのミサイル発射は、未来から振り返ると、歴史的な開戦予告にならないだろうかと恐ろしく思いました。

別の映画で、ホロコーストを逃れたピアニストを描いた「戦場のピアニスト」という作品を観た時、主人公が家族をホロコーストであっけなく失うことになるなら国に残るより亡命すれば良かったのではないかと思いました。しかし、急激に戦争突入とならない限り逃げるべき時を見失うのだと私は気付きました。

似たような状況を自分が経験しても、才能もない庶民は生き残ることが出来るものなのか。心細いなかで、家族を捨てて亡命することに生き甲斐を確かに感じられないと気付き、自国で目前の出来ることに取り組みながら日々を家族と暮らしていくしかないのかもしれないと思いました。


sasa320 at 20:49│Comments(0)邦画 | ドラマ

コメントする

名前
URL
 
  絵文字