2月20日(月)
3年ぶり石鳥谷町八日市の「つるし雛祭」開催されたため、スタッフの激励を兼ね鑑賞。八日市の「つるし雛祭」はコロナ禍のため中止を余儀なくされていた。
2月21日(火)
議案調査のため岩手県庁へ。
2月22日(水)
達増知事、5選を目指し出馬を表明
二月定例県議会再開、午後1時本会議開会、一般質問初日、各会派による代表質問。
希望いわて=菅野ひろのり、自民党=岩崎友一、いわて新政会=工藤大輔の3議員が登壇、
菅野ひろのり議員の次期知事選への出処進退を問われた達増知事は「次期アクションプランを主導していくため、5選を目指し出馬する」ことを正式に表明した。午後4時45分散会。
2月23日(木)
事務所において明日の一般質問の最終推敲。
2月24日(金)
今期3回目の一般質問に立つ
希望いわて=佐々木順一、自民党=工藤勝子、希望いわて=高橋はじめの3議員が登壇、午後6時9分散会。
今任期三回目の一般質問となった。今回も前回同様、一問一答方式で臨んだ。質問、答弁の全文は下記の通り。
1 令和5年度当初予算について
(1) 令和3年度一般会計歳入歳出決算認定に係る附帯意見について
まず、令和5年度当初予算について伺います。
はじめに、令和3年度一般会計歳入歳出決算に係る附帯意見の取り扱いについてお伺いします。
昨年の9月定例会において、「人口減少対策として、これまでの事業成果が人口の自然増や社会減の克服に結びついていない要因をより詳細に分析した上で、若者の県外流出の抑制や結婚、妊娠、出産、子育て環境の充実などの施策の強化に努めること」など5項目の意見を付け全会一致で決算を認定したところであります。
そもそも、附帯意見は案件の議決に伴い附される条件ではなく、案件の議決に際し、議会が事実上の希望意見を述べるものに過ぎないものであることは承知しておりますが、附帯意見に法的拘束力はないとはいえ、執行部は政治的、道義的にこれを尊重する責務があります。
ついては、決算認定に伴う附帯意見をどう受け止められたのか、また、その認識を踏まえ、本年度予算にどう反映されたのか、お伺いします。
【答弁者:総務部長】
令和3年度一般会計歳入歳出決算認定に係る附帯意見についてでありますが、人口減少対策の強化や行財政研究会の報告書への対応をはじめとする附帯意見について、県議会における議論等を踏まえて、令和5年度当初予算編成において実施可能なものから具体化したところです。
具体的な反映状況ですが、新型コロナウイルス感染症対策や被災者の心のケアなど東日本大震災津波からの復興に係る事業費を確保しつつ、人口減少対策の強化に向けて、第2子以降の3歳未満児に対する、所得制限無しでの保育料等の無償化や在宅育児支援金制度を創設するなど、子育て世帯の経済的支援の拡充を図りました。
また、持続可能な行財政基盤の構築に向けて、グリーンボンドの発行をはじめとするあらゆる歳入確保策や庁内DXの推進等に取り組み、新たに設けた4つの財政目標について全て達成見込みとなるなど、財政健全化を着実に推進しております。
今後においても、県議会における議論等を踏まえ、いわて県民計画の着実な推進に向けた施策を進めて参ります。
(2)令和5年度の予算編成について
次に令和5年度の予算編成について伺います。
予算は、毎年予算編成方針に則って積み上げ方式で行われ、最後は 知事査定でもって総仕上げとなるわけでありますが、現下の県内外の社会経済情勢を踏まえ、どのような考え方で知事査定に臨まれたのか、特に、県民の理解と協力なくして県政を前に進めることはできないわけでありますので、この際、県民の皆様のご協力を仰ぐ事柄があるのであれば、それも含めお伺いします。
【答弁者:知事】
令和5年度の予算編成についてでありますが、現在、人口減少という構造的な課題に加え、新型コロナウイルス感染症という世界共通のパンデミックや、戦後国際秩序を揺るがす戦争に起因する原油価格・物価高騰が、岩手県民の生活や地域経済に影響を与えています。
このような危機をオール岩手で乗り越えていくためには、県民の理解と協力を得ながら、現在策定中の「いわて県民計画(2019~2028)」の第2期アクションプランを着実に推進していく必要があります。
そのような観点から、令和5年度当初予算編成においては、子育てや結婚、進学、スポーツ、仕事、地域活動など、様々な場面において県民一人ひとりが活躍の場を広げていけるよう、人口減少対策をはじめとする重点事項について、事業費で1,060億円を確保するなど、近年にない水準で大胆に予算の重点配分を行いました。
具体的には、全国に先駆けて、第2子以降の3歳未満児を対象とした保育料等の無償化及び月額1万円の在宅育児支援金の支給という、親の所得や就業の有無を問わない普遍的な子育て世帯への経済的支援施策を実施します。
また、あわせて、都道府県では5例目となる全県一律での医療費助成の高校生等への現物給付の拡大、経済的に困窮している高校生への大学等進学支援のための奨学金制度を創設するなど、全国トップレベルの子育て環境の実現に向けた施策を盛り込みました。
様々な場面で活用できる事業を幅広く盛り込んでいることから、一人ひとりの県民が困難を乗り越え、希望を叶えられるよう、これらの事業を契機として自分自身をエンパワーし、活躍の場を広げていくことを期待いたします。
(3) 人口減少を踏まえての県民所得の向上について
人口減少は深刻になっております。22年後の2045年には県の人口は88万人と見込まれており、今後30万人程度減少することになりますが、人口減少が進行する社会の中で、どのようにして県内産業の生産性の向上を図り、利益を確保し、県民所得の向上に繋げようとされているのか、その道筋をお示し願います。
【答弁者:知事】
人口減少が進む中、県民所得の向上を図るためには、農林水産業やものづくり産業をはじめ、産業全般にわたり強固な産業基盤を構築し、質の高い雇用を確保していく必要があります。
そのためには、労働生産性の向上や県内企業の経営力強化に加え、国際競争力の高いものづくり産業、地域の特性や資源を最大限に生かした観光産業や農林水産業など、いわゆる域外市場産業について、地元調達や付加価値を高めながら強化するとともに、商業やサービス業の振興により、地域内経済循環を拡大していくという総合的な産業政策が重要であります。
「いわて県民計画(2019~2028)」第2期アクションプランでは、自動車・半導体関連産業の一層の集積を図るとともに、商工業、観光産業、農林水産業、建設業等、あらゆる産業のDXを促進し、リスキリングを推進するなど、更なる生産性向上や高付加価値化に取り組み、若者・女性が活躍できる職場環境づくりや起業・スタートアップ支援、若者の県内定着のための施策を一層強化することとしております。
これらにより、産業全体の底上げと地域経済の持続的な成長を促し、県民所得の向上につなげてまいります。
2 少子化対策について
(1) 少子化対策の効果が十分でなかった要因の分析について
次に人口減少問題に関連し、少子化問題について伺います。
人口減少問題は静かなる危機と言われておりますが、平成元年の合計特殊出生率「1.57ショック」を踏まえ、国においては「エンゼルプラン」を策定し、平成15年には少子化対策基本法を制定、同法に基づき平成16年には「少子化社会対策大綱」を閣議決定しました。今日まで数次にわたり対策大綱を改訂し取り組みを強化してきておりますけれども、令和3年の合計特殊出生率は1.30を記録、歯止めがまったくかからない状況になっております。
一方、本県においては、1.57ショック時点の合計特殊出生率は1.72で全国平均をかなり上回っておりました。しかしながら岩手県民計画第1期アクションプランにおいて計画目標値、すなわち令和4年度に1.58と定めたにもかかわらず、令和3年度時点の実績は国と同様1.30を記録、意欲的な目標は達成困難な状況にあります。
30年以上の時間と財源を費やしても効果を上げることができなかった原因は多岐にわたると思いますが、主な要因をどう分析されているのか、国レベルと県レベルに分けて、それぞれ簡潔にお示し願います。
【答弁者:保健福祉部長】
少子化対策の効果に係る分析についてでありますが、国では、少子化社会対策大綱において、少子化の主な原因を、未婚化・晩婚化及び有配偶出生率の低下であるとしており、特に、若い世代での未婚率の上昇や初婚年齢の上昇の影響が大きいとしている。
その背景には、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、子育てや教育にかかる費用負担の重さなどがあり、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っているものとしている。
本県では、全国同様、経済的・身体的な負担感に加え、若い女性の社会減を含めた女性人口そのものが減少しているほか、全国に比べて、男性は50歳時の未婚割合が高く、女性は30歳以上の「有配偶出生率」が低い状況にあり、出会いや結婚を取り巻く環境や仕事と子育ての両立の難しさなども少子化に影響を及ぼしているものと考えている。
(2) 子育て支援について
国立社会保障・人口問題研究所の昨年における調査によると、理想の数の子どもを実際に持たない理由として、もっとも選択率が高いのは、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」で、52.6%を占めており、経済的理由が最大の障害になっていることが明らかになっております。
このようなことから本県においても、来年度予算に新規事業として「いわて子育て応援保育料無償化事業費補助」、「いわて子育て応援在宅育児支援金」が、予算化されました。
これらの事業は、市町村と連携して子育て支援を行っていくものでありますが、市町村の事業実施見込みはどうなっていますでしょうか。
また、事業内容をみますと、第1子3歳未満については対象外となっております。
国の制度では住民税非課税世帯のみ無償化になっていることは承知しておりますが、なぜ第1子まで対象に加えなかったのか、ここに踏み込めなかった理由をお伺いします。
【答弁者:保健福祉部長】
子育て支援に係る新規事業についてでありますが、市町村の検討状況については、保育料無償化事業費補助は、実施予定が30市町村、検討中が3市町村、在宅育児支援金は、実施予定が23市町村、検討中が9市町村、実施予定なしが1市町村であるところ。
これら2つの事業については、議員御指摘のとおり、子育てや教育に係る経済的負担が出生数減少の主な要因であり、複数の子どもを養育するには更に負担が増すこと。
また、議員から御紹介のあった調査によると、夫婦の理想の子ども数が2.25人に対して、最終的な出生子ども数は1.90人と、0.35人のギャップがあり、県民の皆さんが、希望する子ども数を実現できる環境を整備していくことが重要であることから、第2子以降を対象として支援を行うこととしたところ。
(3) 異次元の少子化対策について
岸田首相は異次元の少子化対策を表明、予算の倍増を打ち出しましたが、全体像については先送りとなっております。一方、児童手当所得制限の撤廃が検討課題に浮上しております。児童手当は1972年の創設時から所得制限が導入されてきており、民主党政権下の2010年度に子ども手当てに切り替わった際に廃止されたものの自民党政権下で復活し今日に至っております。10年以上の歳月をかけて政権側がやっと追いついたということになりますが、貴重な時間を無駄に費やしたことは残念の極みであり、この程度の対策であれば異次元ではなくて同次元といわざるを得ません。
若い世代が出産をためらうのは子育てや教育にお金がかかるという経済的理由であることが明らかになっている以上、子どもに対する医療費の助成を含め、この際、保育料の完全無償化、学校給食の無償化、各種就学支援制度の所得制限の撤廃、若者に借金を負わせるような奨学金制度にも抜本的にメスを入れる必要があり、できれば高等教育の無償化についても検討すべきと考えます。
異次元の少子化対策を行うのであれば、保育・教育全般の無償化を柱にすえて国の責任で実行に移すべきものと考えますが、知事の御見解をお伺いします。
【答弁者:知事】
異次元の少子化対策についてでありますが、第2期アクションプランにおいては、これまでの成果と課題、市町村長との意見交換や、関係団体等からの御意見・御提言を踏まえ、人口減少対策を最優先で取り組むこととしたところ。
このため、県は、令和5年度当初予算案において、医療費助成の高校生等への現物給付の拡大、第2子以降の3歳未満児を対象とした所得制限を設けない保育料等の無償化や、在宅育児支援金の創設、経済的に困窮している高校生等への大学等進学支援に向けた奨学金の創設など、全国トップレベルの子ども子育て環境の実現に向けた新規事業を盛り込んだところ。
しかしながら、子どもの医療費助成や保育・教育の無償化は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきものであり、また、元厚生労働省幹部による、「子ども保険」により、毎年10兆円規模の財源を確保して総合的に人口戦略を展開するという、まさに異次元の提案もあり、今後においても、全国知事会からの提案と合わせ、国に対し施策の充実・強化を強く働きかけていく。
3 知事の政治観について
(1) 民主主義について
ア 重要政策の決定への国民の関わり方について
政治観全般について知事のお考えをお尋ねしてまいります。
最初に民主主義観についてお伺いいたします。
最近の国政選挙における50%台前半の低投票率に象徴されるように、民主主義が正しく機能しているとはいえない状況にあります。
民主主義の本質的意味とは、権力の行使に「国民の意思」と言う正統性を与えるということと、結果が悪ければ、政権交代(首長も含め)など選挙によって間違った選択を軌道修正することができると言うことが最大の利点であります。もとより有権者が正確な情報に基づいた熟慮により投票先を決めるということを前提にしなければならないことは申すまでもありません。
他方、政治の本質は「権力闘争」と「政策論争」の二つでありますが、最近の国政選挙は「政策論争」は後ろに追いやられ「権力闘争」のみの選択になる傾向が強まっております。すくなくとも国民の権利・義務に直結する問題、あるいは国の行く末を左右する政策転換、例えば敵基地攻撃能力の保有の可否や防衛予算の倍増方針の是非など国論を二分するような重要政策の転換については、あらかじめ選挙において一定の基本方針を示すべきであります。選挙ではまったく触れずに、選挙が終わってから閣議決定のみで進めるという手法は、少なくとも王道とはいえず覇道を意識した取り組みといわざるを得ませんが、知事はどう受け止めておられるのでしょうか。
重要政策の決定に実質的に国民が関わることを奪い取っている現実が政治不信を招いており、こうした進め方が民主主義の劣化をもたらし、やがては危機にいたるものと思いますが、知事の認識をお伺いします。
【答弁者:知事】
国が政策を実行するに当たっては、国民がその気になっていることが重要であります。
地方自治においても、東日本大震災津波からの復興や新型コロナウイルス感染症対策、人口減少対策など、県民・住民の皆さんがその気にならなければ、成功はおぼつかないため、岩手県では県民の皆さんとともに政策を形成し、県民の皆さんとともに政策実行するよう努めてきたところであります。
政府は、国民とともに政策を形成すべきであり、策定される政策は国民の理解と支持に基づいたものでなければなりません。
日本は、議会制民主主義であり、内閣を構成する政党が国民とともに政策を形成するという原則を守るなら、主要な政策は当然、選挙公約として示され、国民の支持を確認した上で、実行されるということになるはずであります。
重要政策について、一部でのみ検討し、国民不在の決定と言われるようになることは、民主主義国ではあってはならないと私も考えます。
イ 民主主義における指導者について
民主的手続きを踏んでも専制を生み出すことがありました。この要因は、政治に携わるものが国民への啓蒙を意図的に疎かにした時、あるいは議会が力を失い大政翼賛会化した時に顕著に現れてきていることは歴史が雄弁に物語っております。
「民主主義は、これまで試みられてきた他の統治形態を除けば、最悪の政治形態である」。この言葉は民主主義と格闘してきた偉大なる政治家の言葉でありますが、民主主義を機能させる基本要件はリーダーの叡智であり、しかも人々の望むものにあわせるだけでなく、将来を見据え実現すべきものを提示してリードする力ではないでしょうか。民主主義の指導者は議会での議論と向き合って練磨され、指導者としての真価が試されていくものと思いますが、知事のお考えをお伺いします。
【答弁者:知事】
民主主義を機能させるには、リーダーが日頃から自らの意志と民意が合致するように努めなければならなりません。
リーダーと国民ないし住民が必要な情報を共有し、ともに現状を分析し、ともに政策を形成し、ともに政策を実行することが求められます。
リーダーは、時には民意に反してでもやるべきことをやらなければならないという論もありますが、先ほどの答弁で述べましたように、政策を成功させるには、国民ないし住民がその気になる必要があります。リーダーはやるべきと考えることを議会を含め、国民ないし住民に納得してもらう努力をし、リーダーの意志と民意を合致させるよう努めるべきと考えます。
政策形成過程においては、様々な異論が出てきて当然であり、議会での議論など、十分なチェックを経て政策は策定されなければなりません。
少数意見も尊重しながら、多数によって支えられ、民意とともにあるのが民主主義の指導者であると考えます。
(2) 政党と国民との関係について
政党と国民との関係について伺います。
わが国の政治体制は議会制民主主義、すなわち、政党政治を踏まえた議院内閣制がとられており、政党が極めて重要な役割を担っております。
政党の使命とは、党の考えに賛同する仲間を募り、総選挙で公約を掲げ、過半数を得て政権を担当し、公約実現に向け、政治道徳の法則に従い、憲法の規範はもとより諸法令にのっとり権力を行使し国民の期待に応える。そしてその福利は国民が享受する。これが政党と国民との健全な関係であると思いますが、知事の見解をお伺いします。
【答弁者:知事】
国民が主権者として日本の在り方を考え、必要な情報を得て現状を分析し、政策を形成してその実現を図るには、一人だけでは困難であり、考えが共通する仲間とともに多数を形成しながら、取り組む必要があります。
そこに民主主義における政党の必要性と必然性があります。
多様な考えを認める民主主義においては、政党が複数あることが当然であり、多数派が与党となりますが、多数であっても間違う可能性は常にある以上、チェック機能を担い、別の選択肢にもなり得る少数政党の存在は不可欠であるともいえます。
与党と野党はセットで機能するものであり、選挙を通じて与党と野党が入れ替わる政権交代も経ながら、主権者国民の民意が、政党を通じて実現していくのが民主主義であります。そのためにも議員ご指摘のような政党と国民の健全な関係が必要で、政党と国民それぞれの精進を期待いたします。
(3) 政治家を志した理由について
ア 外務省への志望動機について
本年度は、岩手県政150周年記念の初年度であります。
県政の来し方を振り返り、行く末を見つめなおすことも大事なことでありますので、達増知事の志や戦後歴代の知事についてお伺いしてまいります。
知事は政治家になる前に、外務省に奉職されました。時期は昭和63年、1988年です。外交官として国家・国民に貢献しようと「青雲の志」を持って入省されたものと思いますが、昭和の末期は内外ともに大変革の兆しが顕著に現れた時代でありました。なぜ外務省を選択されたのか、お伺いします。
【答弁者:知事】
高校時代に、学校の海外派遣事業でアメリカに滞在し、アメリカへの関心が高まるとともに、国際的な仕事に就きたいという思いが生まれました。
大学入学当初は、国際政治学者になりたいと思っておりました。
当時、アメリカとソ連が主導する東西冷戦の緊張が高まる一方、アフリカ等の貧困が深刻化しており、どうすれば国際的な平和の実現や貧困からの脱却ができるか、本を読んだり、授業を受けたり、ゼミで議論したりしていましたが、次第にやってみなければわからないという思いが募り、外交や国際関係の実務への関心が高まっていきました。
そこで、外務省主催の論文・討論コンクールに応募し、外務大臣賞を受賞しました。
受賞者は、東南アジアの国々を視察しましたが、その際、その国に駐在している外務省職員の、相手国の人や文化をリスペクトする姿勢、変化していく課題に対応する姿に感銘を受け、自分もこの仕事をしたい、この人たちと一緒に仕事がしたいと思い、外務省に入省したものであります。
イ 政治の道を志した理由について
平成7年、1995年、知事は政治家を志し外務省を退官されました。在職、わずか7年であります。
何が外交官を捨ててまで政治に挑戦することを決意させたのか、外交官の限界を感じたからとしか想像できないわけでありますが、その心の一端をご披瀝願います。
【答弁者:知事】
私が初めて立候補した平成8年の衆議院議員選挙は、小選挙区制導入後、初めての総選挙であり、日本政治の改革に参画したいという思いと、しばらく離れていた、ふるさと岩手に貢献したいという思いがありました。
また、外交は内政の延長にあり、貿易一つとっても外務省だけで進められることではなく、政治や行政全体で取り組まなければならないという、外務省勤務を通じて感じていた思いも、決意する動機のひとつでありますが、アメリカ留学中にアメリカの歴史や政治制度を学び、極めてダイナミックな民主主義の実態にも触れ、在シンガポール日本大使館勤務中には、小国シンガポールが国民の知恵と力を結集して、生き残りと発展を期する姿を体感し、日本の政治が民主主義の原理原則に基づき、効果的に国民の知恵と力を結集し、日本がダイナミックに発展するよう、日本の政治を変えなければならないという思いも募っていたところであります。
(4) 歴代知事の評価について
先の大戦後、公選制になってから岩手県では初代の国分謙吉知事から達増知事まで7人が知事職を務められております。
うち5人が国会議員経験者、すなわち阿部千一、千田正、中村直、工藤巌、そして達増知事です。
なお、初の公選知事で農民知事と呼ばれた国分知事は、当時の自由、民主両党が推した前の官選知事と社会、共産両党が擁立した候補者に対し、今日でいうなら地域政党と言ってもいいかもしれませんが、岩手農政社をバックとして勝利をおさめております。長靴姿、ズーズー弁で農業政策を語る姿、そして国の支配から解放されたいという希望が多くの県民の共感を得たものと思います。
さて国分知事、千田知事以外は行政経験者でもありますが、千田知事は無所属の立場で参議院議員を3期務められております。政治経歴がなく行政経験のみで知事に就任したのは増田知事お一人ということになります。それぞれ、個性豊かな政治家であり、いずれも「功成り名を遂げられた」方々であります。6人の統治の上に現在の岩手県政が存在するわけでありますが、知事は歴代の知事をどう評価され県政を担当されているのかお伺いします。
【答弁者:知事】
国分知事は、議員御紹介のとおり、農民知事として知られ、農業立県岩手の基盤を築いたほか、県医療局を発足させ、医療体制の確立にも大きな足跡を残しました。
阿部知事は、北上川の治水、五大ダムの建設を成し遂げ、工業立地の基礎固めに尽力するなど、戦後復興を軌道に乗せ、今の岩手の骨格を築いた人物であります。
千田知事は、高度経済成長を背景として「岩手県総合開発計画」に基づき、様々な施策を推進しました。
中村知事は、新幹線、高速道路、花巻空港のジェット化など、高速交通化を軸として岩手を更に発展させ、工藤知事は、ねんりんピックいわてや三陸・海の博覧会などのイベントを成功に導くとともに、県立大学構想を打ち出すなど、教育伸長にも尽力され、増田知事は、地方分権改革や県民の県政への参画推進、全国知事会会長選挙への立候補などにより、いわゆる改革派知事として注目されました。
いずれの知事も、高い土着性と先進性を持って、今日の岩手の礎を築かれた大きな功績があるものと評価しております。
こうした、歴代知事の事績を心にとめ、継承、発展させていくことが重要であり、先人に学び、その知恵を生かすことを常に意識しながら県政運営にあたっているところであります。
(5) 政治信条について
さて、知事の国会議員としての初当選は、平成8年、1996年、初めて小選挙区比例代表並立制のもとで行われた衆議院議員総選挙であります。しかも、政権与党ではなく野党の一員として出馬されております。
その後、衆議院議員4期目の半ばで、平成19年、2007年、当時の野党第一党の民主党の推薦の下で岩手県知事に初当選、2012年、民主党が下野しても知事は、政治基盤を野党サイドに置くとともに、国政選挙にも積極的に関与、野党系候補を支持し続けておられます。
私も千田知事の4期目以降、今日まで、50年弱にわたり歴代の知事の人柄に触れさせていただいてきておりますが、途中で支持基盤を180度変えた方がお二人おります。一人は老獪ともいえる千田知事であります。初当選の際には、社会、共産、民社の3党の推薦を取り付けており、革新知事と言われました。しかし2期目からは自民党も推薦、4期目の選挙では社会党の推薦要請を拒否、これを受け社会党は対抗馬として現職国会議員を擁立しましたがかないませんでした。最後は、自民党にも見限られ、千田県政時代の副知事経験者・中村直候補に県政を明け渡しました。
もう一人は前知事です。新進、公明両党の推薦で初当選を飾った増田知事ですが一期目の時は国政選挙に積極的に関与しましたけれども、以降は音なしの構えを貫き、退任後は華麗なる変身を遂げて現在に至っております。一般的に野党暮らしが長くなればなるほど、明確な思想・信条をお持ちでない政治家は、与党にすり寄るとか、何らかの政治路線の転換を図るのが通例でありますが、知事は国会議員時代から、政治のポジションを反権力側に置き今日まで政治活動をされてきております。知事の揺るぎのない政治信条を貫いているものは何なのか、お伺いします。
【答弁者:知事】
平成8年に衆議院議員総選挙において初当選させていただき、その後、草の根の知恵と力を総結集し、草の根の活動を通じて民意に働きかけ、民意とともに、地方分権、内需拡大型構造改革、国連を中心とした安全保障体制などの新しい政策を実現すべく政治活動を続けてまいりました。
その後、地方の経済、社会が危機的様相を深めていく状況においては、地方を守ることこそ日本にとって必要な最大の改革であり、地方からこそ日本の政治を変えられるのではないかと考え、平成19年に岩手県知事選挙に立候補し、県民の負託をいただきました。
知事としても衆議院議員時代と同じ政治姿勢を続けることが当然と考え、行政の中立を確保しつつ、政治活動は自由に行うことを基本としてまいりました。
この間、達増知事はぶれない政治家として首尾一貫しているとの評価をいただいておりますが、衆議院議員として岩手1区の皆さんや仲間の政治家の方々と一緒にやってきたことは、間違っていなかったし、その路線をさらに進めていくことが岩手県民のためにも日本国民のためにもなるという手ごたえを感じていました。今もそのとおりに感じております。それは学生時代の恩師や外務省時代の先輩・同僚とともに目指してきたことでもあります。
私は今まで一緒にやってきた人たちとの活動に後悔はなく、今まで学んできたことを好んでおりますし、そのような自分自身を裏切りたくないというふうに思っておりますので、その辺に一貫性の基があるのではないかと考えております。
(6) 政治の目的について ※質問なし
4 日本の安全保障について
(1) 敵基地攻撃能力の保有について
次に、日本の安全保障について伺います。
最初に、敵基地攻撃能力の保有の是非についてお伺いします。
今般、政府は、敵基地攻撃能力の保有と倍増を目指す防衛費に法人税、所得税、タバコ税の増税、復興特別所得税の転用、さらには自衛隊の施設整備費への建設国債の発行を閣議決定しました。
敵基地攻撃能力の保有とは、敵が日本を攻撃する構えを見せたときに、敵の弾道ミサイルの発射基地などを直接攻撃する能力を保有することでありますが、一歩間違えば先制攻撃につながりかねません。思えば、2015年に成立した安全保障法制によって平和主義を掲げた憲法9条は瀕死の重症を負いましたが、敵基地攻撃能力を保有することによって、75歳を過ぎ後期高齢者となった憲法・第9条は、臨床経験のない未熟な医師によって脳死宣告を受けたと言っても過言ではない状況に陥ったと思います。
そもそも自衛権行使といえども相手国に自衛隊を出すのは許されず、攻撃的兵器の使用であれば良いという論理は理解不能でありますが、知事の認識をお伺いします。
わが国は「専守防衛」を基本政策に置き、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持し平和国家として歩んでまいりました。この我が国の歩みは、戦後一貫した国是であり、今日、この歩みは国際的な信用資源となり、貴重な外交資産となっております。
我が国を取り巻く安全保障環境が激変したとはいえ、我が国の領土・領空・領海をはるかに越えて、他国の支配下にある特定の場所を攻撃することを、日本国憲法は想定していることなのでしょうか。
古来より「外交とは血を流さない戦争である。軍事的衝突は政治・外交の失敗である」と言われておりますが、この教訓に学び、日本外交は、これまで築き上げてきた「専守防衛」と「平和国家の歩み」という貴重な外交資産を踏まえ、近隣諸国との緊張緩和に努めるべきと思います。外交力とはすなわち交渉力であると思いますが、合わせてお伺いします。
【答弁者:知事】
相手国が発射するミサイルを撃ち落とそうとするミサイル防衛と異なり、ミサイルが発射される前にミサイル発射能力を破壊しようと攻撃することは、国際法違反の先制攻撃とみなされる可能性があります。そのような先制攻撃は、従来の日本国憲法第9条の解釈上、日本政府も一貫して否定してきたと理解しております。
従来の日本国憲法第9条の解釈を変更し、先制攻撃に道を拓くことは東アジア、ひいては世界全体の安全保障に大きな現状変更をもたらすものであり、インド太平洋の平和維持という観点からも適切であるかは疑問であります。
専守防衛を旨とする従来の日本国憲法第9条の解釈こそ、日本を取り巻く安全保障環境を維持し、第2次世界大戦の敗戦国である日本が国際的に信頼され、外交上名誉ある地位を占める前提として機能してきました。
今後も日本は、憲法第9条を重視しながら、外交の輪を広げ、東アジアの安定と国際平和の維持に力を尽くすべきと考えます。
(2) 防衛費について
ア 復興特別所得税の転用について
次に、防衛費について伺います。
電気料金や諸物価の高騰が県民生活を苦しめているにも拘らず、一方的な防衛費の倍増方針も大問題でありますが、この内、復興特別所得税の転用と自衛隊の施設整備費に建設国債を当てることについてお伺いします。
最初に、復興特別所得税の転用についてお伺いします。
政府の方針は、所得税に税額1%を上乗せする新たな付課税を課し、その上で復興特別所得税の税率を現行の2.1%から1%引き下げたうえで、37年までとされていた課税期間を復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さまで延長するというものであります。課税期間を延長するので総額は変わらないと強調されておりますが、復興完遂が先送りされることになり、そもそも被災地の怒りをかうことに思いが至らない想像力の欠如に失望を禁じえません。
被災地の方々の心情を踏まえ、抗議すべきと思いますが、どうお考えでしょうか。
【答弁者:知事】
復興特別所得税は、東日本大震災津波からの復興を図ることを目的に、復興施策に必要な財源を確保するための特別措置として創設されたものである。
昨年末に閣議決定された令和5年度政府税制改正大綱には、復興特別所得税の見直しが盛り込まれたが、「東日本大震災からの復旧・復興に要する財源については、引き続き、責任を持って確実に確保する」こととされている。
一方で、被災地においては、「合理的な説明がないままに、議論が進むのはおかしい」などの声もあると承知しており、こうした政府の決定に不安を感じた方もいるものと考えている。
県としては、こころのケアやコミュニティ形成支援など、被災者一人ひとりの状況に応じたきめ細かい支援、不漁対策等のなりわいの再生などに中長期的に取り組んでいく必要があり、今後とも、被災地における復興施策の確実な推進のため、国民の十分な理解の下、必要な予算・財源を確保するよう、国に強く求めていく。
イ 建設国債の発行について
次に、建設国債の発行について伺います。
財政法第4条は、赤字国債発行の原則禁止と例外的に発行する場 合の国会議決の義務化をうたっております。
これは軍事公債の乱発が無謀な戦争を招き、日本国家を滅亡の淵 まで追いやる財政基盤を提供した、と言う反省を踏まえ制定されたもので、戦争放棄を掲げた憲法9条の裏書と言われております。
このようなことから、歴代政権は、建設国債を防衛費に充当することを厳に慎んできたところであります。
政府の今回の方針は、禁じ手そのものであり、この「蟻の一穴」が戦前のように軍事国債発行に繋がる恐れをはらんでいるものと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
【答弁者:知事】
昭和41年の衆議院大蔵委員会において、当時の福田赳夫大蔵大臣が、防衛費は、消耗的な性格を持ち、国債発行対象にすることは適当でない旨の答弁をしています。
国債発行の対象が広がれば防衛費の拡大に歯止めがきかなくなる懸念もあり、我が国の防衛の在り方については、防衛費倍増ありきのような極端な議論ではなく、国際情勢や近隣諸国との軍事バランスを調査・分析しながら、極力防衛経費のかからない防衛体制を目指し、慎重な議論が進められるべきと考えます。
(3) 憲法と安全保障戦略について
今回の国家安全保障戦略の改訂によって憲法9条の規範性は、ほぼなくなることになります。そもそも憲法は、主権者たる国民が国の統治のあり方を縛る法規範であり、政治と言えどもこれに背くことは許されるものではありません。仮に、憲法9条の平和主義が時代にそぐわず、「戦力」足らざる自衛隊では国を守ることが困難であると考えるのであれば、「解釈改憲」と言う手法ではなく、堂々と正面からそのことを国民に訴え、国民の決意と覚悟を求めるのが政治の王道であると思いますが、知事の見解をお伺いします。
【答弁者:知事】
日本国憲法は平和主義を基本原理とするものであり、第9条は、「国際の平和及び安全を維持する」という国際連合憲章の理念にも合致し、極めて重要な条文であることから、今後とも守るべきものと考えます。
そのような意味では、憲法第9条の趣旨を変更するような提案には賛成できませんが、議員ご指摘のとおり、「解釈改憲」の手法により、国民の支持を得ることなく、憲法第9条の趣旨を変更することはさらに問題であり、あえて憲法第9条の趣旨を変更すべきという立場の政治家や政党は国政選挙などを通じて、主権者国民が十分な情報をもとに議論できるようにする必要があると考えます。
(4) 国民保護法の実効性について
次に、国民保護法の実効性について伺います。
先日も複数回にわたり北朝鮮によるミサイルが発射されましたが、日本の領土、領海に落下又は通過の可能性がある場合、空襲警報ならぬJアラートが鳴り響き、防空頭巾をかぶって窓から離れて身を守ることが推奨されております。しかも、Jアラートが鳴り響くのはミサイルが公海に着弾した後のこと、昨年10月4日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、午前7時27分に北海道などにJアラートが配信されました。しかし、同28~29分ごろに青森県上空を通過、青森県への配信は同29分とのことであります。こうしたドタバタ喜劇が真剣に演じられております。武力攻撃から国民の生命を守ることを最優先に置くという視点がまったく欠落している証左と言ってもいいと思います。
国が定めた武力攻撃事態等の類型の中で弾道ミサイル攻撃に関しても、法律上、県および市町村は国の方針に基づき国民保護計画を定め所要の措置を講ずるよう義務付けられておりますが、この点について、実務責任者である復興防災部長は、国民保護法が現実離れしていることについてどう受け止めているのか。一抹の空しさを感じているのではないかと思いますが、率直なお考えをお伺いします。
【答弁者:復興防災部長】
国民保護法は、弾道ミサイル攻撃等の武力攻撃事態やサリンなど化学剤の大量散布等の緊急対処事態が発生した場合において、国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするため、国・地方公共団体等の責務、住民の避難や救援、武力攻撃災害への対処等の措置を規定している。
このうち、弾道ミサイル攻撃については、発射された段階で、着弾地点を特定することは極めて困難で、かつ、短時間で着弾することが予想されることから、国の指示に基づき、地方公共団体が行う住民への避難指示や実際の住民の避難には、相当な困難が伴うものと考えている。
弾道ミサイル攻撃への対応については、全国瞬時警報システム、いわゆるJアラート等により緊急情報が発信された場合に、県民一人ひとりに速やかに身を守る行動をとっていただくことが何よりも重要であることから、県としては、堅ろうな建物や地下道等の身近な避難施設や避難経路の確認、正確かつ迅速な情報の入手方法などをあらかじめ把握しておくことの重要性などを周知していく。
5 ILCについて
(1) 安全保障への効果について
次に、ILCについて伺います。
ILCの国内誘致が正式決定されれば、その効用は多岐に渡りますが、我が国の安全保障政策にも資するのではないかと思っております。
すなわち、学術的国際機関であることから、軽々に国際機関が立地する国を侵略することができないことは自明であります。仮に我が国を侵略するとなると、国際社会の反撃を受けることを覚悟しなければならず、まさに金のかからないソフト面の現実的かつ有効性のある抑止力になります。5年間で43兆円の国防費に比べれば極めて安上がりになりますが、この点について知事のご見解をお伺いします。
【答弁者:知事】
ILCは、国や地域、言語、宗教などの隔てなく、世界中の研究者、技術者が結集する大型国際研究機関であり、その実現による効果は、立地する地域のみならず世界に及ぶものと考える。
スイスにある欧州原子核研究機構・CERNは、第二次世界大戦で荒廃したヨーロッパを一つにし、科学で平和を生み出すという理念の下に設立されている。
ILCもセルンと同様に世界中の研究者が人類共通の課題に挑戦し、科学を通じた国際貢献、平和構築の場としての役割を果たすものと期待されており、日本でのILCの実現は、アジア初の大型国際研究機関として、我が国が標榜する科学技術立国のシンボルとなり、総合的な安全保障にも資するものと考える。
このような視点は、ILCの立地がもたらすイノベーションの創出と産業の発展、新たな地方創生と東日本大震災津波からの創造的復興などの多様な価値とともに、ILCの実現を強力に訴える力となるものと認識している。
県としては、県内外のILC関係団体等とこうした価値を共有し、更なる国民的な機運の盛り上げを図りながら、国に対し、国家プロジェクトとして政府全体で推進するよう、強く働きかけていく。
(2) 令和5年度の取組について
今月8日に、国際リニアコライダーの東北への建設実現に向けて、岩手、宮城両県の自治体の首長や議会議長のほか関係団体の長などが構成員となって、I
LC実現建設地域期成同盟会が設立されました。
一関市で行われた期成同盟会の設立総会では、ILC建設の早期実現に向け国など関係機関への要望活動を強めていくとともに建設の機運の醸成を図ることが確認されましたが、県では、令和5年度においてILC実現に向けどのような取り組みを進めていこうとしているのかお伺いします。
【答弁者:ILC推進局長】
ILCについては、現在、ICFA・国際将来加速器委員会の下に設置されているIDT・ILC国際推進チームにより、国際協働による研究開発や政府間協議に向けた取組が進められております。
ILCの実現に向けては、こうした研究者の取組みとともに、ILCの有する意義や価値を広く内外に発信し、国民的な機運を盛り上げることが重要と考えています。
令和5年度においては、引き続き、ILCの有する意義や価値を広く発信する講演会やイベント等を、県内外の推進団体とともに実施し、日本誘致に向けた大きな流れを作り出しながら、国に対する働きかけを強化して参りたいと考えております。
また、ILCの実現を見据え、県内企業に対する加速器関連産業への参入支援や技術指導等の取組、建設候補地における持続可能なエコ社会の形成を目指す「グリーンILC」の理解促進などにも取り組んで参ります。
(3) 誘致に係る政府への期待について
ILCは北上山地が世界の候補地に選ばれてから8月で丸10年になります。これまで県はじめ関係機関が受け入れ環境の整備に取り組んできておりますが、政府の誘致検討は、来年度予算が今年度比で倍増になったとはいえ、文科省内にとどまっており、2019年に東京で開催された国際将来加速器委員会において「関心がある」との表明以降、ほとんど進展が見られないのが現状であります。
足踏み状態が続く中で関係各国はしびれを切らしていると伝えられております。例えば、設計に携わってきた有力者は、物理学の会員誌で「別の場所」を探すよう主張する一方、素粒子物理学界の重鎮、リン・エバンス氏に至っては、岩手日報社の取材に対し「世界のフラストレーションは100%に上がった気がする」と述べたといわれております。
このような情勢を踏まえれば、実態は事務レベルの問題を越えており、政治判断を行わなければならないレベルにかなり前から到達しているものと思います。
政府も先ほど述べた専門家の厳しい指摘は耳に入っているものと思いますが、いまだに、国としての誘致表明に至っていないことは極めて残念であります。
ついては、知事は、表明を先送りしてきた政府の態度をどのように受け止めているのか、今、政府は何をなすべきなのか、政府に対する期待を含めお伺いします。
【答弁者:知事】
政府は、平成31年3月のいわゆる「関心表明」以降、数度にわたり関係国との意見交換を行っているが、令和4年2月、第2期有識者会議において、学術的な観点から「時期尚早」と結論づけられたことから、現時点においては、「研究者による取組を推進すべき段階」との立場をとっていると認識している。
現在、IDT・ILC国際推進チームにおいて、国際協働による研究開発や政府間協議に向けた取組が進められているが、昨年10月の超党派国会議連の総会で講演を行ったIDTの中田議長は、意見交換の中で「ILCの建設に向けての技術的な準備は整っている」との考えを述べている。
政府には、日本が世界的に高いプレゼンスを有し、イノベーションの源泉ともなる基礎科学分野の更なる発展を目指した前向きな取組を進め、1日も早く誘致の決断をしていただきたいと考える。
6 旧統一教会について
最後に、旧統一教会問題について伺います。
先の臨時国会で巨額献金に関る被害者救済新法が成立し、現在、宗教法人法に基づく解散命令の是非などが議論されておりますが、核心的問題は放置されたままになっております。
そもそも旧統一教会は、朝鮮戦争休戦後、米国が日本と韓国を「反共の砦」として文鮮明や朴正煕と連携して作られたもので、宗教団体とは似て非なるものであり、岸信介、笹川良一、児玉誉士夫氏は有力な協力者でありました。
すでに昭和30年の保守合同の時点では「勝共、反共」組織として我が国の政界にビルトインされていたことは紛れもない事実であります。
問題なのは、この外国系の団体が秘書を送り込むなど日本の政治工作に不明朗な形で関与してきたこと、さらには、日本国内で不適切に集められた資金が日本の国益に反する目的で世界にばら撒かれていることであります。
毎年数百億円もの巨額な資金が旧統一教会から韓国に流出しており、累計で数千億円にも上ると言われております。
ついては、なぜ旧統一教会による被害が日本においてのみ多額になっているのかを含め、旧統一教会の歴史的な背景を究明し、その内容を公に提示しなければ、この問題は終結しないと思いますが、知事の認識をお伺いします。
【答弁者:知事】
いわゆる旧統一教会問題は、非人道的な金集めや非人道的な信者の処遇によって、健康で文化的な最低限度の生活を奪われるなど、基本的人権の侵害と言えるような看過し得ない被害を多くの人々が受けており、それら被害者の救済と被害の防止が極めて重要であります。
被害者の救済と被害の防止のためにも旧統一教会とその関連団体がどのようにして成立し、拡大していったのか、その間の政治との関わりも含めて事実関係が明らかにされる必要があります。
まして旧統一教会とその関連団体の活動を通じて、多くの日本国民が海外に移り住み、非人道的な状態に置かれていること、巨額の資金が日本から海外に移されていることなど、国家の治安や安全保障に関わる重大問題でもあり、事実関係の究明は国会による調査など、国の正式な機関が全力で行うべきものであります。
そのような国の調査が行われ、事実関係が明らかになり、一日も早く問題の根本解決に繋がることを期待します。
【再質問:6 旧統一教会について】
1970年代後半のロッキード事件、1980年代後半のリクルート事件の際は、国会に特別調査委員会を設置するなど、国会の自浄能力により、国民の政治不信解消に活動してきた。 旧統一教会問題は、これに匹敵するような問題であるが、知事はどのように受け止めているか伺う。
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【答弁者:知事】
ロッキード事件、リクルート事件もかなり広範に政界や行政、また民間大企業の間に広がった問題でしたが、実はいわゆる旧統一教会問題の方が、関与する政治家の数が多く、中央のみならず地方の政治にも広がり、そして、その成立から活動が行われてきた時間の長さにおいても、過去の様々な疑獄事件をはるかに凌駕する、日本の戦後の政治のかなりの部分を占める非常に大きな問題であるがゆえに、未だにまだ、どのようにそれに取り組むべきかということについて、国民も何が何だかわからないというような、非常に不安で、とても良くないことが今、目の前にあるという感じは持ちつつも、誰がどのようにこれを解決していくのかという見通しが全くない中、一部のずっとそれに張り付いていたジャーナリストの発言ばかりが報道され、そこにマスコミもそれなりに付いていくような形で、まだまだ国民に情報が共有されず、そして国民的にどうすべきかという意思決定もされないでいるところなのだと思いますが、これをきちんと解決しないままでは、日本の政治というのは、大きく戦後政治というものが崩れていくような状況にあると思います。
逆にこれを根本的に正すことで、日本の戦後政治が誤った方向に来たということを根本に戻って正し、これは戦前の大正デモクラシー、原敬首相が実現した日本の国民は本来きちんとしたデモクラシーを自分たちでつくれるという原点に立ち返って、日本の政治をやり直すことに繋がると思いますので、我々は必ずそれを成し遂げなければならないと思います。
2月25日(土)~26日(日)
休暇
2月27日(月)
自民党=神崎浩、希望いわて=岩渕誠、自民党=臼澤勉の3議員が登壇、午後6時19分散会。
2月28日(火)
二月定例県議会、午後1時本会議開会、一般質問四日目。
いわて新政会=千葉盛、自民党=佐々木宣和、いわて県民クラブ=工藤勝博の3議員が登壇、午後5時27分散会。