2006年05月02日

竹取物語と東方永夜抄・その1:天上の理と地上の理

日本古典文学として、竹取物語はかなり研究が行なわれています。
なんせ「物語の出で来はじめの祖」ですし。
というわけで永夜抄もかなり考察されてますが、まだまだ考察の余地はたくさんあります。



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天人の中にもたせたる箱あり。
天の羽衣入れり。又あるは不死の藥入れり。
ひとりの天人いふ、
「壺なる御藥たてまつれ。穢き所のもの食しめしたれば、御心地あしからんものぞ。」
とて、持てよりたれば、聊甞め給ひて、少しかたみとて、脱ぎおく衣に包まんとすれば、ある天人つゝませず、御衣をとり出でてきせんとす。

原典の「竹取物語」では、かぐや姫は月に帰る前に不老不死の薬を甞めることで地上の穢れを祓っている
「竹取物語」では「東方永夜抄」と異なり、月人は元より不老不死なのかもしれない(当時の思想としてはその方が自然)。
この文中の「ひとりの天人」が永琳かも、とか考えてみたけど無理があるか。

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小嶋菜温子『かぐや姫幻想』(森話社、一九九五)によれば、
「月の顔見るは忌むこと。」のように、地上の人間にとって月は忌むべきものであり
「いざかぐや姫、穢き所にいかでか久しくおはせん。」のように、月の人間にとっては地上は穢き所であるという。
つまり、月と地上は互いにタブーの関係である。
そしてかぐや姫と帝はそれぞれ天上と地上の理の象徴であるから、
かぐや姫は地上において絶対的な存在である貴族たちや帝の求婚を断ることができ、
帝は薬を焼かせ、天上の理である不老不死を得ることはなかった。

「竹取物語」と「東方永夜抄」において、かぐや姫(輝夜)自身の行動に大きな差異はない。
にもかかわらず、輝夜は月へ帰らず、蓬莱の薬は焼かれることはなく妹紅の手に渡った。
「竹取物語」と「東方永夜抄」を決定的に異なるものにしているのは、永琳と妹紅の存在である。

月の人間でありながら使者を皆殺しにした永琳と、
貴族でありながら帝の使いを殺害し蓬莱の薬を奪った妹紅

この二人は、「竹取物語」に於いて貫かれた天上の理と地上の理をそれぞれ破壊し、
物語の結末を「東方永夜抄」へと導いている
のである。

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つまりなにが言いたいかというと、
輝夜×永琳と輝夜×妹紅は対になっているんだよと(ry

あと帝が対月の使者として配置した兵二千のうち、千は翁の家の屋根に乗っていたらしい。
賤民の家の割りに頑丈な屋根ですね。
……「やっぱりイナバ1000人乗ってm

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関連リンクとか
國民文庫版「竹取物語」全文:原典も読んでみるといいかも
かぐや姫考:まだ具体的に東方と結び付けられないけど、五つの難題が「卑弥呼の鬼道で重視された夜空の星の異名」というのは面白い
切り絵「竹取物語」:美しい。幻視がばりばりできます

sasuga_koyou at 23:20│Comments(2)TrackBack(0)clip!研究・考察 

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この記事へのコメント

1. Posted by 神尾そら   2006年05月03日 00:46
 面白い視点の考察ですね。
 ふと思ったんですが、永琳が月の死者を裏切って輝夜と逃走した事や
 妹紅が月のいはかさを殺した事は、(東方世界)において、竹取物語の作者があえてスルーしているのではないかと思ったりしました。

 その2にも期待しています。
 みそぎさんもお体にお気をつけてください。
2. Posted by みそぎ@管理人   2006年05月04日 12:39
ありがとうございます。
竹取物語と永夜抄は細かい差異がたくさんあるので
まだまだネタがありそうです。

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