佐々木智弘の今度は北京で「中国新政治を読む」

今度は北京で中国政治の新しい動きを見つけ、 私の見方を紹介します (since 2011.9.1)

2012年01月

 ★今日の『人民日報』★では、中国共産党の動きを伝える機関紙『人民日報』の中から、私が注目する記事を紹介し、私の見方を紹介します
 ★私の宣伝★では、私が書いたものが掲載された書籍などを宣伝します
「官方」サイト公開中:佐々木智弘の「中国新政治を読む」http://hw001.wh.qit.ne.jp/sasaki-zuo/

チベット族居住区の生活改善を宣伝(今日の『人民日報』-20120131-2)

 チベット族に関する宣伝記事が2つ掲載されている。
 1つは、甘粛省甘南チベット族自治州で民生が改善したこと。5年で61.3億元を投入し、45項目の民生プロジェクトを実施している。具体的には住宅家賃補助、新規就職、農牧業への投資など。
 もう1つは、青海省のチベット族居住地域で住宅問題を解決していること。「青海省チベット区域遊牧民定住工程計画」に基づき、5年間で11.3万戸、53万人の遊牧民の住宅問題を解決し、居住条件を改善した。第12次5カ年計画期には23億元を投資し、322の村、2.36万戸、10万人以上の貧困扶助、移転を完成させるという。

 チベット僧の焼身自殺でデモが起きていることが海外のメディアで伝えられている。チベット族の生活が改善されている状況を宣伝し、事件を特殊化させようということだろう。

 「外資企業はいかに”冬を越すか”」、「紡績業の輸出量の伸びがゼロに近い」といった経済不調に関する記事も掲載されている。
 そんな中、李克強が林毅夫世界銀行高級副行長と会見した記事も掲載されている。去年も李克強は林毅夫と会見している。中国国内の経済関係者のあいだでは林毅夫は有名人。そうした経済学者と会うことで、李克強は経済通であることをアピールしているのだろう。

尖閣無名島への命名で日本政府に強い抗議(今日の『人民日報』-20120131-1)

 外交部が日本政府に尖閣諸島に属する無名島に命名することに対する「厳正なる交渉」を提出として、強い抗議を行った。

 先日のブログでも取り上げた鐘声の関連文章で、「尖閣諸島」が核心的利益だと指摘したが、あのときは私自身はあまり意識していなかったので正直素通りしてしまったが、確かに注目すべき記述だった。
 私は、尖閣が「核心的利益」であることは、実質的には党中央でもコンセンサスのとれていることだろうが、それを明言することにはコンセンサスがとれているわけではないと考えている。なぜならば、少なくとも胡錦濤政権は日本との関係を重視しているし、特に今年の国交正常化40周年を関係改善、関係発展の機会と考えているからだ。そのため、鐘声の文章は、日本に厳しい立場をとる人なり、グループなりが、「核心的利益」という言葉を使うことで、日本に対し「調子に乗るな」と脅しをかけるために、書かせた文章だと考えている。それは、単に日中関係ではなく、胡錦濤政権の対日スタンスを批判する意図もあって、権力闘争の要素も否定できないと思っている。ただし、それを具体的に特定するだけの材料は持っていない。
 中国側から「棚上げ論」も最近出ている。これは今に始まったものではない。しかし、最近中国側から出ていることには、注目している。しかし、それはあまり思慮深い発言ではないと思っているからだ。私は最近「棚上げ論」を言い始めているのは、昨年末、日本で外交文書が公開された際、国交正常化交渉の際、周恩来が「棚上げ論」を言ったことが日本のマスコミで注目された。そのことを知った中国の外交部が、これはいいと思い、飛びついて再び使い始めただけではないかと思っている。もちろん、これまでも党中央の指導者が使っている(鄧小平も使ったはず)ので、そんな安易なことではないかもしれない。しかし、胡錦濤政権は尖閣を明言こそしないが、「核心的利益」と考えているはずなので、「棚上げ論」が急に出てくることは不自然だ。それに最近公式に「棚上げ論」は見られない。そのため、単なる思いつきに過ぎないもののように思える。
 そんな中で、日本政府は無名島に命名するという。今の注目は、春節も終わり、中国国内ネット世論がそのことにどう反応するかという点。今の政権がネット世論に非常に敏感になっていることは確かなようだから。

中国全額出資のアフリカ連合会議センターが落成(今日の『人民日報』-20120130)

 まだ世の中が動いていないので、時事的な記事はなし。
 アフリカ訪問中の賈慶林が、中国全額出資のAU(アフリカ連合)の会議センター落成式に出席した。全額出資を受ける方もどうかと思うが、これが中国の対アフリカ外交。私たちは、そういうことを行う国と経済的に、政治的に付き合っていることをよくよく自覚しなければならないとあらためて思った。

 1月22日に米国のNGOヒューマンライトウォッチが世界の人権状況に関する年次報告書を発表した。その中で、中国の人権侵害状況が取り上げられたことに反論する文章が、1月26日から4日連続で『人民日報』掲載された。そのタイトルは以下の通り。
 1月26日:■西哲「”ヒューマンライトウォッチ”、どうぞ自らのことを観察してください」
 1月27日:羅繊戦堆・楊明洪「一般市民に住宅を建設することは何の人権を侵すことになるのか」
 1月28日:瀋輝「中国の司法改革に対する”ヒューマンライトウォッチ”の片面的な観察に反駁する」
 1月29日:劉傑「政治化の人権ロジックは中国の人権進歩を否定できない」

 中国における人権侵害が国際的な問題になることはよくあることである。しかし、このヒューマンライトウォッチの報告書に対し、4日連続で反論の文章が掲載されたことは異例のことだと思われる。内容はさておき、なぜ今回、こんなにこだわったのかが気になる。
 この文章は、英字紙China Dailyにも掲載されていることから、海外に向けて、報告書の内容が不当であることのアピールである。これは、2月14日前後に予定されている習近平の訪米と無関係ではないだろう。次期指導者である習近平の訪米で、人権問題が1つのイシューとなることが十分予想されるため、、前もって内容の不当性をアピールし、中国の人権状況を説明し、少しでも批判のトーンを和らげようという機先を制するねらいだろう。他方、『人民日報』への掲載は国内向けで、海外の不当な見解にきちんと反論し、強い中国をアピールするためだろう。ただそのロジックを中国国民が受け入れるかどうかは別問題。ただ、春節期間中で、中国国民はほとんど興味を持っていないと思うが。

「特になし」はおそらく今日まで(今日の『人民日報』-20120129)

 春節バージョンは昨日まで。今日は通常の日曜日バージョンだが、昨日まで何も動いていないので、記事も特になし。

今日も特になし(今日の『人民日報』-20120127・28)

 相変わらず春節バージョンで、何もなし。
 米国のヒューマンライトウォッチの報告書への反論文章が26日から連日掲載されているが、とりあえずいつまで続くか見て、それによってコメントするかどうか決めたい。
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