aamall

2004年08月13日

BOOK:ポーツマスの旗(吉村昭)

 村井教官お薦めの吉村昭を読んでみた。外相・小村寿太郎を主人公に、ポーツマス条約が結ばれる顛末を描く。歴史小説は、作者の個人的な解釈がにじみ出るモノであるが、吉村の作品は、資料を収集し、史実を積み重ねて物語を構築しようとするところに価値がある。当時の国際外交慣習とか、日本の外交官の能力の高さをうかがい知ることができて面白い。
 事実を積み重ねるだけで、小村のひととなりをどうとらえるかは、読み手に任されてるが、実は、事実の選び方で暗示的に示されている、という手法も興味深い。歴史小説は歴史の真実を曇らせる、という主張もあるが、面白い小説は歴史に目を向けさせてくれる点で、より優れているかも。

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