3月28日
3月18日から28日までの11日間、メキシコの首都メキシコシティに行ってきました。ちょうどセマナサンタ(イースターのこと)で学校が休みであったこともあり、メキシコに来て初めての大型休暇にあたります。
シティに行った目的は、大学の先生に紹介いただいたメキシコ人の方で、以前大統領府の障害者オフィスでお仕事をなさっていた方を訪ねるのと、2月の終わりからシティに留学している日本人の友達に会うこと。
本当は5泊ほどの滞在のつもりが、たくさんの素敵な出会いの連続によって、結局学校を一日休んでしまうほど長く休暇を楽しんできました。
まず一番の収穫は、先生のお知り合いのメキシコ人の方と実際お会いして、たくさんのお話をして、とても素敵な繋がりができたこと。一日市内を一緒にめぐりながら、そしてご自宅にまでお邪魔させていただきながら、疑問に思ってきたたくさんの質問を投げることができた。ご自身が電動車椅子を使われていて、市内を一緒に少し見て回ったことで、行く先々にあるたくさんの段差と人々の視線を感じる。メキシコ国内の大学で、障害者の問題に関して専門的に勉強できる学部といったものがまだないことも分かった。あれだけたくさんのバリアが目で見て明らかに分かる程に存在するこの国で、学問としてまだ取り上げられる状況にないことは、ごく自然のことに感じた。でも、数は少ないけれども障害者の問題に関して取り上げられた本を調べていただいて、これから手にとっていく課題ができた。また、お知り合いのNGOの方をご紹介いただけた。メキシコ国内でここ数年行われてきている障害を持つ人たちのためのキャンペーンの存在を知れ、自分なりに追ってみたいと思った。
私が興味を持った問題へのメキシコへの第一歩が進めたから、あとはここから開けた新しいいくつかの方向を、自分なりに進んでみるだけ。
さらに新しいたくさんの出会い。
メキシコと日本の政府間で実施されている奨学金のプロジェクトを使ってメキシコで勉強している友達のつてを頼って、公務員枠でシティにいらしている方のお宅に長くお邪魔させていただいていた。
久しぶりに接する社会人の方とその奥様と色々なお話をできたこと。大家さんのメキシコ人ご一家が見ず知らずの私を暖かく迎えてくださったこと。シティ内の色々な素敵な場所を毎日ものすごい密度で回ることができたこと。久しぶりにたくさん飛び交う日本語の間と笑いの連続。世界遺産の水路を回りながら暖かな日差しの中で流れた時間。居心地の良いたくさんのカフェと顔の大きさくらいある朝食のクロワッサン。ラテンアメリカタワーという建物から見た360度のシティの大夜景。友達とシティ近郊の小都市プエブラを訪ねて過ごした時間。名物であるプエブラ焼きのエスプレッソカップたち。一つの町くらいの大きさがあるUNAMという大学の探検。メキシコ壁画運動を支えた壁画家たちの作品。メキシコのプロレス、ルチャリブレの会場の熱い空気。『星の王子様』と『キッチン』のスペイン語の本との出会い。伝説のカップル、フリーダ・カーロとディエゴ・リベラが結婚式を挙げたカフェで楽団のおじさまたちが友達と私のために『川の流れのように』を熱唱してくださったこと。12万人の観衆の中で見たメキシコ代表対アメリカ代表のワールドカップ予選の試合。
一人でなく、たくさんの人たちと一緒にその時間を過ごせたからこそ何倍もの濃さと強さで私の体に響く。
言葉にしてしまうととても味気なくなるけれど、あまりに幸せな時間と空間との出会いの連続で、私は正直どうしていいのかわからなくなるような日々でした。たくさんのきらきらに目がくらんでしまった。本当に心から息を抜いて休んで楽しむということを教えてもらった気がする。
ここまで楽しみぬいたら、そして全力でそこにいられたこと、そこで感じられたことの全てを幸せと思っていられたら、もうあとは自分が進みたい方向に進んでみるだけ。飽きるくらいに日本語を浴びた今だから、たくさんのスペイン語にまた触れてスペイン語で吸収できるものをたくさん吸収していきたい。映画も、貴重な本たちも探して触れて言葉を浴びていく。新しくできた人間関係を暖めていく。そして今その他にたくさん感じている自分自身の課題とも少しずつきちんと向き合っていきたい。
あと一週間あまりでこちらに来て3ヶ月になります。私にとってのちょっとした区切り。
今回の休暇は自分に与えられて抱えきれないくらいの幸せな瞬間の連続だったから、たくさんのきらきらを出来るだけ自分の中に打ち込みながら、もっとメキシコの中に入り込んで3ヶ月目を迎えたい。