2013年01月

2013年01月26日

土地と建物の関係「高さ」

[高さ制限]

都市環境や近隣の日影条件を守るため、さまざまな高さに関する規制がある。

・道路斜線制限
道路の幅員や道路境界線から建物の距離によって建物の高さが制限されます。

道路斜線1

 

建物から道路の反対側までの距離に一定の数値(住居系では1.25倍、そのほかの地域では1.5倍)を掛けた高さ以内にいなければならない。

道路幅員が狭い所では、斜線制限が厳しくなるので、屋根の形状、屋根の架け方を工夫しなければならない。




道路斜線2


セットバックすると道路斜線が緩和される。

道路境界線から建物を後退させると、その後退させた分だけ、道路が広いものとみなされ、より高い建物を建てる事が出来る。









・隣地斜線制限
隣地境界線から建物の距離によって建物の高さが制限されます。住居系の用途地域でも20mを超える部分に対する規制なので、一般の住宅の場合には、特に気にする必要はないと思われます。


・北側斜線制限
北側の敷地境界線から建物の距離によって建物の高さが制限されます。第1,2種低層住居専用地域、第1,2種中高層住居専用地域に、北側斜線制限があります。
名古屋市の場合はこれよりもさらに厳しい北側斜線制限のある高度地区という規制地区があります。

・高度地区
建物の高さの上限を制限したり、北側の隣地の日当たりを確保する斜線制限を、都市計画として定めるもの。

名古屋市の場合10m高度地区15m高度地区20m高度地区31m高度地区45m高度地区などいろいろな高度地区が定められています。

10m高度地区は、5mの位置から1対1.5の割合で北側斜線が掛かり、最高の高さは10mまで、15m高度地区および20m高度地区では、7.5mの位置から1対1.5の割合で北側斜線が掛かり、最高の高さはそれぞれ15m、20mまでとなります。


北側斜線


・絶対高さ制限
第1,2種低層住居専用地域では、建物の高さは10m又は12mに制限されています。
これ以上の高さの建物は建てられません。


・日影規制
隣地の一定範囲内に、基準を超える日影をつくる建物を建ててはいけないという制限。低層住居専用地域に建てる建物で、軒高7mを超える建物又は地上3階建以上の建物を建てる場合に規制を受ける。その他の用途地域に建てる場合は、高さが10mを超える建物が、規制を受ける。

一般の住宅の場合、低層住居専用地域では2階建て、その他の地域では3階建てまでならば、余程階高を高くしない限り、規制を受ける事は無いでしょう。



satkd2002 at 12:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)建物の話 

2013年01月21日

土地と建物の関係「道路」

土地は必ず道路に接していなければならない。

建物を建てるための敷地は、4m以上の道路に2m以上接していなければならない。

では前面道路が4m未満の場合はどうするか?

4m未満でも各自治体が指定した道路であれば、認められる。(認定道路という)

ブログ資料


その場合は、道路中心から2mまでの部分を道路とみなし、敷地をセットバックさせなければならない。

セットバック部分は敷地面積から除外され、建ぺい率や容積率の算定は、その除外された敷地面積で計算しなければならない。



路地状敷地(旗ざお状になった敷地)

こうした敷地は、路地状部分の幅及び長さによっては建物が建てられない場合があるので注意が必要です。

ブログ資料2


(愛知県の場合)

路地状部分の長さが15m未満の場合は2m以上の幅が必要です。

路地状部分の長さが15m以上25m未満の場合は2.5m以上の幅が必要です。

路地状部分の長さが25m以上の場合は3m以上の幅が必要です。


又、道路幅員により容積率の上限も変わる場合があるので、注意が必要です。

例えば、住居系の用途地域で容積率の指定が200%の土地で、4mの道路に接している場合

この場合は容積率は160%マデしか建てられないので注意が必要です。

道路幅員に、0.4を架けた数字が容積率になる(4m×0.4×100=160%)ので、5m以上の道路であれば、200%まで建てられます。(5m×0.4×100=200%)
 

satkd2002 at 18:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)建物の話 

2013年01月14日

土地と建物の関係「建ぺい率」

用途地域により建ぺい率や容積率が変わります。

●建ぺい率

 建築面積の敷地面積に対する割合の事で、用途地域により上限が定められている。

 建ぺい率60%というのはどういう事か?

 建築面積を敷地面積の60%以内にしなければいけないという事

 建築面積とは?(よく建坪とか言われる)それもよく分からない言葉だ(笑)


 
建築面積とは、建物を上空から見た水平投影面積のこと

 その建築面積と敷地面積との割合を建ぺい率という

 例えば敷地面積100㎡の土地で建ぺい率が60%だったら60㎡の建坪の建物しか建てられないという事


images
「磯崎 新」 《空中都市――渋谷計画》1962年

  
●容積率

 延べ床面積の敷地面積に対する割合の事で、用途地域により上限が定められている。

 容積率200%というのはどういう事か?

 延べ床面積を敷地面積の200%以内にしなければいけないという事(200%というのは2倍という意味)

 
延べ床面積とは、各階の床面積の合計をいう。

 その延べ床面積と敷地面積との割合を容積率という

 例えば敷地面積100㎡の土地で容積率が200%だったら延べ床面積200㎡までの建物しか建てられないという事



住居系の地域住宅地としての環境を保つ為、建ぺい率は
30%とか60%に、低く抑えられています

逆に商業系の地域では、土地が有効利用出来る様80%とか高く設定されています

その為、敷地面積が同じでも用途地域が違えば、建てられる建物の大きさも変わってきます。

また、屋根はあっても、建築面積にカウントしなくても良い場合もあります。

1m未満の庇やバルコニー、地下室などは原則建築面積に算入されません。

同様に床面積にカウントしなくても良い部分もあります。

奥行きが2m未満のバルコニー、一定の条件をクリアーした出窓小屋裏収納ロフトなどは面積に算入されません

またこれも一定の条件をクリアーしたものだけですが、地下室車庫など、容積率に含めなくてもよい場合もあります

狭い限られた敷地の中にいかに快適な家を建てるか 設計者の腕の見せ所です。


satkd2002 at 19:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0)建物の話 

2013年01月07日

土地と建物の関係「用途地域」

建てられる建物の大きさや高さは用途地域によって決まる。

皆さんがお持ちの土地、あるいは建物を建てようとしている土地には、都市計画法による用途地域が定められています。

この用途地域により、建てられる建物の用途、及び建物の規模が決まってきます。

例えば、住居系の用途地域に娯楽施設が建てられなかったり、工業専用地域には住宅が建てられなかったりします。

これから土地を買おうとして居られる方は要チェックです。

用途地域は大きく分けて、「商業系」「住居系」「工業系」の3つに分かれています。

さらにそれぞれが細分化され、12地域に分類されます。


images (2)


用途地域の種類別特徴

1.住居系

  ● 第一種低層住居専用地域 
   
   低層住宅の良好な環境を守る為の地域で、小規模の店舗や事務所は住宅と兼ねた併用住宅なら建てられるが、店舗や事務所単独では建てられない。

  ●第二種低層住居専用地域

   低層住居の 専用地域ではあるが、床面積が150㎡以下の店舗は建てられる。

  ●第一種中高層住居専用地域

   
3階、4階ぐらいの中高層住居や店舗は建てられるが、床面積が500㎡以上の店舗、飲食店は建てられない

  
●第二種中高層住居専用地域

   
第一種中高層住居専用地域よりは規制が緩く、床面積500㎡以上の店舗、事務所などは建てられる。

  ●第一種住居地域 

   住宅地の為の地域で大規模な店舗や事務所は制限されている。

  ●第二種住居地域

   住宅地の為の地域で大規模な店舗や事務所も認められている。

  ●準住居地域

   自動車関連施設等と住居が共存する地域。

2.商業系

  ● 近隣商業地域
  
   
近隣の住民が日用品の買い物をする店舗などの業務の利便性を計る地域。住宅や店舗、工場も建てられる。 

  
● 商業地域
  
   銀行、映画館、飲食店、百貨店など、商業の業務の利便性を計る地域。住宅や店舗も建てられる。

3.工業系

  ● 準工業地域
  
   
主に軽工業の工場や環境悪化の恐れがない工業施設が建てられる地域 、住宅や店舗、飲食店も建てられる。

  ● 工業地域
  
   
どんな工場や倉庫も建てられる地域 、住宅や物販店舗、飲食店も建てられる。

  
● 工業地域

   どんな工場や倉庫も建てられる地域 、住宅やホテル、学校は建てられない。



images (1)
某ドイツミュンヘンの都市計画
 


この他にも都市計画法には防火上の観点から、市街地を防火地域準防火地域に指定しています。

防火地域では 、床面積が100㎡を超える建物は耐火建築物としなければいけないという規定があり、原則木造住宅は不可という事になっています。

準防火地域では木造住宅は建てられるが、隣地境界線から一定の距離内の外壁や軒裏などに防火規定があります。ちなみに名古屋市内はほとんど準防火地域か防火地域に入っています。

自分の土地がどんな用途地域か 、都市計画図で確認する事が出来ます。役所の都市計画課あるいは建築課で調べる事が出来ます。

また、名古屋市の場合はインターネットで名古屋市のサイトから確認する事も出来ます。

↓    ↓    ↓    ↓    ↓
名古屋市都市計画情報提供サービス 

用途地域が色分けされていて、建ぺい率や容積率など、その土地の法的条件の概略が分かります 。

用途地域により建ぺい率や容積率が変わりますので注意が必要です。

次回はその辺りについて、書きたいと思います。 


satkd2002 at 14:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)建物の話