佐々木智弘の今度は北京で「中国新政治を読む」

今度は北京で中国政治の新しい動きを見つけ、 私の見方を紹介します (since 2011.9.1)

2011年11月

 ★今日の『人民日報』★では、中国共産党の動きを伝える機関紙『人民日報』の中から、私が注目する記事を紹介し、私の見方を紹介します
 ★私の宣伝★では、私が書いたものが掲載された書籍などを宣伝します
「官方」サイト公開中:佐々木智弘の「中国新政治を読む」http://hw001.wh.qit.ne.jp/sasaki-zuo/

社会管理工作の強化、創新で「政法族」が台頭(今日の『人民日報』-20111129)

 江蘇省南通市で全国加強和創新社会管理工作座談会が開かれた。王建国(全人代副主任)中央社会管理綜合治理委副主任が主催し、王楽泉同副主任が社会管理の強化、創新で実現すべき4項目を提起している。 
  (1)「社会管理の社会化の実現」:党委員会の指導、政府の責任負担を強化し、人民群衆の主体作用を十分発揮し、群衆傘下と社会管理のチャネルと型式をたえず豊かにし、経済協作組織、公益互助組織、群衆自治組織の育成に力を入れ、群衆組織を有効に組織し、社会管理サービスに秩序を持って参加させる
  (2)「社会管理の法制化の実現」法治国家を堅持し、法に基づく管理サービスを理念とする社会管理サービスを終始貫き、関連の法律と法規、政策制度の整備を重視し、さらに多くの法律手段を運用して社会管理を強化し、創新する
  (3)「社会管理の専業化の実現」:社会事務の多様化、複雑化の新状況に順応し、社会管理の科学化した分担、専業化した運用、職業化した管理という新しい考え方をもって、専業プラットフォーム、専業隊伍、専門機構、専門メカニズムの構築をさらに推進する
  (4)「社会管理の情報化の実現」:情報化の時代の潮流に順応し、社会管理情報メカニズム構築の推進に大いに力を入れ、近代的科学技術の社会管理への応用を積極的に進め、各領域で高効率で素早い社会管理サービスの新モデルを構築する

 中央社会管理綜合治理委員会が主催する全国加強和創新社会管理工作に関する会議を各地で展開している。
 11月24~25日 四川省徳陽市で工作会議:副主任の回良玉中央政治局委員兼副総理、銭運録全国政協副秘書長
 11月26日 湖北省宜昌市で工作座談会:副主任の劉雲山中央政治局委員兼党中央宣伝部長、孟建柱公安部長
 11月28~29日 江蘇省南通市で工作座談会:副主任の王楽泉中央政治局委員、王建国全人代副主任
 末端社会の新しい統治システムの構築という中国共産党にとって喫緊の課題への対応として、「社会管理の強化、創新」という政治キャンペーンが展開されている。
 王楽泉の発言からも、群衆、社会に依拠することが強調されているが、あくまでも党委員会の指導のもとでのものであり、社会統治のシステムの再構築であることを忘れてはならない。自治だの自主だのそんなきれいごとではない。
 そうした理念的な意図もさることながら、このキャンペーンには権力闘争の臭いがぷんぷんする。主導権を握っているのが「中央社会管理総合治理委員会」。周永康中央政治局常務委員を筆頭に、ここに挙げただけでも6人の副主任がいて、そのうち3人が中央政治局委員というのは、党内でも一定の発言権を有するグループといえる。太子党とも、共青団とも違う、「政法族」とも呼べるような一大勢力のようだ。この委員会が、今各地で工作会議、工作座談会を開催しているのは目立つ。

呉敬璉の胡錦濤政権批判を掲載(今日の『人民日報』-20111128-2)

 呉敬璉の発言が掲載された。しかも写真入りで大きい扱いだ。そのタイトルは「政府は十分な情報を把握することができない」。注目した部分は以下の通り。
 -「追随者から先行集団の一員となって、主要な技術においては(海外に依存するのではなく)ある程度創新しなければならない」
 -「現在一部の企業が困難に直面したとき、まず思いつくことは政府に支持の力の入れ具合を拡大するよう希望することである。長期的、全局的角度から見て、これは問題解決の方法ではない。政府は十分な情報を把握することはできないこと、または執行する官員による利益の誤った誘導によって、政府の政策は個別企業や個別産業に有利に傾き、国民経済の全体的な利益を侵してきた。政府は『守』らなければならない産業を確定し『特殊政策』を実施し、いつも業界を大騒ぎさせた。過剰生産を待って、政府の反応は『守る』から『制御する』に転換してきた。現在一部の産業は戦略的新興産業に確定されて1年経っていないが、すでに『熱』から『冷』に変化し、前途が予想できない」
 -「改革を改革を推進し、企業のために良好な経営環境を創造し。公共財を提供しなければならない」
 -「過去8、9年で、何度も政府工作報告が指摘した:政府は多くの管理すべきでないこと、うまく管理できないことを管理してきた。そして一部の管理すべきことを管理していないし、うまく管理できていない。改善が必要である」

 先日も、『第一財経日報』と『京華時報』に掲載された呉敬璉の胡錦濤政権批判を紹介した。今回とうとう『人民日報』が呉敬璉の胡錦濤政権批判を掲載した。「過去8、9年」のあいだ、胡錦濤政権が何の経済改革、とりわけ経済構造転換の手を打ってこなかったことへの痛烈な批判である。さあ、「左」派はどう出るか。明日以降、『人民日報』は「左」派の主張をどう取り上げるか。

 「必ずしも経済成長速度の緩和を憂慮しすぎるな」と題する記者の分析記事も掲載されている。小見出しは以下の通り。
  (1)必ずしも緊迫していない:将来の経済成長速度が落ち込んでも、安定した態勢を示しており、速すぎる落ち込みは出現していない
  (2)構造調整の機会は得がたい:中国経済の基本面は確かであり、経済成長速度の緩和は構造調整の絶好の機会である
  (3)短期よりも長期をさらに重視しなければならない:短期的問題に過度に注目して長期的問題の解決に影響させてはならない。しっかりと改革と構造調整の歩調を進めなければならない
 首都対外経済貿易大学経済学院院長の張連城の「わが国の経済情勢とマクロコントロール」と題する文章も掲載されている。主な主張は次のようなもの。
  -「マクロコントロールの強化、改善を通じて、経済の強く安定した成長を維持しなければならない」
  -「これから数年経済の拡張期に突入するのに伴い、価格水準は上昇の趨勢にある。経済過熱と高すぎるインフレの抑制がマクロコントロールの主要な任務である。同時に、鋭く、正確に経済情勢に出現する趨勢的な変化を理解し、マクロ経済政策の適応性、柔軟性、展望を重視し、適時適度の調整準備と微調整を進めなければならない。これが経済に大きなアップダウンが出現することを防止する重要な条件である」

 どちらも中央経済工作会議に向けた世論誘導記事に見られる。

李克強が保障性住宅建設プロジェクトで指示(今日の『人民日報』-20111128)

 李克強が河北省廊坊市を訪問し、保障性安居工程建設工作を視察した。そして「質が命、公開こそが公平である」「プロジェクトの質の確保をいささかもゆるがせにしない。オープンで透明度の高いやり方が公平な分配を実現する」と強調した。
 訪問先で、保障性住宅建設現場座談会を開催し、講話を行った。注目した発言は次の通り。
 -「各地は、統一的に計画し、項目配置、資金の統一的措置、土地の確保などの工作を立派に行う。政府投資を増やし、金融支持を拡大し、融資チャネルを拡張し、経営モデルの創新を通じて、社会資金を引き入れ、保障住宅、特に公的賃貸住宅建設領域に進まなければならない。住宅建設データ統計を整備しなければならない。土地の事情に合わせて適当な方法をとって、有効な運営管理メカニズムを構築して、すでに建設された保障性住宅とセット施設が正常で持続可能な運行を行うようにする」
 -「保障性住宅の用地を計画単列にすることをしっかり検討し、債券などの方法を通じた資本金の統一的な調達メカニズムを検討し、保障住宅に必要な市政のセット設備推進しなければならない」
 -「不動産価格の速すぎる上昇を抑制する政策措置を堅持し、コントロールの成果をさらに強固にしなければならない。引き続き住宅供給体系を整備し、・・・中低価格、中小家庭向け普通商品住宅の供給を増やす」

 今年の中央指導者の地方視察では、必ずといっていいほど保障性住宅の建設現場を訪れ、重視している姿勢をアピールする。しかし今回の李克強の視察は、これに特化した視察で、しかも現地で座談会を開いており、単なる視察ではない。座談会については、視察とは別にわざわざ記事立てされていることからも、ただ事ではない、その緊急性、重要性をうかがい知ることができる。
 中央は今年中に1000万戸の保障性住宅を着工することを目標に掲げてきたが、その中で李克強が挙げた資金問題、土地確保問題、経営問題などさまざまな問題に直面した地方政府がにっちもさっちもいかなくなっているということ。因果関係を今ひとつうまく説明できないのだが、単に低所得者層の住宅難よる社会不安への警戒よりも、むしろ不動産価格の動きとの関連というマクロ経済情勢との関連から、中央は保障性住宅建設プロジェクトへのてこ入れの必要があったのではないか。
 

李長春と周永康が出席した会議(今日の『人民日報』-20111126)

 李長春が中国文聯第9回全国委、中国作協第8回全国委全体会議で講話をおこなった。

 内容は、胡錦濤が11月22日に行った重要講話を踏襲したもので目新しいものはない。しかし、2面全部で講話を全文を掲載しており、かなり大きな扱っていることが気になる。同時に、中央文化体制改革工作領導小組全体会議も開催されており、劉雲山と劉延東が講話をおこなった。6中全会の決議もあって、文化体制改革工作絡みの会議が「盛況」であることは分かる。李長春講話の扱いが、単にメディアの「親分」の講話だから特別扱いしているのか、それとも何か李長春のメッセージなのか。後者だとしても、内容が胡錦濤の11.22講話の踏襲なので。しかし、「踏襲」自体がメッセージともとれなくもない。

 周永康が中央関連部門・新疆責任者会議で指示を行った。2012年の新疆の飛躍式発展と長期にわたる社会秩序の安定を推進する重点工作を指示した。具体的に9項目を上げたうち、8番目が「反テロ工作強化に関連する問題に関する全人代の決定を貫徹し、防御取り締まり能力を高め、暴力テロ事件の発生を断固防止する」

 新疆関連の会議なので注目したが、こんな特別な会議をやるんだという確認。飛躍的発展といいながら、その本質は反テロだが、それが9項目中の8番目に上げているのは、強硬イメージを和らげるための措置だろう。
 同時に、周永康が主管である社会管理工作について、全国社会管理工作強化・創新会議が開かれている。周永康自身は出席していないが、この工作を指揮する中央社会管理総合治理委員会の副主任である回良玉副総理と全国政協副主任の銭運録が出席し、指示を行っている。農業担当副総理と全国政協関係者が副主任だということが分かって、この委員会が単に治安関連だけでなく。かなり広い領域をカバーしていることをうかがわせる。
 
 

特に何もなし(今日の『人民日報』-20111125)

 平日だが、特に読もうと思う記事はないので、これでおしまい。
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