2005年04月16日

JERUSALEM SLIM(エルサレム・スリム)

エルサレム1.Rock'n'Roll Degeneration
2.Dead Man
3.Attitude Adjustment
4.Hundred Proof Love
5.Criminal Instinct
6.Lethal Underground
7.Teenage Nervous Breakdown
8.Gotta Get A Hold
9.The World Is Watching
10.Rock'N'Roll Degeneration(Demo)
11.Teenage Nervous Breakdown(Demo)

 1992年。メンバーはマイケル・モンロー、スティーヴ・スティーヴンス(ビリー・アイドルのバック・バンドで有名なギタリスト。確かマイケルジャクソンの「ダーティ・ダイアナ」でもギターを弾いていた。)、サム・ヤッファ、グレッグ・エリス(多分重要じゃない)。2大スター、マイケルとスティーヴが意気投合して作ったバンドだが結局音楽性が合わず、スティーヴは因縁のヴィンス・ニールバンドへ逃げ、アルバムリリース前に空中分解してしまいドイツと日本でしかリリースされなかった、いわくつきのアルバム。マイケルはアルバム自体出したくなかったらしいが、インタビューとかで散々期待させておいて作品出さなかったらファンとしても納得がいかない。マイケルの生真面目さというのは愛すべきだが、ついていけない部分もある。

 プロデューサーはメタル界の大御所マイケル・ワーグナーで、マイケル・モンローはこういった音作りがいたく気に入らなかったらしい。スキッド・ロウの「スレイヴ・トゥ・ザ・グラインド」とか結構良かったと思うが、マイケル・モンローとは趣味が合わないというのも凄くよく分かる。最初の最初から同床異夢だったらしい。
 というわけで、音はスティーヴ、ワーグナーの色と思われるメタル色とマイケル・モンローのR&R路線が妙に融合し、重厚かつキャッチー、メタリックな産業ロック、またはLAメタルみたいなものが出来上がった。ただ、「メタル」とか「産業ロック」とかいう概念にとくに偏見がない人が無い人に聴いてもらえれば、楽曲も演奏も決して悪いとは感じないと思う。個人的にはR&R路線の方が好きだが、決してこのアルバムが悪いとも思わない。何なら1度くらいライブでも見てみたかった。
 メタル/産業ロックはちょっと・・・と言う人には7くらいしかお薦めできませんが、そうでなければ5はあまりキャッチーでなく、8はちょっとダサい気がしますが、基本的には捨て曲なしです。

 こういった音楽的、感情的な確執の中でこそ良い作品が出来る場合も多く、一応あえてどちらが悪いかと言うなら逃げ出したスティーヴで間違いないと思う。しかし、個人的にはマイケル・モンロー自身にもかなり落ち度(自身の人選ミスと、うかつな契約だったのでは?)があったと想像している。レコード会社との契約で音楽的にいろいろ制約があったらしい。マイケルもそういう枠の中で、スティーヴやレコード会社のことも尊重しつつベストを尽くしていたのだと思うが、やはりそういった不満だらけのなかで長く続かなかったのも必然と言えば必然ではないだろうか。いまさらどちらが悪いかなんて話、当然野暮で、基本的にはどちらも責められないとは思いますがあえて両方の立場を想像してみました。

 作品に罪があるわけはなく、出来も悪くないと思うのだが、どんな趣味の人に薦めて良いやらサッパリ分からない歯がゆい作品。

(5/7加筆、ちょっと修正)


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ブログ「LOVE LOVE MUSIC」
記事「Jerusalem Slim/Attitude Adjustment」

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記事「Jerusalem Slim/Jerusalem Slim」

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=== Jerusalem Slim/Jerusalem Slim === いったい何人の人が、このネタをわかるのだろうか・・・ 今回のこのバンドは凄いです。 {{{ 凄いことその1 マイケルモンローとスティーブン・スティーズンスがいっしょにやってます }}} {{{ 凄いことその2 日本独占発売で
Jerusalem Slim/Jerusalem Slim【戯言のたわごと。】at 2005年05月07日 16:45
この記事へのコメント
トラックバックありがとうございます。
なかなか、鋭い意見ですね。

モンローのソロとか、ハノイとかだと、モンローはもっと
ロックっぽいのを望んでたんでしょうね。
でも、できたのは、結構ハード色が強いロックだったと。

確かに空中分解は良いのか、悪いのか、微妙ですね。
Posted by marimo_park at 2005年05月07日 16:48
いらっしゃいませ&突然お邪魔してすみません。

マイケル・モンローのサイトなんか見ると、やはり音楽的に
すごく納得いかなかったらしいです。
確かプロデューサーの人選にも口出せない契約だったとか。

お返事を考えていたら長くなりそうになったので記事を加筆します。

よろしかったら、またいらしてください。
Posted by サソリ at 2005年05月07日 17:48
この作品では、作業の進行がなかなか進まなかったからという理由でスティーヴは辞めたと言っていたような記憶が。ヴィンスの時は早くツアーに出たかったけどなかなか出ないから、なんて言っていたような記憶が。でも、自信ありません。

スティーヴが出したソロを聴くと、このヴォーカルはマイケルにピッタシだと思う仕上がりになっていました。結局のところ、スティーヴは何を考えて行動しているのか、よくわかりません。でも、彼のギターは好きです。
Posted by ロニーケン at 2005年05月08日 00:05
スティーヴについてはこのアルバム以外には、数曲しか聴いていませんが、凄く格好良いと思います。

他で詳しく書くつもりですが、中学生のとき東京ドームで5つのバンドが集まってカウント・ダウンライブをやる
企画があって、観に行ったのですが、スティーヴのアトミック・プレイボーイズはドタキャンで、
代役のラウドネスを拝むことになりました。

ギタリストとしては有能だと思うので、正直もう少し腰を据えてやってもらいたいですねー。
まあ、天才肌と言ってしまえばそれまでかもしれませんが。
Posted by サソリ at 2005年05月09日 09:14
実はうちにはROCK別館「PARADISE CITY」もありまして・・・^^;(Blogのバナーから入れます〜)
そちらでもハノイやマイケル関連のレビューを置いてあります。
ライターは有志で、エルサレム・スリムを書いたのはSEIさん(楽天の“MEANING PLACE”の管理人さんです サソリさんもご存知ですよね)

http://www.geocities.jp/paradise_city_037/RockAlbum/rocks.j_slim.html

↑もし宜しければ、こちらのレビューもご覧になってみてください。

ああ あっちも早いとこリニュしなくちゃ・・・(汗)
Posted by nonkey37 at 2005年05月30日 22:31
>>nonkey37さん
大分前(まだデモ23のTBさせていただく前です)に一度チェックしていたのですが、ちょっと忘れていました(失礼)。一度読んだのですが、もう一度読み返してみました。SEIさんの文章は見解が合う部分も、合わない部分もありそうですが、思い入れでは自分以上かもしれないですね。

SEIさんには先日ちらりと挨拶だけコメントさせて頂いていて、ブログにもデモ23の記事があったので近々TBさせて頂こうかな等と考えていたところです。上の記事もリンクお願いしようかと考えています。

新しい記事も書きたいですが、リンクを増やす(今のところブログ中心で考えていますが)のもやりがいがあります。お知らせありがとうございます!
Posted by サソリ at 2005年05月31日 11:26